『外道の歌』は渡邊ダイスケによる日本の青年漫画。2016年から2023年にかけて『週刊漫画ゴラク』で連載され、WEBドラマ化もなされた。法の限界に挑む犯罪被害者と加害者を描き、社会的なメッセージを多分に含む。主人公のカモとその相棒のトラが、軽い刑罰や不当な釈放に苦しむ被害者のため、私的な制裁を加え独自の正義を貫く姿が物語の中心となる。冷徹で計画的な復讐劇の反面、復讐が正義か悩む内面も描かれている。
      
    
  20歳。筋金入りのゲーム好きで、一見無気力に見えるが非常に頭の回転が速く、復讐代行業においてもSNSを駆使したり、自身に襲い掛かった犯人の上着のポケットに咄嗟にGPS機能付きのスマホを入れたりと、犯人捕縛において優秀な活躍を見せることもある。園田による一家惨殺事件で両親と従姉妹を失った過去を持っており、彼らの無念を晴らすためにカモに依頼を持ちかけたことが、彼を「復讐代行者」として行動させる契機となる。この復讐を通して、彼女は単なる被害者から、犯罪者に対して復讐を願う当事者へと変わる。物語が進むにつれて、奈々子はカモやトラと共に行動するようになり、彼らと協力して法の枠を超えた正義を追求する。自身の復讐の完遂後、密かにトラを想っていることを明かし、カモメ古書店を去っていった。
罪に対する怒りや憎しみを抱えながらも、その心の葛藤と向き合い続ける複雑なキャラクターでもあり、復讐や暴力の背後にある被害者の苦悩と葛藤を象徴している。
朝食会(ブレックファーストクラブ)の関係者
榎 加世子(えのき かよこ)
      
    
  犯罪被害者が自らの手で復讐を果たせるよう支援する団体「朝食会(ブレックファーストクラブ)」の東京支部長を務める若く美しい女性。
高慢な口調で他人を見下し、カモたちの復讐方法に対しても「素人」と評しているが、彼女自身は厳格な審査を行い、被害者の自業自得で発生したケースでは決して依頼を受けない姿勢を持つ。実際、いじめ事件での復讐依頼を逆恨みで行った教師に対しては依頼を打ち切っている。被害者救済に対する思いも本物で、ターゲットを殺してしまった場合には涙することもある。
国内有数の家電メーカー会長の孫娘で、かつて鶴巻の父に誘拐され、暴行された過去を持つ。成人後、その復讐として鶴巻を部下に迎え、彼の父に制裁を加えた。彼女の過去はスピンオフ漫画『朝食会』で描かれており、誘拐事件後、家庭や学校で孤独を経験していたことが明らかにされている。
鶴巻 裕(つるまきゆう)
      
    
  朝食会のメンバーで、加世子直属の部下。大柄で眼鏡をかけた無口な男であり、主にターゲットの捕縛や加世子の護衛を担当している。「復讐屋」でいうところのトラと同じポジションだが、彼とは対照的に寡黙で感情を表さない。幼少期に暴力的な父親から虐待を受け、加世子が父に拉致されている場面を見ても恐怖のために何もできなかったという負い目を持っている。
その後、性犯罪者の息子として周囲から迫害され引きこもり生活を送っていたが、加世子と再会し、彼女に対する贖罪のため米国レンジャー訓練校で過酷な訓練を受け、屈強な調査員となった。帰国後、加世子の依頼で父親を捕縛し、彼女の制裁を見届けた後、朝食会に加わり活動している。
粕谷 九頭男(かすたに くずお)
      
    画像下が粕谷
  朝食会神奈川支部の支部長を務める男。一見軽薄な優男だが、実は国内有数の財閥系企業を経営する一族の三男。しかしその正体は気に入った女性を恋愛関係に持ち込んでから惨殺するという残忍な殺人鬼で、朝食会には関口清という偽名を使い、隠れ蓑として入会している。そこで出会った加世子を見初めて彼女を狙い、実際に自宅に連れ込んで凶行に及ぼうとしたところを鶴巻に制圧され、朝食会を除名処分となった。
しかしその後は朝食会が狙っている國松の情報を仕入れて加世子へ渡し、彼女の部下として一生懸命働いている。
東京支部a支部長(とうきょうしぶaしぶちょう)
      
    朝食会東京支部のもう1人の支部長を務める女性。独断で行動し、幹部会にも滅多に出席しない加世子に対してあまりよく思っていない風を装っていたが、内心では彼女の手腕を買っていた。自身が病気になり、新たな会長を選任する際に加世子を推薦し、彼女がその地位に就いたことを見届けて、安心してこの世を去っていった。
京都支部長(きょうとしぶちょう)
      
