おそ松さん(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『おそ松さん』とは、赤塚不二夫の漫画「おそ松くん」を原作にしたアニメーション作品。キャッチコピーは「成長しても、やっぱりバカ」。「おそ松くん」では子供だった六つ子おそ松・カラ松・チョロ松・一松・十四松・トド松は、成長し大人になるが童貞のニートになってしまう。六人は実家暮らしをしながら、今日も働かずにダラダラと過ごす。「おそ松くん」でお馴染みのイヤミ・チビ太・トト子・ハタ坊・デカパン・ダヨーンも登場。ナンセンスでシュールなギャグコメディ。

左から十四松、カラ松、おそ松、チョロ松、トド松、一松。

六つ子たちの二面性

根暗で闇松と呼ばれた一松であるが、実は頭の中では口数が多く、ツッコミ型。

六つ子たちの主な性格は、クズな長男おそ松、ナルシストで痛いカラ松、真面目でツッコミ役のチョロ松、根暗で猫好きの一松、明るい狂人十四松、あざとい末弟トド松である。
しかし始めこそこの性格に乗っ取った行動を取るが、次第に六つ子達の違う面がそれぞれ見られるようになっていく。
一番分かり易くその傾向が出たのが一松である。
普段は大人しく根暗でほおって置いたら犯罪でも起こしそうなタイプとされているが、実は心の中では良く喋り良く動揺する常識人である。
前半は何を考えているか分からない底知れない闇を感じるキャラクターであったが、後半からの一松は恐らく六つ子の中で一番普通の人と言っても過言では無い。
逆に常識人とされたチョロ松は実は性欲の激しいシコ松であると判明し、さらに自身の実力を知らない自意識が高すぎる痛いやつである事も判明する。
末弟トド松も常識人と思われたが、顔芸や他人に関心のないドライな面が前に出るようになり、兄弟達から六つ子で一番ヤバイ奴とも言われた。
狂人と言われた十四松にも二面性があり、彼女の前では常識人となり失恋に涙し、一松など感情を表に出しにくい他人の気持ちを理解できるキャラクターでもある。
また、ギャグでは破天荒な最強ポジションでもあるが、シリアスになると五男という下から二つ目の弟という立場の大人しめの性格になる。
痛々しいナルシストのカラ松は、実は怖がりで他人に逆らえない面がある。
しかし24話では十四松と喧嘩しようとするおそ松を止め外に連れ出すなど、長男と互角の立場に近い次男らしい行動を見せた。
またいつもはボケ側の性格であるが、十四松と絡むとややツッコミ型になる。
おそ松は楽天家なクズであるが、十四松と彼女の事を心配したりする兄らしい面もある。しかし24話では一番弟達に依存し、自分の側から離れる事が許せないキャラであると分かる。
これらのギャップをA面とB面とし、一期第1クールではA面を、第2クールではB面を出すようになっていく。
六つ子たちのキャラクター性が一度二度見ただけでは掴めないところが、視聴者を考えさせ惹きつける魅力の一つになっている。

六つ子達の関係性

六つ子の中でもよく絡む二人と、あまり絡まない二人など、関係性に少し差がある。
「おそ松くん」では、おそ松とチョロ松、カラ松とトド松、一松と十四松というコンビに分かれることが多い。
そのためかおそ松さんでも、この三組のコンビの描写は多い。
おそ松は比較的どの弟とも仲が良く、どの弟とも共通する部分を少しずつ持っていて、チョロ松とのエピソードが多め。
カラ松はおそ松には悩みを打ち明け、チョロ松とは体等に近く、一松からは嫌われ、十四松とのギャグ絡みは後半から多くなり、トド松とはコンビ描写が多い。
チョロ松はおそ松とは喧嘩が多く、カラ松に対しては他の兄弟ほど当たりは強くなく、十四松とのギャグ絡みもそれなりにあり、トド松と常識人コンビとして描かれることもあるが、一松とはお互いに人見知りがち。
一松はおそ松とは兄と弟の関係に近く、カラ松は基本的には憎悪の対象、チョロ松とはお互いに人見知りで、トド松とは喧嘩する場面もあり、十四松との絡みが一番多い。
十四松はおそ松と同じくどの兄弟とも絡みが多く、一松と一緒に居ることが一番多い。
トド松もどの兄弟とも絡みが多く、カラ松とボケツッコミの関係がよくあり、十四松には心なしか優しめ。
特に第一期前半ではカラ松と一松はまともな会話が全くなく、カラ松の行動に対して一松が一方的に罵倒し、カラ松の返事は無いというパターンが多かった。
しかし17話で一松とカラ松のやり取りがこれでもかという程発生し、その日ツイッターなどのSNSでは非常に話題になった。
カラ松はそもそも第一クールでは出オチのような存在であるがためか、あまり六つ子たちと会話してる描写がなく、一部では仲に入れてないのではと囁かれていた。
16話「一松事変」で一松と絡み、17話「十四松祭り」で十四松と絡み、これでキャラ付けが完了したのか以降は六つ子達の会話の話に加わり、一松とも会話をするようになった。
また、おそ松カラ松チョロ松を兄松、一松十四松トド松を弟松というわけ方もあり、兄松は比較的自由奔放なクズで、弟松は兄達に振り回されつつそれぞれ考えを持っている曲者達という傾向がある。

