ベルサイユのばら(ベルばら)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『ベルサイユのばら』とは、池田理代子が描いた少女漫画で、1770年から17789年頃のフランスを舞台とした物語である。週刊マーガレットで連載以来、少女たちを中心に人気に火が付き、アニメ化や宝塚化などを果たした。
ロマンチックな恋のセリフや、時代の波に飲まれながらも必死に生き抜こうとする格好良いセリフの数々は、読者に長年愛され続けている。

ロザリー⋯。ポリニャック家に嫁いでも⋯シャルロットが生まれても⋯あなたのことを思わなかった日は1日だってありませんでした⋯。なぜ⋯ゆるしてもらえ⋯ない⋯の⋯?

集英社文庫『ベルサイユのばら』2巻 139ページより

ポリニャック伯夫人が、ロザリーのことを思いながら涙を流した時の独白である。ロザリーは、ポリニャック伯夫人の本当の娘だった。しかし、ロザリーにとっては育ての母親を轢き殺し、ポリニャック伯夫人の実の娘でロザリーの妹に当たるシャルロットを苦しませ、自殺に追い込んだ憎むべき女性だった。育ての母親を轢き殺した件は事故ではあったものの、ロザリーの事をただの平民と思っていたので謝るどころか高圧な態度をとってしまい、シャルロットの件は娘の望まない政略結婚を強いてシャルロットの感情を無視してしまう。しかも、ポリニャック伯夫人は自分の地位やお金のために手段を厭わない一面もあり、ロザリーに好かれる要素は全く持って無かった。そのため、ポリニャック伯夫人がロザリーにだした「ロザリーをポリニャック家でひきとる」というお願いも全く聞き入れてはもらえなかった。
ポリニャックは15歳の頃、とある男性と激しい恋に落ちてしまい、妊娠してしまう。しかし、ポリニャックはまだ嫁入り前で、親にも内緒で身ごもってしまった。子供を育てる財力や知識がなく、困り果てたポリニャック伯夫人だが、生まれてきた子供を引き取ってくれた女性がいた。それが、ロザリーの育ての母親でもある女中、ラ・モリエールだ。ポリニャック伯夫人からモリエールが引き取った子供こそ、ロザリーだった。この独白は、この時の出来事を思い出しながら言ったもので、狡猾な女性だと思われたポリニャック伯夫人のロザリーに対する母娘愛が現れた名台詞である。ポリニャック伯夫人は、愛するロザリーに今までの悪行を許してもらえない事に対してひどく苦しんだ。

シャルロット・ド・ポリニャックの名言・名セリフ

シャルロットは赤いドレスを着た少女だ。(『ベルばらKids』 41ページより)

だれもおかあさまの権力を恐れてわたしに近よってこないのに⋯あなただけだわ⋯おねえさまみた⋯い⋯。

集英社文庫『ベルサイユのばら』2巻 79ページより

シャルロットがロザリーに言ったセリフだ。シャルロットはポリニャック伯夫人の娘で、近々結婚することが決められていたが、シャルロットはオスカルに恋をしていて、さらにシャルロットはまだ11歳なので、「結婚なんて怖いもの」としか考えていなかった。しかも、シャルロットの結婚相手である公爵はポリニャック伯夫人曰く、若い娘が好きだそうで、シャルロット本人は会ったことのない人物だった。シャルロットは一人で泣き叫ぶが、その光景をロザリーに見られてしまう。
ロザリーはシャルロットを実の姉のように慰めた。そんなロザリーの様子に安心したシャルロットがロザリーに言ったのがこの台詞だった。ロザリーの優しさに触れたことでシャルロットは胸の内をすっと明かすことが出来たという、姉妹愛のようなものが感じられる名セリフである。
実は、ロザリーとシャルロットは本当の姉妹である。ロザリーはポリニャック伯夫人が若き頃に自分の両親にも内緒で産んだ子供だが、まだポリニャック伯夫人は嫁入り前の身分だった。子供を産んだと両親に知られれば、自分は勘当されてしまうと悩む若き頃のポリニャック伯夫人だが、ちょうど女中のラ・モリエール(ロザリーの育ての母親)がロザリーを引きとると言ってくれたのだ。こうして、ロザリーとシャルロットは別々の家で育てられることとなった。