    朝食会の京都支部長。本人の趣味でターゲットに対しては大がかりな仕掛けを用いて残虐に殺害する手法をとっている。
設楽 真(したら まこと)
      
    
  朝食会のメンバー。よくヘルペスを作っていることから、そのまま「ヘルペス」という通称で呼ばれている。語学に堪能で、常に冷静で合理的な考え方をすることができる男性。
過去には文学賞にノミネートされるほどの作品を手掛けている小説家だったが、実の兄が小児性愛者で強姦殺人を起こしたことで加害者家族となり、作家の道を絶たれてしまったという経歴を持つ。
溝口 吹苗(みぞぐち さなえ)
      
    朝食会のメンバー。女性でありながら様々な武術に精通しており、複数の男程度であれば一人で制圧することが可能。設楽からは「メンチョ」という通称で呼ばれている。逆口との戦闘に敗れて殺され、惨たらしい姿で発見されている。
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目次 - Contents
- 『外道の歌』の概要
 - 『外道の歌』のあらすじ・ストーリー
 - 「復讐代行」のはじまり
 - 「練馬区殺人事件」の決着
 - 引き返したトラ
 - 國松義忠(くにまつ よしただ)という名の巨悪
 - 「復讐屋」の最期
 - 『外道の歌』の登場人物・キャラクター
 - カモメ古書店(カモメこしょてん)/復讐屋(ふくしゅうや)の関係者
 - カモ/鴨ノ目 武(かものめ たけし/演:窪塚洋介)
 - トラ/島田 虎信(しまだ とらのぶ/演:亀梨和也)
 - 開成 奈々子(かいせい ななこ/演:南沙良)
 - 朝食会(ブレックファーストクラブ)の関係者
 - 榎 加世子(えのき かよこ)
 - 鶴巻 裕(つるまきゆう)
 - 粕谷 九頭男(かすたに くずお)
 - 東京支部a支部長(とうきょうしぶaしぶちょう)
 - 京都支部長(きょうとしぶちょう)
 - 設楽 真(したら まこと)
 - 溝口 吹苗(みぞぐち さなえ)
 - 漫画研究会の部員たち
 - 園田 夢二(そのだゆめじ)
 - 近野 智夏(こんの ちか)
 - 木根 誠一(きね せいいち)
 - 久野 詩音(くの しおん)
 - 吉飼 飛夫(よしかい とぶお)
 - 國松とその協力者たち
 - 國松 義忠(くにまつ よしただ)
 - 桜内 淳(さくらうち あつし)
 - 梅沢 保(うめざわ たもつ)
 - 五月女 潤(そうとめ じゅん)
 - 逆口 拓(さかぐち たく)
 - 蛍田 茂之(ほたるだ しげゆき)/富水 康太(とみず こうた)
 - 事件の加害者たち
 - カモの妻子殺害犯
 - 加藤 真理江(かとう まりえ)
 - 榊 奈緒子(さかき なおこ)
 - 榊 久文(さかき ひさふみ)
 - 榊 華代(さかき はなよ)
 - 榊 哲(さかき てつ)
 - 榊 葉介(さかき ようすけ)
 - 滝谷(たきや)
 - 逆巻 良人(さかまき よしと)
 - 尼崎 京子(あまさき きょうこ)
 - 東 幸則(あずま ゆきのり)
 - 中野殿 江尚(なかのどの えなお)
 - 源心 (げんしん)
 - ニューハーフ殺人犯
 - 田神(たがみ)
 - トラの母親死亡の加害者
 - 『外道の歌』の用語
 - カモメ古書店(カモメこしょてん)
 - 朝食会(ブレックファーストクラブ)
 - 復讐代行人(ふくしゅうだいこうにん)
 - 少年法(しょうねんほう)
 - 精神鑑定(せいしんかんてい)
 - 復讐(ふくしゅう)
 - 私刑(しけい)
 - 『外道の歌』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
 - 鴨ノ目 武 「誰もやろうとしないから 他の誰にも できない事だから」
 - 鴨ノ目 武 「許せなくてもいい 許せない人間だって いてもいい」
 - 島田虎信「だがな俺は決めたんや 世の中のクズを一人残らずブッ殺すってな! そのためにはコイツが必要なんや」
 - カモの最期
 - 『外道の歌』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
 - その後の作品をさらにグレードアップさせた「映画化中止」の経験
 
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