デビルマン(劇場版DEVILMAN)のネタバレ解説・考察まとめ

2004年公開の永井豪原作の『デビルマン』実写映画。PG-12指定作品。制作費10億円、CGと実写の融合だけではなく手描きのカットを差し込む実験的映画で、双子がデビルマン(アモン)とサタンを演じるとあって話題作となった。
「デビルマン」になった不動明が人間と敵対するデーモンを討伐するために立ち上がり、最後は世界の終末のような場所で持てる限りの力を使いサタンである了と最終決戦に臨む。

河本巳依子(ミーコ)

渋谷飛鳥が演じる。
いじめられっ子で学校にあまり出てこなかったが、ある日「お前デーモンなんじゃないの?」と囃し立てられ、デビルマンであることがバレてしまう。
ススムと出会い二人で逃避行を続け、牧村家に身を寄せるが、それが原因で牧村家は暴徒が押し寄せる結果となった。

ススム

ミーコがマンションで出会った少年。
母親が最近おかしい、という話をミーコにしていた。その母親がデーモンと化し自らを殺そうとしたため逃げ出した。
ミーコと行動をともにするが、デーモンでもデビルマンでもなく、人間である。

原作との違い

デーモンの描かれ方が、原作では「人間の天敵で驚異」となっているのに対し、映画では明の弱みをフィーチャーすることにより「デーモンは本当は弱い存在」という位置付けになっている。
また、主な登場人物でデビルマンとなったのは明とミーコの二人のみだが、明もミーコも偶然デビルマンになっていて、中盤明の口から
「『人類を自分の意思で守るためにデビルマンになった』と思わないと耐えられない。」
という意味のセリフがある。
デーモン同士の殺し合いも原作では描写されているが、映画ではデーモン同士の殺し合いはされないという設定になっている。
また、映画全体が暗くならないようになのか、原作のシリアスなセリフはジョーク交じりのものに置き換わり、コミカルなやりとりとなっている。
そしてラストは、原作ではサタンが明の死亡したのを確認して幕引きとなっているが、映画ではミーコとススムが未来を信じて生き抜く決意を固めるところで終了している。

映画史上に残る駄作

出典: www.amazon.co.jp

原作の無理矢理な改変、チープな衣装、演技力の低さにファンは激怒したが、中でも「ジンメン」と呼ばれるデーモンとのバトルの省略の仕方がひどい。
原作では明の知り合いの少女をジンメンが食べて、その顔が人面の甲羅に浮かび上がり、「殺して」と頼まれても攻撃ができず明が苦悶するシーンが切なくて絶賛されているのにもかかわらず、映画では明のクラスメイトの男子が取り込まれ、「友達でよかった」と言われた後、即座にジンメンを殺してしまう。

出典: www.amazon.co.jp

葛藤するシーンがかけらもなく、これでは原作の情緒をぶち壊しだ、と非難が殺到した。

出典: www.amazon.co.jp

また、ラストで主人公が突如明と了ではなくミーコとススムになることも観客を唖然とさせる要因となった。

関連リンク

www.devilmanthemovie.jp

9xhiroyuki1111
9xhiroyuki1111
@9xhiroyuki1111

Related Articles関連記事

デビルマン(漫画版DEVILMAN)のネタバレ解説・考察まとめ

デビルマン(漫画版DEVILMAN)のネタバレ解説・考察まとめ

『デビルマン』(漫画版DEVILMAN)とは、永井豪が『週刊少年マガジン』に連載した漫画である。デーモンとの戦いを通して人間の弱さや邪悪さが露呈し、その過程で本当に守るべきものは何か、本物の悪魔とは何かを問う作品となっている。おとなしい高校生の不動明は友人飛鳥了の提案により、200万年の眠りから目覚めたデーモン軍団から人間を守るためにデビルマンとなり戦うことを決断する。デビルマンとなった明はデーモンから人間を守りたいと戦うが、追い詰められた人間が見せる剥き出しの残虐さに絶望していく。

