
『外道の歌』は渡邊ダイスケによる日本の青年漫画。2016年から2023年にかけて『週刊漫画ゴラク』で連載され、WEBドラマ化もなされた。法の限界に挑む犯罪被害者と加害者を描き、社会的なメッセージを多分に含む。主人公のカモとその相棒のトラが、軽い刑罰や不当な釈放に苦しむ被害者のため、私的な制裁を加え独自の正義を貫く姿が物語の中心となる。冷徹で計画的な復讐劇の反面、復讐が正義か悩む内面も描かれている。
漫画研究会の部員たち
園田 夢二(そのだゆめじ)

「ゴアゴアコミック」の編集者であり、作家志望者としても活動している男。幼少期に太宰治の『人間失格』を読んで影響を受け、死後も残る作品の価値を認識し、作家を志すようになった。一見人当りがいいように見えるが、その正体は奈々子の家族を惨殺した「練馬区の殺人鬼」。復讐対象としてカモ達に一度捕まりかけるも巧妙に逃れ、以降は追われる身となる。
人の神経を逆撫でする飄々とした態度を持ち、狂気に満ちた性格で、取材と称して何の躊躇いもなく殺人を行う。高校時代から殺人を始め、奈々子の家族を含め6人を殺害したと語っているが、この全ては「経験」を得るためであり、その知識や感情を作品に反映させている。大学時代には漫画研究会に所属していた。
トラ達と出版社で遭遇し、カモと対峙した際、互いに刃物で刺し合うも、カモに腹部を切り刻まれて致命傷を負う。最期には自身の思想をカモ達に語るが理解されることはないまま出血多量で死亡する。
スピンオフ作品『園田の歌』の主人公でもある。
近野 智夏(こんの ちか)

園田の大学時代の漫画研究会に所属していた女子学生で、オッドアイであることを隠すため左目に眼帯を着用している。実家は薬局であることから薬学に詳しく、本性は園田と同じく冷酷な殺人者。11歳から年に1人のペースで殺人を続け、園田とは互いの正体を知り合っているが、黙認し合って通常の関係を保っている。
自分の世界観を大切にし、それを否定されることを嫌うため、作品を侮辱されたり友人が傷つけられたりしたことを殺人の動機としている。殺害方法としては毒草や薬物を使った中毒殺人が主であり、身体能力も高く、一定の戦闘能力を持つ。BL漫画が好きで、メイド喫茶で働くなど独特な趣味を持ち、客である鶴巻にも好かれていた。
後に朝食会の次期会長選任試験のターゲットとなり、一度は京都支部に捕えられるが自力で脱出し、加世子率いる東京支部に保護された。溝口の復讐として逆口を殺害し、最終的に加世子と設楽の計らいで復讐依頼は取り下げられ、平穏な日常へ戻っていった。
筋金入りの腐女子であり、園田や吉飼といった身近な人物たちもその関心の対象となっている。
木根 誠一(きね せいいち)
漫画研究会の会長。非常に温厚で、部員たちのまとめ役を買って出ている。
久野 詩音(くの しおん)

漫画研究会の副会長。寡黙で落ち着いた美しい女性だが、相当な毒舌家。特に吉飼に対しては辛辣な態度で接している。後に漫画家として活躍。
吉飼 飛夫(よしかい とぶお)
漫画研究会の1年。口調はキツいものの、園田から揶揄われたり久野に悪口をよく言われたりするいじられキャラ。
國松とその協力者たち
國松 義忠(くにまつ よしただ)

実質上、本作のラスボスにあたる人物。さまざまな事業を経営していた元実業家。なんらかの罪で服役し、出所した後で「社会的弱者から搾取する屑を国から一掃する」という理念を掲げて動き始め、手始めに街を支配している暴力団を壊滅に追い込もうと画策する。
温厚で親切な人物を装っているが、安価で質のいい薬物を流出させたり、五月女を懐柔するために彼の母親を自殺するよう誘導したりと、不穏な行動が目立っていた。正体は朝食会次期会長選任試験のターゲットの1人である「同一人格者」と呼ばれる煽動者で、特技である人心掌握を駆使して信者を増やして手駒としている。作中でトラを捕縛したことでカモに興味を持ち、トラの背中の入れ墨を剥がして別の遺体に貼りつけるなど、残忍な警告と脅しを行う。しかしこれがカモの怒りを買う結果となり、彼の手によって殺害されるに至った。
桜内 淳(さくらうち あつし)

