九龍妖魔學園紀(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ

『九龍妖魔學園紀』とは、株式会社アトラスより発売された「學園ジュブナイル伝奇」と銘打たれたゲームソフトおよびそれをもとに展開するゲームシリーズやグッズの事である。制作自体は、株式会社シャウトデザインワークスが担当しており、同社の代表作『東京魔人學園伝奇シリーズ』にて使用されている独自のシステム・感情入力システムを用いたアドベンチャーゲームとなっている。宝探し屋である主人公・葉佩九龍(はばき くろう)が、新宿にある学園「天香学園」(かみよしがくえん)に眠る秘宝を探すストーリーとなっている。

『九龍妖魔學園紀』の概要

『九龍妖魔學園紀』は、ゲームの企画や発売を行っている株式会社アトラスより発売されたゲームおよび、それをもとに展開するゲームシリーズやグッズの事である。制作は、ゲーム開発会社である株式会社シャウトデザインワークスが務めている。2004年9月16日にPlayStation 2用のソフトとして発売された。その後、2006年9月28日に新要素を付け足した『九龍妖魔學園紀 re:charge』(くーろんようまがくえんき リチャージ)を発売。2020年6月4日には、Nintendo Switch&PS4版として『九龍妖魔學園紀 ORIGIN OF ADVENTURE』(くーろんようまがくえんき オリジン オブ アドベンシャー)が発売された。Switch版は、『九龍妖魔學園紀 re:charge』の内容をそのまま移植しただけのものであるため、ストーリーなどに新要素の追加はなかった。代わりにそれまでは要所要所にしか取り入れられていなかったキャラクターボイスを、全編フルボイス仕様に変更。一部の声優変更はあったものの、発売当初とほとんど変わらないメンバーで制作されたこともあり、ファンを大いに喜ばせた。
ゲームジャンルは、學園ジュブナイル伝奇。宝探し屋(トレジャー・ハンター)である主人公が、新宿にある学園「天香学園」(かみよしがくえん)に眠るとされる秘宝を探すアドベンチャーゲームとなっている。日本神話を題材としており、ダンジョン内に登場するギミックや宝も日本神話を彷彿とさせるものとなっている。古事記・日本書紀において謎とされている「高天原はどこにあるのか」「そこに住む者達は何人なのか」といった2点に焦点をあてた内容ともなっており、日本神話好きからの評価も高い。また本作は「学園ジュブナイルもの」でもあるため、ダンジョンである遺跡で宝を探す探索パートと学園での日常を描いた学園パートの二部構成を交互にくり返す形で、ストーリーが展開される。全13話のストーリーにわけられており、基本的に1話毎にOPが流され、学園パートを過ごした後、探索パートを開始。その話のラスボスとの戦闘が終わった後にオマケパートが挟まれ、短いEDが流れた後に次の話へ移る。さらに本作の特徴として、「感情入力システム」と呼ばれるシステムが導入されている。これは、本作の制作元であるシャウトデザインワークスが展開しているゲームシリーズ『東京魔人學園伝奇シリーズ』にて使用されている、シャウトデザインワークスの独自システムである。キャラクターに対する主人公の言動を複数の台詞からなる選択肢で選ぶのではなく、「喜」「怒」「悲」「愛」といった感情で選択するシステムとなっている。プレイヤー自身にあった感情で選べるため、主人公に対する感情移入・没入感を深めることができる特徴をもつ。なお本作では、主人公には「葉佩九龍(はばき くろう)」というデフォルト名があるが、変更は可能となっている。このことも没入感を強める理由の1つとなっている。

ストーリーは、宝探し屋として主人公・葉佩九龍(はばき くろう)がエジプトにて活動していたところから開始する。ある日彼は、自身が所属する宝探し屋の協会・ロゼッタ協会から東京新宿にある天香学園に眠るとされる、秘宝を探す命をくだされる。転校生として学園に潜入した九龍は、学園の奥深くに「遺跡」が隠されている事を知る。九龍は学園で出会った仲間達と共に秘宝を探しながら、遺跡とこの学園にまつわる謎と対峙していく。

