あひるの空(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ
あひるの空は、日向武史原作のバスケットボール漫画。『週刊少年マガジン』2004年第2,3合併号より連載を開始し、現在コミックスは46巻まで刊行されている。 小柄ながらもバスケ熱にあふれた車谷空は、九頭龍高校に入学する。しかしバスケ部は、ただの不良のたまり場となっていた。それでも空のバスケに対する情熱が周囲を巻き込み、チームは成長していく。 そして「インターハイ出場」を目指す。
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『あひるの空』とは、日本の漫画作品である。バスケットボールを題材とした少年漫画で、作者は日向武史。スポーツ漫画でもあり、ギャグ漫画でもある。『週刊少年マガジン』にて、2004年に連載がスタートした。
神奈川県川崎市を舞台となっているが、その理由は作者である日向の住居が近いから。資料を集めるのが楽だからという理由で、川崎市を舞台に選んだとのこと。
主人公の車谷空(くるまたにそら)は、九頭龍高校に入学後、高校最初の大会で優勝するという母親との誓いを実現するため、バスケットボール部への入部を志すが、不良たちが集まっており、練習ができる状態ではなかった。この作品では、部員同士のトラブルや、部員と指導者の問題、部員の退部など、実際の部活動でも頻繁に起きていることが多く描かれている。また、部員の学校生活や恋愛、家庭事情など様々なテーマを楽しめるのが特徴である。
2019年にはテレビアニメ化されるなど、人気の作品となっている。
あひるの空は、日向武史原作のバスケットボール漫画。『週刊少年マガジン』2004年第2,3合併号より連載を開始し、現在コミックスは46巻まで刊行されている。 小柄ながらもバスケ熱にあふれた車谷空は、九頭龍高校に入学する。しかしバスケ部は、ただの不良のたまり場となっていた。それでも空のバスケに対する情熱が周囲を巻き込み、チームは成長していく。 そして「インターハイ出場」を目指す。
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『あひるの空』とは、身長の低い主人公車谷空がバスケットボールで奮闘する姿を描いた青春スポコン漫画。高校で不良ばかりが集まるバスケ部を立て直し、全国大会出場を目指す。仲間やライバルと切磋琢磨しながら成長していくが、途中で挫折も味わうこととなる。高校生達の想いや周りで支える大人達の名セリフは、日々何気なく過ごしている日常を刺激するような、心に深く残るものも多い。
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『転生王女と天才令嬢の魔法革命』とは鴉ぴえろによるライトノベルとそれを原作にした漫画、アニメである。略称は「転天」。この作品は「魔法に愛されなかった異端の天才」アニスフィア・ウィン・パレッティアと、「誰よりも魔法に愛された天才」ユフィリア・マゼンタの二人を中心とした物語である。アニスフィアは婚約破棄を突き付けられたユフィリアを助手にし、二人で魔法科学の発展を目指していく。また、二人の恋愛要素もあり、「王宮百合ファンタジー」というキャッチコピーがつけられている。
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高校バスケットボールを題材とした漫画です。
主人公である「車谷空」は幼少期から母親の影響でバスケを始めます。しかし、高校生になっても149cmと男子としては身長が低い空は、どれだけ努力しても身長を理由に試合に出られないなど報われない日々を過ごしていました。
母の応援によってバスケを続けて努力を重ねた空は、スポーツをする上では弱点となってしまう身長の高さに関わらず、成長を続けていくという物語です。
この漫画は部活での友情で感動できるし、試合は白熱して面白いです。
ですが、それだけではありません。
空がいる高校はバスケの弱小高校で、頑張ることを諦めた不良やバスケに興味が無いけれどさぼれるから入部した人が在籍しています。
しかし、彼らは空の頑張りに感化され、一丸となって部活を頑張り始めます。彼らは厳しい練習を通して上達していきますが、それ以上に昔から努力してきた人たちが山のように存在していて、チームが勝利できない悔しさを味わい続けます。
