赤木剛憲（SLAM DUNK）の徹底解説・考察まとめ

赤木剛憲の概要

赤木剛憲（あかぎ たけのり）とは、『SLAM DUNK』（スラムダンク）の登場人物で、湘北高校バスケットボール（以下バスケ）部の主将。
強靭なフィジカルと精神力に加えて高い技術力を持ち、ゴール下では無類の力を発揮するチームの大黒柱。インターハイの全国制覇を夢に掲げていたが、チームメイトに恵まれず神奈川地区予選での敗退を繰り返していた。それでもその実態を知る者たちから「実力は全国クラス」と高い評価を受けており、バスケで有名な大学からも注目されている。

高校3年に進級した際、妹の晴子（はるこ）が「才能がある」と見込んで連れてきた1年生の桜木花道（さくらぎ はなみち）を始めとして、1年生エースの流川楓（るかわ かえで）、県内屈指のアジリティを持つ宮城リョータ（みやぎ リョータ）、かつてバスケ部に所属していた元中学MVPの三井寿（みつい ひさし）といった有力選手がチームに集結。強烈なキャプテンシーを発揮して彼らを率い、ついに地区予選を突破して全国大会へと駒を進める。
花道たちそれぞれに個性爆発なチームメイトたちには手を焼いていたが、全国大会で戦う頃にはチームとして完全に機能するまでに信頼し合う関係になっており、「俺たちは別に仲良しじゃねえし、お前らには腹が立って仕方がないが、このチームは最高だ」と語っている。

インターハイ優勝候補筆頭の山王工業との試合に勝利するもそこで力尽き、その次の試合で敗退。全国制覇の夢は泡と消え、その後は後輩たちにバスケ部を託して受験勉強に励むこととなった。

赤木剛憲のプロフィール・人物像

所属高校：神奈川県立湘北高校
学年：3年
誕生日：5月10日
部活動：バスケ部（主将）
身長：197cm
背番号：1年「10」 → 2年「8」 → 3年「4」
ポジション：センター（C）

CV：梁田清之／緒方恵美（少年時代）

根っからのバスケ愛好家で、小学生の頃からインターハイで全国優勝することを夢見ていた。基本的には剛毅で実直な優等生で、チームメイトたちに勉強を教えてやれるほどに頭がいいが、バスケのことになると熱くなりがちな傾向がある。花道が暴走した時などは容赦なく鉄拳制裁を見舞うなど、良くも悪くも体育会系の気質の持ち主。
見るからに頑健な肉体の持ち主で、花道からは「ゴリ」と呼ばれている。これはその身体的特徴が「ゴリラっぽい」という点から着想を得たものだが、本人は当初そう呼ばれることを嫌っていた。しかし何度言っても花道が呼び方を改めないため結局諦め、それどころか意外と気に入ったのか本人もゴリラっぽい掛け声を使うようになった。

妹の晴子もバスケを愛好しており、兄妹仲は非常に良好。その晴子に花道が惚れていると知った時は「こんな男に妹を任せられるか」と多少気にする素振りを見せたが、基本的には妹の交友関係は彼女自身の判断に委ねている。ちなみに外見はまったく似ておらず、作中でもたびたびツッコまれている。
チームメイトの中でも、同級生の木暮公延（こぐれ きみのぶ）とは特に強く信頼し合う間柄。赤木以外に有力な選手がおらず、毎年地区予選敗退を繰り返していた2年間を共に支え合い、湘北高校バスケ部をなんとか存続させてきた。強烈なキャプテンシーで仲間を導く赤木に対して、木暮は細やかな気配りで仲間を支える縁の下の力持ちタイプで、それぞれ別々の方向からチームをまとめている。

同じく同級生である三井に対しては、彼の輝かしい経歴と高い実力への嫉妬を捨て切れず、若干の苦手意識を抱く。一方の三井も自分が怪我で抜けている間に赤木がチームの中核へと成長したこと、「赤木を中心として完成しつつあるチームに今さら自分が戻っても連携を狂わせるだけではないか」という思い込みから一時バスケ部を去ったこと、バスケへの未練から悪質な嫌がらせをしてしまったこと、取り戻したくても取り戻せない2年分のブランクなどへの後悔から赤木に対する態度を決めかねているところがあり、2人の和解は全国大会出場以降のこととなった。
晴子が連れてきた花道は、チームメイトの中でもっとも手を焼かされ、散々に悩まされる存在となった。しかし「せっかく妹が連れてきたのだから」と面倒を見る内、やがて彼の類稀な資質に気付き、それを活かせるリバウンド技術を教え込む。流川というライバルを得た花道は、彼への反骨心をバネに猛然と練習に励み、地区予選の終盤に入る頃にはその才能が開花。リバウンダーとして全国クラスの選手へと成長した花道を見て、「晴子の言う通り、湘北高校バスケ部に欠かせない男になった」と胸中で感慨を漏らしている。

