上京生活録イチジョウ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『上京生活録イチジョウ』とは原作・萩原天晴、漫画・上原求、新井和也、協力・福本伸行による漫画。福本の代表作『賭博破戒録カイジ』に登場する消費者金融を主とする帝愛グループ傘下の裏カジノ店オーナーの一条聖也(いちじょうせいや)を主人公としたスピンオフ作品である。この作品は後に、1玉4,000円する悪魔的パチンコ台「沼」を開発するなどして、帝愛の上層部にのし上がることになる一条の入社前の高卒で岡山から上京し燻っていた日々を描いたギャグ漫画である。

『上京生活録イチジョウ』の概要

『上京生活録イチジョウ』とは原作・萩原天晴、漫画・上原求、新井和也、協力・福本伸行による漫画である。福本の代表作『賭博破戒録カイジ』に登場した消費者金融を主とする帝愛グループ傘下の裏カジノ店オーナーの一条聖也(いちじょうせいや)が主人公のスピンオフ作品である。他のスピンオフ作品に『中間管理職トネガワ』と『1日外出録ハンチョウ』がある。本作は『1日外出録ハンチョウ』に続く第3弾となる。
帝愛グループは消費者金融を主な事業とする日本最大の企業集団として君臨する。主人公の一条は後に帝愛に入社し、数多の破産者を生み出すパチンコ台「沼」を開発し、帝愛で裏カジノ店長に就くことになる。そのような一条も帝愛入社前は燻り続けていた。地元で高卒の一条を嘲笑い続けた連中を出し抜くという野望を抱き、岡山から上京するも具体的な行動に中々移せない困窮の日々を送る。『上京生活録イチジョウ』はそのような一条と一条に共感し後に共に帝愛に入社して一条の側近となる村上保(むらかみたもつ)の二人の鬱屈、困窮した上京共同生活を、日常のライフハックや青春時代ならではのよくあるエピソードなどを盛り込んだギャグ漫画として描かれている。
複数話になる時もあるが、基本的には1話完結であるなど一定のパターンがあり、その中には明日からでも使えるライフハック術や読者の参考になるであろう意識高い一条の気付きや盲点、青春時代にありがちなエピソード、更には2000年代以降の最新電子機器やアプリの話題などがふんだんに盛り込まれている。
上京してからの一条は村上と共に板橋区大山に在住する。ハッピーロード大山や遊座大山商店街、周辺店舗は、店名など一部変更されているが、実在する。『週刊モーニング』の2021年8号(2021年1月21日)から連載される。2023年7号(2023年1月12日)で発表された第48話で完結する。

『上京生活録イチジョウ』のあらすじ・ストーリー

半年後に高級マンション引越しという野望を掲げるも気付くと9ヶ月過ごしている一条と村上

大学進学の夢絶たれ上京することを選んだ一条聖也(いちじょうせいや)と、その一条を慕い高校を中退してついて来た村上保(むらかみたもつ)は東京に向かうバスで野望に胸膨らませていた。特に一条は大学進学できない一条を軽んじ嘲笑っていた大学進学組に対し「出し抜くぞ⋯!オレ達は奴らを⋯!」と怨恨と執念を燃やしていた。一方の村上は地元の同級を出し抜くというより東京在住の親戚の叔父であるあつしおじちゃんを驚かせてやる!というくらいで一条ほどの熱量はなかった。
上京生活の舞台となる板橋区大山のさくらハウスというボロアパートに到着し、1K6畳の部屋のど真ん中に寝そべり、一条は更に野望に胸膨らませ「やはりここでいい⋯オレ達の上京⋯初の拠点は⋯!」と青写真を描く。寝そべった一条は更に、貯蓄をし人脈を広げ半年でハイエンドのマンションへ引っ越すと豪語し、村上と部屋の天井を見上げ野望に胸躍らせた表情を浮かべる。
しかし「9ヶ月後⋯」というナレーションと共に、同じような配置で炬燵に入りぬくぬくしている二人の様子が描かれる。二人は炬燵に入りながらゲームアプリのお年玉フェスガチャを回すかどうか話していた。一条は得意気に「4月⋯何があるかわかるか?」と村上に尋ねる。「オレ達が上京して1周年⋯ですか?」と村上は答える。一条はそれを「違う」と遮り「このゲームアプリ会社の決算月だ⋯!」と得意気に答える。「どの企業も決算前は⋯数字を上げて株主を安心させるのに必死⋯つまりオレ達がやるべきことは⋯目先の欲をおさえ⋯決算前のフェスに照準をしぼり⋯積み上げること⋯無料配布のジェムをなるべく多く⋯!」というどこかで聞いた気のする言葉を得意気に話す。ここで何か引っ掛かった一条は村上に「村上⋯お前⋯なんて言った?さっき⋯」と聞く。「オレらが上京して1周年⋯と」と村上は答える。ここで一条は「ということは⋯ここに来て9ヶ月経ったのか⋯?」と気付き、悪寒が走る。一条はさっきまでのゲームアプリを消し始める。拒む村上を遮り、9ヶ月何も成し遂げていない自分を卑下し、自暴自棄に駆られ始める。しかしこれは今に始まった話ではなかった。これまでの同居で一条が己を卑下し自暴自棄の状態に陥ると30分はその状態から戻って来ないこととその対処法を村上は既に弁えていた。30分後、落ち着きを取り戻し始めた一条に村上はチーズとバターで焼いた餅をそっと差し出す。それをすぐに平らげ、一条は更におかわりを村上に要求する。しかしチーズが無く買いに出掛けることになる。道中ついでに初詣行こうと提案する村上に「⋯そうだな」と一条は答える。

