ベルサイユのばら(ベルばら)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『ベルサイユのばら』とは、池田理代子が描いた少女漫画で、1770年から17789年頃のフランスを舞台とした物語である。週刊マーガレットで連載以来、少女たちを中心に人気に火が付き、アニメ化や宝塚化などを果たした。
ロマンチックな恋のセリフや、時代の波に飲まれながらも必死に生き抜こうとする格好良いセリフの数々は、読者に長年愛され続けている。

てめえらにオスカルの女らしさが分かってたまるか!!

集英社文庫『ベルサイユのばら』3巻 212~213ページより

アンドレがアランに言った台詞である。オスカルは自ら望んで近衛兵からフランス衛兵隊に異動した。ところが、フランス衛兵隊はガラの悪い荒くれ者たちの集まりだったのだ。アランも衛兵隊に所属している兵士で、荒くれ者たちのリーダー格の男だった。
ある日、フランス衛兵隊で健康診断が行われた。オスカルが健康診断を思いついたのは、衛兵隊の人間が顔色の悪いものたちばかりなのでその原因を探りたかったためだ。アランはオスカルの従者であるアンドレに、「いやあおれはな、むしろ隊長の方に診断受けてもらいてえよ。はたして本当にまともな女なのかどうかってな。」と話しかける。するとアンドレは、アランを殴りながらこの台詞を言った。アンドレは幼い頃よりオスカルに気持ちを寄せていて、オスカルの女性らしい一面や可愛らしいところなど全部を見てきた。そんなオスカルのことをバカにされたため、アンドレは頭に血が上ったのだ。アンドレのオスカルに対する愛の深さがよく分かる名台詞となっている。その後、オスカルに止められるまでアンドレとアランは殴り合いの大乱闘を繰り広げた。

⋯だめなのか⋯⋯!?どんなに愛しても⋯⋯どんなにどんなに愛しても身分のない男は無能なのか!?この命と引き換えに地の果てまで愛しても⋯それでもだめなのか!?それでも⋯⋯だめ⋯なの⋯か⋯⋯!!

オスカルへの片思いに苦しくなったアンドレの独白である。ある日、「娘には幸せになってほしい」というオスカルの父親の願いで、オスカルに婚約者が用意されることとなった。その相手とは、かつてオスカルが近衛隊に所属していた頃の部下で貴族のジェローデルだった。幼い頃からずっとオスカルが好きだったアンドレは、オスカルの結婚の話題にショックを受ける。(オスカル自身も結婚を望んでいなかったため、この話は破棄となった。)
自棄となったアンドレは、衛兵隊の皆がいる前でも暗い表情をしてしまう。そんなアンドレの様子を見たアランは、アンドレに対して「身分違いの恋」と笑い、アンドレを激しく激昂させた。二人は大喧嘩となりかけるが、オスカルによって止められる。
一人になったアンドレは、オスカルに対する気持ちを泣きながら爆発させた。この独白はこのシーンで発せられたセリフで、「貴族の身分が自分にあればオスカルと結ばれるかもしれないのに!」という身分違いの恋の切なさが現れた名台詞である。

そのショコラが熱くなかったのを幸いに思え!!

アンドレがジェローデルに言ったセリフだ。ジェローデルはオスカルが近衛隊にいた頃の部下で、彼女の婚約者でもある。ジェローデルはアンドレに対して、アンドレとオスカルの関係について「君は⋯今までいつだって⋯どんな所でだって彼女と一緒だった。そう⋯実に羨ましいほどにね。君なしの彼女はありえなかったし⋯また、多分⋯彼女なしのきみもありえなかった⋯」と評した。そして、「オスカル嬢は気づいておられるのだろうか⋯?きみが彼女の分身だということに⋯。」と、付け加えた。
アンドレは、何故ジェローデルがいきなりこのような話を自分に言うのかが理解できなかった。そしてジェローデルはアンドレに、「きみ⋯ジャン・ジャック・ルソーの”ヌーベル・エロイーズ”を読みましたか?なに⋯たわいも無い恋愛小説だけどね⋯」と問う。ジェローデルが言う”ヌーベル・エロイーズ”とは1761年にフランスで実際に出版された恋愛小説の事で、市民たちの間からは不滅のベストセラーとなっている本だ。内容は、平民と貴族の身分違いの恋が書かれた物語で、貴族の娘であるジュリと平民の青年であるサン・ブルーは互いに愛し合っていたが、両親の反対もあってジュリは貴族のウォルマールと結婚することになってしまう。しかし、ウォルマールは何故かジュリを愛しているサン・ブルーを家庭教師として屋敷に招いた。
ジェローデルは、この”ヌーベル・エロイーズ”の内容になぞらえて、「アンドレ・グランディエ。僕にも妻を慕う召使いを妻のそばにつけてやるくらいの心の広さはあるつもりです。君さえよければ⋯⋯」と、アンドレに言った。するとアンドレは、ジェローデルのために用意されたショコラのドリンクをジェローデルの顔にかけた。この台詞はこの場面で言ったもので、ジェローデルの言葉を自分に対する侮辱だととったアンドレの怒りが現れた名台詞である。