『九龍妖魔學園紀』のあらすじ・ストーリー

プロローグ

若き宝探し屋として活躍中の主人公・葉佩九龍。その日、彼は自身の所属する宝探し屋の協会・ロゼッタ協会から下された任務をこなすため、エジプトにある遺跡・ヘラクレイオンの神殿に秘宝を求めて訪れていた。エジプト人である老商サラーに遺跡内を案内してもらいながら、秘宝を探す九龍。遺跡内に仕込まれていた数々の謎を解き、奥にいた敵も倒して無事に秘宝をゲットするが、瞬間遺跡が崩れてしまう。なんとかサラーと2人で脱出するも、そこには秘宝を使って世界征服を企む敵対組織・《秘宝の夜明け》(レリックドーン)が待ち構えていた。宝を奪われそうになる九龍達だったが、その時、崩壊した遺跡から湧き出した怨霊達が宝を持つ《秘宝の夜明け》を襲う。九龍とサラーは彼らが戸惑っている隙をついて、その場から逃亡。人がいる場所を求めて砂漠の中をさまよう事になる。気が付いた時には九龍は意識を失っており、次に目が覚めた時にはロゼッタ協会の医療班から治療を受けている最中だった。またそこで九龍は、協会から、東京新宿にある天香学園に眠る秘宝を見つけるよう命をくだされる。治療を受けながら、そのまま日本へ飛び立つ事が決まるのだった。

1st. Discovery「謎の転校生」

天香学園に転校生としてやってきた九龍に話しかけてきた、クラスメイトの八千穂明日香(やちほ あすか)。

天香学園に転校生としてやってきた九龍は、クラスメイトの八千穂明日香と仲良くなる。また彼女の校内案内や仲介のおかげで、クラスメイトの皆守甲太郎(みなかみ こうたろう)、白岐幽花(しらき かすか)、さらに別クラスの図書委員である生徒・七瀬月魅(ななせ つくみ)と知り合う。そうして知り合いを増やしていくなかで、九龍はこれまでにも天香学園に転校生がいた事、その全員が行方知れずになっている事を知る。噂では学園内にある墓地に行ったきり行方不明になっているとのこと。白岐は「この学園は呪われている」「眠るものを起こさないように」と九龍に忠告する。それを聞いた九龍は、墓地に秘宝に関わる何かがあると判断し、その晩墓地へ向かう。だがそこへ、九龍が何か企んでいる事に気づいていた八千穂と皆守がやってくる。結局2人と共に墓地を探索する事になった九龍は、そこで彼らと共に墓地の下に続く穴を見つける。だがその時、墓守をしている男性が現れた為、3人は一度その場から退く。

