シン・アスカ（機動戦士ガンダムSEED DESTINY）の徹底解説・考察まとめ

ザフトの新兵で、シンとは士官学校からの友人。明るい性格の少女で、一行のムードメイカー。
当初はアスランにアプローチしていたが、彼がメイリンと共にザフトを脱走して以降はシンとの関係を深めていった。「妹の仇と親しくなる」という複雑な心理の動きは、戦場という極限状態と肉親の死という混乱の中で生まれた共依存的なものだったが、相性自体は良かったらしく戦後もパートナーとして活動している。

ステラ・ルーシェ

地球連合の兵士。手術と薬物投与によってコーディネイターに匹敵する身体能力を後付けしたエクステンデッドという存在。同じエクステンデッドの仲間たちと共にザフトの新型MSを強奪した。マインドコントロールされているためMSに乗ると狂暴さを剥き出しにするが、普段は純真無垢で天真爛漫な少女。
シンとは互いの正体を知らない状態で幾度か交流し、彼から「守ってあげたい、妹みたいな女の子」との印象を抱かれる。ステラもまた「シンは自分を守ってくれる」と彼に心を許していったが、薬物投与なしには生きられないエクステンデッドの運命からは逃れられず、MSに乗って暴走した末にシンの目の前でキラによって討たれた。

シン・アスカの名言・名セリフ／名シーン・名場面

「また戦争がしたいのか！あんた達は！！」

アーモリーワンが襲撃され、新型MSが強奪された際、シンは物語前半の愛機であるインパルスガンダムに乗って出撃して「なんでこんなこと…また戦争がしたいのか！あんた達は！！」と絶叫する。
戦争によって全てを失ったシンの、熱のこもった魂の叫びである。物語の始まりを告げる言葉として強いインパクトを与える。

「死なせたくないから返すんだ！だから絶対に約束してくれ！決して戦争とかモビルスーツとか、そんな死ぬようなこととは絶対遠い、優しくて温かい世界へ彼女を返すって！」

強奪された新型MSを撃破し、捕虜とする形でステラを保護したシンだったが、エクステンデッドである彼女は特殊な薬物を定期的に投与しないと生きられない体だった。これを知ったシンは、激しい葛藤に苛まれつつ、それが兵士として許されない行いであることを承知でステラを連れ出し、敵である地球連合側に身柄を引き渡そうとする。
「死なせたくないから返すんだ！だから絶対に約束してくれ！決して戦争とかモビルスーツとか、そんな死ぬようなこととは絶対遠い、優しくて温かい世界へ彼女を返すって！」とは、その際に交渉に赴いた敵の将官に向かってシンが必死に訴えた言葉である。シンがどれほどステラを大切に想っているか、彼女の幸せを願っているかがよく分かる。しかしエクステンデッドであるステラは、結局地球連合の軍部の中でしか生きられず、再び戦場に送り込まれた上で死亡する。結末を知ってから聞くとなおのこと無情を感じる言葉である。

「仇は取りましたよ。あなたの分までね」

キラを撃墜し、意気揚々とミネルバに帰還したシンは、「所属は違うにしろ、世界から戦争を無くそうと戦っていたキラになんてことを」と激昂するアスランに「仇は取りましたよ。あなたの分までね」と軽口を叩く。見え透いた挑発ではあったが、怒り心頭だったアスランをキレさせるには十分な言葉で、アスランは即座にシンに鉄拳を見舞っている。
シンのセリフの中でも、特に悪い意味で有名なものである。

「いくら綺麗に花が咲いても、人はまた吹き飛ばす…」

デュランダルが倒れ、戦争が終わった後、オーブの記念碑でアスランやキラと対面した際にシンは「いくら綺麗に花が咲いても、人はまた吹き飛ばす…」との言葉を口にする。まだ少年でしかないシンが辿ってきた、あまりに凄惨な人生がにじみ出るような、悲しくも胸を打つ言葉である。
これに対し、キラは「いくら吹き飛ばされても、僕らはまた花を植えるよ」との言葉を返す。これを聞いてキラがなんのために戦っていたのかをようやく理解したシンは、ただ周囲に流されるまま暴れ続けた自分の在り方を顧みて、彼と和解を果たすのだった。

シン・アスカの裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話

二転三転したシンの評価と扱い

『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の主人公であるシンだが、物語の中での扱いはあまりいいものではなく、中盤からキラの出番が増えるとエンディングクレジットの先頭の位置から転落。最終的に「戦争を裏から操っていたデュランダルの手駒となり、アスランに敗北する」という形で戦いを終えることとなり、「本当に主人公なのか」とする声は放送当時から絶えない。
ネット上には真贋定かではない様々な説が存在しているが、製作者サイドが「当初からシン、キラ、アスランの3人が主軸となる物語」として『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』を描いたのは事実である。前作『機動戦士ガンダムSEED』の人気を受けて、準備期間の少ないまま始まった作品だということもあり、製作が遅れに遅れた影響もシンの扱いが不遇だった理由の1つとされている。

シンはラッキースケベの語源

物語序盤、天真爛漫なステラが走り回って転びそうになったところを慌てて支えようとしたシンが、彼女の体に触れてしまうシーンがある。ステラは普段は布地は多いが露出も多い可憐な服を着ており、そんな彼女に触れてしまったシンは仲間から「ラッキースケベ」とからかわれている。
実はこの「ラッキースケベ」という言葉は、この時シンにかけられたものが語源だとする説がある。悲劇的な終わり方を迎えたシンとステラだが、2人の交流が残したものも確かに存在する。