映画監督マイケル・ベイ、独特の撮影テクニックと作品に対する評価
「マイケル・ベイ」とは、映画『バッドボーイズ』『ザ・ロック』『アルマゲドン』『トランスフォーマー』シリーズなどの監督であり、いずれもメガヒットを記録している。
彼の撮影テクニックは特徴的であるが、映画評論家からは少なからず批判を受けてもいる。
監督のこだわり、作品の特徴、撮影テクニック、評論家からの評価が低い理由について解説。
マイケル・ベイとは
マイケル・ベイは、1965年2月17日、カリフォニア州ロサンゼルスで生まれ、養子として養父母の元で幼少時代を過ごす。
幼いころ養母から、実父はアクション映画監督の名手である「ジョン・フランケンハイマー」監督であると教えられ、本人もそれを信じていたが、後にDNA鑑定で親子関係はないと証明さ、ショックを受けてしまう。
再度の鑑定を申し込むも、ジョン・フランケンハイマーはそれを拒否し、その後亡くなってしまう。
幼いころから8ミリ映画に興味を持つ
幼いころから8ミリ映画に興味を持ち、家の庭でおもちゃに花火をくくりつけて炎上させ、パニック映画もどきを撮影して喜んでいた。
だがある日その撮影の際、火事寸前まで燃え広がり、消防車まで呼ばれる一大事となるという逸話の持ち主である。
ちなみに両親にはこっぴどくしかられ、外出禁止令が出されたらしい。
インターンで映画製作現場へ行き映画監督になる決意を固める
マイケル・ベイは、セレブの子供たちが通う私立高校に進学し、インターンで見習いという立場ではあるが、映画関係の仕事に携わる機会を得る。
その仕事場は、『スターウォーズ』シリーズで知られる「ジョージ・ルーカス」のオフィスであり、空前の大ヒットを記録した『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』の絵コンテを整理するという作業だった。
当時絵コンテだけを見ていた彼は「『レイダース』はヒットしない」と思っていたが、予想に反し大ヒットとなる。自分が携わった映画が大ヒットしたことに感銘を受けたマイケル・ベイはこのときに映画監督になる決意を固めた。
ちなみに、現在でもジョージ・ルーカスには相談事をするなど、交流が続いている。
大学で映画学を学び、卒業制作のCMは壮大なスケールに
東海岸にあるウェスリアン大学で映画学を学んだマイケル・ベイは、芸術学科の名門アート・センター・カレッジ・オブ・デザインへと進み、そこで修士号を取得する。
その名門校での卒業制作で撮影したCMは、アメリカ海軍の空母をほぼ無料で撮影使用させてもらうことができ、壮大なスケールでできあがった。
その作品がやがて大手レコードレーベル関係者の目に留まり、あっという間にCM監督・ミュージックビデオ監督としてのキャリアが軌道に乗る。
ジェリー・ブラッカイマーとの出会い、そして映画『バッドボーイズ』で映画監督デビューへ
マイケル・ベイは、CM・ミュージックビデオ業界で金獅子賞など数々の賞を受賞し、活躍を続けた。
そんな彼にいち早く目を付けたのが、やり手プロデューサー「ジェリー・ブラッカイマー」と、ジェリー氏のビジネスパートナー「ドン・シンプソン」である。
2人に見出されたマイケル・ベイは、1995年に『バッドボーイズ』で監督デビューし、以降ヒット作を多く作ることとなる。
マイケル・ベイ、定評がある描写に対するこだわり
マイケル・ベイの作品の大きな特徴で、爆破・カーチェイス・米軍の登場といった要素がある。
過去にはエリザベス女王が在宅中にも関わらずバッキンガム宮殿でカーアクション撮影を行ったり、世界遺産・ストーンヘッジで大爆発シーンを撮影している。また、爆破を行うために自腹を切ったこともあるなど、作品を作るために全力を出している。
さらに、米軍の軍事行動にも詳しく、作品の中で取り入れているほどである。
「脳ミソに火薬が詰まっている」と言われるほど爆発の描写に定評あり
国内・海外問わずファンから「マイケル・ベイの脳ミソには火薬が詰まっているのではないか」と言われるほど、迫力のある爆発描写に定評がある。
特に『トランスフォーマー/リベンジ』のクライマックスに使われた火薬の量はハリウッド史上最大級とも言われる。
劇中で敵の1体が走行していたバスに突撃する撮影では、CGを使わずに本物のバスを爆破して真っ二つにするシーンはメイキング映像でも取り扱われたシーンの1つであり、監督のこだわりがよく分かる。
あまりの爆破シーンの多さに『ローリング・ストーン誌』で「マイケル・ベイ映画の爆破シーンBEST10」が組まれたほどである。
ミリタリーフェチ・映画で米軍が登場
マイケル・ベイはかなりのミリタリーフェチであり、大体の映画で米軍が登場する。