2nd. Discovery「蜃気楼の少年」

翌日、改めて天香学園で八千穂・皆守と顔を合わせた九龍は、自分の正体を2人に明かす。そうして自分の正体を知った2人を連れて、遺跡を巡る約束を交わす。一方その頃学園内では、とある女子生徒が「化物」に襲われ、手が干からびるという事件が起きていた。泣き叫ぶ女子生徒に遭遇した九龍は、一緒にいた皆守と共に彼女を保健室へ連れて行く。保健室には、保険医兼カウンセラーの劉瑞麗(りゅう るいりー)と男子生徒・取手鎌治がいた。2人は瑞麗に女子生徒を任せ、保健室を後にする。
放課後、九龍が皆守と一緒に寮へ帰っていると、「黒い砂」に近寄るなと叫んでいる取手と遭遇する。心配になった2人が取手に声をかけると、彼は正気に戻る。そこへ部活動が終わった八千穂も現れる。八千穂が九龍と皆守に、今晩墓地へ行く事について話始めた途端、それを聞いた取手の様子が再びおかしくなる。3人は取手を心配するが、瑞麗が現れた事で落ち着きを取り戻す。取手は「墓地には行かない方がいい」「君達では自分は救えない」と言葉を残し、その場を去る。
夜、九龍は八千穂・皆守と共に遺跡の探索を開始する。謎を解いたり、人型の化物・化人達との戦闘を繰り返しながら遺跡を進んでいくと、その先で取手と出会う。取手は天香学園を掌握している「生徒会」に対して背く行動をした者を取り締まる、生徒会執行委員の1人だった。自分の忠告を無視して墓地へやってきた九龍達を、執行委員として取り締まる為、攻撃を仕掛けてくる取手。九龍は仲間達の手を借りつつ、激闘の末取手を大人しくさせる。すると彼の中から黒い砂が溢れ出し、化人・神産巣日(かむむすひ)が現れる。神産巣日と戦い、どうにか勝利した九龍達。すると取手が忘れていた記憶を取り戻す。実は彼には姉がいたのだが、その姉が亡くなったせいで精神が不安定な状態にあった。そしてそこを生徒会につけ込まれ、姉が死んだ記憶と引き換えに執行委員としての力を与えられる事になる。相手の生命力を吸い取れる力を手にした取手は、それを使い生徒達から奪った生命力をもとに無意識に姉を蘇らせようとするようになる。例の手が干からびた女子生徒は、取手に生命力を吸い込まれた結果のものだったのだ。
九龍達との戦闘により、姉が死んだ事を思い出した彼は、その現実や自身がしてきた事と向き合う事を決めるのだった。

3rd. Discovery「あの炎をくぐれ!」

取手の事件からしばらくした後、学園内で新たな事件が起こる。九龍と皆守がご飯を食べに向かった、学園敷地内にあるファミリーレストラン・マミーズに爆弾が送りつけられたのだ。さらに同日午後に行われた化学の授業中にも爆弾が送りつけられ、実験中だった生徒達の数名が怪我を負う。事件の犯人は、生徒会執行委員の少女・椎名リカだった。リカは九龍達に生徒会執行委員として、校則を破った経歴のある彼らに罰を与えただけだと告げる。死んだとしても大した事はないと言って除けるリカに、九龍達は唖然とするが、そこへ皆守が現れ、死から生まれる悲しみについてリカに説く。リカは逆上し、3人の前を去っていく。
夜、九龍は仲間達と共に遺跡の探索へ向かう。新しく解放された一角を探索していると、リカが執行委員として九龍達の前に立ちはだかってくる。どうにかリカを大人しくさせると、取手の時同様に彼女の体が黒い砂が溢れ、それが化人・伊邪那岐(いざなぎ)になる。伊邪那岐との戦いに九龍達が勝利した事で、リカは自身が執行委員としての力を授かる代償として忘れていた家族との記憶を取り戻す。幼い頃に母を亡くしたリカ。だが幼さ故に死を上手く理解できず、父が母を蘇らせてくれると信じていた。そんなリカに父は「母はずっと自分達の傍にいる」と説くが、彼女の心の隙間を完全に埋める事はできなかった。その隙間を生徒会につけ込まれる形で、リカは執行委員の力を与えられていた。
忘れていた記憶を取り戻したリカは、「死」が生み出す悲しみから目を背けずに向きあい始める。

