踠き生きる2人の姿に胸を打たれる
私がBANANA FISHを読むきっかけとなったのは、何を隠そう本作品のアニメ化が決まったというミーハーな理由からである。良く分からないが面白い作品であると認識し、全巻を大人買いしてしまった。
読み終わった人間から言わしてもらえば、気軽にこの作品を読みはじめては絶対にいけない。全ての人類に読んで欲しい気持ちもあるが、兎に角、心の準備をして読んで欲しい。
舞台はニューヨーク、主人公は美形で天才であるアッシュ・リンクスというギャングのボスと、奥村英二という写真家のアシスタントをつとめる少年だ。ギャングの取材のため、英二はアッシュの元を訪れる。アッシュは「BANANA FISH」という謎を追いかけている最中で、マフィアのボスから目をつけられていた。取材に訪れた英二が敵対する勢力から拉致をされ、助けに行ったアッシュも拘束されてしまってから、2人の物語は始まる。
その後、巻き起こる事件の数々が、平和に日本に暮らしている私達には衝撃的なものばかりなのだが、その詳細は割愛させてもらう。
本作の見処は、なんといってもアッシュと英二の絆に尽きる。幼い頃から残酷な運命に翻弄されてきたアッシュは、誰からも望まれる存在であった。ただ1人、英二だけがアッシュに何も望まなかった。平凡な英二はアッシュの救世主となり、特別な人間であるアッシュは英二の守りたい人となる。様々な人間模様が描かれる作品の中で、人生の幸せを見つけ、踠き生きる2人の姿に胸を打たれずにはいられない。
特別なことが巻き起こる中に生きていた彼らが望んでいたのは、特別でも何でもない日常だった。
この作品で学ぶことは計り知れない。