ベルサイユのばら(ベルばら)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ
『ベルサイユのばら』とは、池田理代子が描いた少女漫画で、1770年から17789年頃のフランスを舞台とした物語である。週刊マーガレットで連載以来、少女たちを中心に人気に火が付き、アニメ化や宝塚化などを果たした。
ロマンチックな恋のセリフや、時代の波に飲まれながらも必死に生き抜こうとする格好良いセリフの数々は、読者に長年愛され続けている。
マリー・アントワネットの女王としての意識の変化を表したナレーションである。アントワネットはフランス王妃という国のお金を自由にできる立場にいたが、ドレスやアクセサリーを大量に買ったり、ポリニャック伯夫人やその他アントワネットを利用する貴婦人たちに唆されてお気に入りの貴族の給料を上げたり、果てには禁止されている賭博にまで手を出したりしていた。その無駄遣いが何年も積み重なり、フランスの国費は大幅な赤字となってしまっていた。そして、とある事件を機にアントワネットは自分が市民からどう思われているかに気がついてしまう。市民たちは、アントワネットの無駄遣いのせいで自分たちの生活がとんでもなく貧しい生活を強いられていることに対して憎んでいた。しかも、アントワネットは市民たちだけではなく、一部の貴族からも自分を良く思わないものがいることを知る。
それを知ったアントワネットは、フェルゼンに相談した。フェルゼンはアントワネットに、「ポリニャック伯夫人とは手を切って、メルシー伯やオスカルなど、本当にアントワネット様のことを心から心配している人たちのことに目を向けてください」といった趣旨のことを伝える。さらにフェルゼンは、「お金を使った遊びはやめること」「自分で勝手に大臣を決めないこと」「今は貴族だけでも味方につけるように誠実な行動すること」といったアドバイスをアントワネットに送った。フェルゼンや今まで自分に苦言を呈してきたものの気持ちを受けとったアントワネットは、フランス王妃としての自覚と責任感が芽生えた。そして、今自分が本当にしなければならない事を自覚し、行動に移す。このナレーションは、そんなアントワネットの成長と過ちを取り戻そうとする姿が描かれている。
夜をこめて、今、神はその御前に幼なじみの二人を結びあわせたもう。結ばれるべく生まれてきた美しきふたりゆえに⋯⋯
オスカルとアンドレは気持ちが通じ合い、初めて身体を重ね合った。これは、その時のナレーションである。アンドレは子供の頃からずっとオスカルが好きであったが、オスカルの方は最初、アンドレのことを特に意識していなかった。しかし、オスカルはアンドレが自分に向ける感情にいつしか気がつき、オスカルもまた彼を意識するようになっていった。オスカルは、アンドレを好きになった理由を「心優しく温かい男性こそが真に男らしい男性なのだということに気づくとき⋯⋯大抵の女はもうすでに年老いてしまっている⋯と⋯。よかった⋯⋯。すぐそばにいて私を支えてくれる優しい眼差しに気づくのが遅すぎなくて⋯⋯」と、語った。アンドレは、ようやくオスカルと結ばれたことに対して激しく喜んだ。そして、ナレーションでも二人が結ばれたことを祝福する。このナレーションは、結婚式で神父がいうスピーチのような厳粛でロマンチックな雰囲気が大変印象に残る名台詞である。
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目次 - Contents
- 『ベルサイユのばら』の概要
- あらすじ
- オスカル・フランソワ・ジャルジェの名言・名セリフ
- もしも⋯もしもどうしてもアンドレをお咎めになるならば⋯ジャルジェ家の名において正当な裁判を要求いたします!さもなくば⋯アンドレの責任は主人であるわたくしの責任⋯まずここでこのオスカル・フランソワの命をたってからにされるがよい!
- やーれやれ!また随分とかわいらしい売春婦もいたものだな。娘!名はなんという?なぜこんな馬鹿な真似をしたのだ?
- まだものの善意も分からぬ子供を背中からピストルでだまし討ちにするような男が公爵だなどとは、こちらも片腹いたいわ!
