BANANA FISH / バナナフィッシュ

BANANA FISH / バナナフィッシュ

『BANANA FISH(バナナフィッシュ)』とは、『別冊少女コミック』で連載されていた吉田秋生によるバイオレンスサスペンス漫画。1980年代のニューヨークを舞台に、バナナフィッシュというドラッグをめぐる、ストリートキッズ、アッシュの戦いを描く。ハードな抗争を繰り広げる一方、孤高に生きてきたアッシュが英二との友情を通して人間らしさや愛を覚えていく姿が描かれている。かねてより名作として人気を博していたが、2018年に吉田秋生40周年プロジェクトでアニメ化され、人気が再燃した。

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BANANA FISH / バナナフィッシュのレビュー・評価・感想

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BANANA FISH / バナナフィッシュ
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もう観たくないけどまた観たい…涙なしに語れないアニメ

吉田秋生さんの漫画が原作の『BANANA FISH』は、MAPPAによってアニメーションが作成されました。
原作は1885年から連載された名作コミックスで、2018年にアニメ化されています。そのためアニメではスマホが出てきたり、コンプラ的にアッシュがヘルメットをかぶったりと少し内容の改変があり、原作勢には受け入れられないという声もあるようです。
さまざまな意見がありますが、原作が素晴らしいからこそ、時が経っても多くの人に感動を与えていると思います。

このアニメは連載当時を知らない人でも受け入れやすく、原作のクオリティーを損なわない、むしろアニメーションによりグッとキャラクターたちの息遣いや心の変化を感じ取りやすくなっています。
ネタバレで言うと、奥村英二がアッシュの心を溶かし、やがて別れを迎えます。それはニューヨークから日本へ帰国する英二と共に行くため、アッシュが走り出したとき、以前イザコザで仲間を抜けたラオによって刺されたためでした。
初めて見たときはラオの行動は批難されるべきことと思いましたが、何度も見返した私にとってはラオにもラオの正義があったのだと考えています。
ラストシーンは涙なくして見られないほどで、アッシュの穏やかな表情がせめてもの救いです。

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これはアニメ化大成功!

こちらの作品の原作は漫画で、1985年~1994年まで少女誌で連載されていた作品です。今回のアニメ化にあたって、作品の舞台を現代(スマホ出現以降)に置き換えるという斬新かつ大きな試みをした訳ですが、これがなんといっても大成功!
原作よりもキャラデザや服装がお洒落になり、若い世代や原作を知らない世代の方々にも受け入れられやすいビジュアルになっています。
80年代のアニメや漫画にもそこにしかない独特の魅力があるのですが、今回はファン層を広めるという点と、既存のファンにも新鮮な気持ちでアニメに魅入って貰うという点で、かなり良い働きをしました(私も現代風に生き返ったアッシュと英二が見れて幸せでした!!)。
続きまして、内容について。ネタバレを避けて簡潔に説明しますと、舞台は現代ニューヨークの裏社会です。マフィアのボスである若き少年・アッシュ(17歳)が純粋無垢な日本人観光客・奥村英二(19歳)に出会うところから物語は始まります。ジャンルとしてはハードボイルドですが、場所を移動したりコメディタッチなシーンがあったりと、ロードムービーや日常系の要素も入っています。とにかくどんな展開になるのか予測が全くつかないので、毎話観ていてとても楽しめます。
迷っている方は、是非一話だけでも観てみてください。映像もとても美しくて、何より音楽が素敵。サントラ購入したくなっちゃいます。原作は少女誌ですが、男女どちらにも確実に刺さる内容だと思います。ブロマンス(男同志の友情)を描いた作品に、性別の垣根は無いなと。
何より、物語に惹き込まれます。個人的には、ここ数年で一番心に残った作品かも知れません。

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バナナフィッシュという未知のドラッグをめぐるマフィアのボスと彼の男娼としての商品だった17歳の少年との戦い。

