
『外道の歌』は渡邊ダイスケによる日本の青年漫画。2016年から2023年にかけて『週刊漫画ゴラク』で連載され、WEBドラマ化もなされた。法の限界に挑む犯罪被害者と加害者を描き、社会的なメッセージを多分に含む。主人公のカモとその相棒のトラが、軽い刑罰や不当な釈放に苦しむ被害者のため、私的な制裁を加え独自の正義を貫く姿が物語の中心となる。冷徹で計画的な復讐劇の反面、復讐が正義か悩む内面も描かれている。
榊 葉介(さかき ようすけ)
第19話から25話に登場する榊ヨシ江の5人の養子の一人。養子の中では最年少の19歳で、元引きこもり。情報収集と機械操作を担当していた。無口で淡々と役割を果たしていたが、人質にしていた愛美に情が移り、犠牲にしたくないとしてカモメ古書店襲撃の際は哲と共に車内で待機していたことから生き延びた。
滝谷(たきや)
第31話から33話に登場するトラック運転手。指示待ち人間で、不測の事態については「指示していない人間が悪い」という考え方をしている。運転中のスマホ操作によるわき見運転で小学生の男の子を轢き殺し、逮捕された直後は開き直った態度を取るなど反省の素振りは全く見せていなかったが、少しずつ贖罪の念が芽生えはじめる。出所後に遺族への謝罪を決意するがカモ達に捕えられて殺害された。作中唯一、被害者遺族に対する贖罪の念を抱いていた人物。
逆巻 良人(さかまき よしと)
第36話から41話に登場する居酒屋チェーン店「常勝至高」オーナーの男。労働基準法を逸脱した違法労働や賃金未払いを繰り返し、パワハラまがいの言動で社員を洗脳同然にこき使っていた。勤務形態の見直しを求めた男性社員に対し他の社員の勤務超過分を全て押し付けて冷遇し、疲労でミスが多くなる男性社員に対して脅迫したことで自殺に追いやった。この社員の母から依頼を受けたカモ達に捕えられ、舌を切り取られる。
尼崎 京子(あまさき きょうこ)
第47話から49話に登場する57歳の女。他人に対して攻撃的な言動や嫌がらせを繰り返し、実の息子と性的関係まで持っていた精神異常者。自宅の隣に建つマンションとそこの住民達を目の敵にしており、敷地に汚物をまき散らし、組合長宅の愛猫を惨殺するなど常軌を逸した嫌がらせを行い、抗議に赴いた組合長を事故死させた後も嫌がらせを続けていた。依頼を受けたカモに上半身の皮膚を剥がされ、山中に放置される末路を辿る。
東 幸則(あずま ゆきのり)
第50話から52話に登場する男。32歳。元々アイドルをしていた依頼人にSNS上でしつこく絡んで誹謗中傷を繰り返し、あらゆるプライバシーを公開された依頼人家族を一家離散へ追い込んだ。相談を受けた朝食会の調査により個人が特定された後、復讐プランとして両手指の切断が妥当とされるも、依頼人の手によってバットで撲殺された。
中野殿 江尚(なかのどの えなお)
第53話から57話に登場する、35歳のフリーライターの男。女性に対して歪んだコンプレックスを抱いている。女子大生を脅して自宅へ連れ込みレイプしようとするが、自身の身体的コンプレックスを理由に挫折。その後なし崩し的に同棲生活を送り、彼女に惹かれていく。その後、家族が警察に相談したことから自宅を突き止められて逮捕、2年間の懲役刑を受ける。出所後はこの女子大生の自宅を突き止めて会いに行くが、彼女が新しい恋人と幸せそうに暮らしていることを知って自身が歪んでいることを悟り、再会することなく去っていった。実際に性的暴行は未遂に終わっていること、被害者自身も復讐を望んでいないこともあり、被害者の父から相談を受けたカモ自身も「依頼は受けない」と断っている。
源心 (げんしん)
第61話から65話に登場する住職の男。仏門の徒でありながら欲望のままに法外なお布施や戒名代を巻き上げていた。住職となったのも宗教法人の非課税措置による節税が目的であり信仰心は皆無である。前住職に恩があったカモが事情を知り、カモからトラに依頼する形で復讐が決行された。作業用クレーンに吊るされて身体中の関節を外されるという拷問を受け、身長が倍になった状態の遺体となって発見される。
ニューハーフ殺人犯

第71話から73話に登場する女。頭に血が上りやすく、ヒステリックになりやすい傾向がある。結婚5年目の夫がニューハーフと浮気したことから浮気相手を惨殺するという凶行に及び、被害者の同僚に依頼されたトラとカモに捕えられても反省の色はなかった。自らの所業を棚に上げ、女である自分に手をあげる彼らを責めるも、聞き入れられる事なく殺害される。
田神(たがみ)
