羽入(ひぐらしのなく頃に)の徹底解説・考察まとめ

羽入(はにゅう)とは、『ひぐらしのなく頃に』の登場人物で、本作の「皆殺し編」から姿を現し、「祭囃し編」では主人公を務める、雛見沢の守り神であるオヤシロ様そのもの。オヤシロ様の生まれ変わりといわれている古手梨花以外の人間には、羽入の姿は認識できない。「祭囃し編」にて、古手家最後の生き残りとして、部活メンバー達の前に現れる。性格は内気で頼りなく子供っぽく、困ったり興奮したりすると「あうあう」としゃべる癖があるが、時折神のように非常に厳粛な喋り方をすることもある。

昭和59年の6月、中学生の梨花は沙都子と一緒に聖ルチーア学園に通いたいと打ち明ける。勉強嫌いな沙都子だったが梨花の願いであるならばと、一緒に合格するために受験勉強を始めた。猛勉強をした結果、二人共合格し聖ルチーア学園に通うことになる。梨花は憧れの学園生活でやる気に満ちており、成績も振る舞いも良いため級長に任命され、周りから一目置かれるようになっていく。一方、沙都子は学園の厳しい校則に窮屈さを感じ、授業内容にもついていけずに次第に落ちこぼれていく。二人が一緒にいる時間は減っていき、梨花は新たにできた取り巻きたちと、沙都子は補習室で過ごすことが多くなる。灰色の青春を送る沙都子は、「一緒に楽しい学園生活を送りたい」と言って自分をルチーアに誘った梨花を「肝心な時に助けようとしてくれなかった裏切者」だと恨めしく思い始める。
久々に部活をすることになり、部活メンバーは雛見沢へと集まる。部活を終え、沙都子は1人で雛見沢を散歩する。古手神社の祭具殿に訪れると、祭具殿の中から異音が聞こえ、沙都子は祭具殿に入ると、カケラの世界へ迷い込んでしまった。そこには、傍観者として数多の世界で梨花の死を傍観してきた羽入同様、繰り返す力を持つエウアがおり、我の力を得れば、どのような望みも必ず成就させることが出来るであろうと沙都子に告げた。沙都子の望みは梨花とずっと一緒にいること。沙都子はこの望みを叶えるためにエウアの力を借り、繰り返す者となって願いを成就させる。引き金は沙都子自身の死であった。梨花と同じループする力を得て、梨花を雛見沢から出さず、聖ルチーア学園を受験させないためのループが始まる。沙都子は梨花を雛見沢から出さないため梨花を引き止めるが、100年ものループをしてきた梨花の意思は固く、沙都子は何度もループを繰り返した。

神楽し編

1000年前人の世に絶望した羽入は、娘である古手桜花(ふるで おうか)に自分を討たせた。雛見沢村の御三家の一つ、古手家の第一子に8代続けて女子が生まれた時、その子は雛見沢の守り神であるオヤシロ様の生まれ変わりだと伝えられていた。羽入は1000年の時を経てようやく現れた、古手家に8代続けて生まれた第一子の女の子である梨花を通して人の世との接点を得た。
沙都子がループをしていることを知らない梨花は、終わらない惨劇に精神が限界に達しようとしていた。カケラの世界に戻ってきた梨花は、惨劇を抜け出したとしてもまた振り出しに戻されてしまうという恐怖に怯えていた。そんな様子の梨花に羽入は今の雛見沢がかつての姿とは違うことを感じ取り、梨花に与えた不完全な力を修復し、死の直前までの記憶が正確に残る力を与えた。そして、古手神社に隠された時を遡る者を殺せる神剣である「鬼狩柳桜(おにがりのりゅうおう)」の存在を梨花に教え、それは繰り返す者を殺す剣だと伝える。そのことを話して羽生は梨花と一緒に時を遡る力はもうないと、梨花の前から消えてしまった。神剣は祭具殿のオヤシロ様の御神体の中にあるといわれ、探しに行くが、御神体の中に神剣はなく、小さい破片だけがあった。これは沙都子がエウアにいわれ、先に神剣を手にしたがゴミ山に捨てていた。
カケラの世界でエウアが沙都子のループを観賞しているところへ、「ようやく見つけた」と羽入はエウアに告げる。エウアは梨花と沙都子の二つの駒が潰し合うのを鑑賞しようと呟き、羽入に梨花が血だらけになっている場面を見せつける。梨花はどうして自分だけがこんな目に遭わなくてはいけないのかと運命を呪っていた。沙都子が梨花に近寄り「あなたの幸せは私の中にある」と意味深なことを言い、沙都子が梨花を銃で殺した後、自分の頭に銃口を向けて撃ち自害する。その姿を見て羽入は愕然とし、エウアに向かって「沙都子に力を与えたのか」と聞き牙を剥く。だが、エウアの力の方が優っており、あっさりと羽入は拘束されてしまった。