オスカル⋯幼い頃から片時も離れず共に生きてきた⋯。このまま⋯共に死んでくれるか⋯⋯俺を許してくれるか⋯⋯?苦しませはしない⋯最後の瞬間までしっかりと抱きしめていてやろう。命尽きるその瞬間まで⋯限りない愛のうちに死ねるのだときっと確信させてやろう!だから⋯許してくれ⋯。

集英社文庫『ベルサイユのばら』3巻 320~321ページより

アンドレが、オスカルとともに無理心中を計画した際の独白である。平民のアンドレは、貴族のオスカルに幼い頃から長年ずっと恋をしていた。しかし、身分の差から二人は恋人になることは許されず、アンドレはオスカルに婚約者がいたとしてもただ指をくわえて見ているだけしかできなかった。
ある日アンドレは、ジャン・ジャック・ルソーが書いた”ヌーベル・エロイーズ”を読み、『死によってしか結ばれない愛もある』という事を学ぶ。”ヌーベル・エロイーズ”は平民と貴族の間に芽生えた恋の物語で、二人は生きている間は結ばれず、天国でやっと結ばれたという話だ。”ヌーベル・エロイーズ”に影響を受けたアンドレは、オスカルと自分が口をつけるワイングラスに毒を入れ、共に心中するという計画を思いつく。この独白はワインに毒を仕込んだ時のもので、オスカルに対する執着心やゆがんだ愛情が印象的な名台詞だ。
ちなみに、この無理心中計画はアンドレが昔、オスカルによって命を助けられたことを思い出したことによって中止となった。アンドレは、オスカルとの無理心中計画を止めたことについて、「生きている⋯生きている⋯!その姿こそが美しいのだと今くらい思ったことはない。」と語った。

マリー・アントワネット・ジョゼファ・ジャンヌ・ド・ロネーヌ・オートリッシュの名言・名セリフ

出典: www.rocky777.com

アントワネットはドレスを着た女性だ。

マリーはなぜ⋯⋯顔も知らない殿下のところへ嫁いでいかなくちゃいけないの?マリーは⋯恋というものをしてみたいし⋯まだまだみんなと遊んでいたいのに⋯

少女時代のマリー・アントワネットが侍女に言ったセリフだ。オーストリアの皇女であるマリーは、彼女の母親であるマリア・テレジアの取り決めでフランスの未来のルイ16世のもとへ嫁ぐことになった。『未来のルイ16世』とは、現在フランスを支配しているルイ15世の孫息子のことである。ルイ15世の死後、孫はルイ16世となる。
マリーは彼女の侍女や教育係と仲が良く、オーストリアの宮殿では人気者だった。さらに、初恋もまだだったため、恋や結婚に強い憧れをもっていた。しかし、見ず知らずの男性に嫁ぐことになり、戸惑いを隠せなかった。この台詞は、そんなマリーの平凡な少女としての思いが込められている。

ああ⋯⋯オーストリアのすべてが⋯さっていく⋯。

マリー・アントワネットが、オーストリアからフランスのルイ16世に嫁いだ時に言ったセリフだ。マリー・アントワネットはオーストリアの女帝、マリア・テレジアの娘だった。政略結婚でフランスの未来のルイ16世となる人に嫁ぐ事になるが、オーストリアで着ていたドレスはフランスには持ち込めなかった。そのため、マリーがオーストリアからフランスへ移動する途中の国境付近で、フランスのドレスに着替える。衣服のほか、アクセサリーや十字架、下着などもフランス製のものへと変えなければならなかった。この台詞は全ての着替えが終わった後に言ったもので、故郷を懐かしんで寂しい思いをするマリーの気持ちが込められている。

こんなものなの⋯⋯?夫になる人のはじめてのキスを受けても⋯なんの胸のときめきもない。これからなん10年も生涯をともにする夫なのに⋯。

マリー・アントワネットが、結婚式で夫となる王太子ルイ(未来のルイ16世)から頬っぺたに挨拶のキスを受けた時の独白だ。ルイは所謂ハンサムなタイプではなかったため、マリーの初対面の印象は良くなかった。マリーは彼の事を、「この人ったら⋯なんてかたくるしそうに、まるででくのぼうのように突っ立ているのかしら?この人がわたしの夫⋯?この⋯どろんとした目の⋯この人が⋯?」と評した。そして、ルイからキスをされるが、マリーは何の胸のときめきも覚えなかった。政略結婚による少女の不安や落胆をあらわした、切ない名台詞である。

いけない⋯!たとえ国王陛下のご命令でも⋯あの女にことばをかければ⋯売春婦やめかけが堂々とこの宮殿に出入するのをわたしがみとめたことになる⋯!!そんなことは絶対にゆるされないわ!もうこれはおばさまたちに言われたからでもなんでもなくて⋯わたし自身の問題⋯。そう⋯!!わたし自身の⋯王太子妃としての尊厳と誇りの問題なのだわ!