4th. Discovery「明日への追跡」

リカの事件からしばらくした後、天香学園内では宇宙人が実在するか否かが話題となる。九龍は他のキャラクター達と話しながら、さりげなく宇宙人関連の情報を集めていく事になる。またその傍ら、学園内でたまたますれ違った同級生・夕薙大和(ゆうなぎ やまと)から、「生きて学園を出たければ、誰も信用するな」と警告を受ける。それに疑問を抱いていると、八千穂から皆守と共に呼び出される。八千穂いわく、最近女子寮を覗いてる誰かがおり、2人に女子寮を見張って欲しいとの事だった。引き受けた2人がその晩女子寮を見張っていると、私立探偵の鴉室洋介(あむろ ようすけ)と遭遇する。2人は鴉室が覗き魔かと疑うが、彼は学園で消えている転校生達を探す為に潜入捜査をしている最中だった。九龍達が鴉室と別れると、今度は眩い光に包まれた奇妙なシルエットが2人の前に現れる。噂の宇宙人かと身構える九龍達。しかし現れたのは、オカマの生徒・朱堂茂美(すどう しげみ)だった。朱堂が覗き魔である事が判明した2人は朱堂を捕まえようとするが、遺跡の中へ逃げられてしまう。八千穂と合流した九龍達は、朱堂を追いかけるために遺跡を探索する。新たに開かれていた遺跡の一角を探索していると、朱堂が九龍達の前に現れる。そこで彼らは、朱堂が生徒会執行委員の1人である事を知る。朱堂と戦い、どうにか相手を大人しくさせる事ができた九龍達。するとやはり黒い砂が朱堂から溢れ出し、化人・天照(あまてらす)が現れる。天照をなんとか倒した九龍達により黒い砂から解放された朱堂は、九龍達に自分が覗きをしていた理由を明かす。美しさを追求していた朱堂には、女性が持つ女性にしかない「美」に憧れと嫉妬心があった。今回の騒動はそうした朱堂の心情が生み出したものだった。朱堂の覗きの理由を知った八千穂は、朱堂を許す。朱堂と和解するも、直後朱堂が男子生徒に頼まれて盗撮した自分の下着姿の写真が出てきた事で、八千穂は再び朱堂への怒りをたぎらせるのだった。

5th. Discovery「星の牧場」

朱堂の事件からしばらくした後、今度はある「セミナー」の存在が生徒間で話題となる。そのセミナーに参加すれば「もっと幸せになれる」とのことだが、八千穂がセミナーに参加した後に倒れる事件が発生する。放課後、八千穂が倒れた原因を探るため、九龍は皆守と共にセミナーに参加する。そこで2人は、セミナーの主催者である少年・肥後大蔵(ひご たいぞう)が、パソコンを使ってウイルスを散布している事に気づく。だが大蔵に悪い事をしている自覚はなく、「これは悪い霊を吸い取るためのもの」だと答える。しかしその結果、八千穂が衰弱した事を知るとショックを受け取り乱す。大蔵の不思議な力を目の当たりにした九龍達は、彼が生徒会執行委員の1人だと気づく。だが取り乱した大蔵は、「仮面の人に言われてやった」と謎の発言をする。
その後下校のチャイムが鳴った為、九龍達は大蔵と別れる。大蔵の事を気にしながらも、九龍はその晩もまた仲間達と共に遺跡の探索に臨む。新たに解放された一角を探索していると、その先で大蔵と遭遇。生徒会執行委員としてこちらを襲ってきた彼と、戦闘を繰り広げる。そうして九龍達がどうにか大蔵を大人しくさせると、大蔵から黒い砂が溢れだし、そこから化人・須佐之男(すさのお)が姿を現す。須佐之男と戦闘を開始した九龍達が無事に勝利を収めると、大蔵は生徒会執行委員になる前に、天香学園にやってきたある転校生に優しくしてもらった事を思い出す。当時いじめを受けていたせいで、自身に対する劣等感を持っていた大蔵。転校生に優しくして貰った事がきっかけで、人の幸せを願うようになる。あのセミナーは、そんな彼の思いが歪んだ結果のものだった。だがセミナーの開設のきっかけになったと思われる「仮面の人」に関しては何も思い出せなかった。しかし大蔵の人の幸せを願う姿勢自体を九龍が否定せず、大蔵の事を嫌わないと述べた事で我に返る。大蔵は己を見つめ返し、自分で自分の事を好きだと言えるような素敵な人間になれるよう、努力する事を決める。