部活を辞めてしまう人や、過去を後悔しながらも諦めずに頑張り続ける人たちの心情を深く掘り下げています。
部活を頑張ってきた人、頑張りたかったけれど何かの理由で諦めてしまった人。
どちらの人にもきっとこの漫画は刺さると思います。
バスケットボールの名作といえば、『スラムダンク』を皆さんは思い浮かべると思いますが、私は断トツで『あひるの空』です。
理由としては、バスケットボールのアニメの中で最も現実的で臨場感があるものだと思うからです。
私は小学校から高校までバスケットボールをしており、高校はバスケットボールの強豪校に進学しました。バスケットボールに本気だったからこそ、他のバスケットボールアニメは現実的ではない部分を多く感じていました。
そんな中『あひるの空』はバスケットボールのシーンはもちろんですが、高校生活の男女の恋愛物語も含まれており、まるでアニメの中に入り込んだように楽しめます。
バスケットボールのアニメというと、バスケットボールに精通している人のみが視聴しがちですが、そんなことはありません。なぜなら、『あひるの空』は複雑なバスケットボールのルールを詳しく解説しながらストーリーが進みます。また、体の豆知識となるような話題も時折出るため、どなたが見ても楽しめるアニメです。
アニメの中だけではなく現実でも本気で頑張れば実現できそうなストーリーであり、感動シーンもたくさんあります。学生の方はもちろん、大人の方も学生の頃を思い出すアニメとなるでしょう。
熱心に部活動を行った経験のある人には特に刺さるリアリティのあるスポーツ漫画。
弱小のバスケットボール部が大きな目標に向かって成長していく過程が描かれていくが、その中で高校生ならではの苦悩(学問、恋愛、進路)にぶつかる様子も描かれている。
部活動の周りにある人間関係や怪我や伸び悩みによる挫折、保護者の支えや並行して営まれる高校生活の様子、そういったものがしっかりと描かれているので、身に覚えのあるような場面に触れることもあり物語が身近に感じられる。
目標に向かって努力し、一つ成長した時の喜び、手が届かなかった時の虚しさ。一生懸命だからこそ得られる特別な経験がこの物語の中には詰まっていて、それは高校生という年代にしか出来ないこと、その時だから出来ることを同時に描き出している。
また、それぞれの登場人物の背景も丁寧に描かれていて、それぞれがドラマを抱えながら日々の生活が送られているというリアリティのある場面も描かれる。そういった側面を切り取りながら一つの目標にチームとして臨んでいくという様子を描いている。
それは正にどこかにあるかもしれないような、そんな劇的ではない等身大の物語。それがより新鮮なスポーツの感動と熱気というものを体感させる要素となって働き、劇的な展開のあるバスケットボールの魅力を同時に引き立てている。
そんな魅力の詰まった『あひるの空』は高校生活の部活動・バスケットボールというものを中心に置きながら、登場人物の一人一人が送る人生をもってそれを多角的に捉えた酸いも甘いもある夢見がちには進まない等身大のスポーツ漫画となっている。
「これは決して無名の弱小校が全国に名を轟かすようなそんな奇跡の物語じゃない。挫折と再生。そして、そして、偉大なる敗戦への軌跡」作中に出てくるこの言葉が、作品すべてを表している。
このマンガに奇跡は起きない。だからこそ、読みいってしまう。
舞台は高校バスケットボール。150cmの3Pシューターの車谷空(くるまたにそら)が主人公。バスケットボール選手としてはめぐまれなさすぎる身体だが、元全日本選手の母ゆずりのシュートセンスと圧倒的な練習量で他を圧倒するスリーポイント成功率をほこる。
母が病気のため、長野から神奈川の病院へ。空の入学した九頭龍高校にはバスケ部があるが、そこは不良の巣窟でバスケなんてまともにしていない。そこから空の影響でどんどん周りの人間たちも変わっていき、仲間も増え、インターハイを目指すようになる。
しかし、試合にはほぼ負ける。母は亡くなる。部室が燃え、そのことが原因で廃部になる。など、序盤は空達がむくわれない展開がひたすら続く。読者の予想をことごとく裏切る。
「ここは勝つでしょ!」と思っても負けることがあるので、試合のシーンは最後までドキドキさせられる。
