DEVILMAN crybaby(デビルマン クライベイビー)のネタバレ解説・考察まとめ
『DEVILMAN crybaby』は、永井豪原作漫画「デビルマン」のアニメ化作品。監督は世界的にも有名な湯浅政明。
Netflix限定配信で、2018年1月5日より一挙配信。泣き虫な少年、不動明が悪魔の力を持つ人間、「デビルマン」となり、愛情、欲望の間で葛藤しながら世界のために戦う物語。ネット配信であることを生かした暴力的、性的な描写は、原作に忠実なダークな印象を鮮烈にした。
『DEVILMAN crybaby』の概要
『DEVILMAN crybaby』とは、1970年代に週刊少年マガジンで連載された永井豪原作の漫画「デビルマン」をテレビアニメとしてリメイクした作品である。過去にもアニメ化、映画化された作品ではあるが、このcrybabyは、どの作品よりも原作の中にあるダークな側面を忠実に切り取った作品として作られた。
Netflixにおいて、1月5日に全10話を一挙放送。
オンラインでの限定配信という形をとっているからこそできる、史上もっとも暴力的でセクシャルであるとして注目を集めることとなった。そのため、映像化不可能といわれた作品を、かなりリアルに描くことが出来ている。また、その作品中で同性愛などのテーマを取り扱っていることでも有名である。
監督は日本を代表するアニメ「クレヨンしんちゃん」などの監督としても有名な湯浅政明。その独特な作風で、これまでにないデビルマンの世界を書き上げた。ストーリーだけでなく、映像の面でも非常に注目される作品となっている。
キャストとして主人公には人気若手声優の内山昂輝を起用しており、小山力也などの実力声優なども多く配されている。
『DEVILMAN crybaby』のあらすじ・ストーリー
これは泣き虫で心優しい少年、不動明と、金髪碧眼の愛を知らない少年、了が出会った、その十年後の話。
そのころ、明の周りでは「サバト」と呼ばれる乱交パーティーが流行っていた。そのパーティーで殺人事件が起こったという噂が広まる。
そんな時、明は了と再会する。了が突然明のもとにやってきたのである。了は明にとんでもない話をする。
それは、「この世界に悪魔がいる」という話だった。その話を聞かされた矢先、明は了にサバトへ連れていかれることに。彼はそこで人間が悪魔になっていく姿を目撃することに。そして、悪魔として人を殺し始めたその人たちの中で、了を守るため、悪魔と合体した明は、「デビルマン」となってしまうのだった。
それによってこれまでとは別格の力を手に入れ、学校中で噂になるほどの変化を見せる明。しかし、好戦的にはなったものの、その心根の優しさはそれまでと同じ、やさしいままだった。そして彼は「デビルマン」として了とともに、人間のために悪魔と戦っていくという決意をし、了の指示を受けながら、戦いの中に身を投じていくことになる。
しかし、その戦いは、熾烈を極めるものだった。その中で、彼は疑問を覚えることにもなる。
明の家族ともいえる存在である牧村美樹(彼女の家族が、両親が海外へ行っている明を預かっていた)を追うカメラマン、長崎の手によってデビルマンに変身する姿を撮られてしまう。その秘密が流出しないように、了は長崎を殺す。しかも、そこで彼らは美樹の体が悪魔に乗っ取られる(合体したわけではなく)場面に遭遇してしまう。デビルマンとして戦うことを余儀なくされた明は、美樹のまえで変身することに。
秘密を守りたい了は、元に戻った美樹を撃とうとする。しかし、明はそれを望まない。
そこで了は明に叫ぶ。「選べ、明! 俺と生きるか! その女と死ぬか!」と。
明は必死に抵抗し、何とか美樹を守る。
それからほどなくして、彼は再び試練に見舞われる。
家族を、悪魔に殺されるのだ。ジンメンという悪魔に殺された両親。そして、その悪魔は体の一部に母親のデスマスクを持っていた。明は、苦渋の思いで、そのデスマスクごと、ジンメンを討つ。もともと人間だったものを殺すという苦悩に、彼は悩む。
しかし、そんな悩みに苦しむ時間すら、彼には与えられなかった。
了が世界に悪魔の存在を公表したのだ。そして、人々は自ら武器を手に取り、悪魔狩りを開始してしまう。
そのさなか、美樹の家族である弟のタロが悪魔化してしまう。そして、彼は悪魔としての欲望に負け、母親を食べてしまう。人々の手によって殺されようとするタロを守ろうと、父親は身を挺して攻撃を受けるが、人々は攻める手を止めない。
明はデビルマンとして、そして家族として守ろうとするが、その努力もむなしくタロたちの命は奪われてしまう。
力を持っていながら、大切な人たちを守ることができなかったことに明は涙する。しかし、了はそんな彼を見ても、人同士の争いを止めるような行動に出ることはなかった。それは、彼にも思惑があったからだということを、明はのちに知ることになる。