6th. Discovery「時をかける少女」

大蔵の事件からしばらくした後、九龍達の前に生徒会執行委員を名乗る少年・真里野剣介が現れる。真里野は大蔵が言っていた「仮面の人」から九龍が学園の脅威になると告げられており、執行委員として九龍を倒す決意をしていた。武士道を大事にしていた真里野は、武士らしく九龍に遺跡の奥での決闘を申し込む。九龍はそれを受けるが、その日、七瀬と九龍が入れ替わる事件が発生してしまう。九龍は七瀬と協力して元に戻る方法を探すが、結局見つけられないままに夜になってしまう。仕方なく七瀬の体のまま、仲間達と共に遺跡探索へくり出す九龍。新しく解放された遺跡の一角を探索し、無事に真里野のもとにたどり着く。だが七瀬の姿だった為、「自らの代わりに女を寄越した卑怯者」と真里野に勘違いされてしまう。それでもなんとか彼に打ち勝ち、大人しくさせる事に成功。その後、真里野から溢れ出た黒い砂が変化した化人・月読(つくよみ)と戦う。無事に月読との戦闘終了後、負けを認めた真里野は切腹をしようとする。しかしそれを七瀬姿の九龍が止めたことで、真里野は感動すると同時に七瀬を慕うようになってしまう。また直後、九龍達の前に九龍のクラス担任・雛川亜柚子(ひなかわ あゆこ)を人質につれた、例の仮面の人が現れる。仮面の人は、自らを「ファントム」と名乗り、「生徒会を撹乱する為に九龍を利用する」事を宣言し、雛川を置いてその場を去る。
翌日、目を覚ました九龍は元の姿に戻っていた。七瀬の方も無事に戻っていたようで、喜びのメールが送られてくる。

7th. Discovery「地獄の才能」

真里野と七瀬の事件からしばらくした後、九龍は天香学園生徒会長の阿門帝等(あもん ていと)と出会う。九龍は彼から、「墓(遺跡のこと)に関わるな」という忠告を受ける。だが九龍はそれを断る。阿門は「残り少ない学園生活を楽しむ事だ」と言い置き、九龍の前から去る。
その後、九龍と仲間達の前に新たな生徒会執行委員・墨木砲介が現れる。墨木は銃の扱いに長けており、校則違反を犯した生徒達に対して銃撃をするという過激な取締をしていた。だがそんな墨木自身も、近頃の自分のやり方に迷いがある様子だった。九龍達から責められるような目を向けられる事に我慢ができなかった墨木は、九龍に向けて銃を撃つ。そこへ真里野が現れ、九龍を助ける。墨木は激怒するも、そこへ学園の警備員を連れてきたフリをした八千穂が現れた為、八千穂のフリに騙される形で退散する。するとその様子を見ていたファントムが九龍の前に現れる。そうして、九龍の力を改めて認めたような発言をすると「鍵を探している」という謎の発言を残して去る。さらに今度は2人の謎の少女が九龍の前に現れ、「これ以上墓を荒らしてはならない」と忠告してくる。だがそれでも九龍は、その晩も仲間達と共に遺跡の探索を行う。そうして新たに解放された遺跡の一角の奥にて、墨木と再会。生徒会執行委員として攻撃をしてくる墨木と戦い、彼を大人しくさせる事に成功する九龍達。その後、墨木から溢れ出した黒い砂から現れた化人・大穴牟遅(おおなむち)との戦闘を行う。結果、墨木は生徒会執行委員としての力を手に入れる際に代償とした、兄との記憶を思い出す。墨木の兄は銃の扱いに長けており、墨木に「大切なものを守るため」に銃を使う事を教えていた。兄からの教えを思い出した墨木は、今の自分のやり方は間違っていたと認め、改めて己が銃を握る理由について考えるのだった。

