[リミット](映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『リミット(映画)』は2010年に公開された異色シチュエーション・スリラー映画。アメリカ人「ポール・コンロイ」はイラクでトラック運転手として働いていたが、ある日突然襲撃されてしまう。気が付くと地中に埋められた箱の中にいた。自力での脱出は不可能だ。手元にあるのは携帯電話と限られた道具と残り90分の酸素のみ。それでもポールは必死に脱出を試みる。

CRT社

ポールが働いている民間企業会社。ポールは事件に至るまでの9ヶ月、イラクのCRT社でトラック運転手として従事していた。台所用品を輸送中に何者かに襲撃され、気を失ったポールは土中の棺の中へ閉じ込められてしまう。

国務省

アメリカの行政機関の一つで外交政策を実施する。ポールは電話で助けを求め、テロリスト人質対策のプロであるダンを紹介される。

マーク・ホワイト

ダンに対し不信感をつのらせたポールは、電話口で過去に救出した人質の名前を言ってみろと迫り、ダンが答えた名前。ポールが襲われた3週間前に救出したとされる26歳の医学生。ポール同様、犯人に襲われ地中に埋められていたとみられる。ポール救出に向かったダンだったが、間違えてマーク・ホワイトが入った棺を掘り当ててしまった。ダンは「マークを助け出し、家に帰した。おそらく大学にいっているだろう」とポールに電話口で告げている。しかし、物語の終盤でダンはマーク・ホワイトが入った棺を発見した。以前、マーク・ホワイトを救出したというのはポールを安心させるためのダンの嘘であり、捜索中の人物だった。作中では詳しく語られていないが、ダンの声色からおそらくマーク・ホワイトはすでに死亡していたとみられる。

『リミット』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ポール・コンロイ「俺を愛してるって…」

棺に閉じ込められたポールは施設に入所している母に電話する。母親は認知症を患っており、会話もチグハグだった。すでに死んだ父親と毎日カードゲームをしていると話していた。これが最後の電話になるかもしれないと母に告げた後、「愛しるよ母さん」と言った。しかし、母親は父親との話ばかりをしている。ポールはたまらず「俺を愛してるって…」と自分を愛していると言ってくれと言いかけるが、ポールは「父親によろしく」といって電話を切ってしまう。ポールは泣き崩れるしかなかった。今生の別れを告げる電話に辛さや切なさでいっぱいになる名シーンである。

ポール・コンロイ「愛してるよシェーン」

地上からの爆撃により棺にひびが入り、その隙間から砂がこぼれてきた。この爆撃でおそらく犯人も死亡しただろうとポールは勘付く。犯人が死ねば自分の居場所は誰にもわからない。ポールは携帯電話で家族に遺言を残す。遺せるものが少なくて申し訳ない事や息子の未来を案じる。大人になったらお母さんを守ってやること、正しいことをすることを息子に託した。そして「愛してるよシェーン」と息子にメッセージを残す。「ちゃんと伝えたことがあったかな。きっとなかった。リンダ、俺が間違っていた」と妻のリンダに懺悔し、締めくくった。やるせない思いが胸をうつ名シーンである。

ダン・ブレナー「すまないポール。許してくれ」

犯人の脅迫により家族の身に危険が及ぶことを怖れたポールは指を切断した。その後まもなくダンから、犯人の一味とみられる集団を確保し、ポールの居場所を突き止めたとの連絡が入る。数分で現地につくというが、棺の中は砂で埋め尽くされ、ポール自身の顔を覆い隠そうとしていた。その最中、妻のリンダからやっと連絡が入る。携帯電話を忘れていて出られなかった妻は、ポールの事態をしるや涙ながらにポールの身を案じた。そして、再びダンから連絡が入り、電話口からスコップで土を掘り起こす音が聞こえる。しかし、ポールの近くからはそんな音は全くしなかった。まもなくして、ダンは「これはマーク・ホワイトの棺だ」ということがわかった。そして、ポールの身体は完全に砂に埋もれ、永久の暗闇に閉ざされてしまった。
そして、ダンは「すまないポール。許してくれ」というセリフで物語は終わる。希望が一転、絶望へと変わり、まさかのバットエンドという展開。このセリフにはダンの無念さがひしひしと伝わってくる。

『リミット』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

当初の予算は5,000ドル

当初の映画製作の予算は5,000ドルしかなかった。脚本家のクリス・スパーリングは、「場所も移動せず、役者もひとりで作れる低予算の作品がどうやったら作れるか」を考えた結果、演者1人で、終始棺の中で展開されるストーリーを思いついた。クリスの書いた脚本はめぐりめぐってハリウッドまで伝わり、ライアン・レイノルズが主役を務めるに至る。そのため予算は200万ドルに増えた。

当初の予定は脚本家が監督を兼任

本来は脚本家のクリスが監督するつもりだったが、書いた脚本がハリウッドまで届き、有名俳優を起用したことにより、監督も、スペイン人のロドリゴ・コルテスに依頼する運びとなった。ロドリゴ・コルテスは「最初脚本を読んだときはこんな作品映画にするのは不可能だと思った。でもだからこそやってみたいと思ったんだ」とインタビューで語っている。

撮影はわずか17日間

限られた予算の中で製作された本作の撮影期間はたった17日間だった。主演のライアン・レイノルズは「リハーサルはなしですぐに撮りたい」と提案していた。しかし、撮影は過酷だったようで 「肉体的にも精神的にもボロボロになった。今後一生ほかの映画の撮影がどんなに過酷でも絶対に文句は言わないと思う。これ以上過酷な撮影はないと思うから」とインタビューで語っている。「17日間、重荷を背負った気分で箱に入るのに比べたらどんな苦労もマシだから。とにかくこの撮影は本当に大変だった」という発言から、いかにこの撮影が過酷だったか想像に難くない。

『リミット』の主題歌・挿入歌

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