341戦闘団(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『341戦闘団』とは広江礼威による青春戦争活劇漫画である。『ゲッサン』の2019年7月号より連載開始。物語の舞台はモルダニア帝国とクラスナヤ共和国という大国同士の戦火渦巻く最前線。そこにやってきたのは本物の戦争を知らないお嬢様・エルミナ・ゲネシェスア・シャウマハ。彼女はモルダニア帝国陸軍騎兵少佐として「341戦闘団」を率いて、数々の困難へと立ち向かっていく。リアルな戦争が題材となっているため、広江の得意とする臨場感溢れる血生臭い戦闘シーンが魅力の作品である。
『341戦闘団』の概要
『341戦闘団』とは広江礼威による青春戦争活劇漫画で、『ゲッサン』の2019年7月号より連載開始。作者の代表作には『BLACK LAGOON』がある。リアルな戦争を題材としており、戦闘や死体などが生々しく描写されている。また広江の得意とするミリタリーが題材であるため、臨場感溢れる血生臭い戦闘シーンが魅力となっている。
物語の舞台はモルダニア帝国とクラスナヤ共和国という大国同士の戦火渦巻く最前線。そこにやってきたのは本物の戦争を知らないお嬢様・エルミナ・ゲネシェスア・シャウマハ。彼女はモルダニア帝国陸軍騎兵少佐として「341戦闘団」を率いることになる。エルミナは赴任早々に前線へ赴くこととなるが、そこで目にした悲惨な死体に彼女の心は砕かれてしまう。しかし、彼女は自身が部下の命を背負っていることに気づくことで奮起して、前線に参加して戦果を上げる。様々な困難に苛まれながらも、戦友と成長していくストーリーとなっている。
本作が連載開始するにあたって『ゲッサン』の公式Youtubeチャンネルで作品紹介PVが公開。1巻が発売した後にもテレビCMが作られた。また『BLACK LAGOON』での知名度から本作の連載開始は、SNSなどで話題となった。『BLACK LAGOON』のアウトローな世界観とは違う、本格ミリタリー物であるが好評となっている。
『341戦闘団』のあらすじ・ストーリー
341戦闘団の新団長赴任
クラスナヤ共和国がモルダニア帝国領にあるクラーフェルト自治領に侵攻したことで、戦争が勃発。クラーフェルト駐在軍だけではクラスナヤ軍を倒すことは叶わず、クラーフェルト領の一部がクラスナヤに占領されてしまう事態に陥っていた。そんな戦況の最中、最前線に配置されている341戦闘団に所属する青年兵・ジョシュア・バスカンチェロは新しい団長が来るということで、埠頭で同僚のドレイクと新団長の到着を待っていた。ジョシュアは軍人が行き交う中に似つかわしくないサマードレスを着た女性を見つける。その女性こそが、新団長ことモルダニア帝国陸軍騎兵少佐・エルミナ・シャウマハであった。男性が来ると思っていたジョシュアたちは驚いたが、赴任地へとエルミナを案内した。しかし、団員の間では貴族院の議長の娘であると知られているエルミナの扱いに困っていた。そんななかで、今次作戦発令が来る。赴任早々の出動命令に動揺するエルミナだったが、ジョシュアに急かされるままに軍議に参加した。そこで作戦参謀・エドゥアルト・マーキオは経緯と状況の説明をして、クラスナヤの進軍の足を鈍らせることが今次作戦の要諦であると説明する。そのため、クラスナヤの進軍に対して重要地点での抵抗線を構築することを決定。エルミナの初陣が始まった。
心が折れても立ち上がるエルミナ
