(500)日のサマー(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『(500)日のサマー』とは、運命の恋を信じる男トムと信じない女サマーが繰り広げる、出会いから別れ、立ち直りまでの500日をリアルに描いた恋愛コメディー映画。ミュージックビデオを多く手掛けてきたマーク・ウェブの長編デビュー作である。本作は、脚本のスコット・ノイスタッターのロンドン・スクール・オブ・エコノミクスでの実際のロマンスに基づいて作られている。
『(500)日のサマー』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
イケアでのデート
デートをするようになったトムとサマーは、家具店のイケアにやってくる。2人は、夫婦になったフリをして、展示されたリビング用のソファに座ってテレビをみるフリをしたり、キッチンで水が出ず困っているフリをするサマーに対して「もう1つキッチンがあるから大丈夫」とトムが話したり、寝室のベッドに横になって体を近づけたりして楽しむ。そんな2人を、驚いた表情で中国人の家族が見ている。中国人の家族は去った後、ベッドで横になっているサマーは、トムに真剣な関係を望んでいないがそれでもいいかと聞く。恋人同士なら一度は思い描く家族ごっこ遊びが初々しく可愛い。
コピー室でのキス
会社でのカラオケパーティーで良い雰囲気になった数日後、会社のコピー室で2人きりになるサマーとトム。沈黙が流れた後、サマーはトムに近づき、何も言わずキスをする。トムもそれに応え、サマーがトムの頭をクシャクシャにする熱いキスとなる。キスを終えたサマーは、コピーされた紙を持って、黙って立ち去る。髪がクシャクシャになったトムは、呆然とする。2人きりの空間でサマーが何も言わずキスをしてくるあたりが男性にとってはとてつもなく愛おしく見えてしまう一幕である。
最高の気分で踊るトム
サマーと肉体関係を持ったトム。最高の気分で自宅を出て会社の向かうトムは足取りも軽い。車の窓ガラスに映る自分の姿は、「スター・ウォーズ」のハン・ソロ。アメリカのデュオであるダリル・ホール&ジョン・オーツの曲「You Make My Dreams」が流れ、行き交う人たちと握手やハグをしてあいさつする。バッグを通行人に預けて踊りだすと、周りの人々も一緒に踊りだす。軍楽隊も演奏してくれ、アニメーションで描かれた青い鳥も、トムの肩にとまる。最高の気分のまま、会社のエレベーターに乗るトムだったが、数カ月後には最悪の気分で同じエレベーターを降りることになる。森山未來主演映画「モテキ」の、主人公が楽しい気持ちになり踊り出してしまうというシーンは、この映画のシーンをモチーフにして作られたと言われている。
期待と現実
サマーとうまくいかなくなったトムだったが、同僚の結婚式に向かう列車でサマーと再会。結婚パーティでは、一緒にダンスを踊るなどロマンティックな時間を過ごす。そして、サマーは自宅のパーティにトムを誘う。サマーとの関係が元に戻ることを期待しながら、トムはパーティの開かれているサマーの部屋を訪れる。パーティでは、トムの理想と現実が、画面を分割して、対比しながら描かれる。理想では、サマーは熱くトムを迎え、パーティでは2人で楽しく会話をし、その後2人きりになってキスをして、熱い夜を過ごすはずだった。しかし現実は、トムはパーティの参加者と話をし、サマーは別の男性と会話をする。そして、サマーが婚約指輪を友人に見せているところを目撃する。バックで流れている曲は、ロシア出身のシンガーソングライターであるレジーナ・スペクターの「Hero」である。恋愛では良くある期待を描きながら現実を突きつけられる部分を映像では2分割し上手く表現している。
『(500)日のサマー』の名言・名セリフ
「これは架空の物語であり、実在の人物との類似は偶然である。特にジェニー・ベックマンは。クソ女め」
映画の冒頭のナレーションで語られるセリフ。この映画の脚本を担当したスコット・ノイスタッターが学生時代に経験した恋愛を元に作られている映画でもある。皮肉たっぷりなナレーションで始まることから、この物語は上手くいかない恋愛を描いている事が分かる。ナレーション通り、トムが失恋し情緒不安定になりサマーに怒りをあらわにしている。
「彼女しかいないと思うでしょうけど、私は思わない。今は思い出が一杯でも振り返ってみて」
失恋し、サマーの事を忘れられないトムに対して妹レイチェルがトムの事を思って言うセリフ。今は楽しかった思い出だけに浸るかもしれないが、じっくり振り返る時には悪い状態の頃の2人も思い出してほしいとアドバイスをする。思い出を美化するだけでは前に進めないという事を伝えている。
