宮城リョータ（SLAM DUNK）の徹底解説・考察まとめ

宮城リョータの概要

宮城リョータ（みやぎ リョータ）とは、『SLAM DUNK』（スラムダンク）の登場人物で、湘北高校バスケットボール（以下バスケ）部に所属する2年生。
スピードを武器とする切り込み役で、ボールを敵陣に運び攻撃の起点となる存在。バスケの選手としては背が低く、シュートも不得意と弱点は多いが、チームメイトのコンディションに合わせてプレイスタイルを変える聡明さを持つ。

中学の頃からバスケ部で活躍し、目立った成績こそ残せなかったが知る人ぞ知る注目選手だった。かつて大学バスケ界で名監督として辣腕を振るった安西光義（あんざい みつよし）に憧れ、彼が監督を務めるバスケ部を目当てに湘北高校に入学。当時は「このままバスケを続けるか、それともやめて他のことを始めるか」と悩んでいたが、たまたま見学に訪れたバスケ部でマネージャーの彩子に一目惚れし、彼女の前でカッコつけたい一心でバスケを続けることを決意する。
期待の新人として活躍するが、それが1学年上の不良である三井寿（みつい ひさし）の癇に障り、彼とその仲間たちからリンチを受ける。三井はかつてバスケ部に所属していたが、怪我と本人の空回りによって部を離れ、それでもなおバスケへの捨てがたい未練を持て余していた。三井にとって宮城は“バスケ部で活躍する1年生”という過去の自分が歩みたかった道を歩む存在であり、仲間と共に彼を襲ったのもそれが理由だった。宮城はリンチを受けながらも反撃し、三井ともども病院送りとなる。

2年生になり、リハビリも終えてバスケ部に復帰した宮城は、そこで桜木花道（さくらぎ はなみち）という1学年下の新入り部員と出会う。花道もまた一目惚れした女の子の前でカッコつけたい一心でバスケ部入りしており、同じ悩みを持つ者同士で意気投合。バスケ部第一の問題児である花道をうまく操縦し、彼と学年を超えた友人となっていく。
やがてインターハイが始まると、湘北高校バスケ部のスピードスターとして攻防を牽引。初の全国大会出場、全国大会での躍進に貢献する。彩子との仲は、結局「バスケ部員とそのマネージャー」という程度に留まった。

宮城リョータのプロフィール・人物像

所属高校：神奈川県立湘北高校
学年：2年
誕生日：7月31日
部活動：バスケ部
身長：168cm
背番号：7
ポジション：ポイントガード（PG）

CV：塩屋翼

言動は軽妙ながらクレバーな人物で、周囲をよく観察して相手に合わせた対応を取る。しかし聡明な分本心を曝け出すのは恥ずかしいらしく、彩子へのアプローチは迂遠にして不器用そのもの。彼女のことを忘れようと他の少女と付き合ったこともあるがうまくいかず、「俺には彩ちゃんしかいない」と一途な姿を見せている。一応彩子の側も宮城の行為を理解してはいるようだが、その上で受け流されてしまっている状態である。
バスケ部の主将である赤木剛憲（あかぎ たけのり）のことは「旦那」と呼び、その実力と人柄を信頼している。相手の性格を見極めて接する高い対人スキルを持つため、部内の人間関係は概ね良好。しかしややケンカっ早いところがあるらしく、1学年上の木暮公延（こぐれ きみのぶ）からは「新入りの部員たちと衝突しないだろうか」と案じられていた。

その新入り部員の1人である花道のことは、当初は彩子と連れ立って歩いているのを見て「彩ちゃんの彼氏」だと勘違いし毛嫌いしていたが、それが誤解だと分かったこと、彼もまた一目惚れした相手に振り向いてほしい一心でバスケに打ち込んでいることを知って和解。同じ悩みを持つ者同士で意気投合し、名前とあだ名で呼び合うなど、バスケ部の中では花道ともっとも親しい人物となった。
三井とは過去の因縁もあり、物語当初は剣呑な間柄だった。その三井が過去を吹っ切ってバスケ部に復帰した後は、彼がそうしたように自身も過去のことは忘れてチームメイトとして接することに努めている。不良仲間と共に暴れた三井が、バスケ部の仲間として再び受け入れられたのは、「もっとも恨みがあるだろう宮城が何も言わない」という理由も大きかったと思われる。