- 美しくなった⋯まるで生まれた時からの貴婦人と変わらない⋯⋯。
- 覚えておかれよ!彼女はあなたをさがしだして母の仇をとりたいと⋯ただそれだけのために死ぬ覚悟でここまで来たのだ!
- 仇をとって⋯そしてどうする?間違えなくお前も死刑になるぞ。むなしくはないか!?ポリニャック伯夫人を殺したって死んだものは帰ってこないんだ!なぜ自分の人生をもっと大切にしようと考えない!?死ぬなロザリー!おまえはもうジャルジェ家の一員だ!おまえを死なせたくない⋯!
- もしわたしが本当の男性だったら⋯まちがえなくおまえを妻にするよ⋯⋯ほんとだ。
- これだけ⋯!?これだけって⋯⋯これはスープではないのか!?野菜の切れ端がほんの少し浮いているだけの⋯⋯これが食事だというのか⋯⋯!?うそだ⋯!わたしがいつも家でする食事といえば、とりどりのオードブルに何種類かのスープ、そしていく皿ものアントレやアントルメがでて焼肉にゼリーにぶどう酒に⋯⋯
- だが⋯子を思う親の心に貴族も平民もない!!
- それに⋯盗賊のところへ大事なロザリーを嫁にやる訳にはいかん。
- そう女、女と言うな。嬉しくなってしまうではないか。わたしをしょっぱなから女性扱いしてくれたのはこのフランス衛兵隊だけだ。さっきから女、女と騒いでいるが、この中に一人でもわたしに敵う者がいるか!?え!?腰抜けどもめ。空威張りだけが男の能か!?
- アンドレの目のことを侮辱する者は今から腕を磨いておいたほうがいいぞ。
- 感謝いたします。このような人生を与えてくださったことを⋯女でありながらこれほどにも広い世界を⋯⋯人間として生きる道を⋯⋯ぬめぬめとした人間の愚かさの中でもがき生きることを⋯。もう後悔はございません。私は⋯私は⋯軍神マルスの子として生きましょう。この身を剣に捧げ、砲弾に捧げ、生涯武官として⋯軍神マルスの子として⋯!
- アンドレ・グランディエの名言・名セリフ
- オスカル⋯おれはいつか⋯おまえのために命を捨てよう⋯。お前が今日、この俺のために命をかけてくれたように⋯。いつかアンドレはおまえのためにこの命をかけるぞ⋯。
- 片目くらいいつでもおまえのためにくれてやるさ、オスカル。
- 落ち着けオスカル!!個人的な恨みは忘れろ!武官はどんな時でも感情で行動するものじゃない!!
- てめえらにオスカルの女らしさが分かってたまるか!!
- ⋯だめなのか⋯⋯!?どんなに愛しても⋯⋯どんなにどんなに愛しても身分のない男は無能なのか!?この命と引き換えに地の果てまで愛しても⋯それでもだめなのか!?それでも⋯⋯だめ⋯なの⋯か⋯⋯!!
- そのショコラが熱くなかったのを幸いに思え!!
- オスカル⋯幼い頃から片時も離れず共に生きてきた⋯。このまま⋯共に死んでくれるか⋯⋯俺を許してくれるか⋯⋯?苦しませはしない⋯最後の瞬間までしっかりと抱きしめていてやろう。命尽きるその瞬間まで⋯限りない愛のうちに死ねるのだときっと確信させてやろう!だから⋯許してくれ⋯。
- マリー・アントワネット・ジョゼファ・ジャンヌ・ド・ロネーヌ・オートリッシュの名言・名セリフ
- マリーはなぜ⋯⋯顔も知らない殿下のところへ嫁いでいかなくちゃいけないの?マリーは⋯恋というものをしてみたいし⋯まだまだみんなと遊んでいたいのに⋯
- ああ⋯⋯オーストリアのすべてが⋯さっていく⋯。
- こんなものなの⋯⋯?夫になる人のはじめてのキスを受けても⋯なんの胸のときめきもない。これからなん10年も生涯をともにする夫なのに⋯。
- いけない⋯!たとえ国王陛下のご命令でも⋯あの女にことばをかければ⋯売春婦やめかけが堂々とこの宮殿に出入するのをわたしがみとめたことになる⋯!!そんなことは絶対にゆるされないわ!もうこれはおばさまたちに言われたからでもなんでもなくて⋯わたし自身の問題⋯。そう⋯!!わたし自身の⋯王太子妃としての尊厳と誇りの問題なのだわ!