空以外のチームメートも癖のあるキャラぞろいで、それぞれにスポットが当てられるので、作中のお気に入りキャラもわかれるところ。
綺麗事だけじゃない、努力が全てむくわれるわけじゃない、そんな現実の青春時代を思い出させてくれる熱い作品です。
あひるの空は、少年漫画週刊誌「マガジン」にて連載中の漫画です。当漫画についておすすめポイントを挙げてレビューしてみます。
◆前例のない主人公
あひるの空は、バスケットボールが好きな高校生の主人公が出てきます。主人公は小さい身長(150cm)で体格に恵まれていません。しかし、自分だけの武器(3Pシュート)を駆使して戦います。非常に個性的で他に類を見ない魅力を持った主人公です。
◆バスケットボールのかっこいいプレー
バスケットボールはシュート・パスなどのプレーがあります。離れた距離からの華麗なシュート、豪快なダンクシュートなど様々な魅せプレーがあります。
多種多様なプレーを多く魅せていることもあり、ニッチなプレーだと「エルボーパス」などがありました。(自分の背中からボールをパスするもの。パスした腕ともう片方の腕の肘でボールを突くハイレベルなパス)
バスケットボールを知らない人でも、かっこよさを感じられると思います。
◆高校生の日常
バスケットボールがメインですが、その他のシーンも充実しています。勉強や球技大会、恋愛、顧問と生徒の関係、親子関係など生活面でのピックアップも多いです。登場人物を取り巻く環境を意識して、漫画にのめり込むことができます。
バスケットボールのマンガといえば、スラムダンクが有名ですが、あひるの空も負けず劣らず神作品。主人公の車谷空を中心に、それぞれ個性をもつ九頭龍高校のバスケットボール部がインターハイを目指す物語。いわゆるマンガやアニメにありがちな「非現実な技」や「必殺技」で奇跡を起こすのではなく、どの高校でもあるような「必死さ」や「努力」で次々に壁を乗り越えていく。自分の高校時代を思い出させ、自分を重ねてしまうそんな作品。また、九頭高のメンバーが元不良なのも、読者に感動をもたらす1つのポイント。スラムダンクでは、初心者であり不良の桜木花道がどんどん上手くなるという物語でしたが、この作品では、元々バスケットをやっていて(高校から始めたメンバーもいる)不良の道に逸れてしまったが、主人公の車谷空と出会いもう一度自分の高校生活をかけて、青春一杯の部活に取り組むという物語である。一度は逸れてしまったが空の熱量に動かされ、また部活にかけるそのストーリーがたまらなく素晴らしい。インターハイを目指していく中で、ずっと勝っていくわけではなく、負けを重ねて最後のインターハイ予選で勝ち進んでいく九頭龍高校。バスケットボールマンガはスラムダンクだけではありません。ぜひ、一度ご覧ください。
『あひるの空』(以下『あひる』)は2004年に少年マガジンで連載が開始され、2019年にはアニメ版がテレビで放送され始めました。
未だに連載されている長寿の漫画作品です。
長く続いている漫画は、大体すぐにテレビでアニメ化されます。
しかし、『あひる』に関しては、漫画の連載開始から15年の時を経て、テレビでのアニメ化に至っています。
これは一体どいうことなのかと言いますと、実は、作者の元にテレビのアニメ化の相談が何度かあったらしいのです。
しかし、作者本人がその度に断っていました。
主人公のキャラクター設定が「NBAを目指す」ことに変えられたりすることに、作者は納得しなかったようです。
確かに素人目から見ても、149センチでNBAを目指すのはいくらなんでもやりすぎだし、それに『あひる』の本質を掴み損ねています。
タイトルの「あひる」とは、まさしく「飛べる」ことが重要な資質となるバスケにおいて、身長が149センチしかない「飛べない」主人公のことです。
ただ、本質がないアニメ化を断るほどに、作者は真剣にこの漫画を描いているのです。
そういう作者の切実さが、読者である僕にはひしひしと伝わってきました。
この作品がいかに妥協のない作品なのかが分かります。
加えて、15年の時を経てもアニメ化に耐えうるという事実は、この作品が時の流れによって陳腐化されるような作品ではないということも証明しています。
『あひる』は車谷空という身長149センチの高校生を主人公にした、基本的にはバスケットボール漫画です。