神剣・鬼狩柳桜を手に、エウアに一撃を与えようとする羽入

梨花は沙都子に殺害されたがその記憶は継承されず、梨花はまた新しい雛見沢へやってきた。そして6月23日になり、沙都子の誕生日にプレゼントを用意しようと、梨花は箱の中にぬいぐるみを入れ、放課後沙都子の誕生日をお祝いし、梨花は用意していたプレゼントを渡そうとした時、沙都子はいきなり蹲み込んだ。沙都子は過去の雛見沢で誕生日のお祝いをしてもらった時、梨花からプレゼントをもらったがそれはびっくり箱であった。その記憶から沙都子はこの行動をとってしまった。梨花は何か様子がおかしいと思い沙都子に問うが、沙都子は拳銃を梨花に向け撃ち殺した。梨花はここでようやく繰り返している者が沙都子だと知る。ループし、目を覚ました梨花は隣にいた沙都子に話しかける間も無く、沙都子はすぐに梨花の喉をフォークで滅多刺しにする。梨花をすぐに殺すため、熱したフライパンで梨花の顔面を叩き殺したり、田んぼに梨花を吹っ飛ばし顔面を殴り殺す。そして、雛見沢の祭りで沙都子が梨花に殴りかかろうとした時、梨花は辛抱たまらず反撃に出る。何度もループするたび梨花と沙都子は口論を交わしながらお互いを痛めつけていく。カケラの世界でこの光景を見ていたエウアは高笑いし鑑賞を楽しんでいた。そんな姿を見て拘束されていた羽入は、何も出来ずに苦しむ。その後、梨花が神剣の破片を手に沙都子の首元を切り裂く。沙都子はゴミ山に捨てていた神剣を手にし反撃する。戦いの際、沙都子が持っていた神剣と梨花が持っていた破片が合体し、一つの姿を現しその剣を二人が取り合う。最後に梨花が剣を取り沙都子を殺そうと振り上げるが、親友の沙都子を討つことを躊躇し、神剣を川に放り投げ沙都子を殴り始めた。それを見ていた羽入はようやくエウアの拘束から逃れ、羽入は何度世界が繰り返されても期待などしなかったが、圭一たちのおかげで奇跡が起こせるということを学んだことを話すが、エウアは杖を使って羽生の腹に一撃を喰らわせて吹っ飛ばし、空中に様々な家具を浮かべ、羽入の上から落下させ下敷きになってしまう。下敷きになった家具から這い出た羽入が天に手を翳すと、ちょうどそこに梨花に投げ捨てられて川に流され、カケラの世界へと辿り着いた神剣が落ちてくるという奇跡が起きる。羽入は神剣を構えてエウアに飛びかかり、彼女の角に一撃を喰らわせる。角を欠けさせられ力を失い、大人の姿だったエウアは幼体化し、子供の姿になってしまった。奇跡を見せれば手を引くと決めていたエウアはカケラの世界から姿を消した。
分かり合うまで沙都子と梨花はまだ殴り合いをし、二人ともにクロスカウンターが入り倒れてしまう。そして、二人はこの一撃で分かりあい、今までの出来事についての話をし出す。圭一たちが梨花たちを心配してやってきて、魅音の車に乗って家まで送られる途中、2人の様子を見た圭一は、自分なりの親友の定義を話し出す。親友とは離れ離れになっても親友には変わりないことを伝え、それを聞いた沙都子と梨花は黙って手を繋ぎ和解する。
桜の季節になり、圭一たちは梨花の旅立ちを見送りに行く。沙都子は雛見沢に残り梨花を追いかけようとするが、空に手を伸ばし「あんたにあんたを返す」と呟き、梨花を追うことを辞め、いつも通りの生活を送る。近くの鳥居の上でその様子を見ていた羽入は微笑を向けて物語は幕を閉じた。