人間に悪夢を見させ、命令を刷り込むとその通り実行してしまい、最後は自己破壊行動に出て自分の命を絶ってしまう。恐ろしいドラッグである。
それを軍事兵器として応用し合衆国と取引を私用とするマフィアのボスとそれを阻止し要とする少年。
米軍や政府高官、シャイニーズマフィア組織、傭兵部隊、元ソビエト軍事エリートの殺し屋、アメリカ不良少年団、様々な登場人物が現れる。
少年の行動原理は、俺は誰にも支配されない、力で屈服させようとする者には力で対抗するまさに殺し屋の発想。
人間の支配欲と権力欲はとめどないなと実感させられる。
ボスには絶対的な服従者と敵対者しか必要ない、そういわれながらマフィアに追われる身でもなくニューヨークの闇の後継者候補でもない17歳のただの少年として自由に生きる道を選ぶ主人公、いつの間にか主人公のファンになっていた。
知能指数IQ200の頭脳を持ちスワットクラスの銃のシューティングテクニックを持ち、強靭な精神力、鍛え抜かれた鋼のような体、ヨーロッパの社交界でも通用する金髪、グリーンアイズの容姿を兼ね備え、ニューヨークの裏社会の魔王になる才覚を持ちながら、憎んで覇者となるよりも愛して滅ぶ道を選ぶ主人公、いつの間にか絶対に死ぬな、生き延びて幸せな一生を送ってくれと応援している自分に気が付いた。
ストーリーの中に経済楽屋、ヘミングウェイやスティーブンキングの小説、中国語の知識など作者のインテリジェンスの高さをうかがわせる。
人間が誰の支配も受けずに自分の意志で生活していきたいという願望はだれにも止められないし、人間はより強く規制しようとすればするほど自由への渇望が内側から湧いてくるものだとつくづく思った。
読み終えた後医大歴史ロマンを見ているようなそんな気がした作品だった。

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美少年のストリートギャングボス、アッシュと、19歳の日本人エイジの魂の深すぎる絆

ストリートギャングのボスであアッシュには、ベトナム戦争の帰還兵で廃人となってしまった最愛の兄がいた。彼は「BANANA FISH」と謎の言葉を告げ、その言葉に重要性を感じたアッシュは、兄を直すために手がかりを探します。実はアッシュには子供のころ売春を強いられていたという壮絶な過去を持っており、大人や金、権力に嫌悪を覚えています。
そのアッシュにコルシカ財団の長、ゴルツィネが自分の後継者として、異常なまでの愛と執着をアッシュに抱き続けます。アッシュの類い稀な美貌とIQ200の頭脳に魅了されてしまっているのです。手に入らない野生の獣を追うために、執拗にゴルツィネはアッシュを追い詰めていきます。コルシカ財団の繁栄とアッシュを手に入れるために、彼は中国の李家と手を結び、チャイニーズや黒人のハレムのギャングなど、ニューヨーク中のキッズギャングがマフィア相手に戦うことになります。また李一族も複雑な諸事情を抱えており、美しい末弟が一番恐ろしい事を企み実行するのです。
さて、エイジは写真家の助手としてアメリカに来るのですが、年齢よりも童顔でとても純真無垢な青年です。高校時代は棒高跳びの選手として活躍をしていました。ストリートギャングの取材をすることで、紹介されたたのがアッシュとの初対面となります。そこでアッシュの才能を妬むゴルツィネ配下にいるオーサーがダウンタウンの覇権をかけて奇襲攻撃をかけ、その場にいたエイジが巻き込まれることになります。
何とか助けを呼ぶため、配管を棒高跳びの棒として塀を飛び越えていくエイジ。エイジの通報を受けてアッシュは助けられるのですが、犠牲も出てしまいます。アッシュが「何の見返りも求められなかったのは初めてだ」という様な言葉が印象的です。それまで彼は幼い頃から無条件に愛されたことがなかったのですから。愛してくれたのは兄、ただ1人だったのです。そこからアッシュとエイジの交流は深まっていきます。自分をボスでもなく性的対象でもなく、畏怖もなにもなく普通に接してくれるのはエイジだけでした。困難に陥れば陥るほど、いつしかお互いの存在がかけがえのないものへと変わっていきます。
ところでBANANA FISHとはサリンジャーの小説に出てくる幻魚を元にしているのですが、そのサリンジャーの世界観が作品の至る処に見え隠れしてます。汚い社会への苛立ち、孤独、思春期の葛藤、人の温もりを求める心、等々がそうです。アニメ、漫画のBANANA FISHは薬物の名称です。この上もなく危険な。
いろんな弊害や利害などが複雑に絡みあって説明するのが難しい作品です。ですがアッシュのエイジへの想いには胸が打たれることでしょう。ラストは敢えて書きませんが、これしか方法がなかったのかな?と涙が溢れてしまいます。
アニメは映像がとても綺麗です。声優さんも素敵です。

