九龍妖魔學園紀(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『九龍妖魔學園紀』とは、株式会社アトラスより発売された「學園ジュブナイル伝奇」と銘打たれたゲームソフトおよびそれをもとに展開するゲームシリーズやグッズの事である。制作自体は、株式会社シャウトデザインワークスが担当しており、同社の代表作『東京魔人學園伝奇シリーズ』にて使用されている独自のシステム・感情入力システムを用いたアドベンチャーゲームとなっている。宝探し屋である主人公・葉佩九龍(はばき くろう)が、新宿にある学園「天香学園」(かみよしがくえん)に眠る秘宝を探すストーリーとなっている。

7th. Discovery「地獄の才能」

校則を違反しそうになった九龍達の前に現れた、生徒会執行委員の1人・墨木砲介(すみき ほうすけ)。

真里野と七瀬の事件からしばらくした後、九龍は天香学園生徒会長の阿門帝等(あもん ていと)と出会う。九龍は彼から、「墓(遺跡のこと)に関わるな」という忠告を受ける。だが九龍はそれを断る。阿門は「残り少ない学園生活を楽しむ事だ」と言い置き、九龍の前から去る。
その後、九龍と仲間達の前に新たな生徒会執行委員・墨木砲介が現れる。墨木は銃の扱いに長けており、校則違反を犯した生徒達に対して銃撃をするという過激な取締をしていた。だがそんな墨木自身も、近頃の自分のやり方に迷いがある様子だった。九龍達から責められるような目を向けられる事に我慢ができなかった墨木は、九龍に向けて銃を撃つ。そこへ真里野が現れ、九龍を助ける。墨木は激怒するも、そこへ学園の警備員を連れてきたフリをした八千穂が現れた為、八千穂のフリに騙される形で退散する。するとその様子を見ていたファントムが九龍の前に現れる。そうして、九龍の力を改めて認めたような発言をすると「鍵を探している」という謎の発言を残して去る。さらに今度は2人の謎の少女が九龍の前に現れ、「これ以上墓を荒らしてはならない」と忠告してくる。だがそれでも九龍は、その晩も仲間達と共に遺跡の探索を行う。そうして新たに解放された遺跡の一角の奥にて、墨木と再会。生徒会執行委員として攻撃をしてくる墨木と戦い、彼を大人しくさせる事に成功する九龍達。その後、墨木から溢れ出した黒い砂から現れた化人・大穴牟遅(おおなむち)との戦闘を行う。結果、墨木は生徒会執行委員としての力を手に入れる際に代償とした、兄との記憶を思い出す。墨木の兄は銃の扱いに長けており、墨木に「大切なものを守るため」に銃を使う事を教えていた。兄からの教えを思い出した墨木は、今の自分のやり方は間違っていたと認め、改めて己が銃を握る理由について考えるのだった。

8th. Discovery「月光の底」

選ばれた人にしか来ない招待状を使って、九龍と共に天香学園の夜会に参加する八千穂(仮面の少女)。

墨木の事件からしばらくした後、九龍は仲間達と共に生徒会から「夜会」に招待される。夜会は生徒会長主宰のパーティーで、選ばれた生徒しか参加できない貴重なパーティーだった。すると夜会参加前に突然鴉室から呼び出される。九龍はそこで鴉室から、夜会が行われる日にちが、古来から鎮魂の祭りを行うのに最適とされていた日である事を教えられる。それより九龍は、学園内に墓地や「墓」と呼ばれる遺跡がある事から、この夜会が学園にとってなんらかの深い意味があるパーティーなのだと察する。その後、八千穂と一緒にパーティーに参加した九龍はそこで生徒会執行委員のトト・ジェフティメスが、磁場を操る自身の力を使って校則違反を起こした生徒の取締をする場面に遭遇する。トトは、墓を暴こうとしている九龍にも手をくだそうとするが、寸前のところで墨木が現れ九龍を助ける。トトは執行委員であった筈の墨木が九龍を助ける理由がわからず、「なぜ助けるのか」と尋ねる。墨木は驚きながらも「大切な人が守れて嬉しい」と返す。しかしその言葉は、エジプトからの留学生としてこの学園に来ていたせいで友達ができずにいたトトの痛いところを突いてしまう。トトは逃げるように遺跡の奥へ向かう。
その後九龍達も、トトの後を追うように遺跡の探索を開始する。新しく解放された遺跡の一角を探索し、最奥でトトと再会する九龍達。執行委員として攻撃してきたトトと戦い、なんとか彼を大人しくさせた後、彼から溢れた黒い砂から生まれた化人・建御名方(たけみなかた)と戦う。そうして九龍達が無事建御名方に勝利した事で、トトは忘れていた父からの言葉を思い出す。日本という異国の地に立つその前に、「人と人との関わりこそが最も大切な宝」なのだと教えてくれた父。だがトトは孤独な学園生活のあまり、父からの大切な教えを忘れていた。そしてそのような孤独が、彼を執行委員という役目・立場に執着させていたのだ。その事を自覚したトトは、周囲との付き合い方を見つめ直すのだった。