第82話から83話に登場する男。頑固で執念深い性格ゆえに職場でトラブルを起こし、精神的に不安定な状態に陥っていた。結婚していることと貯蓄が400万円あることで精神の均衡を保っていたものの、ある日妻が貯蓄を持ち逃げし浮気相手の元へ走ったことで破綻する。「400万円を持ち逃げしたから400万回刺す」として居所を突き止めた妻を殺害。15年の懲役刑に処されたが、上述の通り執念深いため、墓石に対して包丁を突き立て続ける凶行に及び、器物損壊で再逮捕された。復讐を依頼するものは特にいなかったため、トラやカモと直接のかかわりはない。
トラの母親死亡の加害者
第108話から111話に登場する男で、桜内の腹違いの弟。数年前、車でトラの母親からバッグを奪った。そのバッグの中に入ったトラの入院治療費と取り返そうと追い縋る彼女を乱暴に振り払い、死に追いやった張本人。裁判にて刑期7年が確定し服役していたが108話の時点で出所。
出所したことを聞いたトラに復讐されそうになるが、居合わせた桜内と共に涙ながらに謝罪した事で思い止まったトラに見逃してもらい、桜内に街を離れ一からやり直すよう諭される。
しかしその道中で密かに出所の報を聞きつけて待ち伏せていたカモにベルトで絞殺され、遺体も秘密裏に処理された。
『外道の歌』の用語
カモメ古書店(カモメこしょてん)
カモが経営する古本屋で、表向きは普通の店として機能しているが、実際には彼の「復讐代行人」としての活動の拠点となっている。店内は静かで落ち着いた雰囲気を持つ場所だが、ここで依頼者と接触し、復讐の依頼を受けることがしばしば描かれている。表社会と裏社会の境界を象徴する場所であり、彼らの二重生活を表す重要な舞台となっている。
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目次 - Contents
- 『外道の歌』の概要
- 『外道の歌』のあらすじ・ストーリー
- 「復讐代行」のはじまり
- 「練馬区殺人事件」の決着
- 引き返したトラ
- 國松義忠(くにまつ よしただ)という名の巨悪
- 「復讐屋」の最期
- 『外道の歌』の登場人物・キャラクター
- カモメ古書店(カモメこしょてん)/復讐屋(ふくしゅうや)の関係者
- カモ/鴨ノ目 武(かものめ たけし/演:窪塚洋介)
- トラ/島田 虎信(しまだ とらのぶ/演:亀梨和也)
- 開成 奈々子(かいせい ななこ/演:南沙良)
- 朝食会(ブレックファーストクラブ)の関係者
- 榎 加世子(えのき かよこ)
- 鶴巻 裕(つるまきゆう)
- 粕谷 九頭男(かすたに くずお)
- 東京支部a支部長(とうきょうしぶaしぶちょう)
- 京都支部長(きょうとしぶちょう)
- 設楽 真(したら まこと)
- 溝口 吹苗(みぞぐち さなえ)
- 漫画研究会の部員たち
- 園田 夢二(そのだゆめじ)
- 近野 智夏(こんの ちか)
- 木根 誠一(きね せいいち)
- 久野 詩音(くの しおん)
- 吉飼 飛夫(よしかい とぶお)
- 國松とその協力者たち
- 國松 義忠(くにまつ よしただ)
- 桜内 淳(さくらうち あつし)
- 梅沢 保(うめざわ たもつ)
- 五月女 潤(そうとめ じゅん)
- 逆口 拓(さかぐち たく)
- 蛍田 茂之(ほたるだ しげゆき)/富水 康太(とみず こうた)
- 事件の加害者たち
- カモの妻子殺害犯
- 加藤 真理江(かとう まりえ)
- 榊 奈緒子(さかき なおこ)
- 榊 久文(さかき ひさふみ)
- 榊 華代(さかき はなよ)
- 榊 哲(さかき てつ)
- 榊 葉介(さかき ようすけ)
- 滝谷(たきや)
- 逆巻 良人(さかまき よしと)
- 尼崎 京子(あまさき きょうこ)
- 東 幸則(あずま ゆきのり)
- 中野殿 江尚(なかのどの えなお)
- 源心 (げんしん)
- ニューハーフ殺人犯
- 田神(たがみ)
- トラの母親死亡の加害者
- 『外道の歌』の用語
- カモメ古書店(カモメこしょてん)
- 朝食会(ブレックファーストクラブ)
- 復讐代行人(ふくしゅうだいこうにん)
- 少年法(しょうねんほう)
- 精神鑑定(せいしんかんてい)
- 復讐(ふくしゅう)
- 私刑(しけい)
- 『外道の歌』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 鴨ノ目 武 「誰もやろうとしないから 他の誰にも できない事だから」
- 鴨ノ目 武 「許せなくてもいい 許せない人間だって いてもいい」
- 島田虎信「だがな俺は決めたんや 世の中のクズを一人残らずブッ殺すってな! そのためにはコイツが必要なんや」
- カモの最期
- 『外道の歌』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- その後の作品をさらにグレードアップさせた「映画化中止」の経験