いわゆる「チビ」である空が、身長が重要な資質であるバスケにおいてどう立ち向かっていくのかというのが基本ストーリーなのですが、この作品においてそんなことは別に大したことではありません。
『あひる』が他のスポーツ漫画と比べて特異なのは、バスケットボールを通して「人生」を描いているからなのです。
空たちの通う「クズ高」のバスケ部が試合で初めて勝利をあげるのは冬に入ってからです。
単行本だと20巻あたり。
そんなスポーツ漫画を僕は他に読んだことがありません。なのに、どんどん読めてしまうのです。
それはこの作品が「バスケットボールで勝利をあげること」に主眼を置いていないからに他なりません。
試合だけでなく、学校生活や恋愛もどんどん描かれます。
子供たちだけでなく、教師たちや親たちも悩みます。
『あひるの空』に出てくる大人たちはみんな魅力的です。
不完全だし、決して生徒たちの規範となるような大人ではないにもかかわらず、魅力的なのです。
大人になっても人は悩むし、むしろ大人になってからの方が悩むのが人生ではないでしょうか。
また、『あひる』では音楽がよく流れます。
音楽が記号として単純に描かれているだけでなく、読んでいると本当に聞こえてくるのです。
自分がその音楽を知っていると、頭の中でリズムが立ち上がり、メロディが鳴り出し、歌詞がリフレインされるのです。
たぶん作者が音楽を愛しているからだと思います。
『あひる』はバスケ漫画ですが、バスケそのものよりも、雨の日の体育館で埃の舞う匂いや、かつて学校の渡り廊下から眺めた景色、試合の朝に感じるいつもと異なる空気の響き、部活を途中で辞めた後にかつての仲間と鉢合わせる気まずさ、そんなものを思い出させてくれる作品なのです。
スポーツをやったことのない人にも、ぜひお勧めしたい青春漫画です。
バスケ漫画といったらSLAM DUNKですが、リアルさやバスケットに対しての奥深さはそれ以上にうまく表現されています。
勝つことの難しさやチームとして成り立つ大変さなど、高校生らしいリアルさがあります。
作中のキャラクターが人間として成長していく姿も心を熱くします。
高校生ならではかもしれませんが、バスケットは身長でやるスポーツではないと痛感しました。
必殺技などをなしにして盛り上がれるのはスポーツ漫画の醍醐味だと思います。
主人公の負け試合でベスト試合になるような漫画も珍しいと思います。
漫画家の先生の構成力が素晴らしいと思います。
また対戦相手が魅力的なのも惹き付ける一つです。
外見がイケメンだからとかでなく、どの選手も熱い気持ちを持っていて読者がのめり込む一つの要因です。
再登場したり、さりげない絡みなど、ワクワクする展開もたくさんあります。
バスケだけでなく、オシャレにも気をつかっているので、高校生ならではの物語にもなっています。
笑い有り涙有りのマンガで希望と絶望、リアルを追求したとても面白い漫画です。
漫画自体のスピード感がとても心地よくて焦りもせず、ゆっくりもせず漫画の世界のスピードをちゃんと保って進んでるからこそ飽きないんだと思います。全年齢にオススメです。
本作品は2004年から週刊少年マガジンに連載され、『スラムダンク』や『黒子のバスケ』などと並ぶ人気バスケ漫画です。2019年にはアニメがスタートし、ファンの間では非常に大きな話題となりました。
物語の概要は、低い身長がコンプレックスの主人公・車谷空が、不良の先輩達の集う弱小バスケ部に入部し、インターハイ出場を目指していくという内容です。
物語の見所は、常にいろいろな逆境にぶつかっても努力を怠らない各人物の成長過程が、丁寧に描かれている点です。スポーツ漫画のよくあるパターンとして、初めのうちから才能あふれる選手が現れ、主人公を要するチームがある程度強いレベルから話が始まるケースが多いです。しかし、『あひるの空』は全くそんなチームではなく、試合ではしばらく負けが続いていきます。実際に勝ち始めるのは巻数がかなり進んでからです。そういった厳しい現実に直面しながらも各人物・チームが徐々に成長していく描写は、他のスポーツ漫画には正直見当たらないです。成長の度合いも半端じゃないです。過去にボロ負けした相手チームに対しても、1年後にリベンジを果たすなど大変見応えのある内容です。
また、ユーモアな内容や恋模様なども描かれており、非常に多様性のある深い作品となっています。ぜひ一度読んでみて下さい!
