美しい彼（小説・ドラマ）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

季節は過ぎ、バレンタインが迫っている。平良の参加する写真サークルは小山のツテで、写真家の野口大海に写真を提出し、見てもらっていた。しかし、平良だけが提出しなかったため、野口が直接謝りに来いと言っていると小山から話を聞く。平良が野口のもとへ足を運ぶと、野口は全く怒っておらず、忙しくて動けないから写真を持ってくるよう頼んだと笑った。野口は平良の写真について「すごく幼稚な写真だった。人を消すなら、最初から人がいない風景を写せばいいのに、わざわざ後から消すことで、自分は世の中が大嫌いだってとても分かりやすく訴えてた」と語る。野口は平良の写真から、自分勝手さと鼻持ちならなさ、世界を上から目線で見ている若さの馬鹿さと曖昧さを感じた。「だから、うちでアシスタントしない？」と野口は言う。平良が思わず「だからがどこと繋がってるんですか？」と聞くと、野口は「昔の俺にそっくりだから」と答える。平良は野口のアシスタントをすることに決め、清居にそのことを報告する。野口の腕前を知る清居は、野口は商業の人だからやっていけるのかと平良を心配した。平良は清居に「撮りたい写真がある。清居の写真。同じステージで」と話す。平良は雑誌でもウェブでもいいから清居の写真を撮って、写真平良一成と載せたいのだと言った。清居は嬉しかった。清居は平良に「おめでとう」と言い、青いリボンで結ばれたアヒル隊長とチョコを渡した。今日はバレンタインだ。平良は喜び、触れられないとか永久保存するとか訳のわからないことを言っていたが、清居がチョコを開けて平良に食べさせた。平良はチョコを噛み締め、そのまま清居にキスをする。平良は「ごめん清居。今日は我慢できないかも」と口にする。清居も頷き、それを受け入れるのだった。平良と清居はすれ違いながら、少しずつ向き合っていく。

『美しい彼』の登場人物・キャラクター

高校のクラスメイト

平良一成（ひら かずなり／演：萩原利久）

軽度の吃音を持つ少年。吃音が原因で周りにうまく溶け込めず、学校では浮いてしまうことが多かった。そんな平良を心配した両親が一眼レフを買い与え、カメラが趣味になる。用水路を漂うアヒル隊長を見て、望まぬ場所に置かれても無心で漂う姿に共感し、密かにアヒル隊長を師匠としていた。
高校で生まれつきのキングのようなオーラを放つ美しい少年清居奏と出会い、彼から目が離せなくなってしまう。平良はクラスカースト上位の清居のパシリをするようになるが、清居のために動けることが嬉しかった。些細なことでクラスカーストが変動し、清居がクラスメイトから貶められた時、普段の平良からは想像出来ないほど狂気的な形相で加害者を殴った。その出来事をきっかけに清居との距離は少しだけ縮まった。清居のことが好きでたまらないのに、キングである清居に仕える一兵だと信じ込んでいる平良は、清居が自分のことを好きだとは夢にも思わなかった。自分が清居と触れ合ったり、恋愛したりするなど烏滸がましいという考えを崩さず、清居からは平良こそが自分勝手な王様だと思われている。大学生になり、平良はもう関わるなと言われたと勘違いをして、清居との連絡を断った。平和だが無味無臭の大学生活では、写真サークルの小山という少年と気が合い、友達になった。小山の計らいで平良は清居と再会。お互いの恋心は何も変わっていなかった。平良と清居の関係性に気付いた小山から告白を受けるが、平良は清居のことが忘れられずに、清居の追っかけを始める。大学卒業を前に、写真家の野口大海のもとでアシスタントをすることになった。清居と向き合うために、清居と同じフィールドで清居の写真を撮るという夢を掲げる。自分を卑下しすぎるあまり、清居と並ぶことを避けていた平良だが、清居の隣にいるために前に進む決意をし、清居と恋人になる。

