シュート!(漫画・アニメ・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『シュート!』とは、1990年から2003年まで『週刊少年マガジン』で連載された大島司によるサッカー漫画、及びそれを原作としたアニメ、実写映画作品である。掛川高校サッカー部を舞台に、主人公の田仲俊彦たち「掛西中トリオ」や仲間たちが、様々な技や戦術を生み出しながら全国大会を目指す。憧れの先輩・久保嘉晴の急逝を乗り越え、その思いを受け継いで成長していくドラマや、リアルな試合描写、マネージャー遠藤一美との恋愛模様など、熱い友情と成長を描き多くのファンを魅了した。

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『シュート!』の概要

『シュート!』とは、大島司(おおしま つかさ)によるサッカー漫画、およびそれを原作としたアニメ、実写映画作品である。本作は四部構成となっており、1990年から2003年まで約13年間にわたって『週刊少年マガジン』(講談社)にて連載された。第1部は1990年から1996年まで連載され、単行本は全33巻。続く第2部『蒼き伝説 シュート!~新たなる伝説~』は1996年から1997年まで連載され、単行本は全12巻。第3部『シュート!~熱き挑戦~』は1997年から1998年まで連載され、単行本は全13巻。そして、第4部『シュート!~蒼きめぐり逢い~』は1998年から2003年まで連載され、単行本は全9巻となっている。
また、番外編として『シュート!久保嘉晴の伝説』や『シュート!の世界にゴン中山が転生してしまった件』があるほか、2014年にはブラジルW杯編を描いた続編の読み切りも掲載された。

物語は、サッカーの名門・掛川高校を舞台に、主人公・田仲俊彦(たなか としひこ)と「掛西中トリオ」と呼ばれる平松和広(ひらまつ かずひろ)、白石健二(しらいし けんじ)ら仲間たちが、インターハイを勝ち抜き世界に名を轟かすなど、全国制覇を目指して成長していく姿を描く。彼らは、伝説的なサッカー選手であり恩師でもある天才・久保嘉晴(くぼ よしはる)の影響や出会った人々の助言を受けながら、現実のサッカー技術にも通じる新たな技を身に付け、仲間との絆や挫折、勝利への情熱を胸に数々の強豪校と戦いを繰り広げる。作品の特徴は、迫力ある試合シーンとリアルな戦術描写、選手たちの心理描写に重点を置いている点で、世代を問わず幅広く支持され、青春スポーツ漫画として高い人気を博した。

また、1993年11月7日から1994年12月25日にかけてはテレビアニメ『蒼き伝説 シュート!』が放送され、アニメ映画化もされた。1994年には、SMAPが初めてグループで主演を務めた実写映画も公開された。さらに、2022年7月から9月には新たなテレビアニメシリーズ『シュート!Goal to the Future』が放送され、再び注目を集めている。本作は1994年に第18回講談社漫画賞少年部門を受賞しており、サッカーを通じた友情と努力、成長の物語が多くの読者や視聴者の共感を集めている。

『シュート!』のあらすじ・ストーリー

シュート!

掛川高校サッカー部は、昨年開設されたばかりの新設校でありながら、1年生主体のチームで創部半年でシード校の藤田東高校を破るなど静岡予選ベスト8を達成。その中心選手であり、監督代行も務めた久保嘉晴(くぼ よしはる)が伝説となっていた。
主人公の田仲俊彦(たなか としひこ)は久保に憧れ、のちにマネージャーとなる遠藤一美(えんどう かずみ)と共にサッカー部へ入部する。俊彦は親友の平松和広(ひらまつ かずひろ)、白石健二(しらいし けんじ)と共に掛川高校へ進学したが、平松と白石は別の事情で当初はサッカー部に入らなかったため、俊彦は副将の神谷篤司(かみや あつし)から雑用を押し付けられる日々を送る。神谷の「1年は試合に出さない」という宣言に対抗し、一美が俊彦に扮して挑戦状を出したことで1年生が紅白戦を挑むこととなる。平松・白石の途中加入で互角に持ち込み、「トリプルカウンターアタック」を放つが、神谷に阻まれ試合は終了。しかし、この活躍により「掛西中トリオ」の実力が認められ、1年生の起用が約束された。

その後、病気から復帰した久保のアドバイスにより俊彦の左足のシュートの原型が完成し、袋井工業高校を破ってベスト8に進出する。インターハイ予選準決勝の相手は掛川北高校。斉木誠(さいき まこと)に加え、広瀬清隆、三橋英二郎らの猛攻に苦しむが、久保が全選手を抜き去る「奇跡の11人抜き(ゴールトゥゴール)」で同点弾を決めるも直後にピッチに倒れ、チームは「トリプルカウンターアタック」により逆転勝利を収めるが、久保は試合後に急逝してしまう。精神的支柱である久保亡き掛川は、決勝で松下や加納を擁する藤田東に大敗を喫した。

