おんなのこきらい(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『おんなのこきらい』とは、MOOSIC LAB 2014に出品され、準グランプリ、観客賞、最優秀女優賞、男優賞を受賞するなど高い評価を受けた映画である。2015年には、SPOTTED PRODUCTIONS配給により劇場公開された。監督は加藤綾佳、主演は森川葵が務めた。
女の子の価値は可愛いことがすべてと信じるOL・キリコが、自分になかなかなびかない男性・幸太と出会ったことで、価値観が変化していく様子が描かれている。ポップなのに毒気を含んだ女心の描き方が見どころである。

さやか(演:井上早紀)

バーの新人アルバイト。店を離れるケンジと交代する形でバーで勤めることになった。実はケンジから想いを寄せられている。
異性からの告白やお願いをはっきり断ることが苦手で、来るもの拒まずでアプローチしてきた男性と付き合っている。「ユウトと付き合っている」と言いながらもケンジとも体の関係を持っており、気に病んだケンジがキリコに相談しにきたことでユウトの二股が発覚した。
バーのカウンターにやってきて、ユウトとの関係を問いただしたキリコを打ち負かす。

ケンジ(演:松澤匠)

バーの元アルバイト。自身が店を離れるため、代わりのアルバイトとしてさやかをユウトに紹介した。
さやかに好意を寄せているが、さやかの激しい異性関係を知り、キリコに相談しに来た。

キリコの会社の同僚

茜(あかね/演:加弥乃)

キリコの後輩。同性の同僚からの悪口に屈しないキリコに憧れている。会社の先輩である田辺と付き合っているが、田辺からは遊びの相手と思われている。

まゆみ(演:緑茶麻悠)

キリコの会社の先輩。異性に媚を売ってばかりのキリコの態度に腹を立て、たびたび嫌味を言う。一方のキリコは、まゆみのことをブスだと下に見ている。幸太の会社との案件を担当していたが、キリコの身勝手な行動に辟易し、最終的にはキリコに譲る形となった。

田辺(たなべ/演:巴山祐樹)

キリコの会社の先輩。後輩である茜と付き合っているが、キリコのことを可愛いと思っており、2人きりでの飲み会に誘ってきたりする。
一度キリコと体の関係を持ってからは、茜を蔑ろにし、「付き合おうよ、俺ら」とキリコに提案してきた。

ユリエ(演:福原舞弓)

幸太の彼女。キリコは物語終盤まで幸太から恋人の存在を明かされておらず、自宅に突撃した際にユリエがいたことで衝撃を受ける。
無理に自分を着飾ることなく、自然体の魅力に溢れる女性で、キリコとは正反対のタイプである。

カフェの店員(演:ふぇのたす)

キリコが訪れたカフェの店員。主題歌、挿入歌を担当する3人組エレクトロポップユニット・ふぇのたすがゲスト出演している。

『おんなのこきらい』の用語

可愛い至上主義

可愛さを最上の価値と捉え、価値観の主軸に置く考え方。キリコはこの考え方に囚われすぎるあまり、可愛い見た目と可愛い仕草の自分を演じている。また、「可愛ければなんでも許される」という考えから、自分より容姿で劣る周囲の女性たちを馬鹿にしたり、寄って来た男性たちと不用意に体の関係を持ったりしてしまう。本作は、キリコが可愛い至上主義から脱却していく様子を描く映画と言える。

過食嘔吐

通常の一食よりはるかに多い量を摂取(過食)した後で、口の中に指などを突っ込んで自己誘発的に嘔吐をしてしまうという症状。
ストレスを溜め込みやすい人に多く見られる症状のため、同僚からの嫌味もまったく気に留めないキリコが過食嘔吐の症状を抱えているのは一見意外にも思えるが、「過去に女子からいじめられていた」「誰かと自分を比較して劣等感を抱えていた」「ままならないユウトへの片想いに実はストレスを感じていた」など、さまざまな考察や解釈が可能である。
また、過食するのが見た目が可愛いスイーツに限定されている点については、可愛さをすべてにおいて最重要しているキリコの「可愛い自分を構成するものは可愛いものでなくてはいけない」「可愛いものを自分の一部としたい」という願望が表れているが、「可愛いだけではダメ」「自分から可愛さを取ったら何も残らない」という事実にも心のどこかで気がついており、そのやるせなさから嘔吐に走っていると考察できる。

黒糖の飴

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