- きょうは⋯⋯ベ⋯ルサイユはたいへんな人ですこと!
- あ⋯あ!!なんというあまいおどろき⋯!だって⋯だってフェルゼンはまるでイカロスのように突然私の前に舞い降りてきて⋯息がつまりそうだった⋯!
- 国王陛下。実は今日は⋯大胆不敵にもわたくしのお腹を足でけとばしました家臣のことで陛下に苦情を申し上げにまいりました。
- 男にならね⋯ば⋯。
- ハンス・アクセル・フォン・フェルゼンの名言・名セリフ
- 想像以上だ⋯!なんという瞳⋯なんという唇⋯なんという肌の色!!いったいこの少女は⋯!?
- 愛している⋯と⋯王后陛下を愛してしまったとどうしていえる!?王后陛下だ⋯ぞ⋯。フランスの⋯国王陛下のお妃⋯なんだぞ⋯。国王陛下への⋯王室への反逆罪だ⋯⋯!これ以上アントワネット様にお近づきするのが⋯わたしは怖い⋯!こんな気持ちを持つなどと⋯私は逆臣だ⋯おそれおおい⋯。
- アントワネットさま⋯⋯!!お慕いしておりました⋯はじめてお姿を見た18歳の時から⋯。
- 私がこの魂の全てをかけて愛し、一生を共にしたいと願っているただ一人の女性⋯そしてこの私に全てを預け、愛してくれているただ一人の女性⋯。その女性とはわたしは永久に結婚することができないのだ⋯⋯だから⋯だからわたしは一生だれとも結婚はしない!!
- アントワネットさま⋯ポリニャック伯夫人やその仲間たちとどうぞ手を切ってください。思い出してください。メルシー伯やオスカル⋯あなたのことを本当に心配している者たちを⋯あなたがまだ王太子妃殿下だった時代から⋯じぶんの地位や出世よりもひたすらアントワネットさまを思い、口うるさいと思われようともいつも忠実な意見を述べてきた者たちを⋯。どうそポリニャック伯夫人をはなれ、オスカルやメルシー伯のところへお戻りください。
- だが信じてほしいオスカル、このフランスで得た私の最高の友人!尊敬もし、ともに語りともに苦しんだ⋯⋯!失いたくないただ一人の素晴らしき親友!君に会えたことを幸せに思っている!
- ともに死ぬために戻って参りました⋯。あなたの忠実な騎士にどうぞお手を⋯。
- ロザリー・ラ・モリエールの名言・名セリフ
- くやし⋯い⋯⋯!かあさんを目の前で殺されても⋯あ⋯あたしたちにはなにも出来ないの⋯!?悔しい⋯!!
- 私の母は⋯それこそパンくずしか食べられないような⋯下着さえも食べ物のために売らなくてはならないような⋯そんな貧乏のどん底で、必死に私を育ててくれました⋯。いまにして思えばあのとき馬車の中にポリニャック伯夫人を見つけてそれで母は馬車の前にとびだして⋯。私はポリニャック伯夫人の娘⋯。でもわたしの母はあの優しかった母さんただ一人⋯ラ・モリエールという母さんだけです。ほんとにいま心からそう感じられるんです!
- シャルロット、シャルロット。わたしの⋯妹!同じ思いに毎夜を泣き明かしている小さな私の妹!!
- シャルロット⋯かわいそうな私の妹⋯⋯。姉妹だと名乗り合うことさえしないうちに⋯。いや⋯貴族なんてほんとうにいや⋯だ⋯。家柄やしきたりにぎりぎりと締め付けられて⋯⋯人間であることを否定されて生きるなんて⋯。
- オスカルさま⋯あなたが女性であっても⋯愛しています。オスカルさまが死ぬほど好き⋯⋯。だからこそお別れするのです。いつまでも忘れないわ⋯。ロザリー・ド・ポリニャックと呼ばれるようになっても⋯⋯。忘れることなんて出来ない⋯ジャルジェ家ですごしたわたしの生涯で一番幸せな日々⋯はじめての愛⋯⋯!!
