シャドーハウス(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『シャドーハウス』とは、週刊ヤングジャンプにて2018年から連載されている漫画だ。著者はソウマトウで、「ヤンジャン!」にてカラー版が同時配信されている。謎の洋館「シャドーハウス」で暮らす貴族、「シャドー」と、その世話係「生き人形」たちの、友情や敬愛を描いたゴシックミステリー。
単行本は電子版含め260万部を突破している人気作品だ。2021年にアニメ第1期が放映され、2022年には第2期も放映された。

「喜びの会」で突然大量のこびりつきが現れる。
逃げ惑う生き人形や、こびりつきに襲われてもがき苦しむ生き人形の中、エミリコは星つきのオリバーが持ってきた大型掃除機を使ってこびりつきたちを退治した。
これによって、エミリコとケイトの、星つきからの評価が上がった名シーンである。

『シャドーハウス』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

アニメ化しづらいだろうと思われていた漫画

作者であるソウマトウは、アニメ化の話を聞いたときに、耳を疑ったと語る。2019年当時、まだ当作の知名度も低く、Web上で無料試し読みができたそうで、それが反響を呼び、アニメ化決定に繋がった。作者本人が、アニメ化しずらい作品だろうと思っていたが、無事アニメが放送されて実感が湧いてきたと語っている。制作工程全てに作者本人が監修に入っており、1話では漫画に登場しないオリジナルの設定も組み込まれていた。海外向けにカラー版の漫画も配信していたが、アニメ制作においてはそれも役立つ資料になったという。シャドーごとに出るすすの違いなども漫画で表現しきれない部分がアニメで活き、これにはソウマトウも感動した。
漫画制作においては、ストーリー担当ののりが服屋でトルソーを見ている時に話を思いつき、作画担当のひっしが得意な服装や背景、二人の趣味の寄せ集めなどで出来たのが『シャドーハウス』だ。ひっしがキャラクターの顔を描くのを苦手としていたこともあり、シャドー家が真っ黒な状態で描かれたのだという。
作画を見ると分かるが、『シャドーハウス』では制作にトーンが一切使われておらず、描画方法を古い印刷物に寄せるというこだわりが見える。しかし、単純に手間がかかり、苦労する技法のため、作者本人も後悔していると語っている。

実は作者は2人組

作画担当のひっし、ストーリー担当ののりの2人組漫画家「ソウマトウ」が作者だ。2009年に『ふくかみ!?』という読み切り漫画でデビュー。その後は青年誌から少女漫画まで幅広く活動している。可愛い絵柄を特徴としている反面、ストーリーには謎かけや伏線などが多く、ギャップに引き込まれる読者は多い。
2人の性別は非公開だが、絵柄やSNSの投稿の字面によって、片方は女性だと推測されている。2人は学生時代からの付き合いで、漫画賞への投稿をやめ、アシスタントになったひっしを、もったいなく思ったのりが、共同で漫画を描くことを提案した。ひっしは、のりのストーリー構成の上手さに感動して、提案に乗ったと語っている。2008年から展示販売で漫画をいくつか作っていたところ、集英社に声をかけられてデビューした。
のりがストーリーを構成し、ひっしがそれを元にプロット作成してネームを描き、担当と打ち合わせた後、ひっしが本ネームを描き、キャラクターや背景などをペン入れしている間にのりがキャラクター周りのアシスタントをして原稿を完成させている。他のユニット漫画家よりも細かくコミュニケーションをとっており、それが『シャドーハウス』制作のクオリティにも繋がっている。

読み進めるごとに解き明かされる伏線や謎

ソウマトウの過去作に『黒ーkuro-』と『ギリギリアウト』という漫画がある。これらは、変わった舞台と、人間ではない登場人物が特徴で、『シャドーハウス』と同じようなテーマである。しかし、非現実的な世界での日常や品の良さは、ソウマトウ作品の中でも『シャドーハウス』が1番特徴的に表現されている。
この作品には多くの謎が隠されており、作品の鍵とも言える最大の謎は「おじい様の目的」である。「何のためにシャドーハウスを作ったのか」「シャドーたちを使って何をするつもりなのか」これらは本作を読むにあたって重要なポイントだ。また、シャドーと生き人形の一体化が成功する条件なども謎が深い。失敗するとシャドーと生き人形双方の命が奪われるというリスクの高すぎる儀式だが、一体化の成功条件が明らかにされていないのは、物語の進行に関係があるからだと考察する人もいる。明らかになっているのは、シャドーは元々モーフという妖精だったが、ケイトだけは元々人間として生まれたことだ。これに関してはしっかり伏線も張られていて、エミリコがケイトに対して「よく見るとそっくりじゃないですね。私の方が鼻が低いです」と初期に言っているシーンがある。アニメでケイトとエミリコだけ別々の声優があてがわれているのもこれが関係しているのだ。
また、シャドーハウスの麓にある村の住民たちは、シャドー家のために自身たちの子供を捧げるのだが、村民たちはおろか、捧げられる子供たちすらそのことに疑問を持たない。これは、シャドーハウスから出ているすすの煙のせいである。すす入りコーヒーと同様、この煙によって村民たちはシャドー家を偉大な貴族と崇め、シャドーハウスに招かれた子供は英雄だと信じるように洗脳されているのだ。

『シャドーハウス』の主題歌・挿入歌

1期OP(オープニング):末廣健一郎『a hollow shadow』

1期ED(エンディング):ReoNa『ないない』

1期ED(エンディング)2:萩森英明『私の完璧な世界』

2期 OP(オープニング):ReoNa『シャル・ウィ・ダンス?』

2期ED(エンディング):ClariS 『Masquerade』

Tomomi Yonemura
Tomomi Yonemura
@fb-1580606975327608

目次 - Contents