ワイルドアームズ(WA)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ワイルドアームズ(WILD ARMS)』とはメディア・ビジョンが開発したPlayStation用のゲーム作品。1996年12月20日にソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)より発売。略称は「WA」。ジャンルはロールプレイングゲーム(RPG)。荒廃した大地が広がる惑星「ファルガイア」を舞台に、荒野を冒険する「渡り鳥」と呼ばれる3人の主人公達と、異世界からの侵略者「魔族」との戦いの物語を描いた作品で、壮大な世界観と個性溢れるキャラクター、深く練り込まれたストーリーが魅力となっている。

亜空間でロディ達に襲い掛かるジークツヴァイ(左)。

マルドゥークからカ・ディンギルへ向かうための亜空間エレベーターに乗って転移していると、突如亜空間にジークフリードが現れた。マザーに吸収されたはずのジークフリードの出現に驚くザックとセシリアに、ジークフリードは「ジークツヴァイ」となって「死にゆくマザーの肉塊を振りほどき地獄から舞い戻った」と言い、最後の戦いを挑む。しかし不安定な亜空間で激しい戦闘を行ったことで、亜空間は爆発し、ジークツヴァイは笑いながら爆発に飲まれていった。
一方、ジークツヴァイとの戦闘で亜空間エレベーターの転移座標がズレた結果、一行はカ・ディンギルの入口に転移していた。亜空間に与えられた負荷によってカ・ディンギルが爆発し、爆発による衝撃波が襲い掛かろうとした時、入口で待機していたアースガルズが、セシリアの命令無しで動き始めた。そして衝撃波を防ぐために対消滅バリアを展開させる。しかし巨大な衝撃波はアースガルズに負荷を掛け、右腕が吹き飛ばされてしまう。このままでは耐えられないとアースガルズを止めようとするセシリアだったが、それでもアースガルズはバリアを展開し続けた。その時セシリアには、はっきりとアースガルズの心が伝わっていた。やがて衝撃波は収まり一行は助かった。そして皆を守り切ったアースガルズは機能を停止した。

全てが終わった後、眠りについたアースガルズにセシリアは話しかけていた。「今度、アースガルズが目を覚ました時には争いのない平和なファルガイアを見せてあげるわ」「だから、いつかその日が来るまで…おやすみなさい…」そう別れを告げると、セシリアは前へ向かって歩き始めた。

荒野の渡り鳥

ファルガイアの大地を眺めるセシリア、ロディ、ザックの3人。

戦いから数日経ったある日、ロディとザックは再び渡り鳥として旅に出ていた。今でもあの大爆発から生還できたことが信じられないとロディに語っていたザックは、旅立つ前にセシリアから手紙を預かっていたことを思い出す。ザックはハンペンに手紙を読んでみろと言い、ハンペンは渋々読み上げることにした。その手紙にはこれまでの旅の思い出や、アースガルズへの気持ち、ずっと一緒だと思ってたロディとザックからまた旅に出ると聞いて驚いたこと、これからは17歳の女の子なりに自分の気持ちに正直に行動していくといったことなどが書かれており、最後に「アーデルハイドから2人の忘れ物が届く頃じゃないかしら、面倒くさがらずにちゃんと受け取ってくださいね」と締めくくられていた。

手紙の内容を聞いたザックは「セシリアならこれからアーデルハイドを良い国に治めてくれる」と言った後、手紙の最後に書いてあった忘れ物がロディの忘れ物のことだろうと指摘する。ロディがそれを否定しザックが「面倒くさいぜ」とぼやくと、2人の目の前にアーデルハイドにいるはずのセシリアが待ち伏せしていた。何故ここにいるのかと驚くロディ達にセシリアは「いけませんか?私、皆の忘れ物を届けに来たんですよ」と言う。「で、その忘れ物って…」とハンペンが聞くと、セシリアはクスクスと笑いながら「まだ分かりませんか?」と言った後、「では、今後ともよろしくお願いしますね」とロディ達に伝えた。当然驚くロディ達。「アーデルハイドはどうするつもりだよッ」とザックが聞くと、「アーデルハイドは大臣のヨハンに任せて、自分は胸の中の想いに正直に生きることにしたから、今日は偶然皆と一緒の方向を歩いているだけ」と言ってセシリアはロディの手を取って走り出した。しばらくして「俺達を置いて行くなッ!」と遅れてザックとハンペンも後を追う。

