主人公をどこまで突き落とすんだと突っ込みたくなるけど、応援したくなるマンガ
「これは決して無名の弱小校が全国に名を轟かすようなそんな奇跡の物語じゃない。挫折と再生。そして、そして、偉大なる敗戦への軌跡」作中に出てくるこの言葉が、作品すべてを表している。
このマンガに奇跡は起きない。だからこそ、読みいってしまう。
舞台は高校バスケットボール。150cmの3Pシューターの車谷空(くるまたにそら)が主人公。バスケットボール選手としてはめぐまれなさすぎる身体だが、元全日本選手の母ゆずりのシュートセンスと圧倒的な練習量で他を圧倒するスリーポイント成功率をほこる。
母が病気のため、長野から神奈川の病院へ。空の入学した九頭龍高校にはバスケ部があるが、そこは不良の巣窟でバスケなんてまともにしていない。そこから空の影響でどんどん周りの人間たちも変わっていき、仲間も増え、インターハイを目指すようになる。
しかし、試合にはほぼ負ける。母は亡くなる。部室が燃え、そのことが原因で廃部になる。など、序盤は空達がむくわれない展開がひたすら続く。読者の予想をことごとく裏切る。
「ここは勝つでしょ!」と思っても負けることがあるので、試合のシーンは最後までドキドキさせられる。
空以外のチームメートも癖のあるキャラぞろいで、それぞれにスポットが当てられるので、作中のお気に入りキャラもわかれるところ。
綺麗事だけじゃない、努力が全てむくわれるわけじゃない、そんな現実の青春時代を思い出させてくれる熱い作品です。