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少女漫画の域を超えた少女漫画

吉田秋生さんが別冊少女コミックにて、1985年から1994年まで連載していた作品です。舞台はニューヨーク。主人公はストリートチルドレンであるアスラン、通称アッシュという名前の少年です。彼は頭脳明晰で、とても美しい顔をしていました。そのせいで、幼少期とあるマフィアのボスに目を付けられ、英才教育を受けさせられます。結果、成長した彼は、運動神経や銃の腕前もバツグン、しかし、愛情に飢えた少年に成長していました。そこで出会ったのは英ニという日本人の少年です。彼は棒高跳びの選手ですがスランプに陥っており、気晴らしにジャーナリストの叔父に連れられてニューヨークに来ていたのでした。この2人はそれぞれ全く違う環境で育った少年でしたが、アッシュは栄ニに出会って、今までで知らなかった心の安定を知るようになります。その様子がすごく切ない気持ちになり、アッシュに幸せになって欲しいという気持ちになります。また、漫画の展開も、ストリートチルドレンvsギャングという構想で進んでいて、ハラハラドキドキする展開がとても面白いです。なにより純粋にアッシュがかっこいいです。単行本でいうと四巻くらいからは、絵のタッチもグッと変わって、よりアッシュがイケメンになります。最後はとても感動する結末になっていますので、是非読んでみてください。

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原作の漫画も読みたくなる、胸が苦しくなる良作

舞台はニューヨーク。主人公は、聡明にして荒事にも滅法強く、金髪碧眼の美しい容姿を持つ少年・アッシュ。そのカリスマ性でストリートギャングを束ね、アンダーグラウンドで生活をしている。
ひょんな事からカメラマンの助手として取材にやってきた日本人の少年・奥村英二と出会う。
ギャングを束ねる自分に対しても物怖じせず接する英二に、アッシュは次第に心を開き、お互いにかけがえのない存在となっていく。
バナナフィッシュとよばれる薬物を中心にスケールの大きなストーリー展開になっている。
どのキャラクターも個性的で魅力があり、各々のキャラクター目線の描写が細かいため、感情移入しやすい。
戦争や国家の闇の汚い部分と、アッシュと英二の関係性の明るく純真な部分が対象的に描かれていて、まだ少年であるアッシュが汚い大人たちと戦わなければいけない様は胸が苦しくなってしまった。
英二には銃のない世界で生活してほしいアッシュと、アッシュを銃のない世界に連れ出したい英二。二人はすれ違い、また別々の世界へと身を投じる。
死をもって、ある意味で銃のない世界に行くことができたアッシュ。そのことを知らずに日本で日常に戻ってゆく英二。二人の別れてしまった道があまりにも残酷で、鑑賞後はズンと重たい気持ちになった。

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ニューヨークの抗争と政治が絡むストーリーに目が離せない!

