原作の漫画も読みたくなる、胸が苦しくなる良作
舞台はニューヨーク。主人公は、聡明にして荒事にも滅法強く、金髪碧眼の美しい容姿を持つ少年・アッシュ。そのカリスマ性でストリートギャングを束ね、アンダーグラウンドで生活をしている。
ひょんな事からカメラマンの助手として取材にやってきた日本人の少年・奥村英二と出会う。
ギャングを束ねる自分に対しても物怖じせず接する英二に、アッシュは次第に心を開き、お互いにかけがえのない存在となっていく。
バナナフィッシュとよばれる薬物を中心にスケールの大きなストーリー展開になっている。
どのキャラクターも個性的で魅力があり、各々のキャラクター目線の描写が細かいため、感情移入しやすい。
戦争や国家の闇の汚い部分と、アッシュと英二の関係性の明るく純真な部分が対象的に描かれていて、まだ少年であるアッシュが汚い大人たちと戦わなければいけない様は胸が苦しくなってしまった。
英二には銃のない世界で生活してほしいアッシュと、アッシュを銃のない世界に連れ出したい英二。二人はすれ違い、また別々の世界へと身を投じる。
死をもって、ある意味で銃のない世界に行くことができたアッシュ。そのことを知らずに日本で日常に戻ってゆく英二。二人の別れてしまった道があまりにも残酷で、鑑賞後はズンと重たい気持ちになった。