エルミナの訓示が終わるとともに、作戦地域へと戦車に乗って進軍を開始。しかし、進軍の最中に通った戦線があった場所にてエルミナは悲惨な死体を目にする。酷い腐敗臭と見るも無惨な死体を見てしまったエルミナは動揺して戦車を降りてしまう。座り込んでしまったエルミナにジョシュアたちは「死体は何もしてこない」と言って励ましたが、エルミナは立ち上がることができなかった。指揮の取れなくなったエルミナに代わり、仕方なく大隊長・プラデル少佐が指揮を取ることになり、エルミナを後方に返すことが決定した。後方へ行く付き添いとして選ばれたジョシュアと共に歩いて向かうエルミナ。そこに、兵士を乗せたトラックに遭遇する。ジョシュアが運転手に事情を説明していると、敵砲弾がトラックの方へと飛んできた。間一髪のところでジョシュアに庇われたエルミナは無事であったが、砲弾が直撃したトラックは大破。死傷者が出ていた。凄惨な光景に震えるエルミナだったが、トラックに乗っていた新兵が恐怖のあまり逃げ出そうと騒いでいるのを目撃する。その姿を見たエルミナは、新兵に手を差し出して鼓舞した。エルミナの姿を見た新兵の動揺は収まった。エルミナは自身が本当に怯えていたのは悲惨な死体ではなく、団長として背負った命を死なせることであったことを悟る。そして、自身の団員のために前線への復帰を決意した。ジョシュアとともに前線へ向かうため、途中で合流した偵察部隊の戦車へと乗る。
戦闘そして勝利
一方前線では、エルミナの代わりに指揮を請け負ったプラデル大尉が敵砲弾に吹き飛ばされて死亡してしまう事態に陥っていた。偵察部隊からその状態を聞いたエルミナは戦況を把握するため、戦線を見下ろせる高地へ向かう。高地から戦況を見下ろしたエルミナは、敵戦車が単独で突出していることに気づく。先日、街道での戦闘でもたついていたモルダニア軍の動きが相手に筒抜けであったため、多少強引でも強気に攻めてきているのだろうと、エルミナとジョシュアは考える。さらにこちらは指揮をしていたプラデル少佐が死亡したことで経験の浅いキーン少佐に指揮が引き継がれており、場は混乱していた。ジョシュアはエルミナが新将校にありがちな英雄気取りのバカではないことを悟り、場の指揮を任せることにする。エルミナは自身を含めたみんなと共に戦闘を切り抜けることを宣言する。エルミナはさらに戦況を分析して打開策を模索する。そして、相手の動きを拘束して横から包囲する作戦を思いつくが、リスクが大きいことから悩んでしまう。そこに、雨が降って敵軍の航空支援が絶たれたことでエルミナは作戦決行を決める。現場の指揮を取っているキーン少佐に無線を繋ぐ。エルミナの提示した作戦に懐疑的なキーン少佐をジョシュアが説得することで片翼包囲の作戦のために全戦闘団員が動き始めた。
エルミナが頭、団員は手足となり敵兵を倒すために力を合わせていく。そして、敵を包囲をしていくが激しい戦闘下で戦況を見るために動いていたエルミナの乗っていた戦車が壊れたことで動けなくなってしまう。そこに敵戦車が現れ、撃たれる寸前というところで、味方の56師団がやってきて間一髪救われる。ジョシュアが安堵する中、エルミナは砲弾を受けて援助する敵戦車を見ていた。男性兵士が中に乗っていた女性兵士を引き上げていたが、力尽き倒れていく様をエルミナは見つめていた。
敵軍が後退したことで勝利したエルミナであったが、戦闘中の緊張から開放されたことで糸が緩み、震え涙を流してしまう。そして、先程見た敵兵士たちを思い出し、もし自分があちら側であったらと考えてしまうがジョシュアの励ましに立ち直る。そして、戦闘団は基地への帰路へと着いた。
『341戦闘団』の登場人物・キャラクター
主人公
エルミナ・ゲネシェスア・シャウマハ
341戦闘団の団長の女性。階級は少佐。モルダニア帝国の貴族院の娘であり、公爵令嬢。お嬢様らしく世間知らずな性格をしているが、逼迫した戦況でも状況を分析して指揮を下すなど状況把握能力と判断力に優れる。陸士騎兵学校を卒業しているが、裏で手を回したのか階級が少佐と本来より高い。貴族院の娘が率先して祖国に奉仕をするという名目のために父親によって軍人にさせられたため、彼女自身が望んでなったわけではない。しかし、戦争が本格化すると父親によって安全圏である帝国警護の近衛編隊へ編入させられることを知り、自ら裏で手を回して最前線へやってきた。自身は「父親の人形ではない」と言っており、父親に少なからず反感を抱いている。
