大奥(よしながふみ)のネタバレ解説・考察まとめ

『大奥』とは、よしながふみによる日本の少女漫画。2004年より隔月刊誌『MELODY』にて連載。男子のみがかかる謎の疫病「赤面疱瘡(あかづらほうそう)」によって男が女の1/4以下になった空想の江戸時代を江戸城・大奥を中心に描く。2010年、二宮和也主演で実写映画化、2012年には堺雅人主演でテレビドラマと続編映画2作が制作された。ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞他、多数受賞。

男子が赤面疱瘡で死ななくなり武家において男子が跡を継ぐことが増えていく中、古くから徳川家に仕える安倍家では女性当主・安部正広が立つ。
寺社奉行として手腕を発揮した正広は若くして老中に取り立てられる。
正広は陰間・瀧山を身請けし、瀧山に共に日本と将軍のために働こうと誘う。
1815年、黒船が来航。第13代将軍・徳川家定が立つ。

『大奥』のあらすじ・ストーリー(家定編)

幼少の頃より父・家慶から性的虐待を受け続けてきた家定は老中・安部正広によって西の丸奥に匿われる。
元陰間・瀧山は西の丸奥の総取締となり、家定を家慶から守ることに心血を注ぐが家慶の執着は家定から離れることはなく、家慶によって家定の正室になるためやってきた男たちは次々に暗殺される。

1853年、黒船が来航し江戸は大混乱に見舞われ、家慶はパニックに陥って急死。
家定が第13代将軍として立つことになる。
正広は身分に関わらず意見を募り、海軍伝習所を設置するとともに日米通商条約を結ぶ。
これにより200年の長きに渡って続いた鎖国体制は終焉を告げた。

そんな折、家定の結婚相手として島津胤篤、後の天璋院篤姫が決まる。
篤姫とふれあう中で家定は少しずつ心をほぐし、今まで叶わなかった外出をするまでに回復する。
正広は家定と日本の未来のため尽力し続け、ついに心労に倒れ、死亡する。

『大奥』の登場人物・キャラクター(家慶編・家定編)

登場人物が重複するため1つにまとめる。

徳川家慶(とくがわいえよし)

第12代将軍。
容姿も人となりも愚鈍。
祖母・治済に家斉に代わる傀儡として期待され、45歳で将軍職を譲られる。
将軍になってからも引退した父の力が強いことを不満に想い、父や側室への不信感から愛する娘・家定と近親相姦に及ぶ。
家斉の妻・茂姫に注意を受けるがシラを切り通し、自身の失態で江戸城本丸が焼け落ちたことをきっかけに家定と離される。
西の丸奥に匿われた家定の元を訪ねて追い返されたため憎悪を募らせ、家定を毒殺しようとする。
黒船の来航で発狂し、死亡。

徳川家定(とくがわいえさだ)/祥子(さちこ)

第13代将軍。
父・家慶から性的虐待を受け続けており、江戸城から離れることを望んでいる。
聡明で、諸大名の事情を知り尽くしている。
将軍として立って以降、阿部正広と親交を深める。
家慶の暴力を知った広大院(茂姫)によって父から離され、西の丸奥に匿われて過ごすが父親によって毒を盛られ、自身は助かるものの再婚相手を失う。
黒船来航の際にはアメリカに対する的確な対応を取った。
再々婚の相手として江戸へやって来た胤篤によって心を開き、今まで避けていた外出をするようになる。

阿部正広(あべまさひろ)/真佐女(まさじょ)

阿部家の娘。
兄から家督を相続し、寺社奉行として活躍。幕府や市民からの賞賛を受け、老中へ就任。
家定が性的暴行に苦しんでいることを知り、広大院の力を借りて家定と家慶を引き離す。
陰間の瀧山(たきやま)を身請けし、ともに日本の為に働く。カステラが好物。
数少なくなった女性の幕臣として、女性に反骨心を募らせる人々を抑えつつ、また家定を守るため細心の注意を払っていたが、家慶によって家定に毒を盛られてしまう。黒船来航の際には全国から対応を募った。
老中の首座となって後も家定と日本のために心血を注ぎ続け心労で死亡。

瀧山(たきやま)

女性と間違えるほどの類まれなる美貌の持ち主。
母親が殺人事件を犯したために陰間となり、料理茶屋で阿部真弘と意気投合し身請けされる。
家定が匿われた西の丸奥の総取締となり、後に大奥総取締となる。
家定を護ることに心血を注ぐが家慶によって家定とその再婚相手に毒を盛られ、それを許した家定にさらに尽くすため大奥の管轄に力を入れる。

『大奥』の用語解説

赤面疱瘡(あかづらほうそう)

徳川第3代将軍家光の御代に唐突に現れた疫病。
東北の山に棲む熊から、少年・定吉を介して人里に広まった。
男子のみが罹り、赤い発疹ができ皮膚が爛れ高熱が出てやがて死に至る。
疱瘡(天然痘)に似ていることから赤面疱瘡の名がついた。
長年治療法が見つからず、男子なら皆罹る病気として日本社会に根付いている。
赤面疱瘡はウイルス感染によって引き起こされるとされている。

人痘(じんとう)

ウイルスは自身だけでは遺伝子を残すことができず、相性の良い生物の細胞に寄生して自らを複製(コピー)して増える。
この複製の際に発生する突然変異(エラー)の1つに「ウイルスの弱毒化」がある。
弱毒化したウイルスをあらかじめ人に感染させれば、人の体内にそのウイルスに対抗する情報(免疫)ができる。
強毒ウイルスに先回りして感染させるための弱毒ウイルスを「ワクチン」と呼ぶ。

人痘は、オスマントルコにおいて実践されていた天然痘の治療法に倣い、弱毒性赤面疱瘡患者から発疹を取り、健康な男に針を利用して接種し感染させるものである。1度弱毒性赤面疱瘡に罹った者は生涯赤面疱瘡に罹ることはないため死ぬこともない。
ただし100人に3人は副作用で死ぬとされている。

4zhisashi1961
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@4zhisashi1961

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