漫画に関しては1985年連載開始と古いものになるですが、最近友人の勧めでアニメを見始めて、すっかり世界観にハマってしまいました。
「N.Y.」でストリートギャングのボスであるアッシュという17歳の少年が「バナナフィッシュ」という薬物をめぐる事件に巻き込まれ、どんどん深みにハマっていくストーリーとなっているのですが、話のテンポもよく、また、チャイニーズ系、黒人、マフィアなどが絡み合って、この「バナナフィッシュ」の正体を明かしていくといった内容も見事にハマっていると思います。
特に中盤からはマフィアと政治介入といった裏事情がストーリーに盛り込まれていくので、どんどん広がりを見せてくれます。
また、設定として面白いのが、主人公のアッシュと日本から来たジャーナリストの卵の青年「エイジ」の友情、愛情が作中で描かれているのも、視点としては珍しいと思います。
実際に海外ドラマでもギャング系のものがいくつかありますが、アジア人と白人が手を組むといったことは少ないので、アニメならではの世界観が目新しいです。若干ボーイズラブや同性愛の描写もあるので、大人向けのアニメにはなりますが、ストーリーにさらなる深みを与えてくれるので展開が気になりつつ楽しめます。
どちらかというとハッピーエンドではない終わり方なので、見ている間は感情の振り幅も大きく、アッシュとエイジの友情にほっこりしつつ2人の置かれた状況に緊張感もある良作であると思います。
男性向けというよりはどちらかというと女性の方が向いている作品であると思うので、海外ドラマ好きの方にはぜひお勧めしたいです。

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史上最高のブロマンスをあなたへ

男と男の友情は、何で成り立っていると思いますか?友情はいくつの形があると思いますか?人を愛することは、どういうことかわかりますか?
この作品は、最初から最後までずっと”人を愛する”ことについて語りかけてきます。
「BANANA FISH」は1994年に連載が終了した少し古い作品です。2018年にノイタミナ枠でアニメ化されました。私がおすすめするのはこのアニメの方です(もちろん、アニメを見終わった後あなたは必ず漫画に手を出します。絶対です)。

物語の主人公は陸上選手として活躍し将来が期待されていた奥村英二と、その美しい見た目のため幼いころからマフィアのボスの手ごまとされていたアッシュ・リンクス。英二が伊部というジャーナリストに連れられ、アメリカでアッシュと出会うところから物語は始まります。主人公の英二とアッシュの関係性を、アッシュの友人は「魂の奥深いところで結び付いていたんだ」と述べています。この二人はもちろん育った国も育った環境も何もかも違う。なのに、お互いが「幸福であってほしい」と願うような関係性になっていくその過程に涙を流さない人はいません。

魂で結び付くほどの深い愛に、この作品を通して触れ合うことができる。なぜ英二はアメリカに来たのか、マフィアの手ごまにされているとはどういうことなのか、BANANA FISHという題名の意味はなんなのか、二人は最後どうなるのか。最初から最後まで究極のブロマンスを、ぜひその目で確かめてください。

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名作中の名作少女漫画

少女漫画なのに少女は出てこない。なんやこれ、と思いながら1話から見続けていると、あっという間に夢中になっている、そんな作品です。
ギャングのボス「アッシュ」と写真家の助手「英二」の友情を、バナナフィッシュという存在を中心に、非常に危うく、しかし逞しく表現した作品です。単純な友情ではない、まさにこれこそ愛ですね。BLちっくな表現も織り混ざりますが、あくまで人間を味わう一種の手法として受け取ってもらいたいです。
そして何より複雑な人間関係がまた、その味わいを深めていきます。殺された兄、殺した親友、殺されたボス、殺した兄貴。キャラクターの憎悪が、キャラクター自身に降りかかる、躊躇のない絶望の叩き売り。だからこそ映えるのが英二の温かさと、強さです。ギャングのボスとして圧倒的な力を持つアッシュですが、それは決して望んで手に入れたものではありません。作為的に与えられ、逃れられなくなる地獄への切符そのものなのですから。
見返りばかりを求められて、純粋に手を差し伸べられることを知らずに育った山猫は、英二という存在に触れることで、心の氷を溶かし始めます。しかし、その流水が血に変わる時、友情は引き裂かれ、また新たな試練が与えられます。結末は賛否両論ですが、それが名作の証なのではないでしょうか。読者の望む結末が、本当の幸福とは限らない。見る人によって解釈が180度変わるような、後味がずっと残り続ける、非常に美しいラストをお楽しみください。また、番外編、後日談としてanother storyもございますので、そちらも是非ご一読ください。何度も噛みしめることのできる、名作中の、名作です。