その後、ブラジル帰りの転校生である馬堀圭吾(まぼり けいご)が入部し、紅白戦を経てチームは団結を深める。冬の選手権予選決勝では再び藤田東と対戦。田仲は久保の10番を引き継ぐ重圧に悩むが、一美と神谷の支えで本来のプレーを取り戻し、平松の「ヒールキッキング」の活躍や、俊彦が放った「幻の左」サブマリンシュートで決勝点を挙げ、見事に雪辱を果たした。

全国大会では、1回戦の青城南高校に7-0で大勝し、2回戦の鶴ヶ崎学園高校にも競り勝つ。4回戦の豊川高校戦ではトラブルにより不在だった白石が復帰して勝利し、激戦を制していく。準決勝では群馬の前山工業高校と対戦し、エースのヴィリーと10番を賭けて争う中、俊彦が「バイシクルシュート」を決めるなどハットトリックの活躍で撃破。決勝では王者・帝光学園高校と対戦し、草薙の堅い守りや恩田の黄金の左、キング岩上の前に苦戦を強いられるが、キックオフと同時に神谷がゴールを決めるなどして食い下がり、延長戦の末に平松と田仲が放った「回転軸を2つ持つ幻のシュート(ツープラトンシュート)」で破り、全国優勝を成し遂げる。

田仲らは全日本ユース代表合宿に招集され、最後の候補選手であり久保に似たプレースタイルを持つジョージ光岡(光岡 丈時/みつおか じょうじ)と出会う。ドイツ遠征では田仲が10番を背負い、光岡の助言を受けながら共にプレーして3勝1分けの成績を残すなどさらなる成長を遂げ、ワールドカップでの日本代表として世界一を目指すのだった。

蒼きめぐり逢い

物語の過去編にあたる本エピソードでは、中学時代の田仲俊彦が描かれる。水木光一(みずき こういち)の誘いを受け掛川西中学校に入学した田仲は、ライバルとなる優等生の平松和広、地元で有名な不良の白石健二と出会う。全国大会県予選の南陽中学校戦では、平松の「ヒールリフト」や田仲の「必殺の右」、「トリプルカウンターアタック」が炸裂して勝利を収め、平松は田仲の影響でパートナーとしての意識を持つようになる。

一方で、田仲の小学校時代の元相棒・奥山良(おくやま りょう)は嫉妬心を燃やしていた。掛西中は、監督・大原由実子の弟である大原裕(おおはら ゆたか)や奥山を擁する見取中学校と対戦。試合では、田仲が「幻の左」による強烈なシュートで片鱗を見せるものの、まだ未熟な体が耐えられず左足を痛めてしまう。PK戦の末、最後は田仲の「必殺の右」で掛西中が勝利を収めた。

大原由実子は田仲の本当の利き足が左であることに気づくが、時期が来たときにそれを伝えてくれる素晴らしいめぐり逢いがあることを信じ、本人には告げないままにする。そして水木と大原は、田仲の左足の才能が未来に開花することを期待するのだった。

熱き挑戦

インターハイ連覇を目指し、新1年生を迎えた掛川高校だが、田仲はスペインで修行、神谷は怪我で欠場するなどピッチに主力不在の状況が続き、チームは苦戦を強いられる。しかし、神谷が試合途中から入り、得意のロングシュートや「スルーパス」を駆使した活躍によって掛川北高校に勝利し、3年連続でのベスト8進出を決める。

その頃、田仲は必殺のドリブルを手に入れるべくスペインを訪れていた。水木光一のもとへ赴く前に、遠藤一美に似たイザベル・ゴンザレスや、スペインの至宝と呼ばれるペドロ・フォルネルと出会う。田仲は闘牛を相手にした独自のトレーニングを重ねることで、姿が消える必殺のドリブル「ファントムドリブル」を完成させ、3部リーグの最終戦でペドロと対決する。田仲との試合を経て勝ち越しを許したことで、ペドロはサッカーへの復帰を決意。田仲は確かな成長を遂げて日本へと帰国する。

準決勝では、奥山良(おくやま りょう)率いる清水中央高校と激突。掛川は奥山の活躍により苦戦するが、馬堀の「マリーシア」などの戦術で追いつく。神谷が膝の怪我で限界を迎えるが、そこへ復帰した田仲へとすべてが託される。「ファントムドリブル」の解禁と、掛川の「トータルフットボール」により大量得点を奪って決勝へと進出した。

