ヴィザ翁（ワールドトリガー）とは【徹底解説・考察まとめ】

ヴィザ翁の概要

ヴィザ翁（ヴィザおう）とは、葦原大介によるSF漫画『ワールドトリガー』の登場人物。こちら側の世界（三門市）へ侵攻してきた「神の国」と呼ばれる近界（ネイバーフッド）最大級の軍事国家・アフトクラトルの戦士である。
トリオン能力、武力ともにアフトクラトルの中でも突出しているヴィザ翁は、自国の部隊内でも一目置かれる存在。アフトクラトルの国宝である黒トリガー「星の杖（オルガノン）」の使い手であり、剣術の能力も優れている。大規模侵攻時にはボーダー唯一の完璧万能手（パーフェクトオールラウンダー）である実力者玉狛第一（木崎隊）の隊長・木崎レイジ（きざき れいじ）すら、ヴィザ翁に太刀打ち出来ずに終わった。
「子供を攫うのは気が引ける」や、「お嬢さんを傷つけるのは忍びない」と言うなど、紳士的で優しそうな発言をしているが、いざ戦闘になると、相手が一番嫌がる狡猾な策を弄する非情な一面もある。油断できない老戦士。

ヴィザ翁のプロフィール・人物像

年齢：65歳
身長：176cm
出身：アフトクラトル
好きなもの：未知の相手との戦闘、少しの酒、散歩、動物を飼うこと

CV：中博史

白髪で、すらりとした体型。紳士的な話し方をする優しそうな見た目。
広範囲に即死レベルの斬撃を放つ黒トリガー「星の杖（オルガノン）」の使い手であり、剣を取っても達人級、なおかつ戦闘経験も豊富なご老人。相手が意識していない後方や死角からでも戦況を動かせるほどの豪傑。しかし、子供や女性を相手にするのは気が引けると言う紳士ぶり。
作中で、自分より強い相手と戦ったことがあるのかという主人公・空閑遊真（くが ゆうま）からの問いに、有利・不利な相手は記憶にあるが、本当に強いかどうかは勝負が決まって分かることだと、強者の言葉を残している。

ヴィザ翁のトリガー

黒トリガー：星の杖（オルガノン）

「星の杖（オルガノン）」は、近界（ネイバーフッド）最大級の軍事国家・アフトクラトルの国宝であり黒トリガー。
黒トリガーとは、優れたトリオン能力の持ち主が己の生命をかけて作り上げた特別なトリガーのことで、通常のトリガーとは比べものにならないほどの力を秘めているトリガーである。

「星の杖」は、伸ばした円の軌道上を刃（ブレード）が走る作りをしており、ヴィザ翁は技術の高さから軌道すらも自在に操ることができる。
「星の”杖”」という名前ではあるが、実は刀でもあり玉狛第二（三雲隊）の攻撃手（アタッカー）・空閑遊真（くが ゆうま）との戦闘で空閑の左手を落としている。

ヴィザ翁の来歴・活躍

大規模侵攻

近界（ネイバーフッド）最大級の軍事国家・アフトクラトルは、膨大なトリオンを持つ一人の近界民（ネイバー）を「神」とし、その神のトリガーによって、国そのものが構成されている。神の寿命が尽きれば新たな神を厳選し、国を存続させ続けている。
そして神の寿命が尽きようとしている頃、ヴィザ翁たちアフトクラトルの遠征部隊は膨大なトリオンを持つ「金の雛鳥」を得るために玄界（三門市）へと侵攻を決意。多くの新型トリオン兵や、人型近界民を投入し、トリオン能力の高い人物である玉狛第二（三雲隊）の狙撃手（スナイパー）・雨取千佳（あまとり ちか）や、緊急脱出（ベイルアウト）の出来ないC級隊員を狙い、大規模な侵攻を開始した。
ボーダーは以前からこの大規模侵攻を予測していたため、全勢力を挙げて迎え打つことができたが、アフトクラトルの新型トリオン兵・ラービットに苦戦する。さらにヴィザ翁たち人型近界民も現れ、それぞれがC級隊員の護衛や救出、市民の安全確保などに奔走される。

対 小南桐絵（こなみ きりえ）戦

アフトクラトルのヒュースが、C級隊員を援護する玉狛第一（木崎隊）の完璧万能手（パーフェクトオールラウンダー）・木崎レイジ（きざき れいじ）と、同隊 万能手・烏丸京介（からすま きょうすけ）を攻撃している。その背後から、同隊の攻撃手（アタッカー）・小南桐絵（こなみ きりえ）が一撃を食らわせようとした瞬間、ヴィザ翁が立ちはだかり小南の攻撃を防いだ。
ヴィザ翁が持つ「星の杖（オルガノン）」の危険さに直感で気付き、距離を取る小南。その反応を見て、勘のいい娘だと褒めるヴィザ翁。手練れと無理に戦わず目的を果たし引き上げようとヒュースに助言し、戦況を一気に進展させる。
ボーダー側は、戦況を進展させたヒュースの磁力攻撃の仕組みに気付き、雨取を磁力の射程内に入れないよう他のC級隊員たちとともに逃す判断をする。
再び対峙したヴィザ翁と小南だったが、ヴィザ翁は小南の攻撃をのらりくらりと交わすばかりで本気で戦う様子はない。痺れを切らす小南だったが、いつでも本気ですよとヴィザ翁が微笑んだ次の瞬間、小南の視界に、街を破壊しながら全速前進で横切るバムスターの姿が映った。敵地での戦闘ではこれが効く どうされますかお嬢さんと親切そうに問うヴィザ翁は狂気とも思えるほど。
バムスターが向かった方角には、烏丸の家があるから被害に遭う前に倒してこいと小南に指示する木崎。これにより、小南はヴィザ翁との戦線を離脱する。

