ふしぎ遊戯(玄武開伝)のネタバレ解説・考察まとめ

『ふしぎ遊戯 玄武開伝』とは、渡瀬悠宇による漫画、及びそれを原作とするメディアミックス作品で、前作『ふしぎ遊戯』で語られた玄武の巫女と七星士の活躍を紡ぐ物語である。大正時代の女学生・奥田多喜子は、嫌っていた父が訳した書物・四神天地書に吸い込まれる。本の中に広がる異世界で玄武の巫女となった多喜子は、巫女を守る七星士と共に玄武の召喚を目指す。玄武を祀りながら巫女と七星士を不吉と見なす北甲国皇帝一族、北甲国を狙う倶東国の軍勢との戦いの中、多喜子は巫女としての使命に目覚めていく。

虚宿(とみて) / チャムカ=ターン

CV:岩永哲哉

七星士名:虚宿
年齢:16歳
誕生日:2月14日
身長:173
血液型:B型
字:「虚」の字で左肩甲骨上

氷を操る能力を持ち、弓の名手でもある七星士。感情表現が豊かで、明るい性格をしている。幼い頃、父を妖魔に襲われ目の前で殺された。
可族(はぞく)の出身で、1年前までは幼馴染みの斗宿(ひきつ)の汗族(かんぞく)と共棲していたが、村に住む妖魔(怪物の一種)の襲撃に遭った際の記憶を失くしており、斗宿が自身の母を攻撃したと思い込んでいた。実際には、斗宿は妖魔を倒そうとして虚宿の母を誤って傷つけてしまい、虚宿の力が暴走して斗宿の妹・アイラを凍り付かせたのだった。斗宿の力でこのことを思い出すまでは自身の氷の力には無自覚であった。
アイラを凍り付かせたことを忘れた自分を責めるが、多喜子の「あなたには何度も助けられた」「自分や斗宿を信じて」との言葉で支えられて氷を破壊しアイラを助け出す。その場にいた妖魔を、女宿たちとの協力で倒し、父の仇を討つ。
初めは巫女や七星士の宿命を厭い、七星士名の虚宿ではなく本名のチャムカを名乗っていたが、七星士集めや倶東国兵士との戦いを経て自身の役目を自覚していく。多喜子に好意を抱いていたが、想いを伝えることはなく、女宿と多喜子の結婚を祝福した。

倶東国兵士撃退の為に戦い、玄武召喚の際は儀式に参加する。儀式の妨害をしに来た討伐隊との戦いの最中に紫義のだまし討ちに遭い、致命傷を負う。それでも持ちこたえ、玄武降臨の直後に息を引き取った。死後は斗宿共々思念体となり、戦の半ばで命を落とした為にこれからの北甲国を支えられないからと、自ら神座宝を守る役目を負うことにした。
『ふしぎ遊戯』において朱雀の巫女である夕城美朱(ゆうき みあか)に神座宝を託し、成仏した。

室宿(はつい) / ザラー=エルタイ

CV:緒方恵美

七星士名:室宿
年齢:12歳
誕生日:2月19日
身長:154㎝
血液型:A型
字:「室」の字で右足裏

鉄籠から針を発射して攻撃をする七星士。本名はザラー=エルタイで、室宿は七星士名である。住んでいた街で能力の制御ができずに人を傷つけてしまい、山に入ってからはフェン以外とは接しなかった。かつて父に教えられた為、薬草などの植物に詳しく、調合もできる。心優しいが臆病ないじめられっ子気質の少年で、登場時は鉄籠にこもっていた。籠から飛び出す針が室宿自身の心の痛みだと見た多喜子により針を全て受け止められ、励まされたことで籠から出る。
当初は旅立ちすら拒絶したが次第に成長し、多喜子の為に危険な箇所に生える薬草を取りに行く、倶東国兵士を足止めするなどした。死に際の多喜子から「強くなったね」と声を掛けられている。
尚、七星士の中で最初に多喜子の結核を知るが、多喜子に口止めをされていた。
玄武召喚の際七星士として立ち会い、侵入してきた倶東国兵士に立ち向かう。戦の後も生き残り、女宿の補佐をしていくことが示唆された。

壁宿(なまめ)

七星士名:壁宿
年齢:不明
誕生日:不明
身長:不明
血液型:不明
字:「壁」の字で通常は後頭部(登場時は右胸)