最近私はアニメあひるの空にはまっています。中学生の息子に「お母さんが好きそうなアニメがあるよ」と紹介されて以来、本人よりはまってしまっています。アニメ放送が待ちきれなく結局その当時発売されていた50巻までを大人買いしてしまいました。昔懐かしい?もしくは当時は多感な思春期で青春を謳歌できなかった母親父親世代にもピッタリのスポ根アニメです。
主人公そらは男子高校生。バスケットが大好き。長野県から病気のお母さんが入院している神奈川県まで転校して来ました。おばあちゃんの家に下宿しながらバスケができる事を胸に高校へ通い出しますが、その高校には形ばかりのバスケ部しかなく、部室は不良のたまり場になっていました。そらは部員を集め、バスケ部を復活させるところから始めます。インターハイ出場を目指して。
そらは自分の低身長を嘆くのではなく、それも受け入れたうえで試合に出る為、戦うために3ポイントシュートを身につけ、精度を上げる為にただひらすら努力をするタイプ。その姿に感化され、キャラの濃い仲間たちが集まり、チームになっていきます。漫画なのに浮世離れしすぎず、積み上げて積み上げて、それでも結果が出るとは限らず…という作者は完全にマゾだなと思いながらもバスケの面白さ、試合のスピード感等々に引き込まれ読みだしたら止まらない漫画です。
ギャグがとても面白く思わず笑ってしまうことが多々あった。しかし試合になるとかっこよくなる登場人物が多く、そのギャップに惹かれた。この話の展開における緩急は最高で、読みだすと止まらないことがとてもあった。敵味方ともに背景ストーリーが深くライバル高校も応援したくなる物語であるため、1つの視点でなく多角的視点でこの漫画を読むことができて他の漫画にはないものを感じた。また、結局毎回勝つような漫画ではなくそれどころか何度も挫折を味わっているところにどこか現実味を感じた。初期からいた部員がやめていくところや主人公の母親がなくなってしまうところはとても悲しいがだからこそそれを乗り越える姿に心惹かれる。自分の高校の部活時代を思い出しそれと重ねたくなるような青春の物語であった。しかし、全員に受ける漫画ではないように思える。すなわち好みが分かれる。何かに向かって一生懸命努力したことがある人、それでさらに挫折を味わった人からしたら心打たれることが多く本当にいい漫画と思われる。逆に、漫画には夢や現実離れしたことやファンタジーを求める人からしたらどこか味気なく感じるかもしれない。いい意味でも悪い意味でもスポーツ漫画の枠の中に納まらないかもしれない作品であると思う。
週間少年マガジンで連載中のバスケ漫画・あひるの空。
学校の不良と共に仲間を増やし努力を積み重ねる、王道青春スポーツ漫画。
主人公・車谷空は高校進学を機に、母の入院する病院のある神奈川県川崎市の高校へと進学する。インターハイに出場したら会いに行くと母へ宣言するが、部は校内で悪名高い双子によって不良のたまり場となっていた。平均よりも身長の低い空は不良たちに「おまえには無理だ」と馬鹿にされる。それでもバスケットボールをした空は「バスケで勝負しましょう」と持ち掛け、5対1の勝負を制す。悪名高い双子の弟・花園百春は空のシューターとしてのセンスと類まれなる努力を前に魅了され、バスケットボールの経験を思い出し、空と二人で部活を始める。
不良やスポーツのセンス、努力というよくある設定の王道漫画だが、あひるの空は決して努力が報われ夢が叶う物語ではない。青春の中にある努力と成長、そして挫折を描いている。
仲間を集めて順調に力を身に付けある程度の試合ができるようなった空たちだったが、たった一回の敗北から煙草を吸おうとした百春たちのせいで部室が燃え、部は廃部となってしまう。それを同じくして、インターハイに行ったら会いに行くという空と母親との約束は、負けたその日に母親の病死という形で破れてしまう。
努力を重ねた先にある勝利や栄功を「あひるの空」は簡単には描かない。現実と物語としての絶妙なアンバランスで物語は展開される。
シューターとしての母親譲りのセンスを持つ空には、バスケットボール選手として重要な「身長」という最大の武器を持たない。空の唯一の羽であるシューターとしてのセンスも試合ではもがれる。
物語の中は空だけではなく、部員や教師たち、他校の生徒の成長と進歩が描かれている。それぞれが抱える苦悩を一つの試合ごとテーマとなり、苦悩する原因や逃げる過去へと立ち向かうきっかけとなる。
あひるの空には多くの登場人物の苦悩や成長、そして未来を描くが、全てが伏線として回収されることはない。読者に対して未来を想像させる。
