重甲ビーファイター(特撮テレビ)のネタバレ解説・考察まとめ

『重甲ビーファイター』は1995年から1996年にかけてテレビ朝日系列で放送された特撮テレビ番組。「メタルヒーローシリーズ」第14作目にあたる。1990年代の世界を舞台に、侵略者組織ジャマールを相手に昆虫の戦士ビーファイターの力を受け持った3人の若者の戦いを描く。メタルヒーローの初期作品である宇宙刑事シリーズを意識するという、原点に立ち返る内容となった。

『重甲ビーファイター』の概要

『重甲ビーファイター』とは、1995年2月5日〜1996年2月25日まで毎週日曜日8時〜8時30分(全53話)、テレビ朝日系列にて放送された東映制作の特撮テレビ番組。1982年から放送開始した「メタルヒーローシリーズ」の第14作目である。シリーズ第13作目『ブルースワット』(1994〜1995年)が商業的に苦戦した事を機に、本作品では初期のシリーズにあった変身ヒーローによる異次元から来た侵略者の対決という、シンプルな軽快なバトル路線を前面に出した。

本作品について、VHS全13巻(各巻4話(13巻のみ5話))が1996年2月~1997年2月にかけて、DVDが2006年6月21日~10月21日にかけてリリースされた。また、徳間書店から刊行されていた児童向け雑誌『テレビランド』1995年3月号~1997年2月号にかけて漫画版(作画:Moo.念平)も連載されており、10人のビーファイターによる共闘が描かれた。そして2003年には、スタジオDNA(現:一迅社)から単行本も発売された。

本作品の主なプロデューサーには東映不思議コメディーシリーズ(1981〜1993年)を手掛けてきた日笠淳が、メインライターには多くのメタルヒーロー作品や戦隊ヒーローシリーズに関わってきた宮下隼一や他扇澤延男、鷺山京子等がいる。特に宮下隼一は、本作品に対し「オーソドックスな路線を目指す作品でシリーズの完成形」だと評価した。監督には戦隊シリーズに携わってきた渡辺勝也や、1993年のメタルヒーロー作品『特捜ロボ ジャンパーソン』で監督デビューを果たした金田治の名が連なっている。

1995年4月15日には劇場版も公開された。他にも、オリジナルビデオ作品『ビーロボカブタック クリスマス大決戦!!』(1997年12月12日発売)や2013年4月27日公開の映画『仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事 スーパーヒーロー大戦Z』にて、本作品の登場キャラクターのブルービートが登場した。

『重甲ビーファイター』のあらすじ・ストーリー

昆虫戦士ビーファイターの誕生

199X年、地球各地において昆虫の大量発生という現象が頻発する。昆虫学者の甲斐拓也(かいたくや)はジャングルを訪れ調査を始めるが、ある洞窟内で昆虫界の長老グルと出会う。グルは、昆虫の大量発生が侵略者襲来の前触れだと拓也に告げる。拓也は自ら所属する地球科学研究所アースアカデミアの向井健三(むかいけんぞう)博士に伝え、向井も国連や政府へ侵略者の事を訴えるも相手にされなかった。間もなく、グルが話した通りに異次元より侵略者組織ジャマールが現れる。

ジャマールへなす術が無く、アースアカデミアで開発されたプロトタイプアーマーも起動しないなか、拓也達の前にグルが現れる。グルは、アーマーへ昆虫の精を注ぎ融合させインセクトアーマーを完成させた。そして、拓也やジャマールの猛攻に立ち向かった勇敢な若者・片霧大作(かたぎりだいさく)と羽山麗(はやまれい)がアーマーの装着者に選ばれた。これにより最先端科学や昆虫の未知の力を併せ持つ3人の昆虫戦士ビーファイターが誕生し、異次元軍団ジャマールとの戦いが開始された。

新メンバー加入と更なる強敵の登場

ジャマールとの戦いが激化するなか、ビーファイターの戦士・レッドルだった麗が南米の動物たちを救う為にアースアカデミア南米支部へ転属し拓也達に別れを告げる。拓也達が戸惑う間もなく、明るい性格の女学生・鷹取舞(たかとりまい)が新たに2代目レッドルとしてビーファイターのメンバーとして加わった。新たなメンバーを迎えたビーファイターだったが、彼等の前にジャマールの科学技術とカミキリムシの精が融合され誕生したブラックビートが立ちふさがる等して、ビーファイターはその戦闘力の向上を余儀なくされるのだった。