マリー・アントワネットが、デュ・バリー夫人に向けた独白である。デュ・バリー夫人とはフランスの国王であるルイ15世の愛人で、もともとは下町の娼婦だったが、美貌と数々の権謀術数を武器に伯爵夫人にまで上り詰めた人物である。フランス王太子の妻となったマリーは、ベルサイユ宮殿で行われるパーティに出席する。マリーは、パーティの参加者の中で一番地位が高い人物だった。そのため、マナーとして自分から他の夫人たちに声をかけなければいけなかった。しかし、事件が起きる。パーティでデュ・バリー夫人と初めて顔を合わせたが、マリーはデュ・バリーのことを他の貴族たちが見ている前で公然と無視した。しかも、マリーはパーティがあるたびにデュ・バリーを無視し、彼女を怒らせてしまう。デュ・バリーは国王からの寵愛を受けている人物のため、彼女を怒らせると国王を怒らせるも同然だった。しかし、デュ・バリーを気に入らない他の貴族夫人たちは、マリーを唆してデュ・バリーを無視し続けるように言う。この騒ぎを聞きつけたマリーの教育係のメルシー伯は、オーストリアのマリア・テレジアに報告する。マリーはもともと、オーストリアとフランスとの同盟を結ぶために結婚した。このままこの問題が大きくなれば、いずれはフランス国王のルイ15世を怒らせてしまい、同盟は破棄となってしまう。マリア・テレジアは総理大臣のカウニッツを通じて、マリーにデュ・バリー夫人に対する無礼を注意した。そして、何度か目のパーティでマリーはデュ・バリーと顔を合わせるが、デュ・バリーを睨みながらまたしても無視してしまった。この台詞は、この時の独白だ。
マリーは、母であるマリア・テレジアから「お金で体を男に売るのは女性として最も卑しいことだ」と教えられてきた。そのため、マリーは由緒正しきベルサイユ宮殿に売春婦が出入りするのを許さなかったのだ。まだ幼いながら、王太子妃としてのプライドが存分に表れた名台詞である。その後、マリーは「ひとことも話しかけるまい!ぎゅっと唇をひきしめて⋯あの女へのありったけの軽べつをこめて⋯!わたしは正統なフランス王太子妃なのだから⋯!!」と、デュ・バリーを睨みつけながら心の中で叫んだ。

きょうは⋯⋯ベ⋯ルサイユはたいへんな人ですこと!

集英社文庫『ベルサイユのばら』1巻 152~153ページより

マリー・アントワネットがデュ・バリー夫人に言ったセリフだ。マリーの母であるマリア・テレジアがフランスに派遣させた従者、メルシー伯の説得を受け、一度はデュ・バリーに声をかけると誓ったマリー。マリーはデュ・バリーのことを「娼婦あがりの卑しい女」と嫌って無視し続けていたが、デュ・バリーはフランス国王であるルイ15世の寵愛を一身に受けた人物でもある。デュ・バリーを邪険に扱うことは、フランス国王をも敵に回す事と一緒なので、メルシー伯はマリーに注意を促した。
そして、マリーは社交界の場でデュ・バリーに声をかけた。これは、この時のセリフである。その後、マリーは「負⋯けた。王太子妃が⋯王太子妃が娼婦にやぶれた⋯⋯。」と涙を流した。そして、オスカルに対してマリーは、「フランス宮廷は堕落しました。王位継承者の妃が娼婦に敗北したのです!!フランス宮廷は⋯わあぁ!!」と泣きながら叫ぶ。オスカルは、そんなマリーに対して「なんという⋯なんという誇り高い人だ⋯。この方は生まれながらの女王⋯!わずか16歳にして⋯この方のお心はすでにフランスの女王なのだ⋯!!」と、評した。オスカルの評価通りの、マリーのフランス女王としてのプライドや「娼婦に敗北した」というくやしさが存分に込められた名台詞である。

あ⋯あ!!なんというあまいおどろき⋯!だって⋯だってフェルゼンはまるでイカロスのように突然私の前に舞い降りてきて⋯息がつまりそうだった⋯!

Komiyama1202
Komiyama1202
@Komiyama1202

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