赤木剛憲の能力・プレイスタイル

フィジカルに秀でるゴール下の巨人

パワーとフィジカルに秀でており、ゴール下での戦いにおいては無類の強さを発揮する。突破力、得点力、防御力の全てが高く、ゴール下に陣取った赤木は味方には安心を、敵には脅威を与える存在となる。
ゴール下を離れれば何もできないかといえばそんなことはなく、ドリブルなど基本的な技術も卓越しており、さらに巨体の割にはかなりのスピードの持ち主で、必要とあれば3Pも狙う。しかしゴール下でもっとも力を活かせるタイプであることは事実で、それ以外の場所で全国トップレベルの選手に張り付かれると対応に苦慮する場面も見られた。

強烈なキャプテンシー

バスケへの熱烈な情熱を昇華させた、強いキャプテンシーの持ち主。個々に優秀ではあれど、花道や流川など個性的に過ぎる選手がそろった湘北高校バスケ部が地区予選突破という結果を出せたのは、彼らを有無をも言わさず引っ張っていく赤木の指揮能力あってこそである。
それが特に強く表れていたのが神奈川地区予選の海南高校戦で、足首の捻挫でまともに歩けないほどの傷を負ってもなお応急処置だけで試合に戻ろうとしている。ともすれば選手生命を縮めかねないこの行為は、それまで「晴子さんから気に入られたい」、「流川に負けたくない」という極めて個人的な思惑だけでバスケをしてきた花道に「仲間のために、日頃から威張ってはいるけどとことん練習に付き合ってくれる赤木のために勝ちたい」との想いを抱かせ、後の彼の成長をも促している。

赤木剛憲の来歴・活躍

高校入学まで

幼い頃からバスケが好きで、熱心に練習を重ねていた。中学生になってからはバスケ部で汗を流すもなかなか芽が出ず、県内の大会で輝かしい成績を修めた同年代の三井の存在に嫉妬と憧れを抱く。
中学に入学した頃から急激に背が伸び出し、同年代では圧倒的なフィジカルを手に入れるも、それを活かすための技術はまだ追い付かず、選手としてはほぼ無名のままだった。

木暮と三井

湘北高校への入学後も、当然のようにバスケ部の戸を叩く。この学校のバスケ部の監督は、かつて大学バスケ界でいくつものチームを率いて偉大な成績を残した安西光義（あんざい みつよし）という人物が務めており、中学MVPの三井は彼の指導を受けたい一心でここに入学。奇遇にも同年代最高のエースとチームメイトとなる。
この頃の赤木はまだ“体がでかい”というだけの選手で、三井の技術には到底追いつけず、共にバスケ部入りした木暮と共に試合にも出られずひたすら練習する日々を送る。しかし「安西監督にいいところを見せたい」と考えた三井は、その巨体から注目されていた赤木に目に物見せてやろうと無茶なプレイをした結果膝を負傷。数か月の療養を送ることとなってしまう。

三井という将来必ず中核となっただろう選手を失った湘北高校バスケ部だったが、赤木はその分まで自分ががんばろうと努力を重ね、1年生ながら試合に出るほどの存在となる。安西の前で無様を晒したと自分自身に失望していた三井は、自分無しで完成していく湘北高校バスケ部に今さら顔を出すこともできずそのまま退部。木暮に引き留められるもこれを拒絶し、バスケから距離を取り、やがて情熱を失い不良たちとつるむようになっていく。
一方、チームの大黒柱となった赤木だったが、湘北高校には彼以外に有力な選手がおらず、地区予選では毎年早々に敗退することが続く。敵チームの選手からも「パスを出せる相手が1人でもいれば大化けするのに」と同情されつつ、夢だった全国制覇が遠のいていくのを感じ続けた。

新たなるチームメイト

3年に進級した年、2つ年下の妹である晴子も湘北高校に入学。その彼女が「才能がある」といって推薦してきたのが花道だった。花道は晴子に惚れ込んでおり、彼女にいいところを見せたいという一心でバスケ部に入部。あまりに不純な動機に怒りを覚えるも、「せっかく妹が連れてきてくれたのだから」と辛抱強くバスケのルールと技術を教え込む。
同じ頃、中学の大会でスタープレイヤーとして鳴らした流川もバスケ部に入部。晴子はバスケ選手としての流川に憧れており、それを知った花道は「絶対に流川より活躍してやる」と練習に励むようになる。流川も流川でとことんマイペースなところがあり、才能があるとはいっても2人の問題児を抱えて、心労の絶えない日々を送る。