拓也はブラックビートの正体が自分に瓜二つなシャドーに驚くと同時に、拓也は自らの細胞とカミキリムシの融合でシャドーが生まれた事を知り自責の念を感じた。それでも大作らの励ましにより拓也はシャドーと宿命の戦いに向かいつつ、ジャマールとの最終戦にも立ち向かう。そしてビーファイターはついにジャマールの首領・ガオームを打ち倒すが、その直後に地球を呑み込もうとするガオームホールが現れ、生命の危機的状況にさらされる。その矢先、ガオームホールのエネルギー核がある中心部分を見つけて、スーパーブルービートの武器メガビートキャノンでガオームホールを破壊し消滅した。拓也はブルービートとして、シャドーことブラックビートとの対決へ向かい、一騎打ちの末にブラックビートは力尽きて消滅する。しかし拓也も、ブラックビートから致命的な攻撃を受けて自らもその場で息絶える。大作や舞達が拓也の亡骸を前に嘆き悲しむなか、超生命体セントパピリアが地球の生命を救おうとした拓也の意思に感動し、彼を復活させた。

次なる戦いの幕開け

ジャマールとの戦いが終わったなか、休息を迎える間もなくビーファイターへ挑戦状が来る。ビーファイターのみならず、かつて悪と戦ったブルースワットの面々、ジャンパーソンやガンギブソンらも挑戦状を受けて呼ばれていた。ビーファイター達を呼んだのは異次元調達屋カブトで、彼等を遊園地で行うショーの為に呼んでいた。その時、ビーファイター達のもとへ多くの女性が行方不明になったという知らせが入る。女性達をさらい生け贄にしたのは魔導士ジャグールで、ジャグールは以前ジャンパーソンやブルースワットらが倒したビルゴルディやクイーンも復活させた。更にジャグールは、ビーファイター達がこれまで倒した敵の融合である破壊神ジャグールへと進化したうえ、ビルゴルディやクイーンまでも体内へと吸収した。

「究極の悪」としてビーファイター達を苦しめたかに見えたジャグールだったが、唯一ジャマールの合成獣軍団団長・ギガロの悪としてのエネルギーを取り入れてなかったのが弱点となった。それを見抜かれたジャグールは、スーパーブルービートのビートイングラムファイナルモード、ハイパーショウのドラムガンファイヤー、ジャンパーソンのジックキャノンと各必殺技を受けた。これにより元の魔導士の姿に戻ったジャグールだが、直後にビルゴルディにより地獄の火の中へ道連れにされて最期を迎えた。漸く平和が戻り、ビーファイター、ブルースワット、ジャンパーソンらは遊園地にて子供達と楽しい時を過ごすのだった。

『重甲ビーファイター』の登場人物・キャラクター

ビーファイター

地球科学研究所アースアカデミアにて、最新科学や昆虫族の未知の力との融合により誕生した戦士。所属するアースアカデミアは地球上の自然破壊や動植物の絶滅危機、犯罪、戦争等を解決する為に組織され、日本支部や南米支部もある。

甲斐 拓也(かい たくや/演:土屋大輔)

演:土屋大輔
昆虫学者で23歳、ビーファイターのリーダーで地球各地で発生している問題解決の為にアースアカデミアに加わる。知的で温厚な一方、自然を愛し悪への闘志が強い。自らを「僕」や「俺」と名乗る。ネクタイ姿の服装でいる事が多い。

ブルービート

拓也がビーコマンダーを使い重甲(変身)した姿。ブルービートは青のインセクトアーマーで、カブトムシ(オス)の昆虫の精を収縮したインセクトアーマー。物語後半では、グルの息子カブトより託された銃ビートイングラムや怒りの力でスーパーブルービートへと進化した。その能力はブルービートの力を凌ぎ、片手の拳で怪人を吹き飛ばす程である。

スーパーブルービート

ブルービートがビートイングラムや激しい怒りにより進化した姿で、「メタルフォーゼ」という掛け声と共に進化する。背中に巨大なカブトムシの羽に似たパワージェネレーター、左腕と両足の脛にスーパーディスチャージャーを装備している。その力もブルービートを凌駕し、敵の光線をはね返したり、片手の拳のみで敵を吹き飛ばしたりする。

片霧 大作(かたぎり だいさく/演:金井茂)

演:金井茂
23歳の樹木医で、自ら「俺」と名乗る熱血漢。日本全国の放浪して、森林破壊が進んでいるのに直面した事がきっかけで樹木医の道へ進む。血気盛んな面もあり、拓也と衝突したり、ビーファイターの力を過信し無鉄砲な行動に走ったりした。ただ、ビーファイターのメンバーだった麗の異動、及び舞の加入時辺りからチームワークを維持する様になる。漁師である父親・大鐵が自らの意思を押し付けるやり方に反発し、跡継ぎを断り父親とは疎遠の状態となっていた。

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