- よかったわ。この分だともうじき治りそう。わたしって射撃の名手なのね。
- ルイ16世の名言・名セリフ
- こんな私と結婚して⋯もう二人の王子を生んで王妃としての義務は果たしてくれたのに⋯あなたが女としての幸福を求めるのをどうして非難することが出来るだろうか⋯⋯。
- わたしの国民たちよ!!私は罪なくして死んでゆく。しかし、私を殺そうとする者たちを私は許そう。私の血が祖国フランスの幸福の礎とならんことを!!アデュウ⋯!!
- ベルナール・シャトレ/黒い騎士の名言・名セリフ
- 娘⋯いつまでしゃがみこんでいるつもりだ。体が冷えてしまうぞ。埋葬の手続きは全部済ませてやった⋯。辛いだろうが⋯死んだものは帰らない⋯。
- わたしの名を語り私利私欲を貪るニセモノ!!許さん!!
- オスカル・フランソワ⋯⋯さすが女だ⋯⋯おそろしい⋯⋯⋯
- すきに⋯⋯なってもいいか⋯⋯?
- アラン・ド・ソワソンの名言・名セリフ
- 約束だとォ!?笑わせんな!目の見えねえ奴と一緒に戦場に行けるか!縁起でもねぇ。俺たちの足手まといになりたいか!?
- ヴィクトール・クレマン・ド・ジェローデルの名言・名セリフ
- 人の心に⋯⋯命令はできませんぞ。
- 背伸びをやめて素直におなりなさい。悲劇の中に只中へまっしぐらに向かっていく前に立ち止まって⋯私のこの胸でよければ⋯いつでも⋯いつでもあなただけを受け止める用意がある。何もかも⋯胸につかえた悲しみや肩に背負った苦しみをみんな私に預けてみては見ませんか⋯?私のこの胸でよければ、あなたの長い長い苦しみも悲しみも涙も⋯すべて⋯預けさせてください。愛しています⋯美しい方⋯⋯。
- うけとってください⋯私の⋯ただ一つの愛の証です⋯⋯。身を⋯⋯ひきましょう⋯⋯。
- ジャルジェ将軍の名言・名セリフ
- よし決めた!オスカル!お前の名はオスカルだ!どうだ、いい名だろう?⋯そうとも!こいつに儂の後を継がせる!この父がフランス一の軍人に育て上げてやろう!オスカル!儂の息子だ。わかったな?
- はっはっはあ!油断をしているとそういう目にあうのさ。ひきょうもらっきょうもあるか!精神の緊張が足らんのだ。まだまだお前には一個の小隊も任せられんよ、オスカル。
- マリア・テレジアの名言・名セリフ
- わたしは⋯オーストリアの女帝として⋯⋯ただ我が国の繁栄と安全のを考えてこの結婚を決め進めてきたのだけど⋯これで良かったのだろうか⋯?あのむじゃきでおてんばで遊び好きなマリーにとって⋯もしかしたら王冠や王妃などという地位は⋯⋯あの甘ったれで素直で考えることの嫌いな平凡な娘にとって、不幸をもたらすものに過ぎないのでは?ああ!!たまらなく不安だ⋯。なぜか不吉な予感がして⋯⋯。
- あなたの背負う地位がどれだけ大変なものか⋯それをわたしはあなたに教えておかなければなりません。2000万フランス国民のためにあなたが立派な女王になれるように⋯。私のマリー⋯あ⋯⋯こんなに早く手放すのじゃなかった⋯⋯。
- さようならマリー!!この母のことを忘れないで!そして勉強をして自分を磨き、自分の欠点に打ち勝っておくれ!!そのことだけがあなたを守る!!遠く離れてもわたしは⋯最期の⋯最期の息を引き取るまであなたの身を案ずるのをやめないでしょう!!やめない⋯でしょう⋯!!
