宇宙戦艦ヤマトIII(アニメ・漫画・小説)のネタバレ解説・考察まとめ

『宇宙戦艦ヤマトIII』とは、幾度となく地球を救った宇宙戦艦ヤマトの新たな冒険を描いた、『宇宙戦艦ヤマト』シリーズのアニメ版3作目、シリーズ合計7作目の作品である。
暗黒星団との戦いに勝利したヤマトは北アルプスのドッグで整備を行なっていた。宇宙戦士訓練学校の卒業生を始めとする新たなクルー達が集まる一方で、地球近傍で行われていた戦争の流れ弾が直撃した太陽の核融合が急速に進み、地球が人類居住不可能な惑星になるまで残り1年ということが判明する。地球人類を救うべく、ヤマトは第2の地球を探しに出航する。

『宇宙戦艦ヤマトIII』の概要

『宇宙戦艦ヤマトIII』は読売テレビ放送・日本テレビ系列で1980年に全25話で放送されたTVアニメーション。『宇宙戦艦ヤマトシリーズ』の7作目にして、TVアニメとしては第3作にあたる。シリーズとしては映画作品であった『ヤマトよ永遠に』の続編に位置し、全26話で放送された。

暗黒星団との戦いに勝利し帰還したヤマトは北アルプスのドッグで整備を行なっていた。ヤマトに宇宙戦士訓練学校の卒業生を始めとする新たなクルー達が集まる一方、太陽に原因不明の核融合増進反応が起こる。このままでは地球はあと1年で人類が住むことのできない星になってしまう。しかし、この事態に半信半疑な地球政府大統領が動かない以上、極秘で調査を進める他ない。宇宙戦艦ヤマトは第2の地球を求めて旅立つのだった。

本作はこれまでのヤマトクルーに加え、新たな乗組員やアンドロメダの後継艦などの様々なメカが登場する。さらに『新たなる旅立ち』で別れた宿敵、デスラー総統のその後も描かれた。

原作は西崎義展が作成し、監督は松本零士、山本暎一の二人の手によって行われた。音楽担当は宇宙戦艦ヤマトシリーズの楽曲を担当してきた宮川泰が勤めた。

『宇宙戦艦ヤマトIII』のあらすじ・ストーリー

太陽系の破滅

23世紀初頭、銀河系内の覇権を巡って新興国ガルマン帝国と星間国家ボラー連邦の星間戦争が勃発していた。そんな中、ボラー連邦に属するバース星との戦いで起動を外れた「惑星破壊プロトンミサイル」が太陽に直撃した。その結果、太陽は核融合が異常増進し、地球は1年で人類が居住できない星となってしまう。この現象に最初に気づいた地球連邦大学宇宙物理学部部長のサイモン教授は地球連邦政府に警告するも政治的な観点や太陽エネルギー省観測局長の黒田博士の助言を理由に地球連邦大統領に無視されてしまう。自分の説に絶対の自信を持つサイモン教授は地球防衛軍司令長官である藤堂平九郎(とうどう へいくろう)へ報告。事態を重く受け止めた藤堂長官は古代進(こだい すすむ)を宇宙戦艦ヤマト艦長に任命し、ヤマトを第2の地球を探す特務艦として極秘裏に派遣することを決定した。

ダゴン将軍との戦い

ヤマトが海王星に達した頃、新興国ガルマン帝国のダゴン将軍との戦いに敗れたボラー連邦に属するバース星のラジェンドラ号が地球の勢力圏内を彷徨っていた。母星に帰る航行能力すら失っていたラジェンドラ号に対し、地球は非戦闘物資のみの補給を行う。修復を終えたラジェンドラ号は修復を受けた地球への恩と自身の誇りから再度ダゴン将軍との戦いに挑むも敗れてしまう。さらにガルマン帝国東部方面軍総司令ガイデル提督の指示のもと、太陽系を含むオリオン腕周辺の侵攻を企てていたダゴン将軍はそのままヤマトに対しても襲撃を開始した。