対 木崎レイジ（きざき れいじ）戦

大規模侵攻前、人型近界民と戦うことがあれば、みんなをさりげなく逃すという玉狛支部に所属する攻撃手（アタッカー）・迅悠一（じん ゆういち）との会話から、小南を戦線から遠ざけた木崎。ヴィザ翁はその判断に、退いてもらえて助かった お嬢さんを傷つけるのは忍びないと敵とは思えぬ優しい言葉をこぼす。
逃げているC級隊員たちの時間を稼ぐため正面からの攻撃を避け、地の利を活かし持久戦に持ち込もうとしていた木崎だが、ヴィザ翁は早々とその考えに気づいた。幾重にも張り巡らされた鋼線を見て、生半可なやり方では木崎の守りを崩せないと考え、ヴィザ翁自らが斬ると宣言。
木崎の戦いに敬意を表して自身の全霊で相手する、とヴィザ翁はアフトクラトル国宝「星の杖（オルガノン）」を起動。初手の斬撃で木崎を仕留めようと考えていたが、木崎の側に控えていた小型レプリカ（自立型トリオン兵／空閑のお目付け役）が危険に気付き放った 伏せろ の一言で、かわされてしまう。周辺のビルが倒壊するほどの威力に驚く木崎。間髪入れずにヒュースの磁力攻撃を左腕に受ける木崎だったが、咄嗟の判断で左腕を切り落とした。そしてヴィザ翁の攻撃に備えて盾（シールド）を構えた木崎だったが、こちらの方が一手 速いと言うヴィザ翁。木崎はすでに「星の杖」によって盾ごと真っ二つにされていた。「星の杖」を初見で凌いだ木崎へ称賛を述べ、ヴィザ翁が木崎に近づいた瞬間、残りわずかな力を振り絞り、ヴィザ翁の脚に一撃を食らわせ木崎は緊急脱出する。

対 空閑遊真（くが ゆうま）戦

木崎との戦闘後、雨取たちC級隊員を追いかけた先で、ヴィザ翁たちの前に迅が立ちはだかる。さらに空から空閑による先制攻撃を受ける。
迅と空閑によって、行手を阻まれたヴィザ翁とヒュース。目の前の二人をなんとかせずにはこの先には進めないとヴィザ翁は判断する。そして2対2で戦うか、それとも分断かと思案していると、空閑によって空中へ投げ飛ばされ強引に分断させられてしまう。

空中へ投げ飛ばされたヴィザ翁は、空なら気兼ねなく戦えると「星の杖」を起動するが、空閑によって「星の杖」のブレード部分に重しを付けられていた。気づかないうちに付けられていたことに驚いたヴィザ翁。さらに真正面から重しの追撃を受け地面に落下する。自身への攻撃はマントで防いだが、ブレードについた重しは削ぎ落とすことで軽量化を図る。
空閑からの連続する攻撃について、左手が怪しいと踏み「星の杖」の剣を抜き、瞬時に空閑の左腕を切り落とした。
切り落とした空閑の左手からレプリカが出てきたことで、空閑の多彩で複雑な攻撃に納得したヴィザ翁。

もたもたしていては 雛鳥たちに逃げられてしまうと、余裕を見せたヴィザ翁の一言を空閑のサイドエフェクトが、嘘だと見抜きヴィザ翁たちも囮だと気付かれてしまう。レプリカ本体を逃げている雨取たちの元へ向かわせた空閑は、今までのような複雑な攻撃ができなくなり、苦戦を強いられる。それでも戦闘の手を緩めることなく、「星の杖」の穴であろうヴィザ翁足下の死角から攻撃するが、「星の杖」のブレードを凝集させた盾によって無惨にも阻まれる。
徐々に空閑の動きにも対応し、「星の杖」による広範囲攻撃で防御を固めるヴィザ翁。反対にどんどん近づけなくなる空閑、格上相手の勝負に勝つためには、技術や経験ではない角度から攻めるべきと賭けに出る。

真正面から最速最短で攻め、読み合いのポイントを絞りヴィザ翁を一本道へ引き込む。空閑の作戦に構えはしたが、冷静に対応していくヴィザ翁。「星の杖」のブレードの軌道を一本だけ視界の外に広げていたことで、鋭い移動速度の空閑を捉え両足を切り落とした。尚も突進してくる空閑を頭から一刀両断し、気迫だけでは 私の剣は破れないと言い、戦いを終えたヴィザ翁。目の前の煙から出てきたのは換装が解けた状態の空閑。だが、戦闘態勢が継続されている状況に驚き、剣を構えようとするが空閑を斬った際に剣先に重しを付けられていて剣が振れない。その隙に正面がらヴィザ翁の上半身を空閑自らの体で貫いた。貫かれたヴィザ翁は、生身では決してトリオン体を破壊できないはずと驚きながらも、つまり、空閑は換装前からトリオン体だったのかと理解する。これだから戦いはやめられない と嬉しそうに微笑み、空閑との対戦はヴィザ翁が敗れ終わった。

一方で三雲は、アフトクラトル 領主ハイレインに追い詰められ、苦肉の策でレプリカを敵の遠征艇へ投げ込む。そしてレプリカが帰還命令を作動させ、敵を強制的に撤退させることに成功し、大規模侵攻は終結を迎える。

ヴィザ翁の関連人物・キャラクター

アフトクラトル

ハイレイン

CV：佐々木望

「神の国」と呼ばれる軍事国家・アフトクラトル四大領主の一人。「雛鳥」を求め、近界（ネイバーフッド）から現れた近界民。行動は慎重で常に幾通りかの予備計画を準備している。圧倒的な実力を持つハイレインだが、ヴィザ翁には一目置いており、空閑に敗れたとの知らせに驚きを露わにしている。