羽入の関連人物・キャラクター

前原圭一(まえばら けいいち)

東京から雛見沢へ引っ越して来た、好奇心旺盛で活発な少年。都会の学校では成績優秀で頭の回転が早いが、ツメが甘くひどい目にあうこともある。口が非常に達者で、「口先の魔術師」との二つ名が付けられるほどである。
「鬼隠し編」にて、ゴミ山で殺人事件があったことを知るが、それについて何も教えてくれないレナと魅音に疑心を抱き、2人を殺してしまうがその様子を近くで見ていた羽入は何もできず、「ごめんなさい」と何度も繰り返した。

竜宮レナ(りゅうぐう れな)

献身的な性格で、「かぁいい」ものに目がなく、見つけると手当たり次第自宅に「お持ち帰り」してしまう癖がある。梨花はレナの下級生であり、レナに勉強を教えてもらったりしている。普段の雰囲気は優しい女の子だが、洞察力の鋭さや身体能力の高さで右に出るものはいない。
羽入はレナの通っている雛見沢分校に転校生として現れた時、レナのかぁいいものに値した羽入は、何度もお持ち帰りをされる場面があった。

園崎魅音(そのざき みおん)

園崎家は雛見沢村で大きな権力を持つ家であり、魅音はその次期当主。学校ではクラス委員長を務め、部活では部長を務めている。
「祭囃し編」で、黒幕であった鷹野に魅音が銃を向けられた時、羽入は魅音を庇うため前に出て「自分を撃て」と魅音を守った。

北条沙都子(ほうじょう さとこ)

雛見沢随一のトラップの名手。負けず嫌いで、生意気な面もあるがまだ幼く、圭一や魅音にからかわれ泣いてしまうこともある。梨花と同級生かつ一番の親友で、互いに孤児のため一緒に暮らしている。

古手梨花(ふるで りか)

古手神社の巫女。オヤシロ様である羽入の存在を認識し、意思疎通の出来る唯一の人間である。
羽入は時空を超えて過去に時間を撒き戻す能力を梨花に与え、「綿流し」の晩に何年も続く惨劇、そして世界線によっては雛見沢村の人間がガス災害(雛見沢大災害)によって全滅する運命を、100年をかけて梨花と変えようとしてきた。雛見沢大災害の正体は鷹野と自衛隊の特殊部隊・山狗が雛見沢症候群を利用して起こした、終末作戦という名の計画的な大量殺人テロであった。しかしその努力も虚しく、梨花は1983年の6月にいつも殺されてしまう。梨花が時折り見せる大人びた物腰は、「100年の魔女」として相応の時を繰り返してきたがために生み出されたものなのであった。だが、100年絶望を繰り返し、ようやく黒幕を突き止め、梨花は仲間と共に協力し合い雛見沢大災害を乗り越え、悲劇の運命を打ち破った。

エウア

「郷壊し編」から姿を現した謎の女。能力等は羽入より上であり、羽入のことを「出来損ない」と見下している。自分に何も代償なくループする能力や、記憶継承の能力を使えることから羽入より優っている。沙都子にループする能力を与えたが、同じ目的の為に共闘する対等なパートナーではなく、沙都子の心の弱さに付け込んで、退屈しのぎに利用した。

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