決勝では藤田東高校と再び対戦。藤田東の監督には、平松の父である平松修が就任していた。試合は加納隆次の弟・加納豪樹(かのう ごうき)やマルコ・ゴンザレスの活躍、そして神谷のプレーをコピーしたかのような豪樹の走りに翻弄されて苦戦するが、平松のプレイの鋭さが増したことで同点に追いつく。藤田東の「フラッシュパス」を乗り切り、新田のオフサイドトラップなどの活躍で相手の猛攻をしのいだ延長戦、神谷が久保の再来を彷彿とさせる「11人抜き」の奇跡的なドリブルを仕掛ける。最後にバックパスを受けた田仲が「ファントムドリブル」で決勝点を決め、見事に優勝を果たした。

新たなる伝説

『シュート!~新たなる伝説~』は、掛川高校の田仲俊彦(たなか としひこ)と九里浜学園高校の伊東宏(いとう ひろし)を主人公とする物語である。掛川高校が冬・夏連覇に向けて予選突破を果たすその3ヶ月前、鎌倉に大原由実子が新たに監督を務める九里浜学園高校という新たな伝説が生まれようとしていた。久里浜は「ミラクルレフティ(奇跡の左足)」を持つ伊東が紡ぎ出す「キングダムサッカー」を目指すが、キャプテンの牧野新平をはじめ一部メンバーが当初は反発する。しかし、大原裕や伊東の実力を見て大原由実子の手腕を認め、チームは団結していく。

久里浜が順調に勝ち進む中でテレビを通じて掛川高校に宣戦布告をしたため、それを見た田仲たちは久里浜の試合を見学しに向かい、そこで放たれた「キックオフシュート」を見せつけられる。その後、神奈川大会決勝で光明商工高校に勝利し優勝した久里浜高校は田仲たちと直接会い、お互いに全国大会の頂点を目指すことを約束した。

全国大会(インターハイ)の初戦、掛川高校は光明商工高校を相手に事前宣言通り5点差をつけて圧勝。一方の久里浜高校も、掛川が前回大会の決勝で戦った帝光学園高校と対戦し、同じく5点差をつけて勝利する。続く2回戦で掛川は尾街西高校に勝利し、久里浜も氷室を擁する鶴ヶ崎学園高校にロスタイムの末に勝利を収めた。こうして両チームは順調に勝ち上がり、ついに全国大会の決勝で対戦する。

決勝戦が始まると、牧野の「パーフェクトDF」によって田仲の「幻の左」を封じられた掛川はなす術を失い、伊東の「トルネードアクセル」が決まって先制を許してしまう。さらに久里浜の「トリプルカウンターアタック」により2点目も奪われ、前半が終了。しかしハーフタイム中、久保嘉晴からの手紙を遠藤一美から受け取ったことで、後半早々に田仲の「幻の左」が復活する。「必殺の右」で2点目をもぎ取り、さらに「ゴール前の聖域(サンクチュアリ)」を自分自身で描き出した田仲がハットトリックを達成して勝利し、掛川高校が夏のインターハイ優勝を決めた。その後、神谷篤司はイタリアへ渡ることを決め、大塚が2年生にキャプテンマークを託して新体制となった掛川の新たな挑戦が始まる。

物語の最終盤、エピローグとして7年後の姿が描かれ、未来の日本代表メンバーがワールドカップで活躍する姿が映し出される。田仲は名門クラブ「レアル・マドリード」に所属し、日本代表の10番を背負って世界一を目指しピッチに立っている。試合中に脳震盪を起こしピッチの外へ倒れるアクシデントに見舞われるが、チームメートは彼の復帰を信じて試合を続け、未来の日本代表メンバーたちの熱い戦いが描かれて本作は幕を閉じる。

『シュート!』の登場人物・キャラクター

掛川高校

田仲 俊彦(たなか としひこ/演:中居 正広)

CV:緑川 光

掛川高校サッカー部の主人公で、通称「トシ」。1975年7月22日生まれ、身長172cm、体重60kg。掛川市大池出身で、両親と姉との4人家族である。単純かつ純粋な性格を持ち、時に大胆な言動を取ることもある。サッカー仲間の平松和広(ひらまつ かずひろ)や白石健二(しらいし けんじ)とは、同じ中学のチームメイトであり「掛西中トリオ」と呼ばれる。
ゴールに対する執着心が強く、オーバーヘッドやバイシクルキック(バイシクルシュート)を得意とする。そのシュート力は作中でも随一であり、平松からは「ペレのようなスタイル」と評される。精神面では序盤に弱さを見せるが、久保嘉晴(くぼ よしはる)の死後、彼の遺志を継ぐために成長を遂げ、掛川高校の10番を背負うエースストライカーとしてチームを牽引し、全国大会では活躍を見せる。
中学時代は「必殺の右」でシュートを上げていたが、高校進学後に久保の指導を受け、強力な武器となる左足シュート「幻の左」を習得する。左足を活かしたプレースタイルが武器となり、徐々に成績を向上させる。しかし、守備陣に警戒されることが増え、壁に直面する。ユース代表としてドイツ遠征し、スペインへ短期留学してさらに成長を遂げ、「ファントムドリブル」を編み出す。
高校生活最終盤では、九里浜学園との決勝戦で徹底的にマークされながらも、「必殺の右」でゴールを決め、自ら「ゴール前の聖域(サンクチュアリ)」を生み出すなどしてチームを連覇に導いた。トシの活躍から、「東洋の大砲」「ゴール前の聖域を見る男」と呼ばれることとなる。