8th. Discovery「月光の底」

墨木の事件からしばらくした後、九龍は仲間達と共に生徒会から「夜会」に招待される。夜会は生徒会長主宰のパーティーで、選ばれた生徒しか参加できない貴重なパーティーだった。すると夜会参加前に突然鴉室から呼び出される。九龍はそこで鴉室から、夜会が行われる日にちが、古来から鎮魂の祭りを行うのに最適とされていた日である事を教えられる。それより九龍は、学園内に墓地や「墓」と呼ばれる遺跡がある事から、この夜会が学園にとってなんらかの深い意味があるパーティーなのだと察する。その後、八千穂と一緒にパーティーに参加した九龍はそこで生徒会執行委員のトト・ジェフティメスが、磁場を操る自身の力を使って校則違反を起こした生徒の取締をする場面に遭遇する。トトは、墓を暴こうとしている九龍にも手をくだそうとするが、寸前のところで墨木が現れ九龍を助ける。トトは執行委員であった筈の墨木が九龍を助ける理由がわからず、「なぜ助けるのか」と尋ねる。墨木は驚きながらも「大切な人が守れて嬉しい」と返す。しかしその言葉は、エジプトからの留学生としてこの学園に来ていたせいで友達ができずにいたトトの痛いところを突いてしまう。トトは逃げるように遺跡の奥へ向かう。
その後九龍達も、トトの後を追うように遺跡の探索を開始する。新しく解放された遺跡の一角を探索し、最奥でトトと再会する九龍達。執行委員として攻撃してきたトトと戦い、なんとか彼を大人しくさせた後、彼から溢れた黒い砂から生まれた化人・建御名方(たけみなかた)と戦う。そうして九龍達が無事建御名方に勝利した事で、トトは忘れていた父からの言葉を思い出す。日本という異国の地に立つその前に、「人と人との関わりこそが最も大切な宝」なのだと教えてくれた父。だがトトは孤独な学園生活のあまり、父からの大切な教えを忘れていた。そしてそのような孤独が、彼を執行委員という役目・立場に執着させていたのだ。その事を自覚したトトは、周囲との付き合い方を見つめ直すのだった。

9th. Discovery「六番目の小夜子」

トトの事件からしばらくした後、天香学園に《秘宝の夜明け》が雇った宝探し屋・喪部銛矢(ものべ もりや)が転校してくる。宝探し屋としてお互いに牽制し合いながら過ごす事になる、九龍と喪部。その傍らで九龍は、自分が誰かの存在を忘れている事に気づく。だがそれに気づいているのは、九龍と皆守だけだった。九龍は自分の違和感に従い、相手を探す。すると時計塔に、閉じ込められている白岐を見つける。九龍や周囲の者達が忘れていたのは、白岐の存在だった。さらに彼女隠したのは、生徒会書紀の双樹咲重だった事が判明する。彼女は阿門からの命で、自分の生徒会としての力を使って白岐の存在を皆が忘れるように仕向けていた。また時計台にいた白岐の傍には、以前九龍の前に姿を現した謎の2人の少女がいた。少女達は、そこで初めて自分達の正体を明かす。小夜子と真夕子と名乗った2人は、いわく太古から学園地下の遺跡を見守ってきた者達だという。かつて遺跡に仕えていたとある巫女の持ち物が、意識を持ち彼女達という存在になったのだそうだ。2人は九龍のこれまでの活躍を目にし、九龍ならばこの学園を遺跡の呪いから解放してくれるかもしれないと判断する。そして白岐を守るように九龍に告げる。彼女達が告げてきた理由は白岐自身もわかっていないようだったが、九龍は白岐を守る事を決める。白岐も九龍を信頼し、何かあった時にと自分の連絡先を渡す。
その晩、いつも通り遺跡の探索へ九龍は仲間達と共にくり出す。そして新しく解放された一角の奥で、自分が来るのを待っていた咲重と戦う事になる。九龍に負けた咲重は、これまでの執行委員達同様にその体から黒い砂を溢れ出す。黒い砂の中から現れた化人・経津主(ふつぬし)の戦闘をなんとか九龍達が切り抜けると、咲重は生徒会として力を得る為に失った記憶を思い出す。彼女には幼い頃に母親が家を出ていった経験があり、その際泣いている自分を元気づける為に父がプレゼントしてくれたぬいぐるみを大切にしていた。忘れていた大切な父との記憶を思い出した咲重は、九龍に負けた事を認める。そして九龍なら、阿門が胸の内に抱えている問題を暴いてくれるのではないかと考え、彼に阿門の事を託す事に決める。

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