- メルシー伯の名言・名セリフ
- アントワネット様お一人がかたづけられるのならばまだいい方⋯。国王は事の次第によってはオーストリアとの戦争も辞さないほどのご立腹!そうなるとオーストリア・フランス同盟はどうなります!?母帝マリア・テレジア様が生涯最大の力を注ぎこんで成立させたこの同盟は!!もし同盟がやぶれ、オーストリアとフランスが戦争することになれば⋯それは全てアントワネット様。あなたの責任でございますぞ!!
- デュ・バリー夫人の名言・名セリフ
- わたしは⋯なんの地位もない下町の平民に生まれて⋯とうとう伯爵夫人号も手に入れたし⋯国王の寵愛もすべての権力も宝石やドレスやお城や⋯のぞむものはなにもかも手に入れてきたわ。この上はなんとしても王太子妃に言葉を掛けさせて、私の力が王太子妃よりも上だということを認めさせなければ⋯!!
- ジャンヌ・バロアの名言・名セリフ
- あたりまえだわ⋯。なんのために夜も寝ないで貴婦人になりすますために血の滲むような努力をしてきたと思うの⋯⋯。これからがほんとうの私の力の見せ所よ。ふふ⋯まあ見ているがいいわ。
- マルティーヌ・ガブリエル・ド・ポリニャック(ポリニャック伯夫人)の名言・名セリフ
- な⋯なに!?その目は。もんくがあるならいつでもベルサイユへいらっしゃい!
- ロザリー⋯。ポリニャック家に嫁いでも⋯シャルロットが生まれても⋯あなたのことを思わなかった日は1日だってありませんでした⋯。なぜ⋯ゆるしてもらえ⋯ない⋯の⋯?
- シャルロット・ド・ポリニャックの名言・名セリフ
- だれもおかあさまの権力を恐れてわたしに近よってこないのに⋯あなただけだわ⋯おねえさまみた⋯い⋯。
- いや⋯結婚なんて⋯結婚なんてこわ⋯い⋯。ロザリーさんたすけて⋯!たすけて⋯結婚なんていやよう⋯。あ⋯死んでしまいた⋯い⋯。
- お母様⋯ごめんなさい。こんど生まれてくるときは⋯⋯もう⋯貴族なんかじゃないところにする⋯わ⋯。ほんと⋯よ⋯。貴族なんかじゃないところに⋯
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- もしも⋯もしもこの日の感激を、幸せを、民衆の愛情をアントワネットがいつまでもわすれないでさえいたなら⋯⋯。彼女は悲劇の女王にならずにすんだかもしれなかった⋯!!
- そのときともに18歳であった若き二人の眼差しの中に一瞬きらめいていたものはなんだったろうか⋯?王妃の地位を約束され、ただ退屈することだけを恐れていれば良いベルサイユ一の美人と、北欧の美しく高貴な騎士との偉大な歴史的愛の第1幕は、ふたり自身にもそうと気づかぬうちに始まったのであった⋯⋯。
- ばらとダイヤモンドと華麗な調べとさんざめく笑い声にうずめつくされた幾百の昼と夜をこえ、はるかにへだてられた空間と距離をこえて、いま、よみがえる。熱い胸の高鳴りに22歳の王妃マリー・アントワネットは精一杯にたえていた。
- たぶん⋯⋯あの4年前の仮面舞踏会の夜から⋯⋯二人の魂はひそやかに、ほんのすこしずつ求めあい、呼び合って⋯。もう神に定められたこの時がいつか来るのを予感しながら、たて琴の銀色の弦のようにふるえあっていたのだ⋯。
- 数週間におよぶお祭りさわぎの間さえ、すでに民衆はパンを買うことができずに飢えていた。
- マリー・アントワネットはようやく目覚め始めた。自分が今まで何をしてきたか、自分に本当に忠実につかえてきたのはだれだったのか、今まで惜しげも無く浪費してきたお金がいったいどこから入ってきていたのか⋯⋯。
- 夜をこめて、今、神はその御前に幼なじみの二人を結びあわせたもう。結ばれるべく生まれてきた美しきふたりゆえに⋯⋯