チンゲン菜をほうれん草と間違えたことを根に持ち続ける一条

村上が野菜炒めを作ろうとしたある日、冷蔵庫にある食材を処分しようと一条は野菜室を漁っていた。一条は「この小松菜も入れたらどうだ?」と村上に提案する。すると村上はと逡巡する。それを察した一条は「ああ⋯ほうれん草ねほうれん草⋯言い間違えた⋯」と言う。すると村上は驚きそれはチンゲン菜だと言う。更に村上は「流石に別物ですよ⋯!チンゲン菜だけは⋯!ハハハ!」と続けてしまう。これに一条のプライドは傷付けてしまう。一条はオレはお前を凌駕していると強がりを言い放ちその場を去る。村上にとっては軽いノリで笑っただけのつもりであったがこれが一条に対する認識の漏れ、盲点であった。ここからしばらく一条は尾を引く。
以後一条は村上に唐突な投資の話や難しい熟語を多用した会話を仕掛けるなど、同居生活という逃げ場なき環境を利用した反撃、知識マウントの嵐を村上に浴びせる。村上は耐え続けるのみであった。3日耐え凌ぎ翌日の朝、いつもの一条に戻った様子に村上は安堵する。しかしここで油断してしまう。「このエノキ大分古くないか?」と言う一条が取り出したのはエリンギでまたも間違いを指摘しまい、嵐を呼んでしまう。一条は茹でた青菜3種を盛った皿を用意、村上にどれがチンゲン菜なのか当てさせる。村上は戸惑いながらも見事答えを外してしまう。すると一条は高笑いをしその中にチンゲン菜は無いととネタをばらし「クク⋯!露呈したな⋯!お前の阿爺下頷(あやあがん)⋯!これこそ猿猴取月(えんこうしゅげつ)⋯!甕裏醯鶏(おうりけいけい)のくせに恪勤精励(かっきんせいれい)もしないから〜云々」と再び知識マウントの嵐を浴びせる。
翌日、耐えかねた村上は一時避難する。一条はモモ太の水やりや皿洗いをしなければならないことに気付く。更にそれらを村上は黙ってやってくれてたということにも気付く。ふとテレビを観ると某地域特集番組で大山が取り上げられるという番宣が流れている。思わず村上に声かけるもそこにいない。ここで一条はスマホを取り、村上に「アド街大山やってるぞ」とラインを送る。「えーまじっすか!?見たかった〜」とすぐ返信が来る。その返信に安堵した表情の一条と一条からのラインに微笑む村上の表情が映る。