『トランスフォーマー』シリーズでは全作品において米軍が登場し、米軍の本気を映像にしたいという欲求から、作品全体においては必要のない軍事的行為の描写でもしっかりと描く。米軍としても、映画内でかっこよく映してくれるので快く協力をしているらしい。
また、名前のある軍人も登場していて、特に昨年公開された『トランスフォーマー/最後の騎士王』で再登場したアメリカ陸軍大尉「レノックス」は人気キャラクターである。
車をかっこよく撮らせたら右に出るものはいないと言われるほどの描写
マイケル・ベイ監督が撮る車の描写は、ジョーズやジュラシックパークなどで知られる映画監督の「スティーヴン・スピルバーグ」も舌を巻くほどであり「車をかっこよく撮らせたらベイの右に出るものはいないね」とまで言わせている。
また、カーアクション技術に関しても定評があり、映画『アイランド』では、監督が車を運転中に鉄道用の車両運搬トレーラーと遭遇し「これが落ちたらヤバそう」と感じ、その思いのままに劇中のカーチェイスシーンにこの要素を加えているほど、独自の発想力を持っている。
そもそも、彼がここまで車の描写が上手いのは、車のCMを制作していたからだとも言える。
Related Articles関連記事
トランスフォーマー/最後の騎士王(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『トランスフォーマー/最後の騎士王』とは、2017年公開のアメリカ合衆国のSFアクション映画。実写版『トランスフォーマー』シリーズ5作目であり、4作目の『トランスフォーマー/ロストエイジ』の続編でもある。オートボットの総司令官「オプティマス・プライム」が宇宙へ旅立って数年後、ケイドは新たな仲間と共にトランスフォーマーたちを守るため、人類とトランスフォーマーたちの生存競争に身を投じていく。
Read Article
トランスフォーマー/リベンジ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『トランスフォーマー/リベンジ』とは、2009年に公開されたアメリカ合衆国のSFアクション映画。マイケル・ベイ監督が手掛ける実写映画『トランスフォーマー』シリーズの2作目であり、『トランスフォーマー』の続編でもある。前作でのミッション・シティでの戦いから2年後、オプティマス・プライム率いる「オートボット」は地球を新たな故郷として集結。アメリカ軍と協力して、地球に潜む「ディセプティコン」を殲滅しようと活動していた。一方上海で倒したデモリッシャーは、死に際に謎の言葉を残していく。
Read Article
トランスフォーマー(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『トランスフォーマー』とは、2007年に公開されたアメリカ合衆国のSFアクション映画。1980年代から展開されてきた玩具・アニメーション・コミックシリーズ『トランスフォーマー』の実写映画版である。機械や金属に生命を吹き込む放射を生む物質「オールスパーク」によって誕生した金属生命体「トランスフォーマー」たちは、消えたオールスパークがあった地球へ飛来する。故郷の惑星サイバトロンの次は、地球で繰り広げられるトランスフォーマー同士の戦いに、主人公・サムが巻き込まれていく。
Read Article
トランスフォーマー/ロストエイジ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『トランスフォーマー/ロストエイジ』とは、2014年に公開されたアメリカ合衆国のSFアクション映画。実写映画『トランスフォーマー』シリーズの4作目であり、前作『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』から5年後を描いた作品でもある。シカゴ惨劇から5年後、オートボットを排除しようとする組織によって、オートボットたちが次々と消されていってしまう。そんな中、廃品回収業を営む発明家・ケイドは、映画館の中で眠っていたオプティマス・プライムと出会い、戦いに巻き込まれていく。
Read Article
トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』とは、2011年に公開されたアメリカ合衆国のSFアクション映画。実写映画『トランスフォーマー』シリーズの3作目であり、シリーズ第1部の完結編である。トランスフォーマーたちが住む惑星サイバトロンにて、金属に生命を吹き込むオールスパークを巡った戦いが繰り広げられる中、一隻の宇宙船が脱出した。月面到達が達成されたアポロ計画には、月に墜落したその宇宙船に関する、ある陰謀が隠されていたことが明らかになっていく。