おそ松とトト子

六つ子にとってトト子はアイドルのようなものであるが、主人公且つ長男であるからか、トト子との単独の絡みはおそ松が一番多い。
またトト子は六つ子の名前を一度も間違えたことがなく、全員を正しく認識できている。
24話で弟達が全員家から出て行ってしまったあと、おそ松は口を閉ざしいつものような楽しげな表情は消えていた。
トト子はそんなおそ松を気まぐれにデートに誘うが、いつもはトト子に夢中のおそ松はその誘いを無視する。
普段六つ子の事など好きでは無いと言っているトト子の顔にもおそ松に対する心配の表情が見え、おそ松が元気ない事を察してデートに誘ったように見える。
また、第2クール16話「となりのかわい子ちゃん」では、六つ子が隣に引っ越してきた「犬山キン子」に夢中になってしまう。
トト子の誘いとキン子と一緒に出かける予定が重なり、六つ子たちはキン子が近々引っ越すためキン子を優先する。
しかしトト子は約束を断られた日に六つ子とキン子が一緒に居るのを見てしまい、自分に夢中だった六つ子が他の女の子をチヤホヤするのを見てモヤモヤしてしまう。
六つ子とキン子の後を付け回し、挙句場を悪くしてしまう。
カラ松たちはトト子を宥めようとトト子を褒めるが、おそ松だけはそんなトト子を可愛くないとバッサリ切る。
さらに第2クール24話では、仕事をはじめたおそ松は本当にこれで良かったのか、流されて生きていないか、と疑問に思い始める。
おそ松は家に帰るが家には夜勤のために寝ている一松しかおらず、一松も他の兄弟の居所を知らないと言う。
おそ松は弟達の居そうな場所を探すが、弟達はどこにもおらず、おそ松は雨振る中呆然と座っていた。
そこに現れたのがトト子で、おそ松はトト子に悩みを話し、面白くない話をしてごめんと言う。
トト子は説教や助言は言わず、面白くない話だったと笑い、自分が好きな様にしたいならそうしたら良いとおそ松の背中を押した。
普段は我侭なトト子であるが、幼馴染の六つ子を気にかけており、六つ子が居なければ調子が狂い、その六つ子の代表がおそ松なのである。

おそ松とイヤミ

イヤミが六つ子たちを含めた登場キャラを皆殺してしまうが、おそ松だけは無事。

六つ子の名前を一度も間違えないトト子とは逆に、六つ子の名前を一度も正格に言えないのがイヤミである。
イヤミは「おそ松くん」では一番人気のキャラで、おそ松たちにとってのライバルであるが、「おそ松さん」でもその関係は続く。
しかしこのライバル構図は六つ子の個々とイヤミではなく、イヤミVS六つ子という六つ子にとっては団体戦になる。
このように六つ子が個々ではなく「六つ子」として動く時のリーダーは常におそ松であり、やはりおそ松が主人公であったのだと良く分かる。
おそ松は他の六つ子に比べると個性が若干薄めで、おそ松くんをそのまま大人にした、所謂味付けしていないプレーン味のような存在である。
しかしイヤミというキャラクターを相手にすると、主人公のおそ松という立場になるのだ。
そうした時の六つ子は団結力があり、その中心は絶対的に長男のおそ松なのである。
しかし「逆襲のイヤミ」では、だからこそ邪魔だという理由でおそ松が弟達から攻撃された。
イヤミとの戦いは第一期18話「逆襲のイヤミ」、第二期6話「イヤミがやって来た」、第二期18話「イヤミはひとり風の中」(こちらはイヤミが主人公)、第二期24話「地獄のおそ松さん」などで描かれる。