宮城リョータの能力・プレイスタイル

湘北高校の切り込み役

スピードを武器としており、低い姿勢でのドリブルが得意。自陣から相手ゴールに攻め込む際に、ボールの運び役やパスの出し役として活躍する。
オフェンスだけでなくディフェンスでも力を発揮し、敵の攻撃に合わせてフォーメーションを指示するなど、チームの司令塔として機能している。相手チームの攻撃どころか仲間のコンディションにも合わせて対応を変えており、対人スキルの高い宮城ならではの役目を果たしている。チームメイトたちも宮城のゲームメイク能力は評価しており、自分からコンディションに合わせた対応を要求することもある。

一方、フィニッシャーとしての力にはやや欠けており、シュートを不得手としている。自分が試合を決定づけるのではなく、チームの総合的な戦力を活かして勝利をつかむのが、宮城のスタイルである。

高い対人スキル

司令塔としての宮城の能力を支えているのが、相手の人柄を見抜く観察眼と、それに合わせて対応や言動を調整する高い対人スキルである。
恋の悩みで意気投合したとはいえ、バスケ部の筆頭問題児である花道のこともうまい具合に操縦しており、彼のプライドを傷つけることなく自分に従わせている。

一方でケンカっ早いところもあり、三井と彼の不良仲間にリンチされた際も猛烈な反撃を行っている。木暮からは「手の早い宮城と花道を会わせてもいいものかどうか」と心配されていた。

飛び蹴り

バスケ選手としては低めの伸長を補う、優れたジャンプ力の持ち主である。ケンカの際にはこれを利用した飛び蹴りを得意技にしており、体格で勝る花道にも大きなダメージを与えた。

宮城リョータの来歴・活躍

中学時代

目立った成績を残すことはできなかったが、中学生の頃からスピードに優れた逸材として県内では知る人ぞ知る選手だった。校内屈指のバスケ名門校である陵南高校からもスカウトの声がかかるが、「かつて大学バスケ界で名監督として活躍した、今は湘北高校で指導している安西監督に会ってみたい」との想いからこれを断っている。
実は宮城は高校入学の時点で"これから先もバスケを続けるかどうか”で悩んでおり、「安西に会ってみたい」というのは"指導を受けたい”というより"自分の今後のバスケ人生について相談したい”という気持ちがあったのだと思われる。

恋とリンチとリハビリ

湘北高校への入学後、バスケ部に見学に赴いた際、マネージャーとして活動していた彩子に一目惚れ。「バスケを続けるかどうか」で悩んでいたのもどこへやら、彼女の気を引きたい一心で即座にバスケ部に入部する。
タレントの少ない湘北高校バスケ部にあって、貴重な新戦力として活躍するも、彩子との仲は進展しなかった。他者との距離感を計算しながら立ち回る気質の宮城は、恥ずかしさからどうしても彼女に直接好意を打ち明けられず、彩子の側も宮城と友人以上の関係にはなろうとせず、両者は「異性の友人」もしくは「バスケ部の選手とマネージャー」という間柄を維持し続ける。諦めるため他の女子と付き合うことも試してみたが、結局はこれもうまくいかず、そういった相手にフラれては彩子の側に戻ることを繰り返した。

しかしバスケ部での活躍が上級生である赤木剛憲（あかぎ たけのり）や木暮公延（こぐれ きみのぶ）に認められ、それが校内にも知れ渡るようになった頃、1学年上の不良である三井とその仲間たちからリンチを受ける。三井はかつてバスケ部に所属し期待されていた選手だったが、怪我と本人の空回りの結果独断で部を離れ、それでもなおバスケへの捨てがたい未練を持て余している状態だった。三井にとって宮城は、“バスケ部で活躍する1年生”という過去の自分が歩みたかった道を歩む存在であり、仲間と共に彼を襲ったのもその妬みが理由だった。
もともとケンカっ早く荒事にも慣れている宮城は、不良たちに囲まれた時点で「逃げられない」と判断し、首謀者と目した三井だけを狙って猛然と反撃。結果三井ともども病院送りとなり、しばしバスケ部を離れる。これがいつ頃のことかは詳しく描かれていないが、宮城も三井も退院後は特に後遺症らしきものもなくバスケ部に復帰しているため、怪我の度合いもそれほど深刻なものではなく、それが治る程度の期間ということで物語開始の前年度の三学期か同春休みのことだと思われる。

