『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム』は、Deck Nine Gamesが開発し、2017年のグローバル版を経て、2018年にスクウェア・エニックスより日本語版が発売されたアドベンチャーゲーム。前作の3年前を舞台に、主人公である16歳の不良少女と学園の人気者の美少女との鮮烈な絆を描く。主人公の毒舌を武器にした交渉術のバックトークを駆使するのが特徴。完璧に見える家族の裏側に潜む闇や思春期の孤独をはじめ、避けられない運命の嵐に立ち向かう2人の切ない物語が展開される。
『Life Is Strange: Before the Storm』(ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム)の概要
『Life Is Strange: Before the Storm』とは、スクウェア・エニックスから発売されたPS4・PC(Windows・MacOS・Linux)・Xbox One・Android・iOS用のアドベンチャーゲーム。グローバル版が2017年8月31日に、日本語版が2018年6月7日に発売された。開発元はアメリカに拠点を置くDeck Nine Gamesが担当。
本作のストーリーは、第1作の3年前となるオレゴン州の架空の港町アルカディア・ベイを舞台に、16歳の主人公クロエ・プライスが経験する激動の思春期を描いている。最愛の父を亡くし孤独に荒んでいたクロエは、地元の名門私立高校であるブラックウェル高校の人気者のレイチェル・アンバーとの鮮烈な出会いを通じて、家族にも打ち明けられない秘密や運命を共有する深い絆を築いていく。完璧に見えたレイチェルの家庭に潜む衝撃的な闇に触れた2人は、互いを唯一の救いとして、閉塞感のある日常からの脱出を試みることになる。
本作はシリーズ第1作の前日譚にあたり、超能力を持たないクロエ独自のシステムとして、鋭い毒舌で相手を翻弄する心理交渉術のバックトークを採用しているのが最大の特徴。プレイヤーの決断が物語の行く末を左右するシリーズ伝統の魅力は継承されており、ドラマチックな物語性は高く評価された。世界的な評価としては「BAFTA Awards」の「Beyond Entertainment」へのノミネートや、「The Webby Awards」の「Best Writing」へのノミネートなどがある。
『Life Is Strange: Before the Storm』(ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム)のあらすじ・ストーリー
目覚め編
16歳の孤独な少女クロエ・プライスは、最愛の父を亡くし唯一の親友マックス・コールフィールドも去ったアルカディア・ベイで、行き場のない怒りを抱えながら自暴自棄な日々を送っていた。ある夜、場末のライブ会場でトラブルに巻き込まれた彼女を救ったのが、学園の人気者レイチェル・アンバーだ。
対極の世界に住む2人は運命に導かれるように意気投合。クロエはレイチェルに誘われるまま授業をボイコットし、共に走る貨物列車へと飛び乗り街の外にあるオーバールック・パークへと向かった。見晴らしの良い公園でレイチェルが望遠鏡越しに目撃したのが、彼女の父親であるジェームズ・アンバーが、見知らぬ女性(セラ・ギアハート)と親密そうにキスをしている姿だ。
完璧だと信じていた家族の裏切りに直面し、激しいショックを受けたレイチェルは自暴自棄に陥った。抑えきれない怒りと絶望のままにレイチェルが公園の大きな木に放った火は瞬く間に燃え広がり、アルカディア・ベイ全体を巻き込む大規模な山火事へと発展してしまう。レイチェルを襲ったあまりに過酷な真実こそが、2人の少女の日常を終わらせ、逃れられない運命の嵐へと彼女たちを突き動かす決定的な引き金となった。
素晴らしき新世界編
大規模な山火事騒動を受け、クロエは校長のレイ・ウェルズから厳しい審問を受けることになった。クロエが退学処分を下された主な理由は、最愛の父親の死をきっかけに積み重なった問題行動の数々だけでなく、特に学校内での反抗的な態度や相次ぐルール違反が限界に達したためだ。窮地に陥った彼女を救おうとレイチェルが自ら身代わりを申し出るが、学校側の判断は覆らず結局クロエは退学処分を言い渡されてしまう。
学校という場所を追われ、2人の絆は大人たちへの反抗を通じてより一層強固なものへと変化していく。クロエは借金返済のために裏社会の住人フランク・バワーズの危険な仕事に手を染め、レイチェルは学園演劇テンペストの舞台に立ち、劇中のセリフを借りて自らの抑えきれない感情を爆発させた。閉塞した街からの脱出を誓い合う2人だったがエピソード2の終盤、ついにジェームズの口から不倫相手だと信じて疑わなかった女性の正体が、レイチェルの実母であることが語られる。
地獄は空っぽ編