叔父にカメラ撮影を褒められただけでプロカメラマンを目指し始める村上

ある日村上は東京在住の叔父、あつしおじちゃんの斡旋で1日だけ老人ホームイベントのカメラマンとしてアルバイトをしていた。ここで撮影した写真が施設入居者の好評を博す。気を良くした村上はその夜一眼レフのカメラが欲しくなったことを一条に打ち明け「もしかしたらオレ⋯そっちの方の才能が⋯」と熱をあげ始める。こうして村上はプロカメラマンという夢の実現に向けての一歩を踏み出す。
3日後、村上は15万弱もする一眼レフを購入する。戸惑い心配する一条をよそに村上は希望に胸膨らませる。夢を叶えるにあたって最初にかけた金額はその後のモチベーション維持のための燃料となる。その燃料が最も消費されるのが序盤、挫けそうになった時だという。この時に「いや、でもせっかく良いの買ったのだから」とブーストをかけてくれるのがかけた金額の高さであるという。実際にその後村上は肌身離さずカメラを持ち歩くようになる。専ら被写体は一条であることが多いが、徐々にこだわりが強くなり自作のレフ板を村上と共に働いた短期バイト先で知り合った友人三好(みよし)に持たせるなど本格的になっていく。これに一条も呼応する。村上が写す自分の姿に酔い「これからオレを撮るときはこっち⋯左から撮ってくれ」と注文をつけ始める。序盤で挫けることなく、思いの外熱が冷めやまない村上はそのまま写真コンテストに応募する。村上はその応募するコンテストの作品の被写体は一条しかいないと熱弁する。一つ間を置いて「いいだろう。ただし条件がある⋯!前も言ったがオレを撮る時は右からでなく⋯左⋯!そして⋯やるからには⋯本気で1位をとりにいくこと⋯!」と一条はキラキラの渾身のキメ顔で承諾する。その後コンテストに応募するも村上の写真は、箸にも棒にも引っかかることなく落選する。打ち上げたロケットが何物かの衝突や燃料切れなどして宇宙彷徨うスペースデブリと化してしまうことが往々にしてあるように、村上の夢もここで覚め始める。しかしその打ち上げたロケットがやがて宇宙で輝くように、プロカメラマンを目指そうとした経験は何物にも代えがたい経験として輝き続けるという。最後には一条のバイト先の仲間で大阪出身の美沢(みさわ)や三好を交え、公園でコンテスト提出すべく作品を追い求めている皆の生き生きとした様子が描かれた。

積もった雪にテンションが上がる一条と村上

上京してからのとある冬の夜、気付くと雪が降っていた。それにはしゃぐ村上に「ふっ⋯子供かよ」と一条は冷めた答えをする。しかし一条の内心は、積もらなくて落胆した時に備えたようなもので、本当はどこかで村上と同じく雪が積もってほしいと懇願しているのであった。中々雪の降らない岡山出身の2人にとって雪は特別なものであった。
翌日、窓を開けるとそこには白銀の世界が広がっていた。見事大量に降り積もった雪を前に一条も村上もテンションを抑えきれず、早速街の様子見がてら買い物に向かう。子供であれば大はしゃぎできる。大人であれば電車の心配や雪かきの心配など現実的問題が立ちはだかる。一条と村上はその狭間、手すりの雪を落としたり、誰も踏んでいないところを歩くなど、大人の理性でコーティングされた遊びを享受する。
スーパーに到着すると普段は購入しない鶏もも肉を一条はチョイスする。帰りにはねっとり系の焼き芋を食べながら帰る。明らかに普段より財布の紐が緩い。食事も風呂も普段より早い。2人は無意識に雪降り積もったこの日を長くしようとしていた。更にはその後映画を立て続けに2本観る。明らかにこの日は一条、村上の心をせかし続ける「急げ⋯!勝て⋯!甘えるな⋯!」などといった喧騒は鳴り止んでいた。この日の一条、村上の表情は終始穏やかであった。

現代ネット社会の沼、フィルターバブルにまんまとハマる一条達

ある日、薬局で順番待ちをしている一条は動画配信サービス、ユーチューブを眺めていた。そこには「成功者に必要な3つの要素」「稼げない人の特徴」といった一条の心揺さぶる動画が軒を連ねていた。一条はその動画のユーチューバーを片っ端からチャンネル登録してしまう。これはユーチューブに限らない話で、ツイッターやアプリ、ニュースサイトに至るまで、そのアルゴリズムは一条求めていた情報を自ずと提供していた。一見自分で見つけ得た情報のようではあるが実は自分に合う思想や主義が濃縮されるよう提供する側でコントロールされている。このような現代ネットの仕組みをフィルターバブルという。このフィルターバブルは同時に現代ネットが抱える、しばしば視聴者を沼に陥らせる、闇でもあった。御多分に洩れず、一条はそのバブルに包まれる。その後一条は村上の観ているテレビをいきなり消し、情報というのは自分から選んで取得していくものだというような能書を垂れたり、村上の単なる鴨を見かけて可愛かったというだけの話を掘り下げてみようかと得意気に提案してみたりする。更に単なるバイトのシフトに関する電話においても「あーOKです!明日のシフト⋯1件プレゼン入ってるんですがそっちはリスケきくんで⋯!」と村上に、すまん、という忙しいアピールの目配せをしながらの通話をひけらかす。一条には明らかなエセ成功者オーラがまとわりついていた。その後の会話もやたら「◯◯力」としたり、逆説的なこと言ったりする。極め付けは美沢の部屋のトイレ清掃という人の嫌がることを率先するまでに及んでいた。この後、一条は夜通し自分が感化されたユーチューブ動画等を村上、美沢、同じく一条のバイト先の仲間で福井出身、休学中の医大生山田(やまだ)の3人に観せ続ける。翌朝その3人は見事フィルターバブルに包まれていた。そこのアルバイトではない村上までも交え、一条の仲間一向はやたら意識高い会話をする。エセ成功者オーラ放つ4人のその様は周囲を翻弄していた。