9th. Discovery「六番目の小夜子」

最初の生徒会役員として、九龍達の前に立ちはだかった女子生徒・双樹咲重(ふたき さきえ)。

トトの事件からしばらくした後、天香学園に《秘宝の夜明け》が雇った宝探し屋・喪部銛矢(ものべ もりや)が転校してくる。宝探し屋としてお互いに牽制し合いながら過ごす事になる、九龍と喪部。その傍らで九龍は、自分が誰かの存在を忘れている事に気づく。だがそれに気づいているのは、九龍と皆守だけだった。九龍は自分の違和感に従い、相手を探す。すると時計塔に、閉じ込められている白岐を見つける。九龍や周囲の者達が忘れていたのは、白岐の存在だった。さらに彼女隠したのは、生徒会書紀の双樹咲重だった事が判明する。彼女は阿門からの命で、自分の生徒会としての力を使って白岐の存在を皆が忘れるように仕向けていた。また時計台にいた白岐の傍には、以前九龍の前に姿を現した謎の2人の少女がいた。少女達は、そこで初めて自分達の正体を明かす。小夜子と真夕子と名乗った2人は、いわく太古から学園地下の遺跡を見守ってきた者達だという。かつて遺跡に仕えていたとある巫女の持ち物が、意識を持ち彼女達という存在になったのだそうだ。2人は九龍のこれまでの活躍を目にし、九龍ならばこの学園を遺跡の呪いから解放してくれるかもしれないと判断する。そして白岐を守るように九龍に告げる。彼女達が告げてきた理由は白岐自身もわかっていないようだったが、九龍は白岐を守る事を決める。白岐も九龍を信頼し、何かあった時にと自分の連絡先を渡す。
その晩、いつも通り遺跡の探索へ九龍は仲間達と共にくり出す。そして新しく解放された一角の奥で、自分が来るのを待っていた咲重と戦う事になる。九龍に負けた咲重は、これまでの執行委員達同様にその体から黒い砂を溢れ出す。黒い砂の中から現れた化人・経津主(ふつぬし)の戦闘をなんとか九龍達が切り抜けると、咲重は生徒会として力を得る為に失った記憶を思い出す。彼女には幼い頃に母親が家を出ていった経験があり、その際泣いている自分を元気づける為に父がプレゼントしてくれたぬいぐるみを大切にしていた。忘れていた大切な父との記憶を思い出した咲重は、九龍に負けた事を認める。そして九龍なら、阿門が胸の内に抱えている問題を暴いてくれるのではないかと考え、彼に阿門の事を託す事に決める。