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断捨離出来なかった…

タイトル通り、引っ越しの際、てんこ盛りにあったマンガ類を捨てまくったのですが、このマンガとあともう一つだけはどうしても断捨離出来ず今も本棚に。
高校生の頃、兄が読んでいたのに釣られて読み始めた「BANANA FISH」。あれから二十年以上経つというのに、当時の単行本カラーの黄色表紙と同じく、全く色褪せずに私の心のどこかに居座り続けている名作です。
まず、ハードボイルド的でありながら人情味が溢れているというか、ヒューマンドラマと言っても良いほど。女性はほぼ出て来ず、おそらく知ってる方々は同じことを感じると思うのですが、それが安っぽい安易な恋愛ごっこを引き起こさずこのマンガの価値を高めているものと。
ですので、恋愛ものを期待してる方には不向きと言わざるをえません。私も高校時代はそういう意味でちょっと残念に思った記憶がありますから。
そうなのですが、もしこのマンガに恋愛要素が絡んでいたら、断捨離しちゃってたかも知れないのですけどね。
でも、その代わりといってはなんなのですが、男同士の友情ものを求めている方にはもう絶対オススメーーー!!と顎が外れるくらい大声で叫びたいですっ!私もこれ読んで男に生まれたかった…英ちゃんになりたかった…と心底思ったくらいです(笑)。
ラストは…ここはもう読んでみて下さい。言葉は必要ないかと思います。
最後に。BLモノではありませんよ~念のため。

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少女マンガっぽくない少女マンガ

この漫画は「BANANA FISH」という謎の言葉について探るアメリカが舞台の少女マンガ。少女マンガというくくりに入っていながら、この作品の中心人物はみんな男性です。
この作品にはまる人は、みんなアッシュ・リンクスという10代の美少年に惚れます。彼は、金髪の女性顔負けの美少年で、スラム街のボスとしてストリート・キッズたちのリーダーとして君臨しています。そんな彼になぜ読者の女性たちは心を奪われるのでしょうか。それは、彼がただの悪ガキに留まらない、頭の良さと身体能力の高さにあります。大勢の人間に追われて、博物館に立てこもり全員殺してしまったり、電車の中で敵に囲まれても全員ナイフと拳銃で押さえてしまったり、頭の切れとそれを実行する身体能力の高さが読者を魅了するのです。
また、ストリート・キッズといえば本来、日本で言う不良のような存在と思われがちです。実際、そういう人もいるのかもしれません。しかし、この作品に登場する人物はみんなアッシュを筆頭に自分の信じるものに信念をもっています。「BANANA FISH」という謎の物体を巡ってマフィア、ストリート・キッズ、政治、多くのものを巻き込んだお話であり、登場人物ひとりひとりの思いから目が離せない作品です。

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友情と理想と、現実と闘争

コミックスで10年以上前に発売されたものが、2018年の秋に深夜のアニメとして放送されました。
主人公は、アメリカのスラムでストリートキッズのボス・アッシュ、そして日本からやってきた普通の青年・英二。まったく本来では設定がないはずの二人が、英二がカメラマン助手としてアッシュと接触し、その直後にスラムのもめ事に巻き込まれたことをきっかけに行動を共にします。
英二とアッシュだけでなく、アッシュを慕って集まっているスラムの青年たちや、数人の大人たちの助けを借りて彼らが、『バナナ・フィッシュ』とばれる麻薬を捜し、それに関わる闘争を描いている結構ハード目のお話です。
普通に銃がでてきたり、殴り合いなどの房量シーンもあるし、性犯罪などの描写もあります。けれど、そう言ったこと以上に目をひかれるのが英二とアッシュの関係だったり、もともとアッシュと行動を共にしていたショ―ターなどとのやりとりです。子供っぽいじゃれあいをしたり、信頼しているからこその割り切りや軽口。それでも、有事の際の連携のとれたやりとりなど本当に見ていて楽しいです。大きな権力に振りまわ去らざるを得ないスラムの子供たちが、必死で抗いそれに普通に暮らしていたからこそ、普通に手を差し伸べる英二の関係がとても興味をひかれるオススメの作品です。

