太陽の黙示録(かわぐちかいじ)のネタバレ解説・考察まとめ

『太陽の黙示録』とは2002年よりかわぐちかいじが『ビッグコミック』で連載していた漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。西暦2002年の8月、マグニチュード8.8の大地震が日本を襲う。大地は東西に分裂し壊滅的な打撃を受けた日本は、やむなくアメリカと中国の南北分断統治を受け入れる。それから15年後、南北に分裂した日本は、それぞれの国の下で復興をしていた。だが、アメリカと中国の影響力が強く、かつての日本は失われてしまう。その中で日本人は様々な問題に苦悩しながらも、日本再興の為に力を尽くしていく。

目次 - Contents

柳舷一郎「この火山灰の上は、絶対に太陽と青空があるもん!」

未曾有の大地震に被災した舷一郎は、坂巻に助けられて共に行動する。空は火山灰で覆われ、街は崩壊し、人々は絶望に苦しんでいた。その様子を見て弱きになる坂巻に、舷一郎は「この火山灰の上は、絶対に太陽と青空があるもん!」と鼓舞する。その言葉に坂巻は励まされた。

舷一郎の真っ直ぐな性格をよく表した名言である。

柳拓磨「総理!最悪分断統治やむなしだ!!」

震災後、日本政府は救助活動や復興活動に追われていた。そんな中、アメリカと中国から復興支援の申し出が来る。だがこの裏には、日本への内政干渉からの実効支配の意図が隠されており、アメリカと中国による永続的な日本の分断統治の危険性があった。これを見抜いていた政治家達の意見は割れ、迷いが生じてしまう。そんな中、与党である民自党幹事長の拓磨は、孫である舷一郎の「この火山灰の上は、絶対に太陽と青空があるもん!」という言葉を人伝で耳にする。どんな時でも希望を見失わない彼の言葉に感銘を受け、拓磨は重い決断を下した。「総理!最悪分断統治やむなしだ!!」と、 彼は総理大臣へ発言する。この決断がきっかけで日本はアメリカと中国のそれぞれの支援を受け入れる事となり、激動の時代を迎えていく。

宗方操「俺たちは…眼もくらむ自由を手に入れたのかもしれない…」

宗方は恋人である恵理と共に被災する。家族の元へ向かおうとする彼は、震災で崩壊して燃え盛る街を目の当たりにした。その衝撃的な光景に、彼はこう言う。「俺たちは…眼もくらむ自由を手に入れたのかもしれない…」と。それは絶望でも悲しみでもなく、自由を手に入れた事への喜びの言葉であった。

宗方は父親の作った多額の借金返済の為、昼夜を問わずに働き詰めの毎日を送っていた。それは地獄の様な日々であり、彼の心身は疲労困憊であった。だが震災により、地獄の様な日常は崩壊し、彼は自由を手に入れたのである。こうした背景からこの言葉を発したのであった。

宗方の持つ狂気性や冷徹さを表した名言である。

台湾日本人避難民がデモ行進に集まるシーン

台湾にて発生した日本人避難民母子殺害事件により、黒藤達一部の過激派日本人が武力抗争を始めようとしてしまう。この動きを察知した舷一郎は仲間達と共に、彼等を止めるべく活動した。そしてこれに台湾避難民キャンプの面々が呼応し、大規模な日本人避難民によるデモ行進を決行する事となる。

勝呂が董藤を射殺するシーン

発砲する勝呂(画像上の人物)と銃弾を背に受ける董藤(画像下の人物)

日本が分断され、自衛隊も南北に分裂してしまう。守るべき国家を見失い、自らのアイデンティティに悩む北日本の勝呂は、董藤の下で自衛隊を纏め上げようと決意した。だが結局は董藤に利用され、南北の自衛隊同士で殺し合いをするという最悪の結果となってしまう。更に董藤は彼を切り捨て、暗殺されそうになった。それでも勝呂は生き残り、式典に臨む董藤の前へ姿を現す。そして董藤に向けてアサルトライフルを発砲した。だが数多の銃弾を受けても董藤は倒れず、血塗れになりながらも尚演壇に立とうとする。勝呂はその気迫に気圧されながらも、その背に向かって再び銃弾を撃ち込んだ。流石の董藤もこれに倒れ、死亡する。

この後、勝呂は精神を病み、自らの指揮で殺してしまった自衛隊の仲間達や董藤の幻覚に責め苛まれる。その果てに、彼は董藤の率いていた七星会を武力で一掃するという暴挙に出る事となった。こうして北日本で動乱が生まれ、権力構造が刷新されていく。