松蔵・松代と六つ子たち

自分の子供はニートであっても可愛いのだ。

六人のニートという巨大なお荷物を抱えている夫・松造と妻・松代。
何度も働けと発破をかけるシーンはあるが、どれも本気で息子達を突き放すものではない。
第二期21話「ニート矯正施設」では、誰か一人を矯正施設に送る事になるが、松代はなかなか誰か一人を選ぶことが出来ない。
チョロ松に相談するが、結局どの息子も居なくなったら寂しい、ニートでも元気なら構わないと開き直る。
松造は一人が決められないなら三人送ると言い出すが、六つ子たちが次々に松造にワイロをすると、松造は次々に免除していき最後は六つ子が松造を胴上げする。
そんな様子を見ていた松代は笑いながら息子達を抱きしめるのであった。
六つ子たちがニートで楽しく暮らせるのは、松代の息子達を受け入れる器の大きさと、松造の稼ぎがあってこそなのだ。
また両親二人は一見常識的に見えるが、六つ子達の個性を少しずつ持っている両親でもあり、些細な行動からやはりあの六つ子達の親だなと思わせる描写がある。

幼少期はつまり「おそ松くん」の時代であるが、誰が誰かほんのり区別がつく。

トト子とニャーちゃん

地下アイドルをするにゃーとトト子は面識があり、お互いにライバル視している。
にゃーはトト子を突き放し辛辣な言葉を投げかけ、トト子の方もにゃーに遠慮がない言葉をかける。
仲が良いとは言えない二人であるが、第二期では一緒に居るシーンが増え、トト子はにゃーに友情を感じている描写がる。
にゃーの方も絡んでくるトト子を嫌がるが、最終的にはトト子の悩み相談は聞いてあげるなど、ライバルながら関係性が築かれつつある。
しかし最終的には言い争いの喧嘩になり、殴り合いのキャットファイトになってしまう。
チビ太は屋台で喧嘩されて困ったり、女性に幻想を抱くチョロ松は女のリアルな喧嘩を見てしまい叫ぶなど、他人にも被害が及ぶ。
トト子には友達が「おそ松くん」に出てくるキャラクター即ち異性しかいないようで、同性は自分よりブスだと見下しがちなトト子も、無意識で同性の友達を欲しているのかもしれない。

『おそ松くん』から登場しているサブキャラクター達の活躍

本作の一番の見所は六つ子であるが、「おそ松くん」から居残るサブキャラクター達の活躍も見所である。
それぞれ個人のピックアップ回があり、シリアス回でもギャグ回でも登場し、時には味方時には敵になって活躍する。
また六つ子ともそれぞれ関わり合いがあり、おそ松とトト子・イヤミ、カラ松とチビ太、十四松とデカパンは何度かコンビで登場する。
六つ子抜きではイヤミとチビ太は「おそ松くん」からの名コンビであり、おそ松さんでも良く一緒に居る所が描かれる。
デカパンとダヨーンも同じく「おそ松くん」からのコンビで、おそ松さんでは非常に仲良しな描写が多々ある。
ハタ坊は友達が欲しいと六つ子とイヤミを除くレギュラーキャラ達に話し、全員でハタ坊を励ますといった話もある。
第二期最終話ではトト子・チビ太・ダヨーン・デカパン・ハタ坊が地獄まで六つ子を迎えに行くシーンがあり、サブキャラ達が力を合わせて主人公を助けるという王道の展開がある。
「おそ松さん」では六つ子に新しい設定が入ったからこそ、原作が「おそ松くん」であることを強く残すサブキャラクターの存在は必須なのである。

第一期と第二期の対比

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@ryogin2

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