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ここまで人の心に影響を及ぼすのか

アニメが放送され話題になったBANANAFISH。
私は原作漫画のファンだったのですが、再現率に驚かされてしまいました。多少のカットは仕方のないことですが、ここまで忠実に原作漫画をアニメ化しているものは珍しいと思いました。

あらすじとしては、もともと男娼として生きてきた少年がマフィアのボスに拾われ、自分もストリートギャングとして成長します。そして自分とは生きてきた環境も国も全く異なる少年に出会い変わっていく物語です。
主人公である少年の変化に注目してもらいたいのと同時に、彼にとって出会った少年はどういった存在だったのか。そしてその少年にとって彼はどういった存在だったのかを深く考えてもらいたいです。私は主人公にとって少年は母の様な存在だったのではないかと考えます。
男娼として育ってきて、いつも男性から性的な目で見られたり、大人達に一切守ってきてもらえなかった主人公。同世代の仲間たちはみな彼を恐れたり尊敬したりしていて、気の許せる仲間が少ししかいなかった。そんな中でその少年は彼に対して性的な目で見ることはおろか、年下というだけで主人公のことをやさしく母性の様な暖かさで包み、守ろうとしました。そんな少年に主人公はきっと母へむける愛情の様なものを芽生えさせたのだろうと思いました。逆もしかりで、その少年はつらい過去を無理やり押さえつけ、傷つく事に慣れ、強くあろうとする主人公に対して母性の様なものを持っていたんだろうなと思いました。
周りからは露骨な腐展開など言われたりもしていますが、私はこれを恋情と呼ぶにはあまりにも2人の愛が深すぎるな、と感じ2人の間にそんなセクシャルなものは挟めないと思いました。
私はこの作品を通して自分の生き方、環境、今ある幸せ…とにかくたくさんの『恵』に気付かされたと同時に、周りを取り巻く様々なものへの『愛』に気付きました。漫画やアニメでここまで人の心に影響を及ぼすのか。漫画を初めて読んだ時の気持ちがまた戻ってきました。
この作品のテーマは愛と家族かなと私は思っております。ただし、男娼の表現や露骨な虐殺シーンなどがあるので誰にでもはおすすめはできない作品です。なので評価は9にさせていただきました。上記の内容がOKの方にはぜひ1度見ていただきたいなと思います。

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女子におすすめ

何度観てもいいと思える作品。
最近、仕事が忙しくアニメをみる余裕がありませんでした。年末年始の休みを使って少し前から友人に勧められて見始めたのがきっかけです。
全24話ありますが私は2日で観終わってしまいました。それもこの作品、次の話が気になって気になって仕方なくなるのです。
一話ごとに考えされられる上に次の展開が全く読めない。麻薬の恐ろしさ、人の執念、犯罪、変えられない過去、友情、新たな出会い、そしてまた絶望。何度も泣きました。辛くて悲しくて報われない。誰一人として幸せになれない。主人公も最後までハッピーエンドじゃない。自分なりの解釈が必要なラスト。
それでもこの作品を何度も観たいと思ってしまうのは、主人公が自分の世界をしっかり持って信念を曲げないところ、何があっても守り抜く、生き抜く、そう己に誓った人は強いなと心から尊敬しました。
年とか性別とか関係なく自分自身を見つめなおすきっかけ、今生きている世界にも改めて考え直すきっかけをくれた作品です。

報われないことが多く、たくさんの悲しみが溢れます。ラストも決して幸せには終わりません。しかし、この作品には自分自身を見つめなおすきっかけがあったり周りの人を大切に思う気持ちをもう一度考えるきっかけになると思います。

ぜひ、この作品を通して「自分」をもう一度見つめてみてはいかがでしょうか。

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踠き生きる2人の姿に胸を打たれる

私がBANANA FISHを読むきっかけとなったのは、何を隠そう本作品のアニメ化が決まったというミーハーな理由からである。良く分からないが面白い作品であると認識し、全巻を大人買いしてしまった。
読み終わった人間から言わしてもらえば、気軽にこの作品を読みはじめては絶対にいけない。全ての人類に読んで欲しい気持ちもあるが、兎に角、心の準備をして読んで欲しい。