Read Article

マガジンの歴代ヒロインまとめ

マガジンの歴代ヒロインまとめ

『少年マガジン』は、日本でもっとも長く続いている週刊の少年漫画誌の1つである。その長い歴史の中で幾多の傑作を生み出し、日本の漫画文化を支えていった。「少年漫画」という縛りがあるため主人公の多くは少年だが、その活躍を支えるヒロインたちもまた物語に欠かせない存在として魅力たっぷりに描かれている。 幼馴染に学生、人外や異世界人と設定も様々なら、その関係性も恋人から友人、ライバルまで多種使用である。ここでは、マガジン作品を彩ったヒロインたちを紹介する。

Read Article

デビルマン(DEVILMAN)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

デビルマン(DEVILMAN)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『デビルマン』とは、70年代にアニメの企画と並行して誕生した漫画作品で、原作者である永井豪の会心作の一つである。 悪魔を主人公にした斬新な設定と、ハードなアクション、そして後半のヨハネ黙示録を元にした終末観溢れるストーリーが話題を呼び、いくつもの派生作品が生まれた。 人、悪魔、そして神とは一体何か、本作の登場人物の言葉にその秘密が隠されている。

Read Article

クローズZERO II(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

クローズZERO II(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『クローズZERO II』とは、漫画家の高橋ヒロシの作品『クローズ』を原作とした映画。前作『クローズZERO』で鈴蘭高校の覇権争いを制した滝谷源治たちと、ライバル校・鳳仙学園との間で抗争が発生。鈴蘭をまとめるために苦心する源治、彼に敗れて以降沈黙を貫く芹沢、2年前の仇を討つため虎視眈々と鈴蘭を狙う鳳仙の頭・鳴海の3人を軸にストーリーが展開される。葛藤を抱えながら喧嘩に臨む高校生達を描く。小栗旬や山田孝之、桐谷健太など人気俳優が多数出演したことでも話題となった。監督は三池嵩史。

Read Article

DEVILMAN crybaby(デビルマン クライベイビー)のネタバレ解説・考察まとめ

DEVILMAN crybaby(デビルマン クライベイビー)のネタバレ解説・考察まとめ

『DEVILMAN crybaby』は、永井豪原作漫画「デビルマン」のアニメ化作品。監督は世界的にも有名な湯浅政明。 Netflix限定配信で、2018年1月5日より一挙配信。泣き虫な少年、不動明が悪魔の力を持つ人間、「デビルマン」となり、愛情、欲望の間で葛藤しながら世界のために戦う物語。ネット配信であることを生かした暴力的、性的な描写は、原作に忠実なダークな印象を鮮烈にした。

Read Article

罪の声(小説・漫画・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

罪の声(小説・漫画・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『罪の声(映画)』とは塩田武士の同名小説を2020年に土井裕泰監督、小栗旬主演で映画化されたサスペンス映画である。1984年に実際に起こった「グリコ森永事件」を題材にした、フィクションでありながらも限りなく事実に近い作品としてサスペンスフルに仕上がっている。実際の事件でも犯人が使用した「子供の声」を中心に、自分の声が使われていたことを知ってしまった人物と過去の大事件の犯人を追うジャーナリストの2人の視点から犯人を追い詰めていく物語である。

Read Article

ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』とは2001年に公開された日本の怪獣映画である。ゴジラシリーズ第25作品目。監督は金子修介、主演を新山千春が務めた。ゴジラ復活と共に、日本を守るため護国聖獣であるモスラやキングギドラ、バラゴンが蘇るのだった。そして命を懸けた死闘が始まる。見所は、ゴジラと戦う3体の怪獣と、番組スタッフとして仕事をまっとうしようとする由里、防衛軍としての役割をまっとうしようとする泰三の父と娘の姿である。

Read Article

伝説のクソ映画・実写版『デビルマン』まとめ

伝説のクソ映画・実写版『デビルマン』まとめ

ここでは「クソ映画」の金字塔とも言うべき傑作(?)実写版『デビルマン』についてまとめた。永井豪の漫画『デビルマン』は日本の漫画史に残る傑作として名高いが、その実写映画はB級映画の顔ともいうべき作品に仕上がっている。そのクオリティは、実写版『デビルマン』を観れば大抵のB級作品は普通に観られる、とまで言われるほどだ。

Read Article

目次 - Contents