ロディ達は、ファルガイアの大地を一望できる崖の上から、自分達が守ってきた大地を眺めていた。「私達だけの力じゃない。エマ博士に、ジェーンとマクダレンさん、船長さん、そしてマリエル…ファルガイアに生きる全ての命の想いと、そして…」とセシリアが言うと、3人は空を見上げた。雲一つない青空を飛ぶ鳥達を見届けた後、3人は再び旅立つのだった。

『ワイルドアームズ』のゲームシステム

キャラクターチェンジ

パーティーが2人以上の時、操作する主人公キャラクターは町にいる「メモリーバード」というセーブができる鳥に話しかけて「チェンジ」を選択するか、フィールド上でスタートボタンを押すことで変更したいキャラクターを選択することができる。NPCへの会話は操作している主人公が代表して行うことになっており、ストーリーの進行上、特定の主人公が話をしなければならない場面などでは、キャラクターチェンジで操作する主人公を変えなければストーリーが進まないことがある。また、各キャラクターが別々に行動している時は、キャラクターチェンジで操作する主人公を切り替えることができる。

マルチオープニング

最初にニューゲームで始めると、各キャラクターのプロローグシナリオが開始される。ロディ、ザック、セシリアのシナリオの中から好きなキャラクターのシナリオを選択することができ、最終的に全員分のシナリオをクリアする必要がある。また、選んだ順番によってストーリーが変化することはない。オープニングシナリオの最中、他の主人公のシナリオを選択したい場合はメモリーバードからキャラクターチェンジをすることができる。

グッズ

3人のキャラクターがそれぞれ所持しているスペシャルアイテムのことで、使用すると特殊なアクションが可能となっている。主にダンジョンの仕掛けを突破したり、謎解きなどで必要になる。グッズはロディ、ザック、セシリアの3人にそれぞれ4種類ずつ存在しており、ストーリーを進行させると最大12種類のグッズが入手できる。3人が持つグッズをどう使っていくかが本作の謎解き要素を攻略するための大きなポイントとなっている。グッズはキャラクターチェンジ画面で使いたいグッズを選択することができ、移動中に□ボタンを押すことで使用することができる。

バトルシステム

本作の戦闘方法はオーソドックスなコマンド入力式のターン制バトルとなっている。バトルでは画面に表示されたコマンドを選択することで攻撃や防御などの任意の行動を取ることができ、毎ターン装備を変更することもできる。バトルは敵味方問わずRES(反応値)が高いキャラから順に行動するが、味方が先に行動する「先制攻撃」や敵が先に行動する「不意打ち」でバトルが始まった場合は、それぞれ味方と敵が全員行動し終わるまで、相手側は行動することはできない。

オリジナル

各キャラクターが持つ固有の技や術のこと。ロディは古代兵器ARM、ザックは高速剣技早撃ち、セシリアは紋章魔法とそれぞれ修得方法や強化方法が系統ごとに異なっているのが大きな特徴となっている。ARMはアイテムとして入手でき、早撃ちはヒントを入手した後に戦闘で閃くことで修得し、紋章魔法は町の「マジックギルド」という店で紋章を組み合わせることで作成できる。オリジナルは通常攻撃よりも威力の高い攻撃や、敵全体を対象とする攻撃が行うことができる他、HPの回復や能力の強化など、戦闘を有利に進める重要な要素となっている。

フォースアビリティ

各キャラクターが持つオリジナルとは異なる特殊技。戦闘中に攻撃を行ったり、相手の攻撃を受けるなど様々な行動を取ることで溜まっていくゲージ「フォース」を利用して発動することができる。フォースアビリティもキャラクター毎に違う技が存在しており、フォースが一定量溜まる毎に上昇する「フォースレベル」によって使用できる技が異なっている。溜まったフォースは一度戦闘が終了するたびに、都度0ポイントに戻る。フォースレベルが最高状態のレベル4になるとそのキャラクターの頭部に「KONDITION GREEN」と表示され、戦闘不能以外の全てのステータス異常を回復させることができる。ゲーム開始時はどのキャラクターもレベル1のものしか修得していないが、物語が進むにつれて徐々に修得していく。フォースアビリティにはオリジナルの効果を上昇させるものや、フォースアビリティ独自の攻撃を行うものなどがあり、強力な敵とのバトルでは重要な要素となっている。

『ワイルドアームズ』の登場人物・キャラクター

メインキャラクター

ロディ・ラグナイト

Reichama3n3
Reichama3n3
@Reichama3n3

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