舞台はニューヨーク、主人公は美形で天才であるアッシュ・リンクスというギャングのボスと、奥村英二という写真家のアシスタントをつとめる少年だ。ギャングの取材のため、英二はアッシュの元を訪れる。アッシュは「BANANA FISH」という謎を追いかけている最中で、マフィアのボスから目をつけられていた。取材に訪れた英二が敵対する勢力から拉致をされ、助けに行ったアッシュも拘束されてしまってから、2人の物語は始まる。
その後、巻き起こる事件の数々が、平和に日本に暮らしている私達には衝撃的なものばかりなのだが、その詳細は割愛させてもらう。
本作の見処は、なんといってもアッシュと英二の絆に尽きる。幼い頃から残酷な運命に翻弄されてきたアッシュは、誰からも望まれる存在であった。ただ1人、英二だけがアッシュに何も望まなかった。平凡な英二はアッシュの救世主となり、特別な人間であるアッシュは英二の守りたい人となる。様々な人間模様が描かれる作品の中で、人生の幸せを見つけ、踠き生きる2人の姿に胸を打たれずにはいられない。
特別なことが巻き起こる中に生きていた彼らが望んでいたのは、特別でも何でもない日常だった。
この作品で学ぶことは計り知れない。

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アニメを見る前に、ぜひ原作を!

フジテレビで、アニメ化されたBANANA FISH。アニメーションの出来上がりもなかなかだと思うのですが、やはり、原作を読んでみることをオススメします。
オススメの理由として、まずそのストーリー性の見事さがあげられます。作品中に張り巡らされた伏線と、その回収の見事さには、カタルシスを覚えます。長い物語ではあるのですが、読み出せばあっという間に作品世界に引き込まれ、一気に読み終えてしまいます。
人物造形も素晴らしいです。作品主人公のアッシュ・リンクス初め、英二、マックス・ロボなどアッシュの味方につくキャラクターはもちろん、敵対するディノ・ゴルツィネや、あるいは登場回数の少ないキャラクターまで、しっかりした設定がされており、どのキャラクターにも共感できるポイントがたくさんあります。そして、どのキャラクターに感情移入するかでまた見方がかわります。個人的には、物語終盤、ディノ・ゴルツィネがアッシュにとったある行動が、意表をつかれながらもやはりあれしかなかったか、と、非常に腑に落ちる思いがしました。
作者の吉田秋生さんはキャリアの長い作家さんで、ほかにも幅広いジャンルのマンガを描かれていますが、その中でも傑作のひとつであると言えるでしょう。

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この作品を超える漫画はなかなかない

今はアニメにもなっているバナナフィッシュ。元の原作は古いので時代が今風になっている。最初は抵抗を感じたが、見始めるとこれもありかなあと思い始めた。
とにかく主人公アッシュが儚くて美しくて強い。過去の私はすぐさまアッシュに夢中になった。当時は時代背景が難しくてアメリカ史も勉強したりしたがアニメはそこは省略、分かりやすくなっている。2クールしかないので仕方がないのだと思う。またアッシュをとりまく仲間、敵対者も魅力的な人たちばかりだ。時には微笑ましくそして残酷にアッシュを苦しめていく。アッシュの過去はとても悲しく、孤独だった。でも英二という唯一無二の友に出会いアッシュは変わった。それ故に無敵の冷徹なアッシュに隙が出来た。それはこれからの運命を大きく変えるものだった。それでも最後の最後まで彼は幸せだったんだと思う…。
私は当時、英二が大嫌いだった。英二がいるせいでアッシュは不幸になると思っていた。足をひっぱりアッシュを危険にさらす…。だけどそれは間違いだったんだ。今改めて漫画をみるとどんなに危険になろうとそれでもアッシュは には英二が必要だったんだと思い知らされる。そして私は最終巻まで読み込むと何度目かの涙を流す。
ずっと一生手放せない作品だ。

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