かつて薬物中毒に陥り家族を捨てたセラは、後に更生を遂げて娘との再会を求めて街に姿を現していたが、娘を守るためという大義名分のもと、ジェームズは彼女を危険な存在として徹底的に排除しようとしていた。真相を知り、実母への募る想いを抑えきれないレイチェルはセラとの面会を切望するが、情報を求めて接触した裏社会の狂犬デイモン・メリックによってナイフで刺され、重傷を負ってしまう。レイチェルが入院を余儀なくされる中、クロエは親友の願いを叶えるため、単身ジェームズの書斎へと潜入。書斎で目にしたのは、セラからの切実な手紙をすべて隠匿し、あろうことかデイモンを雇ってセラの殺害までも画策するジェームズの裏の顔だ。
真実を知ったクロエは、ストーカーと化したエリオット・ハンプデン(クロエの幼馴染)の執拗な追跡を辛くも振り切り、セラが囚われている廃工場へと急行した。デイモンによって薬物を強制投与されるという地獄絵図が広がっていたが、間一髪でフランクが駆けつけ、死闘の末にデイモンを退けることに成功する。
ようやくセラに巡り会うことができたものの、「レイチェルの幸せのために、父親の罪を伏せてほしい」とクロエに告げ、再会を拒んだまま独り去っていってしまう。病院へ戻ったクロエには、「残酷な真実をすべて打ち明け、偽りの家族の平穏を壊すのか」、「嘘を突き通し、レイチェルに父を愛させ続けるのか」という物語最大の選択が突きつけられた。クロエの決断は、2人の絆とアルカディア・ベイの運命を永遠に変えていくことになる。
さよなら編
本編から遡ること数年、幼き日のマックスとクロエの姿を描く前日譚。まだ悲劇を知らない2人は、海賊ごっこに興じ思い出の品々をタイムカプセルに詰めるなど、眩しいほどに無垢な時間を共に過ごしていた。マックスがシアトルへと引っ越す直前で、クロエの実父ウィリアム・プライスが事故に遭う最後の一日に起こった出来事だ。シリーズの原点となる本エピソードは、2人の固い絆と決して戻ることのできない幸福な時代の終わりが静かに描き出されている。
『Life Is Strange: Before the Storm』(ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム)のゲームシステム
基本的な流れ
クロエが落書きをしている場面。
本作は、全3話のエピソード形式(ボーナスエピソードを含めると全4話)で物語が構成されている。最大の特徴は、前作の主人公が持っていた時間を巻き戻す能力が今作には存在しないという点。プレイヤーは一度下した決断をやり直すことができず、常に後戻りのできない選択の重みを感じながらゲームを進めることになる。
探索中には、クロエ・プライスの反骨精神を反映した落書きを特定の場所に書き残すことができ、プレイヤーが選んだ重要な選択肢は、各エピソードのクリア後に他のプレイヤーの統計データと共に確認することが可能。物語の大きな流れは前作へと続く一本の道に収束していくが、随所に用意された選択の分岐を通じて、自分だけのクロエとしての軌跡を刻めるのが本システムの魅力だ。
バックトーク
クロエ(左端)がライブ会場の見張り役のスキニー(中央)と、バックトークという口喧嘩バトルをしている場面。
マックス・コールフィールドのような超能力を持たない生身の少女のクロエにとって、世界に抗う唯一の武器は言葉だ。本作の目玉であるバックトークは、相手の矛盾を瞬時に突き、自らの要求を押し通すスリリングな心理戦をシステム化したトークスキル。画面上のタイマーが刻一刻と迫る中、相手を言い負かす最適解を直感で選び出す緊張感は、前作の時間の巻き戻しとは一線を画す後戻りのできない生々しいリアリティをプレイヤーに突きつける。
バックトークに勝つことが必ずしも幸福な結末を約束するわけではなく、論破したことでかえって反感を買うこともあれば、沈黙が最善の道となることもあるようだ。正解の不在こそが本作のドラマをより深く、残酷なまでにリアルにしている。エピソード終了後に示される他のプレイヤーの統計は、自分の選んだ道が正しかったかではなく、自分がいかにクロエとして生きたかを映し出す鏡となり、物語への没入感を究極にまで高めてくれる要素だ。
『Life Is Strange: Before the Storm』(ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム)の登場人物・キャラクター
主要人物
クロエ・プライス (Chloe Price)
CV:Lynn/リアナ・デヴリース、アシュリー・バーチ(英語版)
本作の主人公。ブラックウェル高校の科学科に在籍する16歳の少女。『Life Is Strange』でトレードマークだった青髪にする以前のナチュラルなブラウンヘアが特徴。
最愛の父・ウィリアム・プライスを不慮の事故で失い、さらに心の支えだった親友マックス・コールフィールドも街を去ったことで、彼女の心には深い孤独と世界への強い苛立ちが渦巻いている。後に深く関わることになるレイチェル・アンバーとは、物語開始時点では特に接点がなく赤の他人だった。
レイチェル・アンバー (Rachel Amber)
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目次 - Contents
- 『Life Is Strange: Before the Storm』(ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム)の概要
