バンドやろうぜ!(バンやろ)のネタバレ解説・考察まとめ

『バンドやろうぜ!』(略称『バンやろ』)とは、アニメ制作会社のアニプレックスと音楽会社のソニー・ミュージックエンタテインメントによって作られたiOSとAndroid向けのリズムゲームである。テーマは「青春」×「バンド」。「デュエル・ギグ」と呼ばれる対戦型のライブが主流となった時代で、メインとなる4バンドの成長と活躍を描く。ゲーム以外にもリアルライブなどを行っており、配信終了後もグッズ販売や他ソシャゲとのコラボ等精力的な活動を続けている。

パーフェクトスコア

『Episode of Avalon』から登場する、本作のキーとなるスコア(譜面)のこと。主人公達の敵対組織にあたるレーベル・クリムゾングループの総帥・皇紅蓮が求めている譜面でもある。名前の通り、完璧に完成されたスコアとなっている。皇紅蓮の娘である皇奏芽が制作できた。

クソシナリオ

イベントシナリオに対するファンからの呼称。メインストーリーのシナリオがシリアスかつ真面目な展開が多かったのに対し、イベントでは魔界に行ったりチョコ塗れになったりと謎のおふざけ展開が多かった為、このように呼ばれる事となった。
なお、公式の方もこの事を認知していた模様。実際、ゲーム配信が終了した後に開かれた2部制のトークイベント「バンドやろうぜ!GIG CAFE Midnight Adult Party」では、「お・と・な・のシナリオ編」と冠した第2部が開催されている。「バンやろ!ヨゴレ・ディスカッション」という名で、『バンやろ』の「ヨゴレた部分」についてシナリオライター達が話すイベントが行われ、イベントシナリオに対する言及も多く行われた。

『バンドやろうぜ!』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

東雲大和「ロックって勝手で愚かなもんだろ?」

『Episode of Avalon』の最終章にて、BLASTのボーカルであった大和がXENONのボーカル・ヴィクターにむかって言ったセリフ。家族の仇だった紅蓮になみなみならぬ復讐心を抱いていたヴィクター。しかし反面で、最後まで音楽を信じ、音楽に身を捧げていた兄・ユーゼスの事を理解できずに愚か者としても見ていた。その時、再び自分達XENONに対抗しようと現れたBLASTを目にし、明らかな力量の差がある相手の自分達に挑む彼らの行動の意図がつかめず、ヴィクターは困惑する。しかし、そんなヴィクターに大和が返したのが「ロックって勝手で愚かなもんだろ?」という言葉だった。それは、ひたむきに音楽を続け、最後まで音楽を愛していた兄の姿とかぶる者があり、今まで復讐の為に音楽を奏で続けていたヴィクターの心に刺さる。だが、その言葉はヴィクターだけではなく多くのプレイヤーの心も刺す事となった。
元来、ロックとはひとつの音楽ジャンルであり、誰かの為に奏でるものでもなんでもない。だが、そうとわかっていてもプロになり人々の期待を背負うようになれば、そのような事は言っていられない。実際『バンやろ』の作中では、そうした経緯からプロになって自らの音楽性を失ったキャラクター、失う事に葛藤したキャラクターも多く登場していた。そうしたなかにおいてこの大和のセリフは、ロックとは何か、音楽とは何かといった根本的な事を思い出させてくるセリフだといえる。
また、『バンやろ』は好き勝手さまざまなトンチキを繰り広げるイベントシナリオで溢れている事でも有名なゲームである。そんな『バンやろ』そのものを体現しているようなセリフとしても、この言葉は本ゲームを語る上で外せない名言となっている。

高良京「極彩色の魂を鳴り響かせよう」

この名言からライブを始めるバンド・OSIRISのメンバー。左から2番目の黒髪短髪の青年が、この名言を言う高良京。

『バンやろ』では、各バンド毎に専用の口上が存在する。その内の1つが、このOSIRISのボーカル・京の「極彩色の魂を鳴り響かせよう」である。
自分の思った事を伝えるのが苦手な京。そんな彼も音楽の中だけでは饒舌に語る事ができる。作中では、京自身が思いをメンバーに伝える為に作詞をした曲も出てきていた。だが、その歌詞はいわゆるヴィジュアル系によったものとなっており、ストレートなメッセージ性とはどこか程遠い言葉が並ぶ曲である。本セリフは、そんな京の特徴が盛大に表現されたものだといえる。
また、京が所属するOSIRISは『バンやろ』の中において、リアルでも最も精力的に活動したバンドでもある。京役の小林正典が実際にボーカルを務めたリアルバンド版のOSIRISは、『バンやろ』が主催のライブ以外にも、さまざまなリアルバンド達との対バンライブを行っていた。ファンの中にはリアルバンドのOSIRISから本ゲームを知った者もおり、本口上は、そんな彼らにとっては忘れられない印象深いものだったと言っても過言ではない。『バンやろ』中に登場する口上の中でも特に注目度が高い名口上だといえる。