20歳にして夏の原風景を知る一条

夏も終わりに差し掛かったある日、一条の元へ美沢から滋賀の祖父母の家に一緒に泊まりに来ないかという誘いの電話が入る。村上は前のめりになるも一条は一言「断る」と言い放ってしまう。一条のひねくれた心は、夏=楽しむ、という方程式を受け入れることができないでいた。その後およそ1時間半、村上、美沢による必死の一条への説得が続く。村上だけで行けばいいというような一条に「いや!一条さん来てくれないと⋯半減っスよ楽しさ!」という男友達あるあるのつれぬ奴ほどかえってどうにか来てほしいという心理が働く。だが一条の滋賀へ行く決断はあっさり決まる。美沢が三好を誘おうとするとすかさず「それはやめとけ」と被せ気味に言い、ならばという形でようやく一条は向かうことを決める。美沢が意図せず出した三好が一条を滋賀へ向かわせる決め手となった。
3日後、青春18きっぷで滋賀へ向かったのは一条、村上、美沢、そして調理スタッフをしている20歳の女子大生小崎(こさき)の計4人となった。8時間もかかる道中は心理テストなどをしてあっという間に滋賀入りする。昼食に近江ちゃんぽんを食し、一行は美沢の祖父母宅に無事到着する。その後そこで過ごす時間は一条に、20歳にして、夏の原風景を覚えさせる。まず美沢の祖母がスイカを食べるかと尋ねる。するとそのスイカが近くの川で冷やしてあることを知っている美沢がみんなで取りに行こうと提案する。自然豊かな道中、美沢が夏の原風景的な場所がここだと言う。続けて小崎は親戚一同で行くキャンプ、村上は地元の天神峡が自分にとっての夏の原風景だと言う。しかし一条にはそれが思い浮かばなかった。その後、持ってきたスイカでスイカ割りを始める。ここで一条はスイカ割りが初めてであることに気付く。その後の夕食で賄われた川魚料理と思われる家庭料理の美味しさに一条は驚き思わずおかわりしてしまう。その後一行は川沿いで花火をする。しかしここまで来ても一条の夏を満喫することがくだらないというひねくれた心は消えずにいた。ここで村上が一条に花火を渡す。断り切れず受け取り、火をつけた花火の香る匂いに「花火って⋯こんな匂いすんだな⋯」という感想を抱く。一条に夏の原風景ができる瞬間であった。

『上京生活録イチジョウ』の登場人物・キャラクター

主要人物

一条聖也(いちじょうせいや)