Read Article
アルマゲドン(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『アルマゲドン』は1998年に公開されたアメリカのSFアクション映画である。主演ブルース・ウィリス、監督をマイケル・ベイが勤める感動の大ヒット作だ。小惑星衝突による人類滅亡の危機を、60億人から選ばれたハリーたちは救えるのか。6人の宇宙飛行士と8人の石油採掘プロフェッショナルへ、命懸けの一大プロジェクトがNASAより告げられる。重大な責任を背負い宇宙へと飛び立つハリーたち。彼らの覚悟、そして仲間と家族を想う愛や絆の偉大さが壮大なスケールで描かれている。
Read Article
【タイタニック】大人が選ぶ、泣ける洋画ベスト30!【アルマゲドン など】
SmaSTATIONで放送された大人が選ぶ洋画ベスト30を紹介します!アルマゲドンやタイタニックなど有名映画ばかりなのでぜひ最後までご覧ください。 『アルマゲドン』は、1998年のアメリカ映画。タッチストーン・ピクチャーズ提供、ジェリー・ブラッカイマー作品。
Read Article
ハリウッドの続編企画まとめ!『スター・ウォーズ』から『ターミネーター』まで一挙に紹介
映画産業で栄えるアメリカ・ハリウッド。『スター・ウォーズ』や『アベンジャーズ』、『トランスフォーマー』など「アメリカ映画といえばハリウッド」とも言われるほど、日本でもハリウッド映画は大人気ですよね!続々とヒット作を生み出すハリウッドですが、各作品の続編もどんどん公開されています。ここではハリウッドの続編企画についてご紹介します。気になる作品が見つかるかも?
Read Article
【アルマゲドン】地球崩壊・人類絶滅・自然災害を描いたパニック・ディザスター洋画13選【ミスト】
数ある映画作品の中には、私たち人間の今後について考えさせられるものがたくさんあります。地球崩壊や人類滅亡、自然災害をテーマにした作品がこれに該当するでしょう。人間では太刀打ちできない脅威が迫ってきた時、どう立ち向かうべきなのか。そんなことを考えさせられる洋画をまとめました。
Read Article
【オーロラの彼方へ】永久保存版!「何度観ても面白い」洋画・映画を大特集!【アルマゲドン】
世界的な文化として、国も人も問わずに日々楽しまれている映画。物語の中で描かれる喜びに、あるいは悲しみに、思わず涙してしまった人も少なくないはず。 ここでは、「何度も観てしまう、何度観ても感動できる」と高い評価を受ける名作映画をまとめて紹介する。
Read Article
タグ - Tags
目次 - Contents
- マイケル・ベイとは
- 幼いころから8ミリ映画に興味を持つ
- インターンで映画製作現場へ行き映画監督になる決意を固める
- 大学で映画学を学び、卒業制作のCMは壮大なスケールに
- ジェリー・ブラッカイマーとの出会い、そして映画『バッドボーイズ』で映画監督デビューへ
- マイケル・ベイ、定評がある描写に対するこだわり
- 「脳ミソに火薬が詰まっている」と言われるほど爆発の描写に定評あり
- ミリタリーフェチ・映画で米軍が登場
- 車をかっこよく撮らせたら右に出るものはいないと言われるほどの描写
- 独自の考えで、たびたびファンと衝突も
- マイケル・ベイの各作品の特徴とこだわり
- 映画『バッドボーイズ』初監督作品にして、名作を作り上げる
- 映画『ザ・ロック』ケーブルカーを吹き飛ばし、空爆を行う
- 映画『アルマゲドン』予算が浮いて、パリを崩壊させる
- 映画『パール・ハーバー』恋愛要素を含めてヒットする
- 映画『アイランド』近未来のシリアスな作品
- 映画『トランスフォーマー』最初はオファーを受けたくなかった?
- マイケル・ベイ監督独自の演出・展開・撮影方法とは?
- 爆破シーンの多さから「ベイ・ヘム」という造語をつけられる
- マイケル・ベイ監督の思い付きによる撮影手法
- カーチェイスシーンのために作られた特殊車両
- 「自殺未遂車」の異名をもつ車両「ベイ・ボマー」
- 鉄筋や鉄骨で溶接された頑丈な車両「ベイ・バスター」
- クレーンカメラが付いていて自在に動かせる車両「クレーン付きカイエン」
- 「分かりやすい」という内容が批判の対象に
- 動画サイトが特集した「マイケル・ベイ映画が好きになれない理由」
- アカデミー賞ノミネートと同時に、ラジー賞の常連でもあるマイケル・ベイ監督