“ドアホウ”コンビの誕生

入院中に2年生に進級し、怪我も癒えてリハビリも終えた後、バスケ部に復帰。宮城が不在の間に、バスケ部には何人かの新入部員が加わっており、その1人が花道だった。花道が憧れの彩子と連れ立って歩いているのを見た宮城は、「俺が入院している間に彩ちゃんはとうとう彼氏を作った」と勘違いして嫉妬から彼に飛び掛かり、出会いの印象は最悪なものとなる。花道もまた元不良で荒事には滅法強く、赤木や木暮は「あの2人を放っておいたらケンカを始めて部活動自体できなくなってしまうのでは」と戦々恐々としていた。
しかし彩子に惚れていることを花道に見抜かれてしまい、「どれほどがんばっても好きな人に振り向いてもらえない」という傷心のあまりそれを認めて泣き言を口にすると、意外にも彼は宮城の心情に理解を示す。彼もまた一目惚れした少女の前でカッコつけたい一心でバスケを始めた口で、これまでまったく脈無しという点も宮城と同じだった。

意気投合した宮城と花道は一瞬で親しくなり、肩を組んで部活に向かうほどの仲となる。これを見たバスケ部の新入部員の1人である流川楓（るかわ かえで）は、「ドアホウが2人になった」と呆れていた。
花道は高校に入るまでバスケの経験がほとんどなく、事実上素人同然ではあったが、それを差し引いても並外れた素質の持ち主だった。赤木に言われるまま渋々練習をしている花道を見た宮城は、持ち前の対人スキルを活かして巧妙に彼を煽てながら自分の技術をレクチャーする。花道も宮城の言うことは素直に受け入れ、乾いた砂が水を吸うようにバスケのスキルを高めていった。

三井との対決

宮城がバスケ部に復帰して間もなく、三井が“お礼参り”と称して不良仲間たちと共にバスケ部の練習場に押し掛けてくる。間もなく始まるインターハイのため、問題を起こしたくない宮城は、怒りを抑えて「帰ってくれ」と要求。しかし三井の目的はバスケ部のインターハイ出場そのものを潰すことにあり、仲間たちと共に宮城ばかりか他のバスケ部員や備品にまで手を出していく。
この頃には宮城は、誰かから聞いたのか三井が元バスケ部員であることを承知しており、彼の癇癪がバスケへの未練からあることも見抜いていた。なんとか彼を説得しよう、穏便に帰ってもらおうとする宮城やバスケ部員たちが殴り倒されるのを見て、花道は激高して三井たちに反撃。駆け付けた自分の友人たちと共にこれを蹴散らす。

ここに安西が現れ、懐かしいバスケのコートで憧れていた彼に間近で声をかけられた三井は「バスケがしたい」という本心を吐露。不良だった過去を捨て、バスケ部一同に謝罪した上で部に復帰する。ケンカ騒ぎについては、事情を知った花道の友人たちと三井の不良仲間たちが「三井が“バスケ部に戻りたい”なんて言い出したからムカついて暴れた」と咄嗟に口裏を合わせてくれたお陰で、全て彼らの責任ということになる。
三井の復帰については歓迎する者もいれば納得しかねる様子の者もいたが、もっとも強い恨みを持つであろう宮城はこれについて何も語らず、黙って彼を受け入れる。このため他の部員たちが表立って声を上げるのもはばかられ、次第にチーム全体が三井を受け入れていくこととなった。どの程度意識していたのかは不明だが、対人スキルに優れた宮城らしい対応だといえる。

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