斉藤終(銀魂)の徹底解説・考察まとめ

斉藤終(さいとうしまる)は、空知英秋作画の漫画「銀魂」で、江戸に屯所を置く武装警察「真選組」の三番隊隊長。局長の近藤や土方、沖田たちとは同郷武州の出身です。二刀流の使い手で、沖田からも「最強クラス」と目される彼の最大の特徴は、極端にボリューミーなアフロヘアです。その他、極端な無口であること、すぐに寝てしまうこと、ものを書く時語尾によくZをつける、というのも彼を印象付ける特徴となっています。

言葉でのコミュニケーションが難しいと悟った桂は、斉藤がいつも文机で書いている日記帳のようなものにいろいろと書き込みをすることにしました。
三番隊に斉藤以外の隊士がいないのは、斉藤が自分の隊に「裏切り者」を引き入れて粛清をしているからだろう、と推測する桂。
斉藤のノートを覗くと、並んだ大勢の隊士たちの名前の下にはZの文字、さらには彼らの名前の上には×マークがつけられていました。

このマークがついた隊士たちはすべて斉藤に粛清されたものたち。そして「柱阿腐郎」という名前の下にも書きかけのZがついていたのです。

「それって、正体がすでにばれているってことじゃない?」と、話を聞いていた銀時や新八らが思ったところへ、突然「ピンポンピンポンピンポン」けたたましくドアベルが鳴り響きました。
やってきたのは、なんと当の斉藤本人です。

返事がないと見るや、斉藤はいきなり万事屋の窓を蹴破って中に入ってきました。

危険を察知した桂はすぐにその場を離れましたが、万事屋たちはこの後思わぬ事実を知りました。

斉藤は万事屋へ「依頼」をしにやってきたのです。実は斉藤が言葉を発しないのは極度な心配性のため。本当は隊の仲間とも親しくなりたいのですが、調子に乗ったやつだと思われはしないか、トイレが長いと名前が「しまる」なのに締まりが悪いと思われはしないか、などと常に細かなことに悩んでいたのです。

その結果、すぐにお腹が痛くなりトイレに駆け込んではまたそれを悩む、の繰り返し。挙句まったく言葉を発することができなくなりました。
そして桂がみつけたノートの名前と×印は、実は斉藤が「友達になりたい人」の名簿でした。しかし彼がそこに名前を書いた隊士たちはことごとく真選組を裏切る行為をしていたため、このノートの×印を深読みして逃走。それで斉藤がやむなく彼らを処断していた、というのが真実でした。

斉藤の願いは、本当に友達になれそうだと思えた桂となんとか仲良くなること。そのためにはどうしたら良いか、知恵を貸して欲しいというのが斉藤の依頼でした。

桂の本当の目的を知っていた銀時たちですが、斉藤の熱心さに折れ、桂とコミュニケーションが取れる方法をいろいろ提案しました。

たとえば、「言葉はなくても笑顔で接すればきっと相手は心を開いてくれますよ」というアドバイスに従い、斉藤は何とか笑顔を作ろうとしました。
しかし笑顔に慣れていない斉藤のその顔があまりにも不気味で、かえって桂の警戒心を招いてしまう、など銀時たちからのアドバイスが活かされることはありませんでした。

銀時たちからのアドバイスに従って行動してみたものの、かえって状況は悪化してしまったという斉藤からの訴えの手紙。

それから約1ヶ月後、桂は三番隊実働部隊を編成。近藤らも含めた全隊士たちから、エース扱いされるまでになっていました。しかも一体感を高めるためという名目で、隊士たち全員の髪型をアフロヘアに変えさせてもいました。

一方の斉藤は、桂が「斉藤隊長は隊を裏切ろうとしていた」という嘘の情報を上層部に流したため、牢につながれて裁きを待つ身になっていました。

隊内裁判の日、なんとか斉藤を救おうと、裁きの場をこっそり覗く銀時たち。桂の企みのせいでこのままでは(しゃべらないままでは)斉藤は処刑されてしまう可能性が高かったので、それは阻止したいと銀時たちは思ったのです。
彼らは斉藤のかわりに特殊なボイスチェンジャーを使って、あたかも斉藤自身が申し開きをしているようなふりをさせます。