生粋のお嬢様であるが故、着替えを自分でするという感覚が無く、異性であるにもかかわらずジョシュアに着替えを手伝ってもらおうとしていた。しかし、自分でできないわけではなく、軍服を自ら着用していた。ジョシュアからボンクラと称されるなどお調子者の一面がある。しかし、バカというわけではなく、モルダニア帝国の聖人である聖アウグスト・マルセル・ソフィアへの憧れから、彼女のようになりたいと思って最前線で戦うことを決めるなど信念を持っている。1度は死体や、部下を死なせてしまうかもしれない恐怖から戦車を降りてしまう。しかし、団長として部下の命に責任を持つと決めてもう1度戦車に乗るなど精神的に強い。
341戦闘団団員
ジョシュア・バスカンチェロ
341戦闘団団員の青年。年齢は若いが団員の中では古参。擲弾兵第1大隊第2中隊の伍長。最前線で戦っていることもあり、偉そうに前線に来ては無駄に兵士を死なせる将校を嫌っている。そのこともあって、新しい将校を迎えに来ていた際には、相手に早々に女郎遊びを覚えさせて後方に押しやろうという計画を立てていた。しかし、来たのが女性のエルミナであったためこの作戦はおじゃんとなった。エルミナをボンクラのお嬢様だと思い、前線に出すつもりはなかったが、彼女の覚悟を聞きいたことでサポートすることを決めた。エルミナからは当番兵くんと呼ばれている。
感情が素直に言動に出る性格をしている。高校を出ていないため国の英雄について知らなかった。低学歴であることをエルミナに同情されて傷つくなど、少し気にしている様子。
軍隊と戦友を気に入っており、自身の生き死にについては自身で納得した上で腹を括りたいという考えをもっている。また、帰るなら戦友と共にと考えていたり、敵砲弾に狙われたエルミナを助けようとしたりと仲間思い。
上品で派手じゃない女性が好み。ドレイクいわく童貞とのこと。
ベレルノ・ドレイク
341戦闘団の本管中隊指揮小隊二等軍曹の男性。ジョシュアと共に埠頭までエルミナを迎えに来ていた。下士官のとりまとめを行っているため、エルミナの世話をジョシュアに任せた。お嬢様であるエルミナに指揮を任せることに不安があり、うまいこと指揮を取らせないようにと他将校と相談していた。
プラデル
341戦闘団の第1戦車大隊大隊長騎兵少佐の男性。将校不在時には指揮を取るなど優秀。エルミナが指揮を取ることに不安があり、適当にごまかす予定でいた。エルミナが作戦地域に向かう途中で一時脱落した際には、これまで通り自身が指揮を取ると宣言した。しかし、前線で不運にも敵砲弾に上半身を吹き飛ばされ死亡した。前髪が後退気味。
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目次 - Contents
- 『341戦闘団』の概要
- 『341戦闘団』のあらすじ・ストーリー
- 341戦闘団の新団長赴任
- 心が折れても立ち上がるエルミナ
- 戦闘そして勝利
- 『341戦闘団』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- エルミナ・ゲネシェスア・シャウマハ
- 341戦闘団団員
- ジョシュア・バスカンチェロ
- ベレルノ・ドレイク
- プラデル
- キーン
- フシュクレフ
- エドゥアルト・マーキオ
- その他
- エルミナの父
- 『341戦闘団』の用語
- モルダニア帝国
- クラスナヤ共和国連邦
- 341戦闘団
- 階級
- 『341戦闘団』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- エルミナ・ゲネシェスア・シャウマハ「俺らじゃない私たちよ。私たちは絶対にここを切り抜ける。必ずね」
- 瀕死の敵兵士と目が合うエルミナ
- ジョシュア・バスカンチェロ「済んだ事です。互いに殺すつもりだった。でもやつらの方に運がなかった。それで終われる話です」
- 『341戦闘団』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- モルダニア帝国のモデルはドイツ
- 『341戦闘団』は作者のリハビリ作品