「会うべくして会った、あなたは正しかったのよ」
サマーが「カフェで本を読んでいた時に本について聞いてきた男性に恋に落ち、結婚したの。それが今の夫よ。もし私が5分遅くお店に行ってたら?もしその本を読んでいなかったら?出会うべくして出会ったのは運命だったの」とトムに話した。運命を信じなかったサマーが最後にはトムの言う運命が正しかった、ただトムとは運命ではなかっただけだということを伝えている。
『(500)日のサマー』の用語
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目次 - Contents
- 『(500)日のサマー』の概要
- 『(500)日のサマー』のあらすじ・ストーリー
- 運命の恋人との出会い
- 心の距離が近づくトムとサマー
- トムの失恋
- 新しい恋の始まり
- 『(500)日のサマー』の登場人物・キャラクター
- トム・ハンセン(演:ジョセフ・ゴードン=レビット/日本語吹替:猪野学)
- サマー・フィン(演:ズーイー・デシャネル/日本語吹替:宮島依里)
- レイチェル・ハンセン(演:クロエ・グレース・モレッツ/日本語吹替:うえだ星子)
- マッケンジー(演:ジェフリー・エアンド/日本語吹替:田村健亮)
- ポール(演:マシュー・グレイ・ギュブラー/日本語吹替:坂詰貴之)
- オータム(演:ミンカ・ケリー/日本語吹替:園崎未恵)
- ヴァンス(演:クラーク・グレッグ/日本語吹替:仲野裕)
- アリソン(演:パトリシア・ベルチャー)
- ミリー (演:パトリシア・ベルチャー)
- ナレーション (演:リチャード・マクゴナガル/日本語吹替:村井国夫)
- 『(500)日のサマー』の魅力
- リアル過ぎる映画
- 男を翻弄する清楚系ファッション
- 『(500)日のサマー』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- イケアでのデート
- コピー室でのキス
- 最高の気分で踊るトム
- 期待と現実
- 『(500)日のサマー』の名言・名セリフ
- 「これは架空の物語であり、実在の人物との類似は偶然である。特にジェニー・ベックマンは。クソ女め」
- 「彼女しかいないと思うでしょうけど、私は思わない。今は思い出が一杯でも振り返ってみて」
- 「会うべくして会った、あなたは正しかったのよ」
- 『(500)日のサマー』の用語
- シドとナンシー状態
- グリーティングカード
- 『(500)日のサマー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 実はトムがサマーを振り回している可能性
- トムは本当にサマーの事が好きだったのか
- 『(500)日のサマー』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):Mychael Danna & Rob Simonsen『A Story of Boy Meets Girl』
- 挿入歌:Regina Spektor『Us』
- 挿入歌:Regina Spektor『Hero』
- 挿入歌:The Temper Trap『Sweet Disposition』
- 挿入歌:The Smiths『There Is a Light That Never Goes Out』
- 挿入歌:The Smiths『Please, Please, Please, Let Me Get What I Want』
- 挿入歌:Black Lips『Bad Kids』
- 挿入歌:Doves『There Goes The Fear』
- 挿入歌:Daryl Hall & John Oates『You Make My Dreams』
- 挿入歌:Carla Bruni『Quelqu'un m'a dit』
- 挿入歌:Feist『Mushaboom』
- 挿入歌:Simon and Garfunkel『Bookends』
- 挿入歌:Wolfmother『Vagabond』
- 挿入歌:Meaghan Smith『Here Comes Your Man』
- 挿入歌:She & Him『Please, Please, Please, Let Me Get What I Wan』
- 主題歌・ED(エンディング):Mumm-Ra『She's Got You High』
- 『(500)日のサマー』の劇場予告動画