星命石と呼ばれる石から生まれた大地の精霊で、岩や土を操る能力を持つ。人間ではなく精霊だが、れっきとした七星士の一人である。基本的には小さな石の人形のような姿だが、岩や土を纏うことで大きくなったり、馬や薙刀、かまくらや防御壁になったりと状況に応じて変身できる。岩の硬度と粘土のような柔軟性を持ち、攻守ともに優れた力を発揮できる、汎用性のある能力と言える。初登場時は巨大な石人の姿をしていた。
北甲国にある転節の石原と呼ばれる場所で生まれた。誕生直後から周囲の人々に恐れられ、迫害された過去を持つ。庇ってくれたアンルウだけを慕い他者には心を開かなかった。アンルウの死に際し、巨大な岩壁を作って多喜子らを拒絶するが、多喜子の呼びかけで心を開き七星士の一員として仲間入りした。岩壁を崩すことで、追ってきた七星士討伐隊を足止めしている。虚宿の父の仇である妖魔も岩壁で潰し、止めを刺した。言葉は話さないが、多喜子が倶東国に捕まった頃から片言ながら話が通じるようになった。
倶東国との戦の際は、動く兵士の人形を量産し、倶東国兵士と戦わせ足止めをした。
物語の終盤、テグがテギルから聞かされた話により星命石とは北甲国の地下に眠る鉱石で、命を与える力を持つことが明らかになる。
玄武が呼び出され多喜子による「この国にいる命ある者すべての回復を」との願いで、壁宿は星命石から生命の水へと還る。「巫女のように、皆を助ける」と多喜子に礼を言って玄武七星士・壁宿としての形と自我を失い消滅、生命の水の雨となって北甲国に降り注ぎ、自国民だけではなく倶東国兵士の傷を治した。
戦の終結後、戦死した虚宿、斗宿共々壁宿に民からの供え物が毎日届くようになった。

通常時の人形のような風貌の為、ファンからはマスコットのような存在として認知されている。また、『星ノ螺旋』では壁宿グッズの作り方の他、壁宿による日記などが掲載された。

斗宿(ひきつ) / ムエタト=チェン

CV:檜山修之

七市江氏名:斗宿
年齢:21歳
誕生日:12月16日
身長:184㎝
血液型:A型
字:「斗」の字で眼帯に隠された右目

水を操る七星士。いつも眼帯で隠している右目は、人や物の記憶や心を読む視鏡監(しきょうかん)である。読まれた側に多大なショックを与える為、身内の汗族内では仲間外れにされていた。虚宿の可族が住んでいた村で最愛の妹・アイラが氷漬けにされており、何とか助けようと廃墟になった村に一人残っていた。
妹想いで、救出されたアイラが虚宿に想いを寄せていると知るやその思いを尊重して「幸せにしてやってくれ」と虚宿に託した。七星士であることには良い思い出がなかったが、虚宿の言葉で守るべきものを守ると決め、エムタトという本名ではなく七星士名の斗宿を名乗るようになった。汗族とは後に和解している。
倶東国との最終決戦の際、玄武召喚を果たさせる為に倶東国兵士と戦う。虚宿の最期を看取り、自身も無数の矢に貫かれて絶命した。死後、虚宿共々星に還るはずだったが、太一君に頼み込んで神座宝を守る役目を負うこととなった。
前作『ふしぎ遊戯』に、虚宿共々登場している。

牛宿(いなみ) / タルマ

CV:勝生真沙子

七星士名:牛宿
年齢:41歳
誕生日:12月29日
身長:155㎝
血液型:O型
字:「牛」の字で下腹部

自身の髪の毛を自在に操り、巨大な煙管を武器にして戦う七星士。煙を操って敵を捕まえることもできる。かつては北甲国の遊郭で用心棒をしていた。
肝の座った女性で、紅南国の遊郭で女将の代理を行う。当初は牛宿の七星士名を嫌っており、遊女の実態を知らない多喜子を「甘いお嬢さん」と見なして仲間になることを拒んだ。多喜子による命がけの救助や、遊女たちの願いを受け、牛宿の名を受け入れて多喜子の仲間になる。
元は特烏蘭(トウラン)の宮廷で何十年も前から仕えていた宮女だった。恋仲になった兵士がテギル皇帝への反乱に加わったために死亡し、牛宿自身も命からがら逃げる際、彼との子を流産した過去を持つ。自分を救ってくれたシュヌに恩義を感じ、彼女の仕切る遊郭で働くようになった。シュヌらとともに北甲国を出、紅南国の遊郭で多喜子らと出会う。
多喜子がテムダン王と話をすると言った時、元宮女の経験から多喜子を宮殿の中に連れて行った。
倶東国との最終決戦では前線で戦う。多喜子の覚悟を知り、七星士として玄武召喚の儀式に参加する。侵入してきた倶東国兵士と戦い、生き残る。女宿の補佐役をすることとなった。