10th. Discovery「七瀬ふたたび」

周囲でおかしな現象が起きている事に悩まされていると、九龍に相談する七瀬。

白岐と咲重の件からしばらくしたある朝、九龍は七瀬から「誰かから呼ばれている気がする」「不安だから瑞麗先生のところに行きたいのでついてきてくれないか」と頼まれる。さらに学園へ行くと、生徒会会計の神鳳充(かんどり みつる)が弓道部の部室が荒らされている事に気づき、それについて調べているところと遭遇する。とりあえず九龍は七瀬と共に瑞麗のもとへ向かう。瑞麗は七瀬のそれが、霊的な現象の可能性があると診断。手立てはないようで、ひとまずは様子見という事で落ち着く。帰り道、2人は夕薙と出会う。3人は月魅の提案で、図書室で遺跡に関する話しをする事になる。その結果、あの遺跡は日本の神話にまつわる秘密が隠されて居る可能性が浮上する。だが、その秘密が何かまでは判明しなかった。その後2人と別れた九龍の前に小夜子と真夕子が現れ、「次の墓守が九龍を狙っている」と告げてくる。するとその日の午後、突如九龍が周囲の生徒達から敵意を向けられる事件が起こる。ひとまず九龍がその場から逃げると、現れた小夜子と真夕子から何者かに憑かれた七瀬が「鍵」を探している事を教えられる。九龍が七瀬のもとへ駆けつけると、そこへ神鳳も現れる。生まれつき霊能力を持っていた神鳳は、その力を使って七瀬に憑いていたものを剥がす。神鳳はその後、原因が遺跡にあると察して遺跡へ向かう。九龍はその晩も、仲間達と共に遺跡を探索する。すると遺跡内で神鳳と出会う。神鳳は生徒会役員として、これ以上九龍に遺跡を探索させない為に九龍に戦いを挑む。だが九龍に敗北し、黒い砂をその体から溢れさせる。九龍達は砂の中から現れた化人・八俣遠呂智(やまたのおろち)と戦う。九龍が八俣遠呂智を倒した事で神鳳は自分の負を認めるが、その時、七瀬に憑いていた者が彼に取り憑く。その者は自らを荒神・アラハバキと名乗り、九龍が探している宝によって遺跡に封印されている事を明かす。するとそこへ突如夕薙が現れ、九龍の秘宝を自分に寄越すように言う。九龍はそれを止める為、夕薙と戦う羽目になる。どうにか夕薙に勝った九龍に、アラハバキは「鍵を探せ」と告げ、その場を去る。
夕薙と神鳳を連れて外に出た九龍達は、夕薙が月光を浴びると老いる奇病を発症している事を知る。老いた彼は、墓守の老人その人だった。彼は奇病を直す方法を探す為、遺跡を探索していたのだ。そのまま夕薙が倒れてしまった為、九龍達はひとまず彼を寮に連れて帰る。

11th. Discovery「ねらわれた学園」

荒神・アラハバキが求める「鍵」について九龍に話そうとした咲重に武器を向ける、ファントム(仮面の男)。

夕薙を寮へ連れて帰った九龍達は、瑞麗に彼の具合を見てもらう。さらにそこで意識を取り戻した夕薙から九龍は、喪部が日本神話にてとある一族を衰退に追いやった神・饒速日命(にぎはやひのみこと)の子孫・物部(もののべ)と名が似ている事が気になるという話をされる。遺跡が日本神話に関わっている事もあり、九龍はなんらかの意味があるのかもしれないとその話を覚えておく。そうして彼の部屋を後にしたようとした時、神鳳から生徒会副会長補佐の夷澤凍也(いざわ とうや)に気をつけるようにと忠告をされる。
翌朝九龍が学園へ行くと、いつの間にか生徒会と仲良くなっていた事もあってか、周囲から「凄い生徒」だと噂されるようになっていた。するとその日の午後、九龍はいじめられていたクラスメイトを守るため、いじめていた相手をボコボコにしている夷澤と遭遇する。九龍はやり過ぎだと彼を止めるが、それが夷澤の癇に障ったらしく、逆に喧嘩を売られてしまう。なんとか穏便に夷澤と別れた九龍は、瑞麗に呼び出されていた為保健室へ向かう。そこで彼は瑞麗が自分の正体に気づいている事、さらに自分の正体がM+M機関という怪異の退散などを生業としている組織の一員である事を明かす。本来ならM+M機関はロゼッタ協会とは敵対している組織だが、九龍自身を信頼して明かす事を決めたようだった。
さらにその晩、九龍は咲重に呼ばれ、彼女からアラハバキが求めている「鍵」の話をされる。だがそこへ、ファントムが現れる。そして鍵の在り処を咲重から聞き出そうとする。咲重がそれを拒んでいると、そこへ阿門が現れる。そして咲重を助ける為に「鍵」をファントムへ渡してしまう。
2人と別れた九龍は、仲間達と共に遺跡へ向かう。そして新たに解放された遺跡の一角の奥で、ファントムと戦闘をする。九龍がどうにかファントムに勝利すると、外れた仮面の下から夷澤の顔が現れる。実はファントムは、アラハバキの思念に操られていた夷澤だった。操られていた自分を恥じた夷澤は、それを目にした九龍達を消そうとする。だが九龍達に敗れてしまう。その後、黒い砂が彼から溢れだし、そこから化人・邇邇芸(ににぎ)が現れる。九龍達は邇邇芸と戦闘を行う。激闘の末、邇邇芸に九龍達が勝利した事で、夷澤は己が負けた事を認める。

