上京生活録イチジョウ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『上京生活録イチジョウ』とは原作・萩原天晴、漫画・上原求、新井和也、協力・福本伸行による漫画。福本の代表作『賭博破戒録カイジ』に登場する消費者金融を主とする帝愛グループ傘下の裏カジノ店オーナーの一条聖也(いちじょうせいや)を主人公としたスピンオフ作品である。この作品は後に、1玉4,000円する悪魔的パチンコ台「沼」を開発するなどして、帝愛の上層部にのし上がることになる一条の入社前の高卒で岡山から上京し燻っていた日々を描いたギャグ漫画である。

ナレーション「そう…終焉は…人間の幸不幸…祈りや願いに関係なく…訪れる時は訪れるし…訪れない時は訪れない…!」

実は宇宙空間の巨大隕石が地球に近づいているという最中、一条はの住まう地上はクリスマスを迎えていた。心のひねくれた一条にとってクリスマスも当然くだらなく思えるイベントであった。その日のアルバイトの帰路、一条の乗る自転車のチェーンが外れてしまう。「終わっちまえ⋯!こんな世界なら⋯!もう⋯!」と一条は自暴自棄になる。と同時進行で先の隕石も地球との距離を確実に縮めていた。部屋に戻ると男4人でクリパをやろうという美沢からの誘い連絡が入る。「キツい⋯!」と言いながらも一条は村上と渋々美沢宅へ向かう。プレゼント交換など一通り盛り上がった後恋バナが始まる。するとそこで美沢に遠距離恋愛中の彼女がいることが判明する。一条は妬みからか美沢に「別れるんだよそんなの⋯!どうせ⋯!」と嫌味を言ってしまう。そのタイミングで美沢に彼女からラインが入る。その内容はなんと別れ話であった。突如一条はバツ悪くなり謝る。そんな一条に美沢は「ん⋯いや⋯大丈夫」とは言うも明らかに落ち込む。ここで同時進行中の巨大隕石の行方についての説明が入りスレスレを通過し無事であることがわかる。訪れなかった地球の終焉と訪れてしまった美沢の恋の終焉をパラレルで描かれたところで入るナレーションの言葉が「そう⋯終焉は⋯人間の幸不幸⋯祈りや願いに関係なく⋯訪れる時は訪れるし⋯訪れない時は訪れない⋯!」である。鬱屈、困窮の日々ばかりのようではあるが実は幸運なこともまま起きているとも思える。

ナレーション「鍋を振ることで…まだダマになったままの米と…パラパラになり…下に落ちてゆく米とを…振り分ける…!まるでこの…無慈悲な資本主義社会のように…!」

一条はチャーハンを作るのが得意である。いっとき一条はそのチャーハンを作りを極めようとする。一条は本格的な中華鍋を購入しプロ顔負けの鍋捌きを見せる。その鍋でご飯を潰してはパラパラになるよう振り分ける作業に一条はこの世に蔓延る無慈悲な資本主義の縮図を見い出し、目を血走らせる。ここで入るナレーションの言葉が「鍋を振ることで…まだダマになったままの米と…パラパラになり…下に落ちてゆく米とを…振り分ける…!まるでこの…無慈悲な資本主義社会のように…」である。しかしどんなに潰しかき回してダマがどうしても残ってしまう。ここに決してパラパラにすることのできない人と人とを繋ぎうる連携を見い出しもする。一条のチャーハンを作る過程が現在の資本主義の残酷さとその中見出せる希望を彷彿させる。

一条「村上⋯ついてきて欲しいオレと一緒に」

帝愛の社員であり黒服の芦田の影響、更に実態が裏カジノのプロジェクトに関する会社説明会で出会った帝愛幹部黒崎の影響で一条は帝愛入社を決意する。一条は荷物をまとめ部屋を後にしようとする。一方の村上もこの先どうするか決めあぐねながらも部屋を後にすることだけは決める。共用物を振り分けた後、残り物の袋麺と豆苗やほうれん草全て混ぜた鍋を作りこの一室での最後の食事をする。ここでおもむろに一条が村上に言う言葉が「村上⋯ついてきて欲しいオレと一緒に」である。一条は初めて村上に頭を下げる。村上は一言「はい」と答える。これから2人が帝国でかつやくすることになるそのスタートラインといえる。

