BANANA FISH / バナナフィッシュ

BANANA FISH / バナナフィッシュ

『BANANA FISH(バナナフィッシュ)』とは、『別冊少女コミック』で連載されていた吉田秋生によるバイオレンスサスペンス漫画。1980年代のニューヨークを舞台に、バナナフィッシュというドラッグをめぐる、ストリートキッズ、アッシュの戦いを描く。ハードな抗争を繰り広げる一方、孤高に生きてきたアッシュが英二との友情を通して人間らしさや愛を覚えていく姿が描かれている。かねてより名作として人気を博していたが、2018年に吉田秋生40周年プロジェクトでアニメ化され、人気が再燃した。

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BANANA FISH / バナナフィッシュ
10

美少年のストリートギャングボス、アッシュと、19歳の日本人エイジの魂の深すぎる絆

ストリートギャングのボスであアッシュには、ベトナム戦争の帰還兵で廃人となってしまった最愛の兄がいた。彼は「BANANA FISH」と謎の言葉を告げ、その言葉に重要性を感じたアッシュは、兄を直すために手がかりを探します。実はアッシュには子供のころ売春を強いられていたという壮絶な過去を持っており、大人や金、権力に嫌悪を覚えています。
そのアッシュにコルシカ財団の長、ゴルツィネが自分の後継者として、異常なまでの愛と執着をアッシュに抱き続けます。アッシュの類い稀な美貌とIQ200の頭脳に魅了されてしまっているのです。手に入らない野生の獣を追うために、執拗にゴルツィネはアッシュを追い詰めていきます。コルシカ財団の繁栄とアッシュを手に入れるために、彼は中国の李家と手を結び、チャイニーズや黒人のハレムのギャングなど、ニューヨーク中のキッズギャングがマフィア相手に戦うことになります。また李一族も複雑な諸事情を抱えており、美しい末弟が一番恐ろしい事を企み実行するのです。
さて、エイジは写真家の助手としてアメリカに来るのですが、年齢よりも童顔でとても純真無垢な青年です。高校時代は棒高跳びの選手として活躍をしていました。ストリートギャングの取材をすることで、紹介されたたのがアッシュとの初対面となります。そこでアッシュの才能を妬むゴルツィネ配下にいるオーサーがダウンタウンの覇権をかけて奇襲攻撃をかけ、その場にいたエイジが巻き込まれることになります。
何とか助けを呼ぶため、配管を棒高跳びの棒として塀を飛び越えていくエイジ。エイジの通報を受けてアッシュは助けられるのですが、犠牲も出てしまいます。アッシュが「何の見返りも求められなかったのは初めてだ」という様な言葉が印象的です。それまで彼は幼い頃から無条件に愛されたことがなかったのですから。愛してくれたのは兄、ただ1人だったのです。そこからアッシュとエイジの交流は深まっていきます。自分をボスでもなく性的対象でもなく、畏怖もなにもなく普通に接してくれるのはエイジだけでした。困難に陥れば陥るほど、いつしかお互いの存在がかけがえのないものへと変わっていきます。
ところでBANANA FISHとはサリンジャーの小説に出てくる幻魚を元にしているのですが、そのサリンジャーの世界観が作品の至る処に見え隠れしてます。汚い社会への苛立ち、孤独、思春期の葛藤、人の温もりを求める心、等々がそうです。アニメ、漫画のBANANA FISHは薬物の名称です。この上もなく危険な。
いろんな弊害や利害などが複雑に絡みあって説明するのが難しい作品です。ですがアッシュのエイジへの想いには胸が打たれることでしょう。ラストは敢えて書きませんが、これしか方法がなかったのかな?と涙が溢れてしまいます。
アニメは映像がとても綺麗です。声優さんも素敵です。