客「あっち!マグマかかった!」

『Episode of Avalon』に登場したモブが述べたセリフ。本シナリオ内で行われたデュエル・ギグ中にステージが爆発する事態が発生し、それに巻き込まれたモブが発したのがこの「あっち!マグマかかった!」である。
『バンやろ』ではトンチキなシナリオが多く繰り広げられており、このセリフが登場するまでにも要所要所で思わずツッコんでしまう謎設定が多く登場していた。だが、そのなかでも特に多くのファンの心に残ったのが本セリフだった。セリフを述べたモブは姿かたちどころか声優すらついていないキャラであったが、そんな一般人がマグマがかかった事を「あっち!」程度で済ませている『バンやろ』の世界観はどうなっているのか、思わずツッコまざるを得ないセリフだ。『バンやろ』の混沌っぷりを一言で現した名セリフならぬ迷セリフだといえる。

『バンドやろうぜ!』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

バレンタインデーにTENGA公式から贈られてくるTENGAの山

バレンタインデーの度に『バンやろ』に贈られてくるファンからのチョコとTENGAの山。

『バンやろ』の運営は、アダルト商品のメーカー・TENGAとの繋がりがある。これは、かつて『バンやろ』で行われたバレンタインデーイベントから派生した繋がりだ。『バンやろ』内には天牙(てんが)という名のキャラがおり、メインシナリオでしか登場していなかった彼が、このバレンタインデーイベントで登場したかと思いきや、チョコまみれになるというとんでも展開を迎えるオチが存在する。そもそもこのイベント自体、登場するキャラのほとんどがチョコをぶっかけられるという汚れたネタになっており、その特殊性から多くのプレイヤーの目を惹いていた。その話題がTENGA公式の耳にまで入った結果、バレンタインデー当日、TENGA公式から『バンやろ』宛にTENGAの山が贈られてくる事態が起こる。『バンやろ』運営側はこれをXにて公開。それをきっかけにTENGA公式アカウントとの正式な繋がりを持つようになり、以降、毎年バレンタインデーの時期にはファンからのチョコにくわえて、TENGA公式からTENGAが贈られてくるようになった模様。
なお、先述した天牙は、実は誕生日がTENGAの販売が始まった日と同じ日になっている。狙ってこの日にしたのかは不明である。

『バンドやろうぜ!』とゲーム『ペルソナ』のイベントができたのは制作陣のおかげ

『バンやろ』のプロデューサーであり、『ペルソナ』シリーズに関わっていた経歴を持つ足立和紀。

『バンやろ』の制作陣には、実はゲーム『ペルソナ』関連の作品に関わった事がある者が幾人か存在している。その筆頭は、『バンやろ』の企画者でありプロデューサーでもある足立和紀(あだち かずのり)だ。彼はアニプレックスのプロデューサーとして、アニメ『ペルソナ』シリーズの制作に携わった事がある。その縁からか、作中では『ペルソナ』のパロディと思われるイベントも行われており、人気ゲームとのコラボのような内容に多くのファンが喜びの声をあげる事となった。
また、『バンやろ』のメインバンドであるBLASTは、キャラ原案担当者の曽我部修司が『ペルソナ3』『ペルソナ4』のコミカライズをしていた事でも知られている。ほかにも、BLASTのライバルバンドにあたるFreezingは、『ペルソナ3』の戦闘曲等のBGMでボーカルを務めていたLotus Juiceが楽曲の歌唱を担当していた。

作中では公開されていないライブ曲

作中には収録されなかったOSIRISのライブ曲「Shades of Night」のCDジャケット。

メインバンドの中でも、精力的にリアルバンドとしての活動を行っているOSIRIS。実は彼らには、ゲーム作中には収録されなかったライブ限定で公開されていた楽曲がある。それが「Shades of Night」という楽曲だ。この曲は、2017年に行われたOSIRISのワンマンライブ「Re:incarnation」にて公開された。ライブ中に新曲として発表され、以降OSIRISのライブ楽曲としてOSIRISのワンマンライブで演奏やCDに収録。だが、『バンやろ』作中に収録される事はなく、『バンやろ』を遊んでいるだけでは知る事のできない曲となっている。
また、BLASTにも作中に存在しない楽曲がある。こちらはゲーム終了後に行われた『バンやろ』のライブ「バンドやろうぜ!ドリームマッチ デュエル・ギグ2023 RAVEN/ADVENT」にて発表された新曲だ。「YATUATARI」という名の楽曲で、こちらはライブ開催からしばらくした後に音楽配信サービスでの配信にくわえ、BLASTのリアルバンドを担当しているバンド・PENGUIN RESEARCH(ペンギン リサーチ)のYouTubeチャンネルでのライブ映像公開、さらにCDへの収録が行われている。

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