また雑誌掲載と単行本で読み方が変わる。漫画は1話の終わりは多くが引きで終わる。特にスポーツ漫画にそういう構成が多い。あひるの空も例外ではないが、単行本ではそれらが極端に少ない。1話ごとの扉絵も極端に少なく、試合の流れをノンストップで読むことができる。
王道漫画にありがちな努力と成長だけではなく、努力の先にある挫折をテーマにした物語。
少年達は挫折のために未来へと歩いて行く。
このマンガは、身長150㎝の主人公が、廃部に近い状態だった高校に入学し、そこでいろんな先輩や仲間に出会い、バスケットボール部を復活させてインターハイ優勝を目指すというストーリーです。バスケットはルールが毎年変わるなど複雑だったりするので、なかなかマンガにするのは難しいのですが、このマンガはルールを忠実に再現されていて、経験者の方であればとてもリアルでおもしろいと思います。身長が低くいから諦めるのではなく、低くても戦えると教えてくれたり、チームで戦うとはどういうことなのかを教えてくれます。
このマンガで面白いのはストーリーが単純なサクセスストーリーではないところです。試合にすべて勝利するだけではなく、完敗やワンゴールの差で負けたりと、現実の試合でありそうな展開を描いているので見れば見るほどマンガの世界に引き込まれます。さらにバスケットのマンガではあるのですが、高校生の設定なので、普段の高校生活のシーンも描かれていて何気ない会話のシーンもどこか懐かしく思えて好きです。部活の顧問と主人公が親子なので、そこでの会話のやりとりも見ていただきたいです。バスケットに高校生活に親子の関係に見れば見るほど次の展開が気になってしまうマンガだと思います。
あひるの空とは高校バスケットボールを題材にした漫画です。アニメ化されるほどの人気漫画です。
なにが「今までになかった」かというと、主人公が所属する九頭龍高校バスケットボール部はびっくりするほど負けます。大事な試合、練習試合、などなど初期の方はほとんど勝ちません。
スポーツ漫画というと、下手だったチームが過酷な練習を経て強豪をなぎ倒す!というのが一般的ではないでしょうか。あひるの空の作者、日向武史は「リアル」を追求しています。作者コメントでも読者の傷をえぐりたいと言っています。勝ち負けでなく、リアルな葛藤を描いている部分こそあひるの空の醍醐味と言えます。
さらに、スポーツ漫画ではありえないこともしています。
それは、結果を先に描いてしまうことです。つまり、勝敗がわかっている試合を読むことになります。なにがおもしろいの?と思う方もいるかもしれませんが、作者曰く、そこまでの過程を見て欲しい。本当に大事な部分はそこなんだ、と。
明らかに他のスポーツ漫画では味わえない感覚、しかし部活動やなんらかのスポーツをやっていた人ならば、あの時の感覚が蘇るような、そんな漫画です。
あひるの空の中で一番好きなセリフがあります。
必死に努力して強豪に挑むバスケ部を見てサッカー部が「一年からちゃんと練習していたらバスケ部のように強豪と戦えたのかな。」とつぶやきます。そして顧問の先生が「わからんが、その後悔は一生消えんぞ。」と放ちます。
作者の思惑通り、見事に自分の傷がえぐられました。
お試しでも良いので、まず1巻だけでも読んでみて下さい。
高校バスケを舞台にしたマンガで、主人公の車谷 空(くるまたに そら)は九頭龍(くずりゅう)高校に入学します。ところがこの九頭龍高校、とんでもないヤンキー高校で喧嘩等のトラブルは日常茶飯事。特にバスケ部は問題児の集まりで、そんな中で部活をすることは絶望的な状況。
主人公の両親は二人とも元バスケットボールプレイヤーで、幼少の時から特に母親からバスケを教わっていました。そんな中、母親が病気の為にバスケが出来なくなり、主人公の元から遠く離れて入院生活を送ることになります。そこで母親と交わした約束が「高校バスケで全国優勝した時は会いに行く」というもの。そんな純粋な想いを胸にバスケをしようとするが、それを良く思わないヤンキーの先輩方。最初は嫌がらせ等で邪魔ばかりしてきますが、主人公のひたむきな姿勢に感化されて共に部活をする仲間になっていきます。
その仲間は当然として、周りのライバル達や顧問などのキャラも一人一人が濃く、味のある人物で感情移入する場面が多々あります。また、心に刺さる言葉も多く、現役のバスケ部は共感出来ること間違いなし。
バスケのルールも所々で説明があるので、バスケ未経験でも話はわかると思います。舞台が高校なので、そこに近しい年代の方には是非とも読んでみて欲しいです。