『上京生活録イチジョウ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

『カイジ』本編のアシスタント

作画の三好智樹は『カイジ』本編のアシスタント経験がある。更には『中間管理職トネガワ』の作画も担当している。

試し読みがあるのは電子版のみ

第1巻の電子版のみ『1日外出録ハンチョウ』第3話と『中間管理職トネガワ』第57話を試し読みすることができる。
電子版の目次には記されていない。

『1日外出録ハンチョウ』の主要人物の登場

サ活の件で一条と村上に照準を合わせてきたのは『1日外出録ハンチョウ』の主人公大槻太郎(おおつきたろう)である。その隣りには大槻側近の沼川拓也(ぬまかわたくや)、水風呂には大槻のもう1人の側近の石和薫(いさわかおる)がおり、1日外出を満喫している。

soranohuwari
soranohuwari
@soranohuwari

Related Articles関連記事

賭博黙示録カイジ(福本伸行)のネタバレ解説・考察まとめ

賭博黙示録カイジ(福本伸行)のネタバレ解説・考察まとめ

『賭博黙示録カイジ』とは、1996年~ 1999年に「週刊ヤングマガジン」で連載された福本伸行によるギャンブル漫画、及びそれを原作とするアニメ、映画のこと。働きもせず、しょぼい酒と博打に明け暮れる自堕落で最悪な毎日を送る若者カイジが、保証人としてかつてのバイト仲間の借金を返済するためギャンブルの世界へ足を踏み入れ、その後様々なギャンブルに挑んでいく様が描かれる。

Read Article

中間管理録トネガワ(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

中間管理録トネガワ(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『中間管理録トネガワ』とは福本伸行の人気作品である『賭博黙示録カイジ』の作中に登場する利根川幸雄を主人公にしたスピンオフ作品である。兵藤会長の機嫌を伺いつつも部下である黒服をまとめる立場、いわゆる中間管理職である利根川幸雄の苦悩と葛藤を題材にした作品で、『月間ヤングマガジン』で2015年7月号から2018年2月号まで連載。 2018年7月から12月まで日本テレビの深夜アニメ枠、AnichUで放送されていた。単行本は全10巻発売で完結している。

Read Article

1日外出録ハンチョウ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

1日外出録ハンチョウ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『1日外出録ハンチョウ 』とは原作・萩原天晴、漫画・上原求、新井和也、協力・福本伸行による漫画。福本の代表作『賭博破戒録カイジ』の主人公とチンチロ博奕で合間見えるハンチョウこと大槻太郎(おおつきたろう)を主人公としたスピンオフ作品である。消費者金融を主とする帝愛グループは多くの劣悪債務者を地下強制労働施設に収容する。そこで勤労意欲を促す最高価勤労奨励オプションが“1日外出券”である。この作品は“1日外出券”を頻繁に購入する大槻が限られた1日をいかに謳歌するかが描かれているギャグ漫画である。

Read Article

賭博破戒録カイジ(福本伸行)のネタバレ解説・考察まとめ

賭博破戒録カイジ(福本伸行)のネタバレ解説・考察まとめ

2001年~2004年に「週刊ヤングマガジン」で連載された福本伸行によるギャンブル漫画、及びそれを原作とするアニメ、映画のこと。自堕落でどうしようもない毎日を送るカイジが、保証人としてかつてのバイト仲間の借金を返済するためギャンブルの世界へ身を投じていく様を描いた前作「賭博黙示録カイジ」の続編として、再びカイジが勝負の世界で奮闘する様子が描かれる。

Read Article

賭博堕天録カイジ(福本伸行)のネタバレ解説・考察まとめ

賭博堕天録カイジ(福本伸行)のネタバレ解説・考察まとめ

2004年から「週刊ヤングマガジン」にて連載されている福本伸行によるギャンブル漫画。保証人としてかつてのバイト仲間の借金を肩代わりさせられたことをきっかけにギャンブルの世界へのめりこんでいく様が描かれた「賭博黙示録カイジ」、そして膨れ上がった借金の代償として地下労働を強いられ、そこから地上へと戻ってくるまでが描かれた「賭博破壊録カイジ」の続編として、再びカイジが勝負の世界で奮闘する模様が描かれる。

Read Article

アニメ・漫画に出てくる、見ているだけでよだれが出てくる美味しそうな食べ物たち

アニメ・漫画に出てくる、見ているだけでよだれが出てくる美味しそうな食べ物たち

アニメ・漫画で度々登場するのが、食べ物のシーン。しかし食べ物は現実、色のグラデーションや光の吸収率や反射率などがまちまちで、絵として表現するのは至難の技なのです。けれども、そんな中でもその独特な食べ物たちを極めて美味しそうに書いたアニメや漫画があるのです。今回はそんなシーンにこだわって、たくさんの美味しそうな食べ物をまとめてみました。

Read Article

カイジに格言を学べ!

カイジに格言を学べ!

「金は命より重い」という言葉を聞いた事はありませんか?これは有名なカイジからの言葉です。このようにカイジから学べる事は非常に多く、あなたの人生にとって非常に有用かもしれません。そこで今回はカイジから名言をご紹介。これを読んだあとは非常に金に対してシビアになっていること間違いないでしょう。あんまりシビアだと嫌われることもあります。気をつけて!

Read Article

目次 - Contents