一度も肉声を発したことのない斉藤がしゃべった!と大騒ぎする真選組隊士たち。

「これはどうにも旗色が悪い」と思った桂は、なんとか斉藤が有罪であることを立証しようとしますが、近藤たちから「剣で語ったほうが早いだろう」と言われました。そこで、前回つけられなかった勝敗をここで決めようと、ふたりは刀を取って向かい合います。

途中まで勝負は互角。しかしうっかり桂が自らのアフロカツラを取ってしまったため、あっけなく正体がバレてしまいます。

ここでようやく近藤たちにも事情が知れ、裏切りの疑いが晴れた斉藤は、逃げる桂を追いかけ、ふたりの一騎打ちになります。

戦いながら斉藤は、自分には言葉はいらない、言葉の代わりにたくさんの人と剣を交わしてきた、それこそが言葉と同じくらい雄弁なものだった、と悟るのでした。

そして桂も、敵でありながらいつのまにか友情のような不思議な感情の芽生えを感じた斉藤に対し、「お前というZは俺がこの手でかならず斬る」(だからそれまでは死ぬな)と言い残して、その場から去っていきます。

さらば真選組篇

「将軍暗殺篇」で、徳川茂茂(とくがわしげしげ)を護るために共闘した真選組と万事屋。しかし茂茂は暗殺され、新しく将軍職に就いた徳川喜々らによって、真選組は解散させられます。そして局長の近藤と、前警察庁長官となった松平片栗虎(まつだいらかたくりこ)は、難攻不落の黒縄島(こくじょうとう)に幽閉され処刑を待つ身となりました。
土方は警察の末端に飛ばされ無気力な毎日を過ごし、沖田は「俺はもうただの人斬りだ」と、乾いた笑いを浮かべながら街をうろついていました。

新八の姉・お妙が働くキャバクラ「すまいる」に徳川喜々が突然やってきます。新しく警察庁長官になった見廻組局長の佐々木異三郎と一緒に現れた喜々は、やりたい放題。上から目線で店をめちゃめちゃにしました。それは、茂茂がよくこの店を訪れ、楽しんでいたことを知っていたから。こんなつまらない店でよく酒など飲めたものだと、喜々は徹底的に茂茂のことを侮辱します。
そこに居合わせた土方はたまらず喜々を殴ろうとしますが、その拳は銀時が代わりに受け、銀時は土方の代わりに喜々をぶちのめします。
もちろんその場で銀時は逮捕されました。しかしそこに女装して現れた桂が、煙幕を投げつけその間に銀時たちを逃したのです。
その目的は、あえて捕まり、近藤や松平たちに直接自分から「一緒に幕府軍と戦ってほしい」と具体的な計画を持ちかけるため。
思惑通り桂は銀時たちに代わって政府側に逮捕され、近藤たちのいる黒縄島へと送られることになりました。

沖田は街中で攘夷浪士たちと遭遇します。同じように街中をさまよい歩いていた神楽には止められますが、捨て鉢になっていた沖田は攘夷浪士たちに斬りかかろうとしました。それを止めたのは真選組の監察方・山崎です。山崎と一緒にいたのは斉藤、佐々木鉄之介ら同じ真選組の隊士たち。これまで敵として相反してきた攘夷浪士たちの代表として、桂の相棒・エリザベスがプラカードで『今日は真選組でも攘夷浪士でもない。ただの侍として話にきた」と沖田に話しかけました。

エリザベスはプラカードで、斉藤はスケッチブックを使ってそれぞれ気持ちを伝えようとしています。

同じ頃、黒縄島の牢獄に近藤の後からやってきた桂は、「この国を護るために今はいったん敵味方であることは脇に置いて、俺に力を貸してくれ」と、近藤に頼みます。
桂は喜々と見廻組の支配をひっくり返すには、自分たちと真選組、そして銀時たちの力が必要だと近藤に説明しました。
さらに江戸ではエリザベスが沖田らに声をかけ、近藤や桂らを奪還する手はずを整えているはずだとも付け加えました。

逃げた銀時と土方は、一緒に閉鎖されていた真選組の門を開けます。すると中には沖田をはじめとする真選組隊士たちが制服に身を包み、土方に向かって敬礼をしていました。彼らは、局長近藤の不在時真選組の指揮権が委ねられる副長土方からの指示を待っていたのです。

その姿を見た土方は、真選組全員で近藤や松平を救出しに黒縄島へ向かうことを決意しました。そして銀時たちも彼らとともに戦うことを決めたのです。

真選組屯所の前庭で、土方を待っていた沖田や斉藤ら真選組の隊士たち。

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