いや⋯結婚なんて⋯結婚なんてこわ⋯い⋯。ロザリーさんたすけて⋯!たすけて⋯結婚なんていやよう⋯。あ⋯死んでしまいた⋯い⋯。

シャルロットが不安に苛まれながら、心の中で思った独白である。シャルロットは結婚を間近に控えていた。この結婚は、シャルロットが公爵家のものと結婚するという契約だ。公爵家は王室と血縁関係がある貴族ばかりなので、ポリニャック家にとても大変有益なものだった。しかし、シャルロット自身に「結婚したい」という意思は全く無く、以前自分の気持ちを正直に話したロザリーに助けを求めた。シャルロットは自分の話を優しく聞いてくれるロザリーのことを、本当の姉のように慕うようになったのだ。
この独白は結婚式の期日が迫り、恐怖に陥るシャルロットの気持ちが込められていて、シャルロットを通して自分の意思は関係なく地位や身分に人生を縛られる貴族の哀しさがわかる名セリフだ。

お母様⋯ごめんなさい。こんど生まれてくるときは⋯⋯もう⋯貴族なんかじゃないところにする⋯わ⋯。ほんと⋯よ⋯。貴族なんかじゃないところに⋯

シャルロットが自ら命を絶つ前に言ったセリフだ。シャルロットはポリニャック家の繁栄のために有無を言わせずド・ギーシュ公爵と結婚することが決められていたが、彼女は心底結婚したくないと思っていた。シャルロットはまだ11歳だったため、結婚に対しては怖いイメージしか無かった。しかも、好きな相手もいたため、会ったこともない公爵と結婚など不安でしかなかったのだ。自分の母親であるポリニャック伯夫人は娘の結婚を通して更なる地位を得ることしか考えておらず、シャルロットの「結婚はいや!」という訴えは聞いては貰えなかった。絶望したシャルロットは、自殺することを選んだ。この台詞は、シャルロットが自殺する寸前に言った言葉で、地位や家柄に縛られる貴族の世界に絶望する気持ちが込められている。一見華やかな貴族社会の暗い一面が表れている名言だ。

ナレーションの名言・名セリフ

もしも⋯もしもこの日の感激を、幸せを、民衆の愛情をアントワネットがいつまでもわすれないでさえいたなら⋯⋯。彼女は悲劇の女王にならずにすんだかもしれなかった⋯!!

ルイ王太子(未来のルイ16世)とマリー・アントワネットが初めてフランスの首都・パリに訪れるというパレードが行われた。パレードの日は熱狂に包まれていて、民衆たちがこぞって若き夫婦を祝福した。特に、愛らしい容姿を持つマリー・アントワネットは大人気で、彼女が少し手を振るだけで大歓声を浴びることになった。このナレーションはこの時のもので、今後のマリーの運命を示唆した、不穏なものとなっている。また、「もしマリーがこの時に民衆から受けた愛情を忘れずにいたならば、歴史はどうなっていただろうか?」という非常に考えさせられる一文でもある。

そのときともに18歳であった若き二人の眼差しの中に一瞬きらめいていたものはなんだったろうか⋯?王妃の地位を約束され、ただ退屈することだけを恐れていれば良いベルサイユ一の美人と、北欧の美しく高貴な騎士との偉大な歴史的愛の第1幕は、ふたり自身にもそうと気づかぬうちに始まったのであった⋯⋯。

マリー・アントワネットとフェルゼンについて語ったナレーションだ。ベルサイユ宮殿でのしきたりや作法に雁字搦めの暮らしに疲れたマリー・アントワネットは、お忍びで仮面舞踏会に遊びに来ていた。マリーは、仮面舞踏会を心ゆくまで楽しんでいた。すると、マリーは一人の男性から声をかけられた。それが、フェルゼンだった。二人はその日から恋に落ちる。そして二人は夫婦にはなれないものの、生涯互いを想い続けるような関係となる。このナレーションは、そんな二人の運命的な出会いをロマンチックに言葉にした名言である。

