九龍妖魔學園紀(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『九龍妖魔學園紀』とは、株式会社アトラスより発売された「學園ジュブナイル伝奇」と銘打たれたゲームソフトおよびそれをもとに展開するゲームシリーズやグッズの事である。制作自体は、株式会社シャウトデザインワークスが担当しており、同社の代表作『東京魔人學園伝奇シリーズ』にて使用されている独自のシステム・感情入力システムを用いたアドベンチャーゲームとなっている。宝探し屋である主人公・葉佩九龍(はばき くろう)が、新宿にある学園「天香学園」(かみよしがくえん)に眠る秘宝を探すストーリーとなっている。

『東京魔人學園剣風帖』の主人公で遊べる隠しモードが存在

隠しモードでプレイできる主人公・緋勇龍麻のアニメ版ビジュアル。

『九龍妖魔學園紀』には、九龍とは別の主人公で遊べる隠しモードが存在する。それが、制作元のシャウトデザインワークスの看板ゲーム『東京魔人學園剣風帖』の主人公・緋勇龍麻(ひゆう たつま)で遊べるモードである。『九龍妖魔學園紀』は『東京魔人學園剣風帖』と同世界観の作品である事が公式から明かされており、これはこの設定を生かしたモードとなっている。
この隠しモードでは、龍麻が宝探し屋と勘違いされて学園に派遣されるところから物語がスタートする。その設定に合わせるために、一部の台詞やキャラクターの態度に変化がつけられている。また初期の段階で強い武器を手に入れられる、隠しキャラを仲間にできるなどの特典が存在。九龍でプレイする時とは、異なる遊び方ができる仕様となっている。なお、ストーリー展開そのものに大きな変更はない。

エピソードタイトルの元ネタは実在するジュブナイル小説

各話が開始前に流れる、エピソードタイトルの画面。

『九龍妖魔學園紀』はプロローグ・エピローグを含め、全部で14のエピソードが存在する。その各エピソードタイトルが一部を除いて、実在するジュブナイル小説のタイトルが元ネタである事が明かされている。たとえば1st. Discovery『謎の転校生』は、小説家・眉村卓によるSFジュブナイル小説『なぞの転校生』が元ネタだ。ある中学校にやってきた謎めいた転校生に関わる秘密、彼が巻き起こす事件についてめぐる学園SF小説となっており、そのあらすじは素性を隠して天香学園に転校してきた九龍自身の設定に近しいものを感じる。実際、『九龍妖魔學園紀』は九龍が学園に眠る秘宝を探す為、学園地下にある遺跡、そしてそこに関わる人達の秘密を暴く話となっている。その展開は、捉えようによっては「素性不明の謎めいた転校生が巻き起こす事件」と見る事もできる。學園ジュブナイル伝奇ものならではの、凝ったオマージュセンスが感じられるタイトルの付け方だ。

シナリオブックにのみ存在するエピローグ

『九龍妖魔學園紀』の公式シナリオブック。左が上巻で右が下巻。

初版の発売から約3ヶ月後の2004年12月に、『九龍妖魔學園紀』は上下巻構成のシナリオブックを発売している。12日に上巻、24日に下巻の発売が行われた。ゲーム本編のシナリオは全て載っており、感情入力システムにより存在する分岐シナリオも全て収録されている。分岐箇所をまとめるにあたって、普通のシナリオブック形式では掲載が難しい為、ゲームブックに似た形式で制作がされるなど些か特殊な構成が取られる事となった。
そんなシナリオブックでは追加エピソードとして、ゲームにはなかったエピローグが収録されている。遺跡にまつわる全てが一先ずの落ち着きを見せた後の時間軸の話となっており、九龍が新たな任につく為、作中で仲良くなった仲間達に別れを告げていく話となっている。仲間達との再会を約束して旅立つような終わり方がされており、これからも九龍と仲間達の絆が続く事を感じられる希望あるエピローグだといえる。『九龍妖魔學園紀』をプレイしてきた者の胸に刺さるエピソードとして、シナリオブック購入者からは高く評価されている。

『九龍妖魔學園紀』の主題歌・挿入歌

OP(オープニング):新田高史「Kowloon theme」

『九龍妖魔學園紀』の音楽・BGMを担当している作曲家の新田高史による楽曲。初期からリメイク版、Switch&PS4版全てのソフトにて使用されている。その他、戦闘曲としてもアレンジしたものが使われており、作中で1番よく耳にする楽曲ともなっている。ファンからは「(ゲームの)カウボーイビバップの曲に似ている」といった意見があげられており、実際公式からはオマージュしている事が明かされている。
2005年2月25日に、本作を収録したサウンドトラックがフロンティアワークスより発売。2枚組のアルバムとなっており、本作はDISC1の1曲目に収録された。またその翌年2006年12月22日には、サウンドトラック追加盤『九龍妖魔學園紀 サウンドトラック〜失われた第三のディスク』が発売。こちらは『失われた第三のディスク』という名の3枚めのDISCが追加されただけで、DISC1・2の収録曲は変わらない。「Kowloon theme」もDISC1の1曲目に収録されている。

ED(エンディング):喜多村英梨「アオキキヲク」

声優としても活躍している女性歌手・喜多村英梨が歌唱を務めたED.。作曲・編曲はOP同様に新田高史が担当し、作詞は『九龍妖魔學園紀』のディレクターである今井秋芳が担当した。作中では各Chapterが終わる度にショート版が流され、本編クリア後のEDにてフル版が流される。力強いギターの旋律が耳に残るロックバラードな1曲となっており、聴くだけで胸が熱くなる。終幕を飾るに相応しいED曲だといえる。
OP同様、2005年2月25日にフロンティアワークスから発売された2枚組のサウンドトラックに収録された。DISC2にて、ショート版とフル版ともに収録されている。また2006年12月22日に発売された3枚組のサウンドトラック追加盤『九龍妖魔學園紀 サウンドトラック〜失われた第三のディスク』にても、ショート版・フル版の収録がされている。先に発売されたサウンドトラック同様、DISC2に収録。そのほか、本作だけを収録したシングルの発売もされる予定だったが、そちらは未発売のまま終わっている。

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