あひるの空 / Ahiru no Sora

あひるの空 / Ahiru no Sora

『あひるの空』とは、日本の漫画作品である。バスケットボールを題材とした少年漫画で、作者は日向武史。スポーツ漫画でもあり、ギャグ漫画でもある。『週刊少年マガジン』にて、2004年に連載がスタートした。
神奈川県川崎市を舞台となっているが、その理由は作者である日向の住居が近いから。資料を集めるのが楽だからという理由で、川崎市を舞台に選んだとのこと。
主人公の車谷空(くるまたにそら)は、九頭龍高校に入学後、高校最初の大会で優勝するという母親との誓いを実現するため、バスケットボール部への入部を志すが、不良たちが集まっており、練習ができる状態ではなかった。この作品では、部員同士のトラブルや、部員と指導者の問題、部員の退部など、実際の部活動でも頻繁に起きていることが多く描かれている。また、部員の学校生活や恋愛、家庭事情など様々なテーマを楽しめるのが特徴である。
2019年にはテレビアニメ化されるなど、人気の作品となっている。

anna_dollのレビュー・評価・感想

あひるの空 / Ahiru no Sora
8

今までになかったスポーツ漫画

あひるの空とは高校バスケットボールを題材にした漫画です。アニメ化されるほどの人気漫画です。
なにが「今までになかった」かというと、主人公が所属する九頭龍高校バスケットボール部はびっくりするほど負けます。大事な試合、練習試合、などなど初期の方はほとんど勝ちません。
スポーツ漫画というと、下手だったチームが過酷な練習を経て強豪をなぎ倒す!というのが一般的ではないでしょうか。あひるの空の作者、日向武史は「リアル」を追求しています。作者コメントでも読者の傷をえぐりたいと言っています。勝ち負けでなく、リアルな葛藤を描いている部分こそあひるの空の醍醐味と言えます。
さらに、スポーツ漫画ではありえないこともしています。
それは、結果を先に描いてしまうことです。つまり、勝敗がわかっている試合を読むことになります。なにがおもしろいの?と思う方もいるかもしれませんが、作者曰く、そこまでの過程を見て欲しい。本当に大事な部分はそこなんだ、と。
明らかに他のスポーツ漫画では味わえない感覚、しかし部活動やなんらかのスポーツをやっていた人ならば、あの時の感覚が蘇るような、そんな漫画です。
あひるの空の中で一番好きなセリフがあります。
必死に努力して強豪に挑むバスケ部を見てサッカー部が「一年からちゃんと練習していたらバスケ部のように強豪と戦えたのかな。」とつぶやきます。そして顧問の先生が「わからんが、その後悔は一生消えんぞ。」と放ちます。
作者の思惑通り、見事に自分の傷がえぐられました。