上京生活録イチジョウ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『上京生活録イチジョウ』とは原作・萩原天晴、漫画・上原求、新井和也、協力・福本伸行による漫画。福本の代表作『賭博破戒録カイジ』に登場する消費者金融を主とする帝愛グループ傘下の裏カジノ店オーナーの一条聖也(いちじょうせいや)を主人公としたスピンオフ作品である。この作品は後に、1玉4,000円する悪魔的パチンコ台「沼」を開発するなどして、帝愛の上層部にのし上がることになる一条の入社前の高卒で岡山から上京し燻っていた日々を描いたギャグ漫画である。

第1巻1話に登場する、後に帝愛に入社する主人公の一条が店長を務めることになる帝愛傘下の違法のカジノ店。

帝愛ファイナンス

第4巻30話に登場する日本最大の企業集団帝愛グループのメイン事業である金融事業の部門。

その他

さくらハウス

第1巻1話に登場する一条と村上の上京生活の舞台となるアパート。

プレゼントスキル

第3巻17話に登場する、いかに相手が喜ぶプレゼントを贈れるかを測る指標。一条に至ってはプレゼントのセンスがないことが判明する。

プレゼントの受け取りスキル

第3巻17話に登場するプレゼントを受け取る側に求められる指標。一条のセンスのないプレゼントに周囲は翻弄される。しかし一応一条をがっかりさせない態度を取る。一条の周辺人物のプレゼント受け取りスキルは高いといえる。

あかつき

第3巻21話に登場する一条、村上共同で製作して楽曲。突如一条に舞い降りたバラード調のメロディに村上が共感し制作されるもどのように発表すれば良いか分からず、そのままお蔵入りとなる。

レッツプリティア

第5巻39話に登場する、村上がどハマりすることになる女児向けアニメ。その後村上はそのアニメの声優が出演するラジオ番組を追いかける程ハマる。

中高年ピンボール

第6巻40話に登場する一条のバイト先に訪れる中高年客に翻弄される様。一条ここに世の縮図を垣間見る。

『上京生活録イチジョウ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

一条聖也「クククやはり全然違うな…!街も…!人の数も…!岡山とは…!」

岡山からの夜行バスで一条と村上は自身の抱く大きな野望に胸膨らませる。ようやく到着し降りたった東京で目の当たりにしたビル群と人だかりは一条、村上を圧倒する。一条が思わずほくそ笑み呟く一言が「クククやはり全然違うな⋯!街も⋯!人の数も⋯!岡山とは⋯!」である。若干岡山を卑下するニュアンスを窺える。これからの鬱屈、困窮ふりかかる前の希望だけに満ちた田舎者っぽさもまた垣間見える。

一条聖也「はっきりと言ってやろう…!まず100%ありえない…!『めぞん一刻』のような世界は…!」

漫画『めぞん一刻』のようなうまい話は無いと村上に諭す一条(画面右側)

一条と村上の上京共同生活の舞台さくらハウスの一室、一条、村上の部屋の隣に誰かが入居する。ここで村上が「どんな人なんでしょうね?あいさつとか来るのかな?気の合う人だったらいいな〜!」と言う。それに対し一条が「言っとくが⋯マンガやドラマみたいにアパートの隣人と仲良くなることなんて⋯現実じゃほぼありえないからな⋯!」と現を抜かすなと言わんばかりの講釈を垂れる。そしてその極め付けが「はっきりと言ってやろう⋯!まず100%ありえない⋯!『めぞん一刻』のような世界は⋯!」である。まるで一条自身に言い聞かせているニュアンスも感じられ、ラブストーリーでよく見られる甘い話はないとする一条のなまじストイックな一面が垣間見れる。

一条聖也「見事だ一条聖也…!大した喜劇王だ…!お前は…!」

ある日一条の元へ一通の手紙が届く。それは英語能力テストTOEICの試験結果であった。一条は自暴自棄になる。思っていた結果には程遠いものであったからだ。ここで一条特有の卑下する時に起きる発作〝パンパン〟を発症する。ほくそ笑む一条。ここで言い放つ言葉が「見事だ一条聖也⋯!大した喜劇王だ⋯お前は⋯!」である。志高いが落ち込みやすく卑下しやすい一条の性格をもっとも表している。
いつもなら30分で普段の一条に戻るはずがこの時は翌日になってもその症状は続いていた。折しもここで免許取り立ての美沢から海に行こうという誘いを受ける。海に向かい、海水に浮かぶことで、一条はは本来の姿を取り戻す。

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