危宿(うるみや) / ハーガス

CV:子安武人

七星士名:危宿
年齢:26歳
誕生日:1月21日
身長:不明
血液型:AB型
字:「危」の字(部首以外)で眉間。テグと字を分け合っていた。自身の死に伴い、残りの部分がテグに継承された。

テムダン王に女宿抹殺を命じられた七星士。他の七星士の攻撃を吸い取り、自身の力として使用できる。テグの双子の弟で、幼い頃自身の身の安全と引き換えに兄を幽閉されてしまう。テギル皇帝の裏切りにより、両目の視力をほとんど失っていた。テギルの娘・フィルカに与えられた星命石の力を取り込み、七星士の力に目覚める。
両親を難産や戦で失っており、唯一の肉親であるテグの解放を条件に、テムダンに従っていた。テグが捕らえられた直後、テムダンはせめてハーガスを自分で保護しようとした。ハーガスは、兄の証の字は半分しなかく、残りの部分が自分に現れるかもしれないとテムダンの申し出を断り、戦える力を身に着けテムダンの配下となった。
テムダンの命令でテギル皇帝を殺す。一部始終を陰から見ていたフィルカの自決を止めて匿い、フィルカと一緒にいた多喜子をテムダン王の下へ連れて行く。
巫女を救いに来た七星士たちを宮殿の地下迷宮で迎え撃ち、迷宮の底に落下した女宿を追ってテグと再会する。落ちてきた岩からテグを庇い、死ぬことで分けられていた字を兄に託し、息を引き取った。多喜子による仲間入りの説得に応じず、フィルカへの想いも口にしなかったのは、テムダン王と同じ病で自分が長くないと悟っていた為だった。字だけではなくハーガスの想い、記憶もテグに継承され、フィルカへの想いがテグの口から告げられた。

危宿(うるみや) / テグ

テグは、ずっと捕らえられた当時のままの姿であった。

七星士名:危宿
年齢:26歳
誕生日:1月21日
身長:140㎝
血液型:AB型
字:「危」の字(部首の部分)で眉間。ハーガスと字を分け合う形だったが、ハーガスの死に伴いテグの眉間に「危」の字が現れるようになった。

ハーガスの双子の兄。弟の命と引き換えに、北甲国皇帝のみが知る地下迷宮に幽閉され、北甲国の国宝である星命石を守らされている。
歌う形で、口から発する衝撃波を攻撃手段として使う。テグの歌声は、風穴を通って国中に響き渡るもので、七星士でさえ立っていられないほどの衝撃波を発する為、七星士を無力化させられる存在と言える。
幽閉直後からほとんど成長していなかったが、ハーガスとの再会を果たし、彼の死に際して分けられていた証の字が一つになり、肉体が本来の年齢へと成長した。
ハーガスから記憶を受け継ぎ、彼が心を鬼にして巫女や七星士にしてきたことを詫びる。完全な七星士となった後は、歌うことで味方に力を与える能力を得た。星命石と共に守らされていた四神天地之書を多喜子に渡し、七星士の一員として玄武召喚の儀式に参加した。
戦の終結後は、皇帝となった女宿の補佐役を務めることになった。作中ではフィルカ、星護族と共に北甲国内を巡回することが語られている。

北甲国

玄武が守護する四正国の内北にある国で、都を特烏蘭(トウラン)とする。国土のほとんどが殺伐とした山や荒野だが、資源が豊富で隣国の倶東国に目をつけられている。皇族の覇権争い、テギル皇帝の暴政、各地の異常気象で滅亡の危機に瀕している。
テムダン王の調査によれば、間もなく永久凍土と化す運命にあり、倶東国との戦の際、氷河期到来の予兆である天変地異が次々と起きた。
国宝は、かつて玄武に与えられた命を甦らせる生命の水の結晶である星命石で、宮殿の地下にある。玄武の巫女・多喜子の第二の願いで星命石は全て生命の水の雨となり、負傷者の傷を癒した。

ソルエン

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