12th. Discovery「夕ばえ作戦」

普段は気弱な筈なのに、なぜか突然強気になった夷澤の友人の響五葉(ひびき いつは)。

夷澤の事件からしばらくした後、九龍は夷澤から友人の響五葉の様子がおかしいと告げられる。自分が操られていた事もあり、響も同じ目にあっているのではないかと考えている様子だった。その日の午後、九龍は「自分は強くなった」と言い張って阿門に戦いを挑む響の姿を目にする事になる。生まれつき、声を衝撃波として使う事ができていた響。彼いわく以前ファントムに「学園を変える力がある」と言われたとの事で、己の強さを証明しようと阿門に挑んだという。だが阿門は響の衝撃波をものともせずに彼を倒してしまう。阿門は響を連れて九龍の前から去る。
さらにその後、秘宝を狙った《秘宝の夜明け》が学園を占拠する事件が発生する。《秘宝の夜明け》を率いるメンバーの中には喪部もいたが、殺戮がしたいもう1人のリーダー格とは相性がよくないらしく、作戦に乗り気な様子ではなかった。その後《秘宝の夜明け》のメンバーは、生徒会と生徒会執行委員達によって早々に撃破される。しかし喪部とリーダー格は、秘宝を求めて遺跡へ向かってしまう。その晩、九龍は仲間達と共に喪部の後を追うように遺跡へ向かう。新たに解放された遺跡の一角の奥で、九龍達は《秘宝の夜明け》のリーダー格と戦う。九龍達が彼を負かした直後、喪部がリーダー格を撃ち殺す。喪部は《秘宝の夜明け》の情報ネットワークと総統が持つ資産を狙っており、その計画を遂行する為にこのリーダー格を殺したという。そして自身の秘密を知った九龍達の事も抹殺しようと、襲いかかってくる。どうにか彼に九龍が勝つと、分が悪いと判断した喪部はその場を逃亡。そのまま学園を去る。
九龍達が遺跡から出ると、そこには阿門が待っていた。そこで九龍は「鍵など本当は存在していない」事を、彼から教えられる。さらに阿門が去った直後、九龍のもとに白岐から「(学園内にある)温室で待っている」というメールが入る。

Last Discovery「暁はただ銀色」

九龍の前に、白岐の体を借りて現れた「封印の巫女」。

白岐に呼び出された九龍。そこで彼を待っていたのは、かつて遺跡の奥にアラハバキを封印した巫女だった。白岐の体を借りて九龍に話しかけてきた彼女いわく、太古の時代日本で行われた大和朝廷と東北人の蝦夷(えみし)の戦いの末、朝廷側が敗北した蝦夷を使った実験を行っていたという。その結果、遺伝子が改造され「化人」という化物が生まれてしまう。さらに蝦夷のリーダー・ナガスネヒコが予想外の力をつけ、自身を荒神・アラハバキだと思い込むようになる。研究者達は彼を施設ごと封印。その際に使った鍵を、ある巫女の体に封印する。それが「封印の巫女」であり、白岐は彼女の末裔にあたる少女だったのだ。巫女は九龍に、再びアラハバキを封印するには彼と共に封印されている「九龍の秘宝」が必要だと告げる。だがその時、アラハバキの思念が現れ、白岐に施されていた封印を解いてしまう。倒れた白岐は、隠していた武器・黄金剣を九龍に託して気を失う。九龍は準備を行った後、仲間達と共に遺跡奥にいるアラハバキに戦いを挑みに行く。だがその前に立ちはだかったのは、皆守だった。実は皆守は生徒会副会長であり、九龍と敵対する間柄だったのだ。かつての仲間との戦いを余儀なくされる九龍。それでもどうにか彼に勝つ事ができた九龍は、皆守も仲間だと彼を一緒に最終決戦へ連れていく事を決める。すでに九龍に絆されていた皆守は、彼と共に遺跡の奥へ向かう。するとその先で彼らは、白岐を使ってアラハバキを封印しようとしていた阿門と遭遇する。最後の生徒会役員である阿門と戦う事になる九龍達。どうにか勝利を収めるも、阿門は無理やり連れてきていた白岐を使って、アラハバキを封印しようと試みる。だが封印はできず、さらに九龍の秘宝もその場になかった為、アラハバキは蘇ってしまう。九龍はアラハバキとの戦闘を開始。激闘の末、彼を無事に倒す。すると、アラハバキを封印する機能を失った遺跡が崩壊し始める。九龍は皆と共に脱出しようとするが、阿門と皆守は自分達が犯してきた罪の償いとしてこのまま遺跡に残る事を決めてしまう。だがその時、小夜子と真夕子が現れ、「学園のこれからに貴方達が必要だ」と自分達の力を使い、九龍達を遺跡の外へと逃がすのだった。

『九龍妖魔學園紀』の登場人物・キャラクター

主要人物

葉佩九龍(はばき くろう)

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@okazoodd

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