本編の主人公。
岡山県出身。高校卒業後岡山から上京する。大学に進学した同年代などをいつか出し抜き、成功することを夢見る意識高きフリーターをしている。本当は大学進学を希望していたが叶わなかった一条を嘲笑ってきた地元の連中に恨みを抱え、その連中が目の色変えて頭を下げにくる無様な姿を想像するなど執着が強い。
後に消費者金融を主な事業とする日本最大の企業グループ、帝愛に入社し、帝愛傘下裏カジノの店長を務めることになる。またその裏カジノで数多の債務者を生み出すことになる1発4,000円のパチンコ台「沼」の開発者でもある。
上京生活では節約の為のオリジナル「貧乏メシ」レシピを多く生み出している。一見、論理的且つ合理的で冷静沈着に見えるが落ち込むととことん自分を卑下するような性格である。ストイックなようで決してそうなりきれない自分に落ち込む。また誕生日を迎えるが何も成し遂げていない自分に絶望し落ち込む。これらの性格は一条を慕い高校中退し共に上京してきた村上をしばしば翻弄させる。自暴自棄、卑屈に陥った一条は30分その状態からは戻ってこない。一条は落ち込んだ時、親からの仕送りをギャンブルで平気に溶かす三好をセーフティネットとして利用している。よく「三好よりはマシ」と言い聞かせ平常心を取り戻している。
プレゼントのセンス、プレゼントスキルがゼロで一条からプレゼントを受け取った側はしばしば戸惑い気味になる。
美容系を中心にQOLの水準が高めであるなど中々自身を追い込むことができない。
20歳の誕生日に酒を飲み、酔った一条は不甲斐ない自分にビンタするように村上に指示、ビンタしろと自分で指示しておきながら「ぐっ⋯うう⋯あんまりだ⋯」と涙を浮かべる。帝愛の社員で黒服の芦田に一条の帝愛入社の予言に抵抗した際も「いやだ⋯入りたくない⋯!帝愛なんて⋯!」と涙を浮かべるなど、本当に悔しさがピークになると泣く傾向がある。
帝愛社員の黒服、芦田や帝愛幹部の黒崎などに直接話しかけ疑問をぶつけるなど目上に物怖じしない大胆な一面もある。
世界的パンデミックでステイホームを余儀なくさせられていた際、ツイッターのタイムラインばかり眺め持て余していた時間を搾取されていることに気付く。そこで部屋の大掃除を始めることになるがここで一条はアイデアマンとしての本領を発揮する。ステイホーム攻略のため浮かぶアイデアが後の1発4,000円のパチンコ沼開発者としての片鱗を窺わせる。
アルバイト先のファミリーレストラン「Joy Crew」ではホールスタッフを務め、一条のバイト仲間で同じホールスタッフの女性アルバイト倉持に次いで中高年に絡まれる。そんな一条は中高年に対ししばしば嫌悪感を抱いている。
髪を赤く染めた村上に触発され一条もこっそり髪を染めようと試みるも敏感肌でできなかった。

村上保(むらかみたもつ)

高校を中退して一条に付いて来た17歳の青年フリーターで一条と共同生活を送る。
叔父が東京在住である。
しばしば説得力皆無のエラソーなことを言う一条だが一条自身も自覚があるので、基本的に、それに対し村上は反論することはない。他にも卑下し落ち込む一条に料理を振る舞う、一条の誕生日を祝う、逆に一条のセンス無い誕生日プレゼントに戸惑うも嬉しがるなど、相手の気持ちや意図を汲もうとする穏やかな性格といえる。
一方で高校中退で上京する、突如髪の毛を赤く染めてみる、路上でのラップバトルに飛び込む、他人に褒められたのをきっかけにカメラマンを目指そうとしたりするなどチャレンジ精神や好奇心が旺盛ともいえる。
共同生活で料理もするが洗い物はいつも村上で黙ってこなしている。ちなみにペットのハムスター、モモ太の水やり等も村上は黙ってこなしている。生活水準を示すQOL水準は一条よりだいぶ低めである。
上京当初は中々垢抜けず、ファッションセンスが無かった。表参道ビルズへ攻めるという件では表参道ビルズの前で高校から愛用していた村上のショルダーバッグのボタンがちぎれる。これに対し村上は「た⋯耐えられなかったんだ⋯このバッグでは⋯表参道の瘴気に⋯」と戦々恐々とするなど東京に対する畏怖を隠せない。表参道ビルズでは返報性の原理を利用した店員の巧の話術にハマり50,000円以上する靴を購入してしまうなど人の良い性格が裏目に出てしまうこともある。ちなみに一条も沼にハマりかけたがすんでのところで1,500円の靴下を購入し難を逃れている。
一条が琴線に触れるようなメロディを思い付き、村上に聞かせるという件では「なんスかその激エモ曲⋯鳥肌たったんスけどオレ⋯」と共感し、更に歌い出しの部分の歌詞を思い付く。これを掘り下げる村上はその歌詞に自分の境遇を徐々に重ね始め、やがて「うっ⋯いや⋯エモッ⋯!」と泣き荒ぶなど、共感力が高い。
一条自身が抱くヒエラルキーではペットのモモ太より上のBランクとCランクの間位の評される。当然一条よりかは下に位置づけられる。
「⋯っス」と言うのが口癖である。

モモ太(ももた)

soranohuwari
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@soranohuwari

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