BILLY BAT(ビリーバット)のネタバレ解説・考察まとめ

『BILLY BAT』とは、浦沢直樹による漫画作品。ストーリー共同制作は長嶋尚志。『モーニング』(講談社)にて、2008年から2016年にかけて数回の長期休載を挟みつつ連載された。
歴史の裏を描くSF大河作品。特定の人物に取り付き、未来を予言する「こうもり」の声を聞いた人々が、やがて歴史的な事件に大きく関わっていく様子を描く。

二次創作『ビリーバット』

ヤマガタやグットマン、カルキン、ティミー以外の世界各国の者達が手がけた、ビリーバットを主人公とする漫画。
ヤマガタやグットマンと同じくこうもりの声が聞こえる者達によって描かれ、数々の歴史的な出来事を的中させた。
この不思議な現象のためにチャック・カルキン(偽)から問題視され、カルキンエンタープライズによって作者達の暗殺および作品そのものの処分がなされてきた。

『テキサス捕物帖ピストルヘアー荒野を行く』

ヤマガタによる西部劇漫画。
ピストルヘアー(ちょんまげのこと)が特徴の主人公・サブキチが、軍保安官として十手を武器に西武の無法者と戦うというストーリー。

『ふじポン太郎』

90年代にヤマガタが連載していた漫画。
「DOMO DOMO(どうもどうも)」が口癖の日本人が主人公。

『カメレオンニンジャカーマ』

グッドマンが『ビリーバット』を休載中に描いていた忍者漫画。

『BILLY BAT』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「黒か白か」

唐間雑風が、自身を訪ねてきたヤマガタに尋ねたセリフ。
雑風曰くこうもりには黒と白の2種類があり、黒のいうことを聞いてはいけないらしい。
その後も来栖などが同じ問いを口にしている。作中に繰り返し登場する印象的な問いである。

「任務完了」(7巻 61話『本当の真実』)

オズワルドが予言通りに大統領の濡れ衣を着せられ、逮捕されたときに言った言葉。
オズワルドはこのセリフの直前にこうもりから「オズワルドはもともと大統領逮捕の濡れ衣を着せられる運命だということは決まっていて、運命の通りオズワルドが濡れ衣を着せられて逮捕されることで歴史が進んでいくのだ」というささやきを聞いていた。
最初は歴史に残る大悪人という濡れ衣を着せられることに絶望し、涙を流すオズワルドだったが、自分が運命に従うことで歴史は進むのだと知ると運命を受け入れ、濡れ衣を着せられて逮捕されるという「任務」を成し遂げた。
過酷な運命を受け入れたオズワルドの強さが感じられる印象的なセリフである。

描いて描いて描きまくれ

チベットにて、グッドマンと再会したヤマガタがグッドマンにかけた言葉。
9.11を防げなかったことやティミーの裏切りなどで疲弊し、漫画への情熱が薄れてしまっていたグッドマンだが、この言葉をきっかけに再び情熱を取り戻して漫画を描き始める。一方、ヤマガタは100歳を超えるまで漫画を描き続け、晩年の代表作である「フジぽん太郎」を完結させてから亡くなった。
どんな時でも描きまくるということが大事であるという、ヤマガタの漫画家としての信念が感じられる印象的なセリフである。

『BILLY BAT』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

「ビリーバット」「カルキンエンタープライズ」の元ネタ

カルキンエンタープライズの初代トップであり、長年『ビリーバット』の原作者として世の中に認知されていたチャック・カルキン(偽)。彼の容姿は、「ミッキーマウス」などを作り出した世界的なアニメーターであり、世界的なエンターテイメント会社「ウォルト・ディズニー・カンパニー」の創設者でもあるウォルト・ディズニーにそっくりである。

また、本作に登場するカルキンエンタープライズは、アニメ制作やテーマパーク事業で世界的に有名な企業であること、『ビリーバット』など作品の二次創作に関してかなり厳しいことが特徴だが、この2つの特徴はそのままウォルト・ディズニー・カンパニーにも当てはまる。また、カルキンエンタープライズのマスコット的なキャラクターであるビリーと、ウォルト・ディズニー・カンパニーを代表するキャラクターであるミッキーマウスも、顔の配色などのデザインが似ている。
もしかしたら、作者の浦沢直樹は作中に登場する漫画『ビリーバット』やカルキンエンタープライズの設定を考えるときに、ミッキーマウスやウォルト・ディズニー・カンパニーを参考にしたのかもしれない。

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@4uhachihitsuji

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