シャドーハウス(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『シャドーハウス』とは、週刊ヤングジャンプにて2018年から連載されている漫画だ。著者はソウマトウで、「ヤンジャン!」にてカラー版が同時配信されている。謎の洋館「シャドーハウス」で暮らす貴族、「シャドー」と、その世話係「生き人形」たちの、友情や敬愛を描いたゴシックミステリー。
単行本は電子版含め260万部を突破している人気作品だ。2021年にアニメ第1期が放映され、2022年には第2期も放映された。

『シャドーハウス』の概要

『シャドーハウス』とは、週刊ヤングジャンプにて2018年から連載されている漫画だ。著者はソウマトウで、「ヤンジャン!」にてカラー版が同時配信されている。謎の洋館「シャドーハウス」で暮らす貴族「シャドー」と、その世話係「生き人形」たちの、友情や敬愛を描いたゴシックミステリー。
生き人形のエミリコは、シャドー家のケイトのもとで働いていた。2人はお披露目をクリアし、ケイトはエミリコに、シャドーハウスのシステムについての疑念を明かす。生き人形の洗脳を解き、開放するためにエミリコとケイトはシャドー家に立ち向かう。
蒸気機関車が本作で描かれており、舞台は産業革命期の西洋ではないかと言われている。シャドーハウスの中では格付けがされており、生き人形とシャドーの主従関係に加え、シャドーの中でも「星つき」などで階級分けされているのだ。これは現実の社会とも重ねることができ、本作の題材として読者に生き方を問いかけている。
可愛い絵柄に反して内容が不気味なミステリーというギャップがこの作品の魅力で、個性的なキャラクター達で同人誌を作ったり、2次創作に励んだりする者も多い。
単行本は電子版含め260万部を突破している人気作品だ。2021年にアニメ第1期が放映され、2022年には第2期も放映された。

『シャドーハウス』のあらすじ・ストーリー

シャドーと召使いとして働く生き人形

謎に包まれた洋館「シャドーハウス」で優雅に暮らす大勢の貴族「シャドー家」。シャドー家の世話と、感情を表現するための「顔」として働くのが「生き人形」だ。生き人形であるエミリコは、ケイトというシャドーに仕え、明るく働いていた。自由奔放なエミリコは、ケイトに叱られながらも部屋の掃除などの仕事を毎日こなし、次第にケイトとの距離を縮める。「余計なことは考えない」のが、生き人形の鉄則だ。ある日、エミリコは部屋の外の掃除に初めて呼ばれ、自分以外にも生き人形がたくさんいることを知る。外の掃除は班で行動する決まりで、エミリコは班員のミアとルウ、ローズマリーと共に楽しく掃除をした。掃除が終わった後、シャドー家の人間から出るシャドーハウス運用の燃料「すす」の塊、「こびりつき」のさらに集合体である「亡霊」が現れる。こびりつきは、生き人形が攻撃されると「すす病」という難病にかかってしまう強敵だ。すす病にかかってしまうと、生き人形は動くことができなくなってしまう。ローズマリーが攻撃されるも、エミリコが亡霊に水をかけたことにより、見事退治する。

お披露目とケイトの目的

その後、シャドー家の子供の試練である「お披露目」に、エミリコとケイトと、その同期たちは挑むことになった。お披露目では、シャドー家とその生き人形が、シャドーハウスで暮らすのに相応しいかが試される。お披露目に落ちると、シャドーは処分され、その生き人形は、主人のいない生き人形である「顔のない人形」となってしまう。
シャドー家の頭である「おじい様」と一緒の棟で暮らす生き人形、エドワードによって、お披露目は進行された。お茶会、ダンスの催しの後、シャドー家は庭園に連れていかれ、生き人形が自分の主人を助け出し、目的地にゴールするという試練が始まる。生き人形たちは、それぞれ選んだ道具を駆使し、時に協力、時にぶつかりながらゴールを目指していった。お披露目前に、すすを操る「すす能力」に目覚めていたケイトは、すす能力を使い、エミリコの選んだ道具である台車に乗って川を下り、なんとか目的地にゴール。2人は試験に合格した。その他の同期も合格していったが、同じくお披露目に参加していた生き人形のラムと、その主人であるシャーリーは間に合わず、脱落してしまう。
お披露目後、見事合格したシャドー家と生き人形は晴れて「成人」という階級になる。祝福として、飲めば気分が良くなり仕事の効率が上がる「コーヒー」を口にするエミリコと同期の生き人形たちだったが、そのコーヒーにはおじい様のすすが入っており、飲むことでより正気を忘れ、シャドー家に対する忠誠を植え付けるものだった。
正気を失い、明らかにいつもと違う振る舞いをするエミリコに気づいたケイトは、すすの弱点である「水」を大量にエミリコに飲ませ、正気に戻すことに成功した。そして、「生き人形をシャドー家に従わせる」というシャドー家の在り方に疑念を抱いていたケイトは、エミリコにその旨を告白する。ケイトに好意を抱いていた同期のジョンとその生き人形ショーンにも協力を求め、定期的に行われるすす入りコーヒーを飲む会、通称「喜びの会」を管理するシャドー家と生き人形である「星つき」を目指すことになった。