了のその計画によって、人は人を信じることができなくなっていく。徐々に激化していく「悪魔狩り」。罪のない人々の命をいたずらに奪われていく。明は了を止めようとするが、了はどうしてかそれをやめようとしない。
そしてとうとう、明がデビルマンであるということが世界に明かされてしまう。その影響で、家族であった美樹も悪魔であると疑われ、悪魔狩りの犠牲になってしまう。それを契機として、明は了と対決することを心に決め、最後の戦いに出る。
そこで明は、了の正体を知る。
彼は人間ではなく、悪魔の頭領・大魔王のサタンであったのだ。そして彼の目的は、人類を滅ぼすことにあったのだということを、ここで明は知るのである。
デビルマンとして、悪魔と人の間に立つ存在である彼は、悪魔と人間の共存を目指そうと、了に立ち向かう。しかし、その抵抗もむなしく、明は了の隣で眠りにつくことに。
そして、世界は了の思惑通り、滅びることとなるのであった。
『DEVILMAN crybaby』の登場人物・キャラクター
不動明
主人公。泣き虫で優しい内気な少年。
両親が海外へ行ってしまっているため、その間牧村家に預けられている。そのため、牧村家とは家族同様の関係性。
了に連れられて訪れたサバトで悪魔と人が合体する光景を目撃した際、悪魔の勇者アモンとの合体を果たす。そして、悪魔でありながら人の心を持つ存在「デビルマン」となる。
根本的な性格は変わらなかったものの、そこからは好戦的な部分ものぞかせるようになり、肉体的にもそれまでとは比べ物にならないほどの身体能力を発揮するようになる。
人の悲しみに共感して涙を流すことができる優しい人柄で、人を守るために悪魔と戦うことを決意する。
物語終盤、人同士が殺しあうようになっても、それを身を張って止めようとした。悪魔とデビルマンの戦いの際には、その精神的支柱ともなる。
飛鳥了
明の親友。明をデビルマンにした人物。
幼少期に明と出会っており、その際に友人となった。
悪魔と人の合体の場として機能していたサバトへ明を連れていく。そこで、明と悪魔の勇者「アモン」を合体させ、明を人間の意識を保ったままの悪魔「デビルマン」にする。そして、明をデビルマンとして悪魔と戦わせる。
その一方で、誰もが悪魔になりうる、近くに悪魔は潜んでいるかもしれない、という情報を流し、人間の恐怖心をあおり、悪魔と人間の対立構造を劇化させる、という行動に出る。
それは了が人類を滅ぼすことを目的としていたためである。その思惑があったために、最終的には明と了は断絶することとなってしまう。
実は、その正体は人間ではなく、魔王のサタンであったということが物語終盤で明らかにされる。
牧村美樹
明の同居人。前向きな少女。明と同じ陸上競技部に所属している。
牧村家が明を預かっていたため、幼少期から長く一緒に住んでいる。
明るく、正しいことへと向かっていく心根の強さがある。その心根は、了が人間不信を引き起こさせた際にもぶれることがなく、人間の希望して、そしてデビルマンの希望として輝き続けることになる。
デビルマンとなった明に救われたことがあるが、その時の記憶はあいまいとしていて、はっきりとは覚えていない。そのため、了から直接手を下されることはなかった。
物語終盤、明がデビルマンであるということが了によって明かされた際、その家族であった美樹も狙われ、悪魔だとして人間に殺された。
美樹の死が、明と了の決定的な断絶のきっかけとなる。
ミーコ(黒田ミキ)
美樹の親友。本名は黒田ミキ。
おとなしい雰囲気の少女で、花に水をやるなど、やさしい一面がある少女。しかし、その反面、美樹と同じ名前でありながら、陸上の結果で劣ることから、美樹とミーコとして区別されることにコンプレックスを抱いており、内心では美樹のことを受け入れていない節があった。
サバトに参加した際にデビルマンとなり、驚異的な身体能力を得ることとなる。
好戦的な性格になるものの、デビルマンであるため理性は失っておらず、物語公判では明と共闘することになる。
終盤では美樹と本当の意味で和解するも、美樹を逃がすために人間の手で殺される。
長崎
カメラマン。美樹のことを追う記者。
美樹を追う記事を書く中で、サバトで怪しいことが起こっている、という情報をつかみ、潜り込む。その中で悪魔と対峙することになってしまい、そこをデビルマンに助けられる。
しかし、人間が悪魔に変身するというデビルマンの姿をスクープとしてカメラに収めてしまったことで了から敵として見られることとなり、最後には了の手で殺される。
この事件で無関係の人間を多く巻き込んでしまったことから、明が誰も巻き込まず、デビルマンとして悪魔と戦うことを決意することになる。
ワム・ガビ・ククン・バボ・ヒエ
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