次元大介(実写映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『次元大介』(実写映画)とは、モンキーパンチ原作の人気漫画『ルパン三世』のスピンオフ映画作品。『ルパン三世』では“主人公の相棒”という立場である次元大介が主役を務めている。主演は玉山鉄二、監督は橋本一。Amazon Prime Videoで公開された。
銃の修理のために日本の泥魚街へとやってきた次元は、そこでオトという名の少女と出会う。成り行きで面倒を見る内に彼女に懐かれてしまう次元だったが、泥魚街のボスであるアデルもまた新型麻薬精製の鍵を握るオトの身柄を狙っていた。

アデルの腹心の部下。裏社会でも上澄みの部類に入る凄腕の暗殺者。しかし“自分の外見を自在に変えられる”という特殊能力を持ち、これを用いて自分の正体を隠してきたため名は知られていない。作中では老人から外人、女性にまで姿を変えていた。

『次元大介』(実写映画)の用語

コンバット・マグナム

次元が愛用している銃。リボルバー拳銃の傑作として名高いが、2020年代ではすでに骨董品に片足を突っ込んでいるほど古い代物である。
次元は故障したパーツを新しいパーツと交換しながらこの銃を使い続けているが、経年劣化なども含むパーツごとのクオリティの違いが原因で全体に微妙な不具合が生じており、結果照準がわずかに狂うこととなった。

泥魚街(でいぎょがい)

日本某所に位置するスラム街。政府が開発の途中で放棄した地区に、行き場を失った者たちが住み着いて現在の形となった。

新型麻薬(しんがたまやく)

アデルが泥魚街で作り出そうとしている、既存のものとはまったく異なる麻薬。「人間の生み出す体内物質から精製する」という、非常に特殊な製造方法を持つ。かつてアデルの母国の軍隊が研究し、彼女の故郷の村で人体実験を重ねて作り出そうとしていたものである。
既存の麻薬を遥かに上回る多幸感の付与と依存性の強さを持ち、さらに老化速度を低下させる効果を持つ。十分な量を精製するには適合者と呼ばれる者が必要不可欠で、実験と調査の末に「凄惨な過去を持つ子供」だけが適合者になることが判明。その適合者も年齢を重ねるごとに精製できる量が少なくなるため、アデルたちは現状唯一の適合者であるオトの身柄を抑えようとしていた。

『次元大介』(実写映画)の名言・名セリフ/名シーン・名場面

千春「残念だよ、噂ほどの男じゃなかったようだ」

照準がわずかに狂った次元のコンバット・マグナムを手に取り、部品の状態を調べ、引き金やリボルバーの具合を確かめた後、千春は「残念だよ、噂ほどの男じゃなかったようだ」と次元に告げる。どういう意味だと尋ねる次元に、千春は「お前は銃の声に耳を傾けていない、だからこんなにひどい状態になってしまった」と叱責するようなことを口にする。
世界最高峰のガンマンである次元に向かって「噂ほどじゃなかった」と言い切れる、そんな千春のガンスミスとしての実力を端的に表す印象的なシーン。

次元「どんな声して笑うのか聞いてみたいだろ」

オトがアデルに連れ去られたことを知った千春は、「もはや自分たちの力ではどうしようもない」と判断し、自身が拳銃密造の罪で捕まることも覚悟で警察に駆け込もうと決意する。しかし次元は「警察に頼ったところで悪党が倒されるだけで、オトが救われるわけじゃない」と言ってそれを制し、両親の殺し合いを目撃して、アデルに捕まって拷問を受けて、目の前で起きる全ての不幸を“自分のせいだ”と思いこんでいるオトが、「どんな声して笑うのか聞いてみたいだろ」との理由から単身アデルのアジトに乗り込むことを宣言する。
それだけの理由で飄々と死地に臨む次元の姿は、文句なくカッコいい。ハードボイルドな男の美学がこれでもかと詰められている。

アデル「あの時の私にも、あなたがいれば何かが変わったのか、それとも変わらなかったのか、試してみたいの」

並み居る部下たちをことごとく倒して自分の下までやってきた次元が、愛用のコンバット・マグナムの弾をすでに撃ち尽くしていることを知ったアデルは、自らの銃から1発の銃弾を抜いて彼に投げ渡す。なんのつもりだと問う次元に、アデルは「あの時の私にも、あなたがいれば何かが変わったのか、それとも変わらなかったのか、試してみたいの」との言葉を返す。
アデルは本作の悪役であり、身寄りのない子供を拉致して新型麻薬の精製に利用し、自身に従わない泥魚街の人間を即座に始末するなど、言い訳のしようもない外道である。しかしそんな彼女もまた「強大な力に理不尽に運命を歪められた」過去を持ち、自分のしていることに、自分のしてきたことに疑問と罪の意識を感じてもいた。新型麻薬の精製のために捕らえたオトの頬を撫でて切なそうな表情を浮かべたり、「オトのことは自分が必ず幸せにするから退いてくれ」と次元に交渉を持ちかけているシーンにそれがよく表れている。

そんなアデルだからこそ、「子供の笑顔が見たい」というだけで強大な組織に単身戦いを挑んだ次元に、「もしかしたらこの男は本物のヒーローなのだろうか。あの時自分の側にはいなかっただけで、世界には命懸けで弱い者を救ってくれる人間が本当にいるのだろうか」との期待を抱いた。彼女のこの言葉には、「どうか世界は、私が味わってきた悲惨な現実ばかりではないものであってほしい」との切なる願いが込められている。
次元との早打ち勝負に敗れてビルから落下する際、アデルは自身の死に恐怖するよりも新型麻薬で世界を牛耳る野望が破れたことを嘆くよりも「幼い子供のために命懸けで戦うヒーローは本当にいたのだ」という確信に対する歓喜と安堵の笑顔を浮かべている。辛酸を尽くした彼女の人生にも、最後には救いがあったと思いたい。

次元「日本で一仕事か」

泥魚街での1件の後、誰かとの待ち合わせのごとく埠頭で時間を潰す次元の下に、黄色いフィアット500がやってくる。まるでそれに乗っているのが誰だか分かっているかのように次元は口の端を歪め、「日本で一仕事か」と言って速度を落としたフィアットに近づいていく。
“フィアットに乗っている次元の相棒”といえば、世界一の大泥棒ルパン三世である。作中にルパンは1度も姿を見せず、彼の名前すらまったく登場しないが、ファンなら「次元はルパンと一緒に次の仕事に取り掛かった」ことがよく分かる。思わずニヤリとしてしまう、秀逸なラストシーンだ。

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