ばらとダイヤモンドと華麗な調べとさんざめく笑い声にうずめつくされた幾百の昼と夜をこえ、はるかにへだてられた空間と距離をこえて、いま、よみがえる。熱い胸の高鳴りに22歳の王妃マリー・アントワネットは精一杯にたえていた。

フェルゼンと再会したマリー・アントワネットの気持ちを代弁したナレーションである。フェルゼンとマリー・アントワネットはオペラ座の仮面舞踏会で出会い、お互いに相手を一目惚れした。マリー・アントワネットはフランスの王妃で、フェルゼンはスウェーデンからフランスに留学しにきた貴族である。二人はオペラ座での出会いの後、ベルサイユ宮殿で二人は仲良くするが、貴族たちの間で二人は付き合っているという噂が流れてしまう。フランス王妃と外国人との恋愛沙汰は王室においては御法度なため、フェルゼンはアントワネットには何も告げずにスウェーデンに戻っていった。
そして4年後、アントワネットとフェルゼンはベルサイユ宮殿で再開する。アントワネットは、「フェルゼン⋯!!あ⋯あ!ほんとうに⋯ほんとうに?ああ、フェルゼン⋯!?わかっていました⋯。わたしにはわかっていたわ⋯。あなたがきっと⋯フランスに戻ってきてくれるということが!!」と独白した。このナレーションはフェルゼンと再開直後のアントワネットの喜びを表したもので、美しい情景描写と熱い恋心を表現した心情描写が強く印象に残る。

たぶん⋯⋯あの4年前の仮面舞踏会の夜から⋯⋯二人の魂はひそやかに、ほんのすこしずつ求めあい、呼び合って⋯。もう神に定められたこの時がいつか来るのを予感しながら、たて琴の銀色の弦のようにふるえあっていたのだ⋯。

マリー・アントワネットとフェルゼンの愛について説明したナレーションである。アントワネットとフェルゼンが出会った仮面舞踏会の夜から、二人は結ばれることはなくともフェルゼンがアントワネットの話し相手になるなどして、密かに交流が続いていた。しかし、宮中で「二人が付き合っている」などといった良からぬ噂がたってしまい、フェルゼンは一旦母国のスウェーデンに帰っていった。
それから4年後、フェルゼンは再びフランスにやってきた。しかし、フェルゼンはスウェーデンでアントワネットとは別の婚約者がいた。フェルゼンは、このまま自分がアントワネットと結ばれるようなことになれば、アントワネットにとっても自分にとっても良くないことが起きるとわかっていた。アントワネットは、国王陛下の妻でフランス王妃である。フランス王妃が外国人と不倫したなどという噂がたてば、王妃の地位に傷をつけてしまうことになる。一方、アントワネットの方は、フェルゼンに対する思いを抑えきれなくなっていた。そのため、フェルゼンと再会した時はアントワネットは心から喜び、フェルゼンに婚約者がいると知った時は心から嘆いた。そして、アントワネットはフェルゼンを抱きしめた。そんなアントワネットの様子を見て、フェルゼンは抱きしめ返す。このナレーションはこの時のもので、二人の愛の深さがよく分かる文となっている。アントワネットを抱きしめた後、フェルゼンは初めてアントワネットの唇にキスをした。その後、フェルゼンは「生涯アントワネットただ一人を愛し、独身でいる」と誓う。

数週間におよぶお祭りさわぎの間さえ、すでに民衆はパンを買うことができずに飢えていた。

フランス王妃、マリー・アントワネットが二番目の子にに男の子を産んだことで、お世継ぎの王子誕生のニュースにベルサイユ宮殿の中はお祭り騒ぎとなっていた。宮殿に祝砲をたくさん打ち上げ、パーティや美味しい食事などを楽しむ貴族たち。一方、パリの民衆たちは今日食べるもののお金すら手元になく、貧しさで苦しんでいた。このナレーションは、そんな貴族が住むフランス(ベルサイユ宮殿)と民衆が住むフランス(パリなどの地方)のギャップを端的に表している。

マリー・アントワネットはようやく目覚め始めた。自分が今まで何をしてきたか、自分に本当に忠実につかえてきたのはだれだったのか、今まで惜しげも無く浪費してきたお金がいったいどこから入ってきていたのか⋯⋯。

Komiyama1202
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@Komiyama1202

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