太陽の黙示録(かわぐちかいじ)のネタバレ解説・考察まとめ

『太陽の黙示録』とは2002年よりかわぐちかいじが『ビッグコミック』で連載していた漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。西暦2002年の8月、マグニチュード8.8の大地震が日本を襲う。大地は東西に分裂し壊滅的な打撃を受けた日本は、やむなくアメリカと中国の南北分断統治を受け入れる。それから15年後、南北に分裂した日本は、それぞれの国の下で復興をしていた。だが、アメリカと中国の影響力が強く、かつての日本は失われてしまう。その中で日本人は様々な問題に苦悩しながらも、日本再興の為に力を尽くしていく。

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趙(チョウ)

2002年震災当時の駐日大使を務めた男性。大震災に遭った日本政府に対し、論語を語って復興支援の申し出をする。彼の申し出と米国及び拓磨の思惑が合致し、当時の日本首相石倉は中国の思想を危惧しつつも中国側に復興支援要請を行った。この際、趙は日本側に最初に災害視察団を送ると言っていたが、実際にやって来たのは大規模な中国人民解放軍の進駐部隊であった。視察を名目としていたものの、中国側の日本占領の意図が露骨に見えた結果となる。

劇中での活躍は僅かであるが、中国による対日復興支援のきっかけを作る、対日影響力を増やしたいと考える中国当局の思惑を表す等、重要な役割を果たす。

連(リャン)

中国人民解放軍総参謀本部副総長を務める老齢の男性。かつては人民解放軍の北日本軍区司令官を務めていた。この時に「七星会」の後押しにより出世してきた黒幕である。

七星会トップである董藤とは蜜月関係にあり、北日本完全支配のため手を貸す。彼の死後は「七星会」の北日本支配に不安感を抱き、自身の息の掛かった周真瑜を北復興委員長のポストに就かせる。しかし周はかつて、親交のあった孫市の父(堅一郎)と兄(策太郎)が、連の汚職を暴いた事で謀殺された過去を持っていた。更に周を地方に左遷した為、復讐心を密かに抱かれていた。最終的に彼の裏切りにより、中央軍事委員会の隔離審査に懸けられて失脚する。

周陽明(チョウ ヤンミン)

中国共産党中央軍事委員会主席を務める老齢の男性。元中国国家主席と中国共産党総書記を務めた事もあり、中国指導部の最高実力者でもある。その権力は絶大であり「老帝」と呼ばれる程。

柳拓磨と深い親交があり、その義理から親日的な対応をしている。中国による日本復興支援支援も、実質的にこの2人のパイプによって継続していた。更にこのパイプは、互いの後継者が継承する事としていた為、董藤がこの後継者の座を狙う事となる。董藤は病床に臥せる拓磨を監禁し、周に自分を後継者として紹介するように脅迫していた。

周真瑜が台頭し北日本へ渡る際に、舷一郎の人物を見定めるよう命じる。物語後半に亡くなり、中国の日本侵略構想が露骨となった。モデルは鄧小平。

国際連合

シャルル・ゾラ(Charles Jolla)

国連事務総長日本問題担当特使を務めるフランス人の男性。建国編ではフランス国連大使を務めている。

リベラル派の官僚で国連南北日本視察団の団長として来日する。元々は親日家であり、米中による分断統治、南北日本の分離独立には反対していた。だが宗方に「M資源」の存在及び、それを利用した外交戦略を聞かされて興味を示し、彼の視察団同行を認める。そして彼の協力者となっていった。視察後は、宗方の目指す南日本独立、「M資源」実用化に向けて、行動する。祖国フランスも含めたEU諸国、ロシアとの交渉をまとめ上げた。

その後の2020年12月には、EU首脳会議に宗方がオブザーバーとして参加出来る様に手を回す。そしてEU諸国が、南日本の独立を認める事を世界に示した。

『太陽の黙示録』の用語

概念

日本分断

2002年の日本大震災により、本州が近畿地方から北陸地方に位置する日本列島大断層を境に分断した。これに伴い南関東、東海地方、近畿地方は水没し、九州地方、四国地方は二分されてしまう。これが日本分断である。

分断後、米中両国は日本復興支援の名目で派兵する。そして国連で「分割復興決議案」が採択され、日本はアメリカ管轄の南日本地域(サウスエリア)と中国管轄の北日本地域(ノースエリア)に分割されてしまった。また日本政府でも内部分裂が伴い、日本は事実上の分断国家となってしまう。復興はそれぞれの大国主導で行われ、南北日本は傀儡国家と化してしまった。

自衛隊は陸自と海自及び空自で異なった対応をしている。陸上自衛隊は南北に分割されたまま運用され、米軍とつながりの深い海上自衛隊、航空自衛隊は全部隊が南日本に帰属してしまう。在日米軍は三沢飛行場、横田飛行場、横須賀海軍施設、厚木飛行場、キャンプ座間等の北日本領内の基地からは撤退した。
南北間の往来については、当初は自由に行われたものの米中の対立及び治安の悪化等を理由に、次第に規制されてしまう。しかし南北両政府により相互承認された分離独立の動きが進むに連れて、統一を求める声が強まってゆく。

なお、分断以前の日本は『三国志』における後漢をベースにしている。

日本大震災

日本を襲った巨大地震の総称。1つの地震ではなく、複数の巨大地震を纏めて日本大震災と呼称している。

まずは2002年8月10日午前10時20分に発生したM8.8の京浜大地震が発生し、京浜地区に壊滅的な打撃を与えた。同日午後3時10分にM7.5の東海大地震が発生し、富士山、伊東沖の手石海丘、伊豆諸島の三宅島雄山及び大島三原山が噴火する。そして8月15日午前8時、M8.9の東南海大地震及び南海大地震が同時発生し、琵琶湖を中心とした京都・大阪・奈良が水没。更に本州が文字通り真っ二つに分断されてしまう。また、紀伊半島や四国・九州南部も水没した。被害者数は死亡者2000万人、行方不明者4000万人。2003年2月に経団連が見積もったところによると、震災前の2分の1レベルまで復興するのに必要な予算は、ライフラインやインフラ面に限っても300兆円に及ぶ。

北海道は大きな被害を免れた為、日本臨時政府が一時的に札幌へ移される。ここはそのまま北日本の支援に入った中国によって首都とされ、後に新しく日本を統一する為の首都として政治に利用される事となる。京浜大地震から1年後の2003年8月10日、日本臨時政府所在地である札幌の大通公園にて、追悼式典が行われた。

日本海峡

大震災により地割れが発生し、琵琶湖を中心に大阪湾から富山湾にかけて出来た海峡を指す。海底には大阪府、京都府といった大きな街が水没している。分断復興計画の際、米中の管理地域の境界線とされ、その後の南北日本の国境線となっている。アメリカの調査でM資源が発見されており、南北首脳会談では両者の外交の切り札として利用されている。

団体及び派閥等

民自党

震災以前からの日本政府与党。震災時の総裁は石倉、幹事長は拓磨が務めている。総理総裁は石倉であるが、その実権は拓磨が握っていた。石倉自身も自らを「柳拓磨の神輿」と自覚する。だが震災後の復興計画を巡り、アメリカ主導を主張する石倉と、中国主導を主張する拓磨が対立した。最終的に両者は決裂し、石倉は博多へ亡命した。これにより党と日本政府も南北に分裂してしまう。モデルは自民党。

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