太陽の黙示録(かわぐちかいじ)のネタバレ解説・考察まとめ

『太陽の黙示録』とは2002年よりかわぐちかいじが『ビッグコミック』で連載していた漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。西暦2002年の8月、マグニチュード8.8の大地震が日本を襲う。大地は東西に分裂し壊滅的な打撃を受けた日本は、やむなくアメリカと中国の南北分断統治を受け入れる。それから15年後、南北に分裂した日本は、それぞれの国の下で復興をしていた。だが、アメリカと中国の影響力が強く、かつての日本は失われてしまう。その中で日本人は様々な問題に苦悩しながらも、日本再興の為に力を尽くしていく。

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民自党石倉慎介派

総理の石倉率いる民自党の派閥で親米派。だが実務的には同じ民自党の派閥である拓磨派が担っており、党員の大多数も彼に付いている。この為、石倉は御飾り的な首相であり、この事について彼は悩んでいた。震災後の復興主導を巡り、親中である拓磨派と揉める。その結果、石倉派は博多へ亡命し日本の首都を宣言し南日本政府を樹立した。こうして南北の分断と対立は深まっていく。
新政権樹立後はアメリカの役人ロックウェルと共同で復興に当たる。だが徐々にロックウェルが増長していき、石倉派達政府役人と対立していった。その間に宗方が暗躍し、南日本の新方針を打ち出してしまう。これにより行政長官制が発足し、内閣総理大臣の地位が形骸化してしまった。これにより石倉派は事実上失脚してしまう。

民自党柳拓磨派(旧柳拓磨派)

民自党の派閥で、柳拓磨が率いている。拓磨は中国首脳部と懇意である為、派閥全体が親中派である。更に拓磨が民自党の実権を握っていた為、党の多数を占めている。大震災から1年後、石倉が拓磨と対立し南日本へ亡命した事により、政権を担う事となる。だが中国の影響力を多く受け、中国の傀儡政権と化してしまった。更に拓磨は病床に臥せてしまい、それを機にかつての配下であった董藤率いる七星会の台頭を許してしまう。これにより拓磨は監禁され、董藤や中国の策略により弱体化されてしまった。そして札幌クーデターにより主要な柳拓磨派は北日本自衛隊反乱軍により殺され、生き残った面々も政権を追われてしまう。またトップの拓磨も孫の舷一郎を庇って死亡し、派閥は虫の息となってしまった。その後も一部の生き残りは再起を図って舷一郎と接触するものの、孫市の台頭により身柄を拘束されてしまう。

震災以前より、日本で使われている通貨。日本政府分断後も南北で通貨として流通している。だが、大震災以降、その価値は暴落しており、紙屑同然となっている。

M資源

日本海峡の海底で発見された次世代エネルギー源。その正体はメタンハイドレートである。森村博士によって発見されるが、石油利権を脅かされる事を恐れたアメリカにより封殺されてしまった。以降、極秘事項として扱われてしまう。だが宗方はこのM資源の存在に気付き、交渉の材料として活用していった。これによりアメリカを牽制し、北日本へ多大な影響を与える。一方で董藤がこの資源を奪おうと南日本へ侵攻したりと、争いの源にもなっていた。

海外一時避難民

大震災により生き延びたものの、インフラが破壊された国内では生活出来ずに海外へ避難した人々の事。震災直後、拓磨の発案により政府によって募集され、復興の目処が立つまで世界各国へ避難した。主な受け入れ国としては台湾、中国、オーストラリア、アメリカ等で多数ある。だが政変や大国の思惑等により、16年経っても震災復興による帰国は叶わず、海外に取り残される形となってしまう。その数はおよそ700万人で、内約200万人が棄国者と化し、残りの500万人が避難民として暮らしていた。更に現地住民からの迫害と差別意識に苦しめられ、貧しい生活を強いられている。こうした中で受け入れ国へのテロ活動を目論む者も現れており、鬱屈とした空気に支配されている。また彼等は日本国籍を持つものの、南北分割前の物である為、事実上無国籍状態となっている。

一部の避難民キャンプでは、持ち前の技術力を生かして受入れ国に貢献する活動も見られ、自活の道を見出そうとしている。

棄国者

大震災により行き場を失い、国籍を捨てて海外に亡命した日本人の事。主に難民で受入れ国に帰化した者達を指す。彼等の多くが帰化した事で職や市民権を獲得し、快適な生活を送る。一方で避難民は苦しい生活を強いられている為、彼等から蔑みと嫉妬を込めて「棄国民」と揶揄されている。

ただ、親に無理矢理棄国させられた者、棄国しても帰化先の国家に疑われて汚れ役をやらされる者もおり、棄国者全員が快適な生活を送っている訳ではない。

渡航許可証

南北日本の日本人が、南北間又は国外へ渡航するために必要なビザを指す。震災直後は震災離散者同士の連絡、救援物資の搬送等で日本人の南北間移動及び国外への渡航は特に制限されなかった。だが、米中間の対立、海峡区等での治安悪化等で南北日本と米中当局は日本人の移動制限を決定してしまう。こうして渡航許可証制度が生まれてしまった。南北を渡りたい者は渡航許可証を発行し、渡航手続きをクリアして許可証に渡航先への移動許可印を押される。これにより渡航先への移動を認められる事となった。

後の南北関係の悪化等より、渡航制限の厳しい南北渡航禁止令へと発展してしまう。

南北渡航禁止令

南北日本で相互に施行された法令。宗方は、北日本から南日本への越境流入者や工作員を、南日本国家韓国の障害になると判断し、南北連絡協議会で発案した。だがこの法令により海外一時避難民の帰国を更に困難にしてしまう。

この法令により、南北間での自由な往来が出来なくなり、厳格なパスポートや身分証チェックが行われる様になる。一方で商取引についての規制には、ある程度例外措置が存在する。

海外一時避難民の帰国を望む舷一郎にとって大きな障壁となった。その為、渡航禁止令を解くよう孫市や宗方と交渉するも失敗に終わる。最終的に亮と出会い、第3の国を作り上げるという解決策を見出した。

復興委員会

震災後、分断復興統治下の日本の復興政策、国家の方針を決定する機関。総理大臣が委員長を務めており、暫定政府的な役割を担う。だが米中両国の代表も参加しているため、実質的には日米中の合同機関の色合いが強い。南北政府分裂後はそれぞれに復興委員会が発足している。

テレビ電話機能付き携帯電話

本作の時代背景は2010年代の為、スマホはまだ普及していない。その代わりに普及している携帯電話がテレビ電話付き携帯電話である。スマホのビデオ通話機能の様なものである。

『太陽の黙示録』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「日本が…割れた」

2002年8月、日本は4つの大地震に襲われた。物語の主人公である舷一郎も被災し、命懸けで生き残るべく行動する。そこで目にしたのは巨大な地割れであった。

「日本が…割れた」というナレーションと共に、カラーページで人々の絶望と唖然とした表情が描かれている。日本国土分断という物語の基本背景を鮮烈に描いた名シーンである。

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