画像右下の男性が桜内
指定暴力団我峰組の若頭。國松の理念に賛同したことから、単独で彼に協力している。カモとは古くからの友人同士で、互いに「あっくん」「たけちゃん」と愛称で呼び合うほどの仲。彼が妻子を惨殺されて裏社会に身を落としたことに対し、裏社会で生きていた自分がそうなる前にカモを救えたのではないか、という自責の念を抱いている。
トラが復讐心を抱いている桜内は腹違いの弟で、見逃してもらったことから強い恩義を感じ、捕らわれていたトラをカモの元に送り返した。
梅沢 保(うめざわ たもつ)

カモを刺す梅沢(画像右)
興劉会系暴力団の若頭。後に昇進して支部長になる。國松と同時期に服役しており、彼に心酔して「アニキ」と慕うようになる。國松を殺害したカモを襲撃し、致命傷を与えた。
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目次 - Contents
- 『外道の歌』の概要
- 『外道の歌』のあらすじ・ストーリー
- 「復讐代行」のはじまり
- 「練馬区殺人事件」の決着
- 引き返したトラ
- 國松義忠(くにまつ よしただ)という名の巨悪
- 「復讐屋」の最期
- 『外道の歌』の登場人物・キャラクター
- カモメ古書店(カモメこしょてん)/復讐屋(ふくしゅうや)の関係者
- カモ/鴨ノ目 武(かものめ たけし/演:窪塚洋介)
- トラ/島田 虎信(しまだ とらのぶ/演:亀梨和也)
- 開成 奈々子(かいせい ななこ/演:南沙良)
- 朝食会(ブレックファーストクラブ)の関係者
- 榎 加世子(えのき かよこ)
- 鶴巻 裕(つるまきゆう)
- 粕谷 九頭男(かすたに くずお)
- 東京支部a支部長(とうきょうしぶaしぶちょう)
- 京都支部長(きょうとしぶちょう)
- 設楽 真(したら まこと)
- 溝口 吹苗(みぞぐち さなえ)
- 漫画研究会の部員たち
- 園田 夢二(そのだゆめじ)
- 近野 智夏(こんの ちか)
- 木根 誠一(きね せいいち)
- 久野 詩音(くの しおん)
- 吉飼 飛夫(よしかい とぶお)
- 國松とその協力者たち
- 國松 義忠(くにまつ よしただ)
- 桜内 淳(さくらうち あつし)
- 梅沢 保(うめざわ たもつ)
- 五月女 潤(そうとめ じゅん)
- 逆口 拓(さかぐち たく)
- 蛍田 茂之(ほたるだ しげゆき)/富水 康太(とみず こうた)
- 事件の加害者たち
- カモの妻子殺害犯
- 加藤 真理江(かとう まりえ)
- 榊 奈緒子(さかき なおこ)
- 榊 久文(さかき ひさふみ)
- 榊 華代(さかき はなよ)
- 榊 哲(さかき てつ)
- 榊 葉介(さかき ようすけ)
- 滝谷(たきや)
- 逆巻 良人(さかまき よしと)
- 尼崎 京子(あまさき きょうこ)
- 東 幸則(あずま ゆきのり)
- 中野殿 江尚(なかのどの えなお)
- 源心 (げんしん)
- ニューハーフ殺人犯
- 田神(たがみ)
- トラの母親死亡の加害者
- 『外道の歌』の用語
- カモメ古書店(カモメこしょてん)
- 朝食会(ブレックファーストクラブ)
- 復讐代行人(ふくしゅうだいこうにん)
- 少年法(しょうねんほう)
- 精神鑑定(せいしんかんてい)
- 復讐(ふくしゅう)
- 私刑(しけい)
- 『外道の歌』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 鴨ノ目 武 「誰もやろうとしないから 他の誰にも できない事だから」
- 鴨ノ目 武 「許せなくてもいい 許せない人間だって いてもいい」
- 島田虎信「だがな俺は決めたんや 世の中のクズを一人残らずブッ殺すってな! そのためにはコイツが必要なんや」
- カモの最期
- 『外道の歌』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- その後の作品をさらにグレードアップさせた「映画化中止」の経験