一方、安西の期待を裏切ってしまった罪悪感でバスケから離れていた三井と、その三井とケンカして怪我の治療に専念していた宮城が、何人もの不良を巻き込む大騒ぎの末にバスケ部に復帰。この騒ぎの責任については、花道の友人の不良たちが泥を被ってくれたお陰で事無きを得る。
問題児ばかりとはいえ、個々に優れた資質を持つ新たな仲間たちを集め、いよいよ高校生活最後のインターハイ神奈川地区予選に参加する。

インターハイ神奈川予選

赤木が屋台骨としてチームを支え、流川、宮城、三井がそれぞれに得意な形で攻撃していく新生湘北高校バスケ部のスタイルは極めて効果的に機能し、それまで弱小とされていた湘北は一躍全国大会を狙える強豪校へと変貌。初めての公式戦に緊張してファウルを連発する花道は別にして、快進撃を続けていく。
しかし県内最強と名高い海南高校との試合中、赤木は相手チームの選手との接触で倒れ、足首を捻挫してしまう。症状はかなり深刻で、安静にしていなければ選手生命にも響きかねないほどのものだったが、赤木はなおも応急処置だけして試合に戻ろうとする。赤木にとって今回の大会は、子供の頃から追い続けてきた全国制覇の夢を叶える最後のチャンスであり、そのために十分なだけの仲間に恵まれた以上歩けないくらいで試合を放棄できないというのが彼の言い分だった。

そんな赤木の想いを、医務室の扉の外で聞いてしまった花道は、「打倒海南」を叫んで一足先に試合場へと戻る。少しずつバスケに魅力を感じ始めていた彼にとって、いつも練習に付き合ってくれる赤木が「2度と歩けなくなってもいいから勝ちたい」との想いでなおコートに戻ろうとしている事実は衝撃であり、「赤木のために勝ちたい」という意識を芽生えさせるに十分な出来事だった。間もなく赤木も試合に戻り、奮起する花道と共に海南高校を追い詰めるも、最後はその花道のパスミスにより敗退。自分のせいで負けたと号泣する花道に、悔やむ必要は無いとばかり「泣くな」と声をかける。
神奈川県から全国大会へと進めるのは2校。海南高校が最初にその席を埋めた後、残るもう1つの席を巡って陵南高校との試合が始まる。未だ治り切らない足首の負傷もあり、県内では互いにライバル視する間柄である魚住純（うおずみ じゅん）率いる陵南高校バスケ部を相手に苦戦。しかし陵南高校側が「身体能力は高くともしょせん素人、湘北高校にとって弱点にしかならない」と考えていた花道の爆発的成長などによって状況を引っ繰り返す。試合終了寸前に木暮が3Pを入れ、これが決定的な点差となって陵南高校に勝利。ついに念願の全国大会への切符を手にする。

インターハイ全国大会

神奈川地区予選での活躍が評価され、大学バスケの名門である深沢体育大学からスカウトの声がかかる。しかし現場の評価こそ高いものの全国では無名だった赤木は、インターハイでベスト8入りという条件を付けられる。赤木はこれに「ベスト8と言わず優勝してみせる」と応じ、念願の全国大会出場に意気を上げる。
かくして始まった全国大会では、その実力を遺憾なく発揮し、全国にその名を轟かせる。しかし2回戦で優勝候補筆頭とされる山王工業と戦うことになってしまい、同ポジションで高校最強ともいわれる河田雅史（かわた まさし）に苦戦。技術、戦術、フィジカルのあらゆる面で圧倒され、「河田の前では神奈川で戦ってきた相手が子供に思えてくる」と戦慄する。

しかし大会を見物に来ていた魚住に「お前は河田に及ばない」とはっきり指摘されたことで吹っ切れ、“自分が河田に勝つ”のではなく“自分が可能な限り河田を引きつけ、代わりにチームメイトを活かす”ことで対抗する。
試合後半、花道のリバウンドを中心に反撃ムードが高まっていくも、その花道がアクシデントで負傷。海南戦の時の自分のごとく痛みを堪えて戻ってきた彼を案じるが、この時の花道は赤木と同等かそれ以上にバスケを愛する少年へと成長していた。その情熱を止められず、チーム全員で可能な限りフォローしながら団結して戦い、最後は花道がブザービーターとなった山王工業に勝利。奇跡的な逆転劇を果たす。