大奥(よしながふみ)のネタバレ解説・考察まとめ

『大奥』とは、よしながふみによる日本の少女漫画。2004年より隔月刊誌『MELODY』にて連載。男子のみがかかる謎の疫病「赤面疱瘡(あかづらほうそう)」によって男が女の1/4以下になった空想の江戸時代を江戸城・大奥を中心に描く。2010年、二宮和也主演で実写映画化、2012年には堺雅人主演でテレビドラマと続編映画2作が制作された。ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞他、多数受賞。

『大奥』のあらすじ・ストーリー(家治編)

家重は将軍職を娘に譲り、第10代将軍・家治が立つ。
家治は側用人であった田沼意次を老中に取立て赤面疱瘡の撲滅を委ねる。
田沼はその人柄と手腕で絶大な支持を得るが、蘭学の奨励や、今までの武家にはなかった金を重んずる方針から次第に反発を生んでゆく。

大奥で赤面疱瘡の解明に挑む青沼は、弱毒性の赤面疱瘡を故意に人に遷すことで強毒性の赤面疱瘡に罹患することを防ぐ「人痘(じんとう)」を成功させる。
この人痘によって今まで罹患すれば助かることのなかった赤面疱瘡で助かる男子が生まれ、大奥内で成果を上げるが、松平定信の甥が人痘の副作用で死亡してしまう。

浅間山の噴火、天明の大飢饉といった天災や、家治の世継ぎ・家基、田沼意次の娘・意知の死が重なり、多くの人から責任を擦り付けられて田沼は失脚する。
将軍・家治も長らくお匙に飲まされていたヒ素の中毒症状で田沼の失脚と同時期に死亡。
大奥で青沼から蘭学を学んだ者は追放され、青沼は死刑に。
次期将軍の座を狙う徳川治済の陰謀によってレイプされた平賀源内は梅毒に侵されて死亡する。
徳川治済は従姉妹の松平定信を老中にし、我が子・豊千代を次期将軍に据える。
豊千代は名を家斉と改め、第11代将軍・徳川家斉が誕生する。第3代将軍・徳川家光以来絶えていた男子の将軍の誕生である。

『大奥』の登場人物・キャラクター(家治編)

田沼主殿頭意次(たぬまとのものかみおきつぐ)/お龍(たつ)

家重の小姓。
後に家重の側用人となり、家治によって老中へ出世。
家重の小姓に任じられた際は己が失態を犯して左遷されたのかと不安がり、家重の男好きに不快感を示していたが家重の表には見えぬ知性に気づき、家重を支えることを決意する。
吉宗に「百姓から年貢を取り立てる代わりに商人から銭を取ってはどうか」と意見し、今後の政治、そして赤面疱瘡の根絶を託される。
死に際した家重も「田沼意次こそ第8代将軍のご政道を引き継ぐ女」と遺言を残し、家治によって老中に取り立てられる。
赤面疱瘡を根絶するため、本草学者の平賀源内の協力を得て、蘭学者で医者でもある青沼に大奥内で赤面疱瘡の研究を行わせる。
弱毒性の赤面疱瘡を使った人痘(ワクチン摂取)によって赤面疱瘡を予防できることがわかると、大名の子などに積極的に接種を行わせ、その知名度を上げることに尽力した。しかしその人痘の副作用で吉宗の孫・松平定信の身内が死去。
浅間山の大噴火や飢饉、娘である田沼山城守意知(たぬまやましろのかみおきとも)の暗殺が重なり、さらに将軍・家治が長年盛られていたヒ素の中毒症状で倒れたために力を失い、老中の職を解かれる。

平賀源内(ひらがげんない)/お吉(きち)

本草学者。
平賀家の跡取りとして生まれるが、仲の良かった弟が赤面疱瘡で死んだことをきっかけに、赤面疱瘡を治療するため本草学を学ぼうと家を出る。
田沼意次と親しく、彼女とは赤面疱瘡を根絶したいという夢が同じだったため協力して蘭学者の青沼を大奥へ呼び、蘭学を大奥へ広めるとともに赤面疱瘡の研究に参加する。人痘を作る際には方々を廻って弱毒性の赤面疱瘡患者を大奥へ連れてきた。
東北の山奥で赤面疱瘡に冒されている熊の研究にも励み、赤面疱瘡が元々は熊だけが罹る業病だったのではないかと気づく。
男装で過ごす同性愛者(トランスジェンダーかもしれないが明確な記載はない)で、女性にモテる。
役者の菊之丞に愛されるが袖にしたことで恨まれ、田沼の力を削ぎたい徳川治済の誘いに乗った菊之丞が集めた男たちに暴力を受け、その際に梅毒に冒される。
菊之丞とは後に復縁し、最期の時を彼女の家で過ごし、田沼によって赤面疱瘡予防接種が広まったと信じて息を引き取った。

青沼(あおぬま)

蘭学者。
オランダ人と丸山遊女の間に生まれた金髪碧眼の大男である。
大通詞で外科医の吉尾耕牛の一番弟子として平賀源内に見込まれ、大奥で蘭学を教え、赤面疱瘡の研究に務める。
赤面疱瘡に強毒性と弱毒性があることに着目し、弱毒性の赤面疱瘡に感染することによって免疫を作る人痘を思いつき、大奥の人々をはじめ田沼意次を介した大名の子らなどに接種し続けた。
田沼意次の失脚により死刑に処される。

徳川家治(とくがわいえはる)/竹姫(たけひめ)

第10代将軍。幼名・竹姫。
家重とお幸の方の間に生まれた。
なんでもそつなくこなすが調子のよいところがあり、祖母である吉宗に心配される。
御台所として迎えた五十宮(いそのみや)とは大変仲のよい夫婦となるが五十宮を病で亡くし、娘の家基も18で死去してしまいお匙の作る薬湯を飲むようになるがその薬湯にヒ素を仕込まれ中毒で死ぬ。

黒木良順(くろきりょうじゅん)

御右筆。青沼の世話係。
蘭学者で医者の父を持つが、偽物を高く売りつけ適当な診療をもって良しとする父に反発し大奥へ入る。
青沼の医療を見て医者に対する考えを変え、ともに赤面疱瘡撲滅に向けて研究を進める。
田沼意次の失脚を受け大奥を追放された後は村の医者として過ごしていた。家斉の極秘訪問を受け、天文方の役人となり、再び赤面疱瘡撲滅に取り組む。

青海伊兵衛(おうみいへえ)

廻船問屋・青海屋の次男。
出来の良い兄と比べられて育ち、荒れていた。
兄が婚約者であるお春にフラレた悲しみで自殺した際にお春から想いを告げられ、一夜の過ちを犯す。
お春が出家したことで激怒した母親により大奥へ入れられ、針子として働くことになる。
針子をサボるために青沼の教える蘭学の教室へ顔を出すようになり、そこで外科手術を学び心を入れ替え、針子の仕事をきちんとこなすようになる。
後にお春が出家したのは病のためであったことを知り、母親と和解。
田沼意次失脚後、大奥を追放され、黒木の助手として働く。
生涯独身を貫いた。

4zhisashi1961
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@4zhisashi1961

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