平松 和広(ひらまつ かずひろ/演:香取慎吾)

CV:菊池 正美

1975年4月26日生まれ、身長170cm、体重59kg、血液型はA型。掛川高校サッカー部のフォワード(右ウィング)およびミッドフィールダーである。クールで温厚な性格を持ち、頭脳明晰で運動能力にも優れる。特に、100メートルを10秒8で走る俊足を誇るが、シュート力ではトシたちに若干劣るものの、高校界ではトップクラスの実力を持つ。
平松は常に眼鏡をかけている。視力が悪く、歩くと電柱に衝突するほどであるため、試合中でも眼鏡をかけたままでプレーする。性格は冷静で、トシや白石健二のように感情的にはならず、変化を求めることに敏感だ。そのため、紅白戦では馬堀のチームに入り、トシや健二と対峙することで、成長のきっかけを与えた。
また、平松は将棋が得意で「穴熊の平松」として知られ、その冷静な判断力はサッカーだけでなく日常生活にも現れる。恋愛面では、同級生の遠藤一美(えんどう かずみ)に片想いをしており、一美に関することには非常に熱心である。初めて恋仲に発展したが、一美が心の中でトシに好意を持っていることを察し、自ら別れを告げることとなった。
サッカーにおける平松は、トシと共に「ゴールデンコンビ」として数多くの試合で抜群のコンビネーションを発揮し、そのテクニックは高校サッカー界でも屈指と評価されている。特にスピードを活かしたドリブルが得意で、ヒールリフト技を駆使した「ダブルヒール」「トリプルヒール」などの派生技を得意とする。また、彼はサッカーセンスが非常に高く、ディフェンスでも平均以上の活躍を見せ、藤田東の「フラッシュパス」や尾街西(おがいにし)の「11人の司令塔」など、他校の脅威となる戦術を1人で打破することができる。
高校時代、平松はアシストに徹することが多かったが、それはトシを活かすための選択であり、欠点ではないと昇華させている。2010年W杯の時点では、アーセナルに所属しており、サッカー界でもトップレベルの選手として評価されている。

白石 健二(しらいし けんじ/演:森且行)

CV:神奈 延年

1975年8月17日生まれ、身長174cm、体重63kg、血液型はB型。掛川高校サッカー部のゴールキーパーである。せっかちでケンカっ早い性格だが、義侠心に厚く、仲間やチームメイトを守るためには全力を尽くす人物である。小学生時代から地元で知られる不良で暴走族に入っていた。しかし、サッカーとの出会いをきっかけに人生が大きく変わる。
健二は中学3年時に全国大会県予選中に暴力沙汰を起こし、チームが大会から失格となったことを深く悔い、しばらくサッカーから離れていた。その後、高校1年の初めには暴走族に入っており、ガソリンスタンドでアルバイトをしながらオートバイを購入するための資金を稼いでいた。16歳になると同時に免許を取得し、さらにサッカーに取り組むようになる。
彼は動物的な感覚と抜群の身体能力を持ち、その特性を活かして「ムーンサルトセーブ」を得意としている。持ち前の根性で数多くのスーパーセーブを連発し、チームのピンチを幾度となく救った。サッカーを始めたのは中学時代で、当初はトシのシュートを止めるためだけに熱中していたが、真剣に取り組むうちにその運動神経を活かして着実に上達し、連携プレイを得意とするようになる。
田仲・平松との「トリプルカウンターアタック」と呼ばれる連携速攻技を開発し、3人で数多くの成功を収めた。田仲・平松とともに「掛西中トリオ」や「ゴールデントリオ」として名を馳せ、チームの勝利に大きく貢献した。
また、健二はトシの姉である田仲夏子(たなか なつこ)に片想いをしており、最終的に高校1年時に恋仲となる。作中で平松は健二を川口能活のようなガッツでゴールを守る選手だと評している。
2010年W杯の時点ではジュビロ磐田に所属しており、サッカー選手として高い評価を受けている。2014年ブラジルW杯を描いた読み切りでは、夏子と結婚して3人の息子をもうけ、家族を持ったことが描かれている。

久保 嘉晴(くぼ よしはる/演:木村 拓哉)

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