群雄編のラストシーン

舷一郎は日本を統一し、日本人避難民を帰国させるべく南北日本で活動した。だが政争に敗れて失敗に終わる。そこで彼は韓国の日本人避難民を経済的成功に導いた亮と出会う。そして亮の助言を受け、震災と火山灰により不毛地帯となっていた関東圏に目を付けた。舷一郎達は、ここを開墾して新しい第3の国「グレイ・シティ」の建国を決意する。

奥の倒壊した高層ビルと、手前の稲穂は対比になっており、廃墟の中から新しい国が蘇っていく事を暗示している。このシーンは群雄編のラストシーンでもあり、建国編の新しい展開を予告するものでもある。

舷一郎と宗方が握手をするシーン

グレイ・シティを切り拓いた舷一郎と、南日本の実権を握った宗方は時に協力し、時に反目するライバル関係であった。グレイ・シティは豊穣な土地を有して第一産業が盛んであり、南日本は工業を中心とした第二次産業が中心である。またグレイ・シティは非暴力不服従を基本にし、南日本は自衛隊を保有している。この様にそれぞれの国で保有している物が異なり、互いが自分に無い物を持っていた。

世界では大飢饉が襲い、南日本は耕作地を工業地帯にした為、深刻な食糧不足に陥っていた。更に南日本はアメリカと対立する形で独立した為、アメリカとの交易でも食糧を得られず兵糧攻めに遭う。またグレイ・シティでは、中国の傀儡となった北日本政府が軍隊を派遣し、武力による支配を目論んでいた。更にこの裏ではアメリカと中国が密通しており、両大国は本格的に日本を占領下に置くべく暗躍する。

窮地に陥った舷一郎と宗方は、国連による調停会議の場に出席する。そこで息詰まる政治的駆け引きの末に、両者は遂に和解し、握手を交わした。これによりグレイ・シティと南日本は1つになる。更にこれに呼応した北日本の日本人のデモにより、北日本政府は瓦解。北日本も合流し、日本は統一日本として新しく生まれ変わった。

『太陽の黙示録』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

『太陽の黙示録』のベースとなった『三国志』

横山光輝版三国志1巻の表紙

book0782y
book0782y
@book0782y

Related Articles関連記事

沈黙の艦隊(かわぐちかいじ)のネタバレ解説・考察まとめ

沈黙の艦隊(かわぐちかいじ)のネタバレ解説・考察まとめ

『沈黙の艦隊』とはかわぐちかいじによって1988年から1996年まで『モーニング』に連載されていた、架空の戦争・軍事政策をテーマとした漫画作品、およびそれらを原作としたラジオドラマ、アニメ、映画作品である。政治的な陰謀や軍事技術の進展による国際関係の緊張を背景に、架空の最新鋭潜水艦「やまと」の艦長である海江田四郎とその乗組員たちの活躍を描いている。本作は、そのリアルな描写と緻密なストーリー展開で高い評価を受けた。

Read Article

ジパング(かわぐちかいじ)のネタバレ解説・考察まとめ

ジパング(かわぐちかいじ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ジパング』とは2000年よりかわぐちかいじが『モーニング』で連載していた漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。西暦200X年の6月、日本海上自衛隊の最新型イージス艦みらいはミッドウェー沖合にて落雷を受ける。それをきっかけに、彼等はイージス艦ごとミッドウェー海戦直前の1942年6月4日の太平洋上にタイムスリップした。オーバーテクノロジーを保有する形となった彼等は、戦前の人々や歴史の流れの中で葛藤し、各々の思想の違いによって対立していく。そして彼等の存在は、歴史を大きく変えて行くのであった。

Read Article

イーグル(かわぐちかいじ)のネタバレ解説・考察まとめ

イーグル(かわぐちかいじ)のネタバレ解説・考察まとめ

『イーグル』とは、かわぐちかいじの政治漫画である。1998年から2001年まで『ビッグコミック』で連載された。新聞記者城鷹志は、唯一の肉親である母を事故で亡くす。悲しみの中、突如アメリカ大統領選挙候補者の1人ケネスから密着取材を指名された。アメリカに渡った城は、ケネスから自分の子供である事を告げられる。動揺しながらも、彼はアメリカ大統領選挙を戦うケネスの取材を行う。その取材の過程で母親が何者かに暗殺された事に気付く。事件の真相に迫りながら、アメリカの抱える政治的問題が描かれていく。

Read Article

目次 - Contents