- 『Life Is Strange: Before the Storm』(ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム)のあらすじ・ストーリー
- 目覚め編
- 素晴らしき新世界編
- 地獄は空っぽ編
- さよなら編
- 『Life Is Strange: Before the Storm』(ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム)のゲームシステム
- 基本的な流れ
- バックトーク
- 『Life Is Strange: Before the Storm』(ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム)の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- クロエ・プライス (Chloe Price)
- レイチェル・アンバー (Rachel Amber)
- ブラックウェル高校
- ビクトリア・チェイス (Victoria Chase)
- ネイサン・プレスコット (Nathan Prescott)
- ドリュー・ノース (Andrew North)
- マイキー・ノース (Mikey North)
- ステフ・ギングリッチ (Steph Gingrich)
- エリオット・ハンプデン (Eliot Hampden)
- サマンサ・マイヤーズ (Samantha Myers)
- トラビス・キートン (Travis Keaton)
- スキップ・マシューズ (Skip Matthews)
- レイ・ウェルズ (Raymond Wells)
- ミシェル・グラント (Michelle Grant)
- サミュエル・テイラー (Samuel Taylor)
- デーナ・ワード (Dana Ward)
- ヘイデン・ジョーンズ (Hayden Jones)
- ジュリエット・ワトソン (Juliet Watson)
- ジャスティン・ウィリアムズ (Justin Williams)
- エバン・ハリス (Evan Harris)
- 家族・その他
- ジョイス・プライス (Joyce Price)
- ウィリアム・プライス (William Price)
- デイビッド・マドセン (David Madsen)
- ジェームズ・アンバー (James Amber)
- ローズ・アンバー (Rose Amber)
- フランク・バワーズ (Francis Bowers)
- デイモン・メリック (Damon Merrick)
- セラ・ギアハート (Sera Gearhardt)
- ショーン・プレスコット (Sean Prescott)
- ロドニー・"サンダー"・シアーズ (Rodney "Thunder" Sears)
- シェルドン・パイク (Sheldon Pike)
- ピーター・ギレスピー (Peter Gillespie)
- ラジオ放送
- DJ スタン・スタンウィック (DJ Stan Stanwick)
- エイミー・リバース (Amy Rivers)
- ジャック・カーニー (Jack Kearney)
- ボーナスエピソード
- マックス・コールフィールド (Maxine Caulfield)
- 『Life Is Strange: Before the Storm』(ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム)のアイテム
- 物語の象徴的なキーアイテム
- テンペストの台本
- レイチェルのブレスレット
- クロエの私物
- クロエの日記
- 落書き用のマジックマーカー
- ストーリーの分岐に影響
- 200ドル(現金)
- デイヴィッドの工具箱
- 『Life Is Strange: Before the Storm』(ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム)の用語
- 場所・組織
- ブラックウェル高校 (Blackwell Academy)
- アルカディア・ベイ (Arcadia Bay)
- 製材所 (Sawmill)
- オーバールック・パーク (Overlook Park)
- プレスコット財団
- 物語を動かす重要な要素
- バックトーク (Backtalk)
- アンバー家の秘密
- テンペスト (The Tempest)
- 繋がり・状態
- 落書き (Graffiti)
- 未送信の手紙
- 『Life Is Strange: Before the Storm』(ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 落書きは本作の実績解除(トロフィー収集)要素
- ボーナスエピソードでマックスとクロエの幼少期を追体験することが可能
- 声優の交代とストライキ
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