ボラー連邦との対立とデスラー総統との再会

新型反射衛星砲やブラックホールを利用した執拗な攻撃を繰り返すダゴン将軍のを打ち破ったヤマトはラジェンドラ号の母星であったバース星にたどり着いた。食料調達のため寄港したヤマトはその星の囚人に機関部を占拠されてしまう。囚人達の要望はかつてその強大な力で宇宙に平和と愛をもたらした未知の星、シャルバート星へ向かい平和を祈ることだった。無事に囚人達を取り押さえることに成功したヤマトは同情から寛大な処置を求めつつ彼らをバース星に引き渡すが、偶然視察に来ていたボラー連邦のベムラーゼ首相の意向で処刑されてしまう。表敬訪問へ向かう途中にそれを知ったヤマト乗組員達は、そこで地球を取り込もうとしたベムラーゼ首相との対話を通し、ボラー連邦と敵対する道を選ぶ。その後、数々の戦闘を経たヤマトはガルマン帝国によって捕縛されてしまう。しかしそこでガルマン帝国は地球とヤマトにとって宿敵であるデスラー総統がゴルバという勢力との戦いの後に建国した国であることが判明する。かつてはガミラス星の総統として地球を滅亡寸前にまで追い詰めたデスラーだったが、幾多の戦いの中でヤマトのクルーと互いの勇気を認め合い、戦友にも等しい間柄となっていた。デスラーの計らいによってヤマトは解放され、丁重な扱いを受けながら再会を果たすのだった。

惑星ファンタムとシャルバート星

デスラー総統の計らいで無事に第2の地球探しを再開したヤマトはガルマン帝国から発見報告を受けた地球に極めて類似した星、惑星ファンタムへ向かうことにした。惑星ファンタムは機械のデータ上は完全に地球と同じ星であったが、死んだはずの古代の兄、古代守(こだい まもる)やスターシャの幻影を見る。さらに調査を進めた結果、惑星ファンタムは人の記憶を辿ってその幻覚を見せるコスモ生命体であることがわかった。惑星ファンタムに匿われていたシャルバート星のルダ王女を回収したヤマトは改めて第2の地球を目指して発進する。

候補惑星の全ての調査を終えたヤマトはいずれの星も第2の地球には適さないという結論に至り落胆する。そんなヤマト乗組員を見たルダ王女はシャルバート星へヤマトを招待した。シャルバート星はかつて銀河を支配した強大な軍事国家「シャルバート」の母星であり、さまざまな星間文明の中で宗教という形でその存在が語り継がれていた。軍事国家の面影すらない牧歌的な星であるシャルバート星に到着したヤマトは、伝説に謳われたその軍事力を欲して侵攻したボラー連邦と戦う。命の危機に晒されても決して武器を取ろうとしないシャルバート人に変わり、ガルマン帝国と協力してボラー連邦を撃退した古代たちはルダ王女に連れられて王家の墓へ向かった。そこにはかつての強大な軍事国家としてのシャルバートの遺産が残されており、ヤマトは太陽の核融合を制御することのできるハイドロコスモジェン砲を譲り受けたのだった。

ヤマト、あの太陽を撃て

ハイドロコスモジェン砲を手に入れたヤマトは太陽の核融合を制御するため急遽帰還した。しかし彼らの前にガルマン帝国と手を組んだ地球を敵性存在と見なしたボラー連邦の要塞兵器が立ち塞がる。
ここでヤマトを撃破することで太陽の異常な核融合により、労せずして地球を滅ぼせると踏んだベムラーゼはヤマトに猛攻を仕掛ける。これにより窮地に陥ったヤマトであったが、デスラー総統の率いるガルマン帝国軍が現れた。彼らに要塞兵器を任せ、太陽制御に集中したヤマトは激戦の末、多くの若い犠牲を伴いながらもヤマトは太陽の核融合制御に成功。地球は無事に救われたのだった。

『宇宙戦艦ヤマトIII』の登場人物・キャラクター

地球

古代進(こだい すすむ)

出典: pbs.twimg.com

CV:富山敬
戦闘班砲術課や艦長代理として宇宙戦艦ヤマトの精神的支のような存在であったが、今回の辞令で正式に艦長へ就任した。
宇宙戦士訓練学校の卒業生で土門たちのOBに当たる。土門や他の乗組員の前では新艦長として力強く振る舞う一方で、恋人である森雪の前では第2の地球が見つからない不安を吐露するような姿も見せた。
イスカンダルの航海から数年経ち、かつては「ヤマトの坊や」と呼んでいたデスラーも「古代」と名前で呼ぶ好敵手としての関係を築いている。

森雪(もり ゆき)

出典: pbs.twimg.com

左:古代進、右:森雪

CV:麻上洋子
ヤマト生活班長で古代の恋人。
第2の地球探しという当初の目的で、生活班の責任者として土門を始めとする多くのクルーを指揮していた。
古代の愚痴を聞いたり恋人らしい姿のある一方で、ヤマトが星間戦争に巻き込まれ女性クルーを下ろすという古代の判断にも逆らい、ヤマトの紅一点として乗組員を支え続けた。

島大介(しま だいすけ)

『宇宙戦艦ヤマト完結編』より

CV:仲村秀生
ヤマト航海班長、副長を兼任する。
古代とはヤマト発進前からの親友である。
本作では古代が艦長に就任したことに無意識に嫉妬し、物語の序盤では意見の対立などをしていたが、ケンタウルスα星での騒動を通して古代を艦長として認めるようになった。

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