亡霊騒ぎと一体化

その後行われた喜びの会にて、またもや大量のこびりつきが出現し、亡霊も現れ、その場は混乱に陥った。しかし、星つきの持ってきた大型吸引機を使い、エミリコはこびりつき達を退治する。連日の亡霊出現は「亡霊騒ぎ」として子供のシャドー家の中で噂となった。
普段の怪しい立ち振る舞いから、亡霊騒ぎの犯人として星つきから疑われたケイトは、事件解決を条件に処分を免れることになった。同期のシャドー家、生き人形たちと協力し、亡霊が現れる際必ず出現していたローブを着た人、「ローブ様」について捜索する。ローブ様の正体及び騒ぎの犯人が、ケイトの班の班長である生き人形のローズマリーとその主人であるマリーローズであることをつきとめたケイト達は、ローズマリーに、騒動を起こした理由を問い詰めた。
ローズマリーは、生き人形とシャドー家が一体化する儀式を拒み、反抗の意思表明として騒ぎを起こしたという。一体化すれば、生き人形の人格はなくなり、シャドー家の意識だけが残るのだと伝えられるエミリコとケイトは、驚きを隠せなかった。一体化は「お呼ばれ」と呼ばれる移住が完了するまで知らされないが、先代星つきのシャドー家、クリストファーの生き人形アンソニーによって、マリーローズたちはその事実を知ったのだという。
犯人として差し出されるのを阻止するため、マリーローズたちはエミリコ、ケイト、ジョン、ショーンに襲い掛かる。ローズマリーのすす能力である、こびりつきの操縦を前に苦戦するが、エミリコたちはそれぞれの服を入れ替えることによってローズマリーたちを騙し、捕らえることに成功した。
後日、犯人として星つきに引き渡されたローズマリーとマリーローズは、一体化をするくらいならと、おじい様の住む棟へ渡る通路の壁を破壊し、2人で崖下へ飛び降り心中する。

コーヒーによる洗脳が解け、過去の記憶を思い出し始める生き人形たち

亡霊騒ぎが収まったころ、おじい様の住む棟からエドワードが視察に来る。前回の喜びの会で、コーヒーが台無しになったことで、それを飲めなかった生き人形たちが明らかにだるそうな様子で、シャドー家に疑問を抱きだす様子に気づいたからだ。星つきたちは処分を免れるため、この騒動を隠蔽しようとしたが、シャドー家のサラとダグラスが、自身の地位昇格の為にすべて話してしまう。
事情を知ったエドワードは急遽、翌朝に喜びの会を開くことを決定。ケイトとエミリコは、かつて生き別れ、顔のない人形となったラムの助けもあり、喜びの会の前にすす入りコーヒーを普通のコーヒーにすり替えることに成功した。
喜びの会当日、いつもと違う味のコーヒーに生き人形たちはざわめいた。同期の中でも1番忠誠心の強いリッキーでさえ、シャドー家に来る前の記憶を思い出し始め、シャドー家に対して疑念を抱くようになった。
ケイトは、シャドーハウスの真実を共有するため、同期を集めて会議を開いた。同期の洗脳が解けかけていると、会話の中で確信したエミリコは、同期達にシャドーハウスの真実を明かす。
シャドー家はもともと、「モーフ」と呼ばれる妖精で、生き人形となる人間に擬態し、今の形になったという。つまり、生き人形はもともと普通の人間だったのだ。
真実を明かされ、信じられないという様子の同期達だったが、リッキーが、「昔の記憶を思い出し始めている」と告白し、リッキーの主人であるパトリックが、全員でシャドーハウスを脱出しようと提案したのだった。
その後、同期全員の記憶が戻り始め、エミリコ以外の同期は全員同じ村の出身であること、エミリコはサーカス団を抜け出してシャドーハウスに来たことを思い出した。エミリコの記憶から、ケイトだけがもともと今の姿だったことが判明し、ケイトは、エミリコたちに自分の素性を明かしだす。
ケイトの本名はケイト・ミラーであり、こことは違う、ミラーハウスという館から来たのだと告白する。ミラーハウスでは、キャサリンという女性と1人の侍女が暮らしていた。ある日、ミラーハウスにモーフが現れ、キャサリンを襲う。
キャサリンは真っ黒になり、動かなくなってしまうが、侍女はミラーハウスを離れ、動かないキャサリンと暮らした。50年後、キャサリンは子供を産み、侍女はその子を「ケイト」と名付け、育てることになる。最初は普通の子供だったケイトだが、徐々に肌が黒くなっていき、ついに真っ黒になってしまった。祖母から出生の秘密を教えられたケイトは、自分の居場所を求め、ミラーハウスへ帰還する。しかし、そこはすでにシャドーハウスと呼ばれるようになっており、生き人形として子供が生贄になっている事実を知った。ケイトはモーフに擬態し、潜入に成功する。かつてのミラーハウスを取り戻すことを決意したのだった。