清居奏（きよい そう／演：八木勇征）

生まれ持ってのキングのようなオーラを放つ美しい容姿の少年。幼い時に両親が離婚し、母と2人暮らしで鍵っ子になった。住んでいたアパートの両隣からはいつも楽しそうな家族の声が聴こえ、寂しさが助長されるため、清居はいつもテレビをつけて過ごした。小3の時に母が再婚し、母が毎日家にいる幸せな日々が訪れたが、新しい父親との間に子どもができてからは、結局居場所を見つけられなかった。清居は別れた父親似だったため、疎外感を感じてしまう。そんな中、テレビの中のアイドルに手を伸ばす熱狂的なファンの姿を見て、あんな風に求められたら気持ちがいいだろうと、アイドルになるという夢を持った。
高校で平良一成という少年と出会う。クラス替え初日の自己紹介でどもっていて、価値なしのジャッジを下したが、平良は清居が求めていた唯一の存在を見るような熱っぽい視線で見つめてきた。様子見にパシリにしてみると嬉しそうにパシリをして、どんなことがあっても変わらない熱っぽい視線で清居を見つめ、ストーカーのように後ろをついてくる。高校を卒業しても清居は平良のことを忘れられなかった。清居は高校を卒業後、順調にモデルや俳優の仕事をこなしていた。ひょんなことから平良と再会し、高校の時と変わらないあの視線が突き刺さる。清居は平良への恋心を自覚したが、清居を崇めている平良とは恋愛的な進展が見られない。清居は平良と向き合う覚悟を決め、自分の気持ちを言葉にしながら、少しずつ成長していく。

城田（しろた／演：坪根悠仁）

平良が高校3年生の時のクラスメイト。清居の取り巻きでスクールカースト上位の派手な少年。短気で子どもっぽいところがある。清居と過ごすことが多かったが、清居がボーイズコンテストで入賞を逃したことをきっかけに嫌がらせをする。清居に対する不満や嫉妬が原因の嫌がらせは、平良によって止められた。

大学の写真部

小山和希（こやま かずき／演：高野洸）

平良が通う大学の写真サークルのメンバー。幼少期に吃音の症状があった兄がいたこともあり、平良のことを気にかける。実家は農家で、一人暮らしをする小山のもとに大量の野菜が送られてくる。密かに平良に好意を寄せ、穏やかな日々を送っていた。平良が食いつくように観ているCMに出演している俳優の清居奏にサプライズで会わせると、平良が清居にただならぬ想いを寄せていることが発覚。小山も平良に想いを伝えるが、恋は実らなかった。それでも小山は傍で平良を支え続け、平良のために清居に助言をする場面も見られる。健気な恋心を抱く優しい少年である。

芸能界

安奈（あんな／演：仁村紗和）

清居の事務所の先輩。18歳の時に出演した『赤い糸』で狂気的な役どころでありながら、無知故の無邪気な笑顔を振り撒く少女を好演。その演技力が絶賛され、海外の映画賞を総なめする。華々しい経歴からか、上から目線の女王様だと思われることも多いが、実際は気さくな女性。清居とは一緒の現場も増え、腹を割って話が出来る仲になっていく。

野口大海（のぐち ひろみ／演：和田聰宏）

売れっ子の商業カメラマン。自分の作品の色を持たず、モデルに合わせた写真を撮る。昔は人物のポートレートは撮らず、風景ばかりを撮っていた。街を映し、後から編集で人を消して、空いた穴を埋めるという作風だった。野口がヤングフォトグラフィカというコンテストの審査員を務めた時、昔の自分と同じように街から人を消す写真を提出した平良に興味を持つ。野口は昔の自分に平良を重ね、彼をアシスタントにした。多々ある付き合いの飲み会で酔い潰れ、深夜に味噌汁やラーメンを作るよう平良に命令してくる横暴な一面もあるが、平良が表に出さない本当の気持ちを汲んでくれる。平良が撮りたい写真が清居だと気付き、清居のポートレートを撮る機会を与え、平良が軽い気持ちで獲りたいと言った木村伊兵衛賞を現実にするべく個展の準備を進めてくれる良き師匠。

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