『シャドーハウス』の登場人物・キャラクター

生き人形

エミリコ

CV:篠原侑
シャドー家の1人・ケイトが従えている生き人形の少女で、本作の主人公である。「生き人形」として生まれたばかりで、知らないことや失敗も多いものの、前向きで天真爛漫な性格がケイトからも仲間の生き人形たちから愛されている。明るくおてんばな性格から、星つき達からは「お花畑」と揶揄されている。とっさのひらめきや、勇気、行動力に優れており、ケイトの顔としてふさわしくとなるために、すすで汚れる部屋の掃除や文字の勉強に勤しんでいる。シャドーハウスの常識から外れたエミリコの数々の行動に、ケイトは驚かされながら、2人は少しずつ距離を縮めてゆく。パンが大好きで、手作りの小鳥のぬいぐるみにも「パン」と名付けていた。エミリコは、ケイトが付けた名前で、ケイトの大切な祖母の名前、エミリーに由来している。シャドーの教えでは、生き人形の名前は重要でないため、覚えやすい名前を付けるが、ケイトの名前に近い簡単なものや愛称から名付けられたのであれば、「ケイ」や「ケイティ」になる。しかし、重要でないなら違反もないと、ケイトはエミリコと名付けたのだ。シャドーハウスに来る前は、孤児としてサーカス団で働かされていたが、ジョン(ショーン)達の誘いでシャドー家にやってきた。

ショーン

CV:酒井広大
ジョンに仕える生き人形の少年。冷静だが頑固な性格で、主であるジョンにも歯に衣着せぬ物言いをする。自分より上位の生き人形にへつらうことの多い同班のリッキーとは対立しがちである。正義感が強く、「星つき」に目を付けられたエミリコをかばうこともある。なんでもそつなくこなす万能なタイプで、主であるジョンとは正反対の性格のためか、しばしばジョンの奔放さに振り回されている。目が悪いものの、主人に合わせるために普段は眼鏡を付けていない場面が多い。シャドー家に仕える生き人形として基本的にジョンに従うものの、そのやりとりは主従というよりも「気兼ねなく話せる友人、もとい相棒」の様な関係となっている。これは、シャドーハウス内における相性としては「顔と影の性格がちぐはぐである」と評されるが、実際は相性が非常に良いコンビである。ジョンに対して小言や文句などのツッコミが多いのも、それだけショーンが主人たるジョンを思って発言している好意の表れだ。たまに遠慮がない発言をするショーンに対して、大人げなく拗ねたり怒ったりするが、ショーンの意思を尊重するジョンは、それを受け入れている。

ルウ

CV:佐倉綾音
ルイーズに仕える生き人形の少女。主人のルイーズからは、その顔立ちの良さで溺愛されている。エミリコと同じローズマリー班に所属する。顔は愛らしいが、無口で無表情でいることが多く、主であるルイーズの影響から、生き人形に自分の意志は必要でないと考えていている。何かを自分で決断することが苦手で、時に運任せだったり、常識破りな行動をしたりすることもある。ひたむきに主人であるルイーズの要望通りに振る舞うが、「顔」に徹する以外は物静かであり、ルイーズに関わる事となると素早くその行動や目的の為に意思を見せる忠誠心の強い生き人形だ。また、ルイーズが彼女の「顔」に執着している事から自分の顔に傷(怪我)が無いかどうかを強く気にする。その反面、顔以外の体に怪我を負ってもそれを痛がるような反応を表にしないなど、個としての反応が薄く、生き人形としては模範的で優秀とされるが、同班のミアに「応用力がない」と言われている。基本的に彼女の「表情」はそのままルイーズの意志表示のみに使われていたが、すす入り珈琲の洗脳が薄れてくると、徐々に本来の自分の表情や行動を垣間見